お前以外、誰も要らないーーー


パブリックスクール -檻の中の王-、 -群れを出た小鳥-
の続編となります。

パブリックスクールを卒業し、
あれから8年の月日が経ち、
エドは27歳、レイは25歳になった。
学生時代にも色々とあって、
ようやく結ばれた二人だけど、
結ばれたあとだって
様々な問題、困難、障害が彼らの前に立ちはだかる。
それらをクリアしてはじめて本当に幸せを感じることができる、、というわけで、
大人になった二人のその後がまるまるっと書かれています。

私は前回の2巻についてちょっと辛口でした。
それはもう好みの問題なので仕方ないと思うんです。
モヤモヤしたものを抱えたままだったんだけど、
今回はモヤモヤは少しは消え、
前回より面白く読む事ができました!!
でもモヤっと感もまだ残っていたります。


樋口 美沙緒著「パブリックスクール−八年後の王と小鳥−」

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パブリックスクールを離れて8年後──。かつて義兄として慕っていたエドと恋人同士になった礼。けれどエドは、イギリス貴族の御曹司で、世界を相手にビジネスを展開する大会社の社長。どんなに想い合っていても、口煩い親族たちや社交界は、天涯孤独で財産もない日本人の礼を侮り、決して認めようとはしない…。そんな中、遠距離恋愛中だった礼は、仕事で渡英し、長期出張の間、エドと一緒に暮らすことに!?


本編前に
「八年目のクリスマス」と「つる薔薇の感傷」が収録されています。
どちらも短いお話だけど、
八年目〜はエドがレイに会いたくて会いたくて、ようやく会えるという楽しみが
一瞬にしてなくなってしまいむくれてしまうという話ww
なんとも可愛らしく感じてしまったよw
確かにね〜、ようやく思いが通じて恋人同士に晴れてなれたのに・・・
ちょっとかわいそうだけど、エドの対応がまんま子供か!って感じで、
こんな子供全開な一面を出すのはレイ絡みだからこそ。
後者はジョナス視点の話。彼もまたパブリックスクール時代にいろんなことで傷ついた人。
最初はもっと儚げな人だと思っていたんだけど、案外と口が悪いし、
おまけにレイがジョナス以上に庇護欲そそるタイプだったためか、
今ではすっかりオカンキャラにww

そして本編です。
レイは今では美術系出版社の編集者として働いているが、
語学力とパブリックスクールに通っていたおかげで身に付いたマナーや
出身学校の影響力も手伝い、若いのに結構責任重大な仕事を任されるように。
そして今回、キュレーター補佐として国立美術館で行う企画展に出展をしてもらう
作家たちとの交渉役としてイギリスに来ていた。
滞在期間は約3ヶ月。その間はエドと一緒に住む事に。
エドは現在、父親にかわりグラームズ社社長に就任。
その敏腕さから父親が傾かせた会社の立て直しを行う事に成功。
ただし重役のなかにはまだ一族のものもいて、
エドのやり方に反発するものたちもいた。
そんな疲弊するような人間関係や仕事のこともレイと一緒にいると解消される。
しかし一方で、違うことで頭を悩ませてもいたのだ。
それはレイが他の男から色目を使われる事。
惚れた欲目なのか、エドはレイに近づく男はレイの魅力にやられてしまい、
レイによからぬことをするんじゃないか、と気が気でないわけだ。
それにそもそも根本的に二人の仕事に対する考えは相違している。
エドは自分の立場とお金を使ってでも目標を成し遂げるタイプ、
それは時に横暴さと傲慢さにも映ってしまう。
エドはあくまでも効率の良さをアピールするのだが。
こういうやり方をされてもレイは嬉しくもなんともない。
なのでせっかくの楽しい二人暮らしがそういうことから喧嘩もしてしまう。
それにレイのことを良く思っていないグラームズの一族からは、
またもや陰湿ないやがらせを受けるレイなのだ。
改めてエドとの隔たりを感じてしまうレイ。
しかも今回の企画展の目玉作家の一人であるデミアンは大の貴族嫌いで、
レイは出展にあたり無理難題な条件を突きつけらる。
おまけにエドと一緒にいるところをパパラッチされ、
前途多難な同棲生活になってしまい・・・!


エドはね、経営には無能な父親と
お金を派手に使うことしかできない母親を切り捨てたわけ。
それはもう無慈悲に。
そして会社に残っているのは保身と金の無心しか考えていない重役の叔父連中。
ただでさえこの親戚たちには煮え湯を飲まされて続けてきたエドなので、
彼らをバッサリ切り捨てることに異論もなければ感傷もない。
ただ、それをするには時期があるので、一気に掃除をするわけではないわけ。
そういうところが冷静でもあるわよね。
膿みは出し切らないと。
ただ時期を待っていたがために、
エドが自分の命より大事にしている恋人のレイが毒牙にかかることになってしまう。
しかもデミアンとのことでレイとは喧嘩していたり。。。
レイも大人しそうにみえて、譲れないところは譲れないし、
エドのやることなすことにイエスマンではないよね。
そういうところはとても好感がもてる。

仕事では非常に優秀なエドもことレイが関わる事になると、
どうしても子供になっちゃうんだな〜ww
デミアンのこともそうだし、そのことでレイに怒られたとしてもね。


私がなんでいつもこの作品にモヤモヤしちゃうかってーと、
エドは社長ではあるけれど、持ち株の大半はアメリカの実業家が握っている。
だから自分が無能と判断されれば自分だって切られる可能性がある、とエドは言う。
そういうところはとても好きなんだ。潔くて。
バカな叔父がレイを拉致り、脅し、怪我を負わせたとき
怒ったエドは400年を誇るグラームズの歴史より、貴族の血より、
レイを選ぶ、そんな血は捨てられる、と言っていた。
なのにレイにはどうしたって貴族をやめられないと泣いて許しを乞う。
青い血を抜く事はできないってのはそういうことよね。
んんんんん??????
それまでは叔父へのエドの告白に胸があつーくなっていたのに、
ここで、んんんん?となってしまった。

今のエドがあるのは貴族だったからで、
その彼を否定するわけじゃないの。
でも一番大切なものを守るのにそれがネックになるのなら、
やり方は他にあるんじゃないの?と常に思っちゃうんです・・・。

一族を見返したいのであれば、
大学を卒業後、オーストラリアで実績をあげたのち、会社を辞め、
自分で起業でもできたんじゃない?
その場所はアメリカでも良かったんじゃない?
そのアメリカ人のなんとかっつー人とタッグを組むことだってできたであろう。
逆にグラームズ社にTOBでもかけて買収するなんてことは
エドの父親の代であったならば簡単にできそうだった。
もちろんそんなことをすればイギリスの社交界において
総スカンされそうではあるが、そんなこと気にするエドじゃないでしょ。
別に会社を買収せずとも、
放っておけば自ずと身を滅ぼすだけであっただろう。
それでも良かったわけだし。。。

貴族ってだけで裕福に暮らしていけたのは一昔前のこと。
現在は貴族だって実情は困窮していたりする。
土地や建物がやたら広いからね。
だから貴族こそビジネスセンスを問われるらしい。
そういう意味ではエドは一族の星であることは言い得てるよね!
レイが邪魔だってのもよくわかるわ!
だからこそ、そんなしがらみをスッパリ切り捨てて欲しかったんだな〜。

そうなの、私がエドに求めるのは
普通に赤い血でいいじゃんってことなんだ。
赤い血のエドに価値がなくなるわけじゃない!魅力がなくなるわけじゃない。

いつでもグラームズ家を捨ててやる!って言いながら、
赤い血にはなれない、しないって泣くようなことは
しないでいただきたいだけなの。
まあ、赤い血になれないっていうのは、彼が貴族を捨てられないというよりは、
彼がグラームズを捨てたとしても、
回りが常にグラームズとしてみてしまう、一生つきまとう家名だということなんだろうけども。

だけどなんというか、上手く言えないけど、
回りがそう見ていたとしても、レイに対してだけは
同じ土俵でいて欲しいんだ。
デミアンの絵のように、一皮剥いたら皆同じ・・というようにね。


これは私の感想なので人それぞれの受け止め方の違いだと思うけど、
それまで盛り上がっていた気持ちがしゅーーってしぼんじゃったんだ。
それに、エドの気持ちはわかるけど、
追いつめられた叔父とレイを二人きりにさせるなんて
超危険ですよ!追いつめられた人は何をしでかすかわからないんだから!
この点はエドの読みが甘かったかと。

前回はオードリーがお気に入りでしたが、
今回のお気に入りはエドの秘書ロードリー。
こんなに仕事が出来るエドがレイの前では子供だ!って
影でくすくすしているところがいいじゃないですか。
でも表面ではしれっとしてるww

Amazonの初回特典のペーパーもそんなロードリー視点で
面白かったです。

ニューキャラのデミアンもメンドクサイやっちゃな〜って感じでしたが、
彼もまたレイと同じく半分貴族の血が流れているために
辛酸をなめ続けてきた人だった。
彼の絵はまさにそんな魂の叫びだけれども、
最終的にはレイの気持ちが届いて、レイと仲良しにww
またこれでエドのやきもちが増すけれども、
レイはエドと一生を共にする覚悟をし、
生活の拠点をイギリスに移すことに。
(あ、だから余計にデミアンのこともやきもちやいちゃうのかww)

というわけで悪くはなかったし、面白かったんだけど、
私的にはまたもやモヤっと感が残ったのでした。

H度ドキドキドキドキドキドキ
ストーリー度満月満月満月満月

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