泥臭い
巻誠一郎が2月17日からの東アジア選手権のメンバーから急遽はずれた。
なんでも1月30日に行われたボスニア・ヘルツェゴビナ戦で負傷した肋骨が骨折していたとの事らしい。
この事実を私は
『骨折していたにもかかわらずタイ戦にまでも出場して得点まで挙げた巻は凄い奴』
で片付ける気にはなれない。
もちろんタイ戦は2010年南アフリカW杯出場に向けた公式戦であり大事な初戦である。
勝負に絶対は無いのはわかっている。
しかし残り約20分で2点差がついた試合での投入すべき選手が本当に巻でなくては駄目だったのだろうか。
ベンチにも入れずスタンドから試合を観戦していた矢野や前田ではどうしても役不足だったのだろうか。
あえて突っ込んで言わせて貰えばチームドクターは本当に巻の体の異変に気づけなかったのだろうか。
まあメンバーを決定するのは監督の仕事であり、体調が万全ではない巻の方が控えに回った選手よりも使えると判断したのであればこれ以上何も言えないのだが。
巻という選手を語る上でよく持ち出される「泥臭さ」という言葉があるが、今回の一件とも無関係とは言えないだろう。
そもそも何気なく使っている「泥臭い」という言葉に皆さんはどういうイメージをお持ちだろうか。
迷った時、私は原点に戻り辞書を引く事にしている。
泥臭い
1 泥のようなくさみがする。「―・い水」
2 あかぬけていない。やぼったい。「―・い身なり」「―・い演技」
(大辞泉)
2の意味で使われているのなら狡猾なチーム、悪い言い方をすればずるいプレーを平気で仕掛けてくる選手達にとって絶好のカモとなってしまうだろう。
それはまさに田舎から出てきたての、人を疑う事など知らない、ネルシャツをデニムにインしてリュックを背負った青年が都会という名のジャングルに放り出されたようなものである。
自分が騙されていた事に気づいた時にはどうしようもない借金を抱えている巻青年。
このままではいけないとペナルティエリア内で勇気を出して自ら転んで見せるも赤いカードを振り上げられピッチを去る巻青年。
1の意味で使われているのならそれはもうコイやフナである。
しかし滋賀では塩漬けし、ご飯と共に発酵させたフナ寿司という名物があるそうだ。
それはもう泥臭さではなく慣れていないと耐えられない臭さだという。
しかし好きな人にはたまらない一品なのだろう。
巻が目指すべき道ももしかしたらそっちなのかもしれない。
巻寿司。
あっ 普通じゃん。
(ガセコタツヒト)
鈴木隆行さんからの手紙48
みなさんお元気ですか?鈴木です。
まだ所属チームが決まらずにみなさんにご心配をおかけしています。
僕自身はチーム、地域に全くこだわりは無いのですが、より良い環境をと代理人が奔走してくれているのです。
そして正式契約に至ってはいませんが、どうやら新しいチームが決まったと電話がありました。
「千葉っす」
少し電波の状態が悪く聞き取りにくかったのですがチーム名だけははっきり聞こえました。
千葉といえば噂によれば主力選手が大量に失踪してしまい大変な事になっているとか。
何とか僕の経験を生かしチームの勝利に貢献出来ればと考えています。
理由はわかりませんが契約等はロサンゼルスで行うとの事で今から日本を発ちます。
それではまた手紙を書きます。
2/2 たかゆき