9月1日(火)
先月の私が何をしていたのか、もはや思い出せません(急速健忘)が、なんとか21冊読了。
あ、『本好きの下剋上』のアニメを見終わって『薬屋のひとりごと』を見始めた。
『高慢と偏見』のドラマを全話見た。
テレビばっか見てたんだな。
今月は上旬に旅行に行くし、シルバーウィークには長男が帰って来るので、多分読書ははかどらない。
でも、マイペースに読んでいくでしょう。
★5つは4冊。
『両京十五日 天命』は、怒涛の展開なうえに、最後の「祖先の定法」の衝撃。
「祖先」という冠がつくと、有無を言わさないという圧力がもれなく付いてくるけど、そのうさん臭さは日本と同じ。
少しほろ苦い結末だけど、歴史は変えられないからなあ。
『坂の中のまち』
普通に地方から東京に進学のため上京していた女の子の話ではあるのだけど、東京の坂の多さ、それを愛した文豪たち、隠された歴史が、少しずつ埋め込まれていて面白かった。
少し土地勘のある場所もあって、余計に楽しかった。
中島京子の作品は、いろんな趣向に溢れているけれど、結局全部好きだなあ。
『反社会学講座』
こういう、本気か冗談かわからないような文体に紛れた真面目な考察は大好きだ。
でき得れば、私がこういう文章を書いてみたいものだ。
『土曜日は灰色の馬』
これは読書好き、マンガ好き、恩田陸好きにはたまらんエッセイ。
私は全部好きなので三重にたまらなかった。
8月の読書メーター
読んだ本の数:22
読んだページ数:7506
ナイス数:1000
【小説3巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部「兵士の娘3」の感想
紙の制作、インクの制作等、マイン工房の目処もたち、本づくりは順調かと思われた。フリーダから魔術具を譲り受け、一命をとりとめたマインは、無事洗礼式の日を迎える。そしてそこで…。洗礼式を執り行った神殿で、マインは図書室を見つけてしまうのです。今まで本がないから自分で作ろうとしていたのに、なんと図書室。感極まったマインは発作的に神殿長に「巫女見習いになりたい!」と訴えてしまう。神殿の業務は貴族とのかかわりが深いので、今後どんどんマインは貴族社会に取り込まれていくのだが、それはまた別(第二部)の話。★★★★☆
読了日:08月01日 著者:香月美夜
虚栄の市〈第4〉 (1948年) (岩波文庫)の感想
相変わらず無職無収入のまま自転車操業で派手な生活を送るレベッカ。けれど彼女は音楽の才能、手先の器用さ、フランス語での会話、そして当意即妙の会話の受け答えにより、上流階級の人たちに取り入って、とうとう王様に拝謁するに至る。それに引き換え善良の塊のアミーリャの方は、再起を期す父親が手当たり次第に起業しては失敗し、借金はかさむばかり。アミーリャは、断腸の思いで息子をヂョーヂの実家に渡すことにしたのだった。勧善懲悪の話にはならないだろうとは思っていたけど、こんなにアミーリャが報われない話でいいのでしょうか。★★★★☆
読了日:08月02日 著者:サッカレ
列車に乗った男の感想
月曜の夕方、フランスの小さな田舎町に列車が止まる。降り立った男は薬局でアスピリンを買う。その時、薬局にはもう一人の客がいた。マネスキエ。生まれてからこの方、一度もこの町の外に出たことがない老紳士。アスピリンを飲むための水がないことに気づいたミランを、マネスキエは家に連れ帰る。ミランもマネスキエも、金曜の朝に重要な予定を抱えている。二人は、金曜に向かって緊張を高めていくのだが、それと裏腹に互いの人生に対する憧憬も募る。実際には選ばなかったもうひとつの自分の人生。このまま年老いて死んでいくことへの無念。★★★★☆
読了日:08月04日 著者:クロード クロッツ
金の鳥 (ハヤカワ文庫 FT 76)の感想
3巻『闇の月』で主人公であるアイルの王・トレヴィンの息子として最後に出てきたデイルと4巻『黒い獣』の主人公であるフレインが出会い、ともに旅をする話。人は自分の弱いところ、ずるいところ等、見たくない自分と対峙することでしか一段上の人間にはなれないのです。それを認めることなく、うまくいかないことを他人のせいにして、恨んで憎んでも前に進むことはできない。最後は、やっぱり日本人の私にはハッピーエンドかどうか判断できません。彼らは皆、鳥となって高い空の向こうへ行き、二度と人間の世界に戻ってくることはないのですから。★★★★☆
読了日:08月05日 著者:ナンシー スプリンガー
12番目のカード 下 (文春文庫)の感想
上巻を読んでいた時にずっと感じていたのは、140年前の冤罪事件が、なぜ現代の女子高性を殺害しなければならないことに繋がるのかが理解できなさ過ぎたこと。その違和感は、読んでいるうちにすっかり解消した。全てに納得したわけではないよ。黒幕の動機があまりに弱いよね。ずっと損得勘定で生きてきた人が、自分の人生を賭けてまでやることかね。そんな事件のあれこれよりも、今回勉強になったのは、アメリカにおける人権尊重のあり方だ。合衆国憲法と権利章典は、連邦政府から国民を守るにすぎず、州による人権侵害は修正法でカバー。★★★★☆
読了日:08月06日 著者:ジェフリー・ディーヴァー
両京十五日 2: 天命 (ハヤカワ・ミステリ)の感想
うわー、こういう話だったのか。ピンチに次ぐピンチ。敵の裏をかいたと安心した直後に延びてくる敵の腕。500ページの二段組なので、読んでも読んでもまだ残りページはふんだんにある。これ、紙の本の醍醐味だよね。ようやくゴールを迎え…まだ100ページも残っている。ここからの怒涛の展開。元々それぞれの思惑で結びついた4人ではあったけれど、それなりの藍や友情があったと思っていたのに、ここでバラバラになってしまうのか。歴史は変えられないけれども。過去の蛮行を現在の倫理観で責めることはできないのだけれども。作者、容赦ない。★★★★★
読了日:08月08日 著者:馬伯庸
ポケミス読者よ信ずるなかれ (ハヤカワ・ミステリ)の感想
最初から作者は地の文で読者に語りかけ、本格ミステリとは…、犯人を当てるのか、トリックを当てるのか、動機を探るのか、と読者に考えさせます。目次も登場人物表も冒頭にはありません。作中に出て来る登場人物表には、肝心なところが黒塗りで消されています。思考を行ったり来たりさせながら最後まで読むと、作者が書きたかった(言いたかった)ことがわかります。でも、作者の主張を呑み込んだうえでの私の感想は、ミステリとしてはあまり美しくない、です。なぜって、ストーリー上必要のない殺人があるから。ミステリは美しくあってほしい。★★★★☆
読了日:08月10日 著者:ダン・マクドーマン
嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのかの感想
落合博満監督が嫌われる理由はいくつかあるだろう。ファンから嫌われた理由はわかる。試合が面白くないから。確実に勝てる選手で確実に勝てる方法で勝っていく。ファンなら勝って嬉しい気持ちはもちろんあるはずだが、予定調和の試合は見ていて面白いものではない。ファンはそこにドラマが欲しいのだ。予定調和では得られない、感情が揺さぶられる何か。落合の読み違いがあるとすれば、ファン離れによる球団の経営悪化だ。勝ち続けたがゆえに解任っていうのは、経営としてはわかるけど、長い目で見て球団としての判断が問われると思う。★★★★☆
読了日:08月12日 著者:鈴木 忠平
赤と青のガウン オックスフォード留学記 (PHP文庫)の感想
思った以上に研究・論文作成にページを費やされ、学友との交流がメインかと勝手に思っていましたが、本当に真摯に研究と向き合い、興味がどのようにむいて、何をどのように研究したのかが、共に傍にいたかのように伝わります。その合間に、イギリスという国の知られざる側面を紹介されたり、ご自身の日常を披露されたりと、その塩梅も抜群で面白い。ただ、「おられる」の多用が気になってしまいました。「先生がおられる」ではなく「先生がいらっしゃる」、「~しておられる」ではなく「~なさっている」等の書き換えができたと思うのですが。★★★★☆
読了日:08月13日 著者:彬子女王
収容所群島(1) 1918-1956 文学的考察の感想
ずーっと勘違いしていました。「収容所群島」とは、シベリアの近くにある極寒の島々だと思っていましたが、モスクワから北に向かった北極圏のあたりにある…ようです。この巻ではまだ収容所までは行っていません。逮捕され、審理を受けるために監獄に入れられ、懲役8年が確定するまで。なぜ彼が逮捕されたのか。幼なじみとの手紙に、スターリンをちょっと揶揄した文章を書いたから。証拠は不要で密告が奨励されているので、どこで足をすくわれるかわかりません。罪を認めさせるための拷問、虐待の数々。それでもまだ、極限ではないという。★★★★☆
読了日:08月15日 著者:ソルジェニーツィン
【小説4巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部「神殿の巫女見習い1」の感想
具体的な巫女見習いの仕事はまだだが、マインが神殿に通う日々が始まる。神官長のもと、身なりを整え、青色巫女見習いとして貴族のふるまいを覚え、巫女見習いとして神様の名前や属性、その時々に適した祈りの言葉などを覚え、神官長の事務仕事の手伝いをする。思ったより読書時間は少ない。なので、限りある読書時間を惜しんで、昼食も食べずに読書に耽ったのだが…。心置きなく読書するために、マインのやらなくてはならないことが増えていくという無念は、わかるわ~。他にトゥーリ視点、ギル視点の短編も収録。★★★★☆
読了日:08月17日 著者:香月美夜
虚栄の市 5 (岩波文庫 赤 227-5)の感想
長い長い起承転結の承部分が終わり、この巻は転。最近はロードンを軽んじていたレベッカが、ついにロードンに愛想をつかされます。ロードンはひとり家を出ていく。ちょっとレベッカやりすぎでしたね。彼女はさほど悪意のある人間ではないのだけど、倫理観に欠けているんだよね。そしてアミーリア。お金持ちの兄と、ずっと陰で支えてくれていたドビン大佐がそろってインドから帰国。お金の苦労はなくなりそうだが、結局人に頼ってばかりの生き方は変わっていない。苦労を糧として成長する…ことはないようで、読んでいてちょっとイラっとするわ。★★★★☆
読了日:08月18日 著者:サッカレ
薬屋のひとりごと (ヒーロー文庫)の感想
思った以上にアニメは原作に忠実なんだな、と思った。ただ、三人称だったのが意外。てっきり猫猫の一人称かと思っていたので。そして、淡白な文章であることに驚いた。後宮を舞台に、こんなにあっさりした描写で…と。でも、この巻だけで後宮の人間関係がわかるようになっていて上手い。四人の妃の性格や立場の違い、それに伴う侍女たちのふるまい、帝主催の行事の理不尽等々。今まで壬氏(じんし)の年齢など気にしたことがなかったけれど、壬氏は16歳ってこと?いや、そうは見えん、アニメでは。小説は割と、少年っぽいところも見られて楽しい。★★★★☆
読了日:08月20日 著者:日向 夏
史記 (1) (小学館文庫 よF 1)の感想
毎日レビューを読ませていただいている方の紹介文がとてもよかったので、買っちゃいました。宮城谷昌光の作品を読むときの参考書にしようと思ったけれど、単体で面白い。故事成語で知っている人物やエピソードはあるけれど、「管鮑の交わり」は対等な付き合いというわけではなかったんだね。圧倒的に鮑叔が好きだわ。それから重耳。なんか評判のいい人だけど、具体的に何で評判がいいのかわからなかった。『三国志』の劉備もそう。なんでそんなに評判いいの?「伍子胥」も気になっていた人物。勉強になるなー。
読了日:08月21日 著者:横山 光輝
異教の女王 (ハヤカワ文庫 FT フ 4-1 アヴァロンの霧 1)の感想
物語の視点は、アーサーの姉であるモーゲン。当時のイギリス(ブリテン)は野蛮なサクソン人及び北方民族の侵攻から国土を守るべく、ローマ人の力を借りながらブリトン人の諸民族が力を合わせて戦っています。しかしローマ人のもちこんだキリスト教と、土着の宗教であるドルイド教も対立しているのです。そこでドルイド側の切り札として、アーサーが誕生。でも、人間関係が、思ってたのと違う!まず、ガラハッド。アーサーより年上。え?結構年下だと思っていたけど…と思ったら「ランスロットと呼んでくれ」だって。これにはさすがにさすがに驚き。★★★★☆
読了日:08月22日 著者:マリオン・ジマー ブラッドリー
ウォッチメイカー 上 (文春文庫 テ 11-17)の感想
今回は冒頭から犯人たちの名前と手口が語られる。刑事に昇進したサックスは、初めて事件捜査の指揮を取ることに。本来は、ライムが指揮を取っている連続殺人の事件をメインに動かなければならないサックス。というわけで、ライムの事件、サックスの事件、犯人の視点とストーリーが細切れになってしまい、進捗はもったり。いや、おかしいだろう。時計のようにきっちりきっちりした完璧主義者の主犯と、感情が先立つ従犯の取り合わせも不自然だし、完璧主義者の割には結構想定外の出来事が多すぎる。これは、どちらかがどちらかを裏切っているのかも。★★★★☆
読了日:08月23日 著者:ジェフリー ディーヴァー
坂の中のまちの感想
主人公の坂中真智(まさに坂の中のまち)は大学進学のために上京し、亡き祖母の親友である志桜里さんの家に下宿する。東京の坂の多さは知っていたけれど、これほど文学作品に坂が登場していたとは思わなかった。冒頭の一編こそ明らかにファンタジーで、現実には起こりえないけれど、『切支丹屋敷の骨』もまあ、不思議系の話だけど、坂マニアの志桜里さんとの交流や、幽霊部員のエイフクさんとの出会いや、学友であるよしんばちゃんや泉さんとのやり取り等、これは高校生くらいの子が読むといいかもしれないね。選ぶのは自分自身。恋愛も、生き方も。★★★★★
読了日:08月24日 著者:中島 京子
反社会学講座 (ちくま文庫 ま 33-1)の感想
これは、「反社会」学ではなく、反「社会学」の本です。読んでいたら家族がびっくりしていましたが、これから道を踏み外すために予習をしていたわけではありません。ま、そう読めるよう、狙ったタイトルだとは思いますが。社会学って良くはわかりませんが、いろいろなデータを駆使して、現代社会の問題点などをあぶり出し提言するような学問?で、著者は言うのです。データの見方次第で、物事はいかようにも解釈ができる。同じデータを駆使しても、全然違う見方ができるのが、まず面白い。知的好奇心が刺激される。ちょっと古いけど読むべし。★★★★★
読了日:08月26日 著者:パオロ マッツァリーノ
土曜日は灰色の馬の感想
以前から恩田陸の書く書評のようなエッセイが好きだったけど、今回はそれプラス第二章の『少女漫画と成長してきた』まで読めて、嬉しいの極み。まあまあ同世代なので、紹介されるマンガがことごとくわかる。好き。恩田陸はものすごく読書家なのよ。冊数もジャンルも膨大。マンガもめっちゃ読んでいて、映画が好きで、舞台も観に行くみたいだし、音楽もよく聞いているし、大概ビールを飲んでいる。ねえ、いつ本読んでいるの?そして、書いてるの?すごく不思議。私ももっと、世の中の創造物を楽しむ目を養うべく、精進しよう。★★★★★
読了日:08月27日 著者:恩田 陸
収容所群島〈2〉の感想
この巻では逮捕された人びとの裁判の様子。形式上裁判だが、結果はすでに決まっている。そして刑の執行について。死刑か禁錮。そしていよいよ、く収容所送りについて。ソ連じゅうから集められる囚人たち。ソ連は広いので、中継監獄なるものがあって、護送列車の乗り換えというのもある。護送列車の中もすさまじい。4人用のコンパートメントに何十人かを押し込める。文字通り。水分をとらせるとトイレ問題が発生するので、水分は極力取らせない。もちろんトイレがない監獄もある。年々爆増する囚人のために、トイレ造りが間に合わないから。★★★★☆
読了日:08月28日 著者:A・ ソルジェニーツィン
【小説5巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部「神殿の巫女見習い2」の感想
マインは初めて、直接貴族からの悪意をぶつけられた。平民のくせに、青色神官(貴族扱い)生意気な!今回は単純な差別意識がもたらした悪意だったけれど、これからだんだん貴族同士の権力争いに巻き込まれていくわけだ。それにしても、マインの魔力が突出しているのはどういうわけなのか。貴族であってもさほど魔力を持たない人がたくさんいるというのに、平民の身食いであるマインはなぜ。麗乃の意識を取り込んだことが、何か関係あるのだろうか。貴族に生れたのだから自分はえらいのだと信じて疑わないメンタルって、とても怖い。★★★★☆
読了日:08月30日 著者:香月美夜
虚栄の市 6 (岩波文庫 赤 227-6)の感想
前巻から引き続き、貧窮生活から抜け出たアミーリャの幸せな日々。そしてレベッカの方は、過去の悪行の報いと本人の怠惰な性格ゆえに、落ちるところまで落ちてしまう。片方が上り調子の時は片方が落ちぶれる。とはいえ、レベッカも最終的には這い上がるが。時が過ぎ、貧しい人たちのための慈善小間物市でレベッカが売り子をしているのを見て、逃げるようにその場を去ったのはアミーリャたちの方だった。旧仮名遣いには読むのに苦労させられたし、時代的な偏見など突っ込みどころは多かったけれども、楽しい読書でした。★★★★☆
読了日:08月31日 著者:サッカレ
読書メーター
先月の私が何をしていたのか、もはや思い出せません(急速健忘)が、なんとか21冊読了。
あ、『本好きの下剋上』のアニメを見終わって『薬屋のひとりごと』を見始めた。
『高慢と偏見』のドラマを全話見た。
テレビばっか見てたんだな。
今月は上旬に旅行に行くし、シルバーウィークには長男が帰って来るので、多分読書ははかどらない。
でも、マイペースに読んでいくでしょう。
★5つは4冊。
『両京十五日 天命』は、怒涛の展開なうえに、最後の「祖先の定法」の衝撃。
「祖先」という冠がつくと、有無を言わさないという圧力がもれなく付いてくるけど、そのうさん臭さは日本と同じ。
少しほろ苦い結末だけど、歴史は変えられないからなあ。
『坂の中のまち』
普通に地方から東京に進学のため上京していた女の子の話ではあるのだけど、東京の坂の多さ、それを愛した文豪たち、隠された歴史が、少しずつ埋め込まれていて面白かった。
少し土地勘のある場所もあって、余計に楽しかった。
中島京子の作品は、いろんな趣向に溢れているけれど、結局全部好きだなあ。
『反社会学講座』
こういう、本気か冗談かわからないような文体に紛れた真面目な考察は大好きだ。
でき得れば、私がこういう文章を書いてみたいものだ。
『土曜日は灰色の馬』
これは読書好き、マンガ好き、恩田陸好きにはたまらんエッセイ。
私は全部好きなので三重にたまらなかった。
8月の読書メーター
読んだ本の数:22
読んだページ数:7506
ナイス数:1000
【小説3巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部「兵士の娘3」の感想紙の制作、インクの制作等、マイン工房の目処もたち、本づくりは順調かと思われた。フリーダから魔術具を譲り受け、一命をとりとめたマインは、無事洗礼式の日を迎える。そしてそこで…。洗礼式を執り行った神殿で、マインは図書室を見つけてしまうのです。今まで本がないから自分で作ろうとしていたのに、なんと図書室。感極まったマインは発作的に神殿長に「巫女見習いになりたい!」と訴えてしまう。神殿の業務は貴族とのかかわりが深いので、今後どんどんマインは貴族社会に取り込まれていくのだが、それはまた別(第二部)の話。★★★★☆
読了日:08月01日 著者:香月美夜
虚栄の市〈第4〉 (1948年) (岩波文庫)の感想相変わらず無職無収入のまま自転車操業で派手な生活を送るレベッカ。けれど彼女は音楽の才能、手先の器用さ、フランス語での会話、そして当意即妙の会話の受け答えにより、上流階級の人たちに取り入って、とうとう王様に拝謁するに至る。それに引き換え善良の塊のアミーリャの方は、再起を期す父親が手当たり次第に起業しては失敗し、借金はかさむばかり。アミーリャは、断腸の思いで息子をヂョーヂの実家に渡すことにしたのだった。勧善懲悪の話にはならないだろうとは思っていたけど、こんなにアミーリャが報われない話でいいのでしょうか。★★★★☆
読了日:08月02日 著者:サッカレ
列車に乗った男の感想月曜の夕方、フランスの小さな田舎町に列車が止まる。降り立った男は薬局でアスピリンを買う。その時、薬局にはもう一人の客がいた。マネスキエ。生まれてからこの方、一度もこの町の外に出たことがない老紳士。アスピリンを飲むための水がないことに気づいたミランを、マネスキエは家に連れ帰る。ミランもマネスキエも、金曜の朝に重要な予定を抱えている。二人は、金曜に向かって緊張を高めていくのだが、それと裏腹に互いの人生に対する憧憬も募る。実際には選ばなかったもうひとつの自分の人生。このまま年老いて死んでいくことへの無念。★★★★☆
読了日:08月04日 著者:クロード クロッツ
金の鳥 (ハヤカワ文庫 FT 76)の感想3巻『闇の月』で主人公であるアイルの王・トレヴィンの息子として最後に出てきたデイルと4巻『黒い獣』の主人公であるフレインが出会い、ともに旅をする話。人は自分の弱いところ、ずるいところ等、見たくない自分と対峙することでしか一段上の人間にはなれないのです。それを認めることなく、うまくいかないことを他人のせいにして、恨んで憎んでも前に進むことはできない。最後は、やっぱり日本人の私にはハッピーエンドかどうか判断できません。彼らは皆、鳥となって高い空の向こうへ行き、二度と人間の世界に戻ってくることはないのですから。★★★★☆
読了日:08月05日 著者:ナンシー スプリンガー
12番目のカード 下 (文春文庫)の感想上巻を読んでいた時にずっと感じていたのは、140年前の冤罪事件が、なぜ現代の女子高性を殺害しなければならないことに繋がるのかが理解できなさ過ぎたこと。その違和感は、読んでいるうちにすっかり解消した。全てに納得したわけではないよ。黒幕の動機があまりに弱いよね。ずっと損得勘定で生きてきた人が、自分の人生を賭けてまでやることかね。そんな事件のあれこれよりも、今回勉強になったのは、アメリカにおける人権尊重のあり方だ。合衆国憲法と権利章典は、連邦政府から国民を守るにすぎず、州による人権侵害は修正法でカバー。★★★★☆
読了日:08月06日 著者:ジェフリー・ディーヴァー
両京十五日 2: 天命 (ハヤカワ・ミステリ)の感想うわー、こういう話だったのか。ピンチに次ぐピンチ。敵の裏をかいたと安心した直後に延びてくる敵の腕。500ページの二段組なので、読んでも読んでもまだ残りページはふんだんにある。これ、紙の本の醍醐味だよね。ようやくゴールを迎え…まだ100ページも残っている。ここからの怒涛の展開。元々それぞれの思惑で結びついた4人ではあったけれど、それなりの藍や友情があったと思っていたのに、ここでバラバラになってしまうのか。歴史は変えられないけれども。過去の蛮行を現在の倫理観で責めることはできないのだけれども。作者、容赦ない。★★★★★
読了日:08月08日 著者:馬伯庸
ポケミス読者よ信ずるなかれ (ハヤカワ・ミステリ)の感想最初から作者は地の文で読者に語りかけ、本格ミステリとは…、犯人を当てるのか、トリックを当てるのか、動機を探るのか、と読者に考えさせます。目次も登場人物表も冒頭にはありません。作中に出て来る登場人物表には、肝心なところが黒塗りで消されています。思考を行ったり来たりさせながら最後まで読むと、作者が書きたかった(言いたかった)ことがわかります。でも、作者の主張を呑み込んだうえでの私の感想は、ミステリとしてはあまり美しくない、です。なぜって、ストーリー上必要のない殺人があるから。ミステリは美しくあってほしい。★★★★☆
読了日:08月10日 著者:ダン・マクドーマン
嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのかの感想落合博満監督が嫌われる理由はいくつかあるだろう。ファンから嫌われた理由はわかる。試合が面白くないから。確実に勝てる選手で確実に勝てる方法で勝っていく。ファンなら勝って嬉しい気持ちはもちろんあるはずだが、予定調和の試合は見ていて面白いものではない。ファンはそこにドラマが欲しいのだ。予定調和では得られない、感情が揺さぶられる何か。落合の読み違いがあるとすれば、ファン離れによる球団の経営悪化だ。勝ち続けたがゆえに解任っていうのは、経営としてはわかるけど、長い目で見て球団としての判断が問われると思う。★★★★☆
読了日:08月12日 著者:鈴木 忠平
赤と青のガウン オックスフォード留学記 (PHP文庫)の感想思った以上に研究・論文作成にページを費やされ、学友との交流がメインかと勝手に思っていましたが、本当に真摯に研究と向き合い、興味がどのようにむいて、何をどのように研究したのかが、共に傍にいたかのように伝わります。その合間に、イギリスという国の知られざる側面を紹介されたり、ご自身の日常を披露されたりと、その塩梅も抜群で面白い。ただ、「おられる」の多用が気になってしまいました。「先生がおられる」ではなく「先生がいらっしゃる」、「~しておられる」ではなく「~なさっている」等の書き換えができたと思うのですが。★★★★☆
読了日:08月13日 著者:彬子女王
収容所群島(1) 1918-1956 文学的考察の感想ずーっと勘違いしていました。「収容所群島」とは、シベリアの近くにある極寒の島々だと思っていましたが、モスクワから北に向かった北極圏のあたりにある…ようです。この巻ではまだ収容所までは行っていません。逮捕され、審理を受けるために監獄に入れられ、懲役8年が確定するまで。なぜ彼が逮捕されたのか。幼なじみとの手紙に、スターリンをちょっと揶揄した文章を書いたから。証拠は不要で密告が奨励されているので、どこで足をすくわれるかわかりません。罪を認めさせるための拷問、虐待の数々。それでもまだ、極限ではないという。★★★★☆
読了日:08月15日 著者:ソルジェニーツィン
【小説4巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部「神殿の巫女見習い1」の感想具体的な巫女見習いの仕事はまだだが、マインが神殿に通う日々が始まる。神官長のもと、身なりを整え、青色巫女見習いとして貴族のふるまいを覚え、巫女見習いとして神様の名前や属性、その時々に適した祈りの言葉などを覚え、神官長の事務仕事の手伝いをする。思ったより読書時間は少ない。なので、限りある読書時間を惜しんで、昼食も食べずに読書に耽ったのだが…。心置きなく読書するために、マインのやらなくてはならないことが増えていくという無念は、わかるわ~。他にトゥーリ視点、ギル視点の短編も収録。★★★★☆
読了日:08月17日 著者:香月美夜
虚栄の市 5 (岩波文庫 赤 227-5)の感想長い長い起承転結の承部分が終わり、この巻は転。最近はロードンを軽んじていたレベッカが、ついにロードンに愛想をつかされます。ロードンはひとり家を出ていく。ちょっとレベッカやりすぎでしたね。彼女はさほど悪意のある人間ではないのだけど、倫理観に欠けているんだよね。そしてアミーリア。お金持ちの兄と、ずっと陰で支えてくれていたドビン大佐がそろってインドから帰国。お金の苦労はなくなりそうだが、結局人に頼ってばかりの生き方は変わっていない。苦労を糧として成長する…ことはないようで、読んでいてちょっとイラっとするわ。★★★★☆
読了日:08月18日 著者:サッカレ
薬屋のひとりごと (ヒーロー文庫)の感想思った以上にアニメは原作に忠実なんだな、と思った。ただ、三人称だったのが意外。てっきり猫猫の一人称かと思っていたので。そして、淡白な文章であることに驚いた。後宮を舞台に、こんなにあっさりした描写で…と。でも、この巻だけで後宮の人間関係がわかるようになっていて上手い。四人の妃の性格や立場の違い、それに伴う侍女たちのふるまい、帝主催の行事の理不尽等々。今まで壬氏(じんし)の年齢など気にしたことがなかったけれど、壬氏は16歳ってこと?いや、そうは見えん、アニメでは。小説は割と、少年っぽいところも見られて楽しい。★★★★☆
読了日:08月20日 著者:日向 夏
史記 (1) (小学館文庫 よF 1)の感想毎日レビューを読ませていただいている方の紹介文がとてもよかったので、買っちゃいました。宮城谷昌光の作品を読むときの参考書にしようと思ったけれど、単体で面白い。故事成語で知っている人物やエピソードはあるけれど、「管鮑の交わり」は対等な付き合いというわけではなかったんだね。圧倒的に鮑叔が好きだわ。それから重耳。なんか評判のいい人だけど、具体的に何で評判がいいのかわからなかった。『三国志』の劉備もそう。なんでそんなに評判いいの?「伍子胥」も気になっていた人物。勉強になるなー。
読了日:08月21日 著者:横山 光輝
異教の女王 (ハヤカワ文庫 FT フ 4-1 アヴァロンの霧 1)の感想物語の視点は、アーサーの姉であるモーゲン。当時のイギリス(ブリテン)は野蛮なサクソン人及び北方民族の侵攻から国土を守るべく、ローマ人の力を借りながらブリトン人の諸民族が力を合わせて戦っています。しかしローマ人のもちこんだキリスト教と、土着の宗教であるドルイド教も対立しているのです。そこでドルイド側の切り札として、アーサーが誕生。でも、人間関係が、思ってたのと違う!まず、ガラハッド。アーサーより年上。え?結構年下だと思っていたけど…と思ったら「ランスロットと呼んでくれ」だって。これにはさすがにさすがに驚き。★★★★☆
読了日:08月22日 著者:マリオン・ジマー ブラッドリー
ウォッチメイカー 上 (文春文庫 テ 11-17)の感想今回は冒頭から犯人たちの名前と手口が語られる。刑事に昇進したサックスは、初めて事件捜査の指揮を取ることに。本来は、ライムが指揮を取っている連続殺人の事件をメインに動かなければならないサックス。というわけで、ライムの事件、サックスの事件、犯人の視点とストーリーが細切れになってしまい、進捗はもったり。いや、おかしいだろう。時計のようにきっちりきっちりした完璧主義者の主犯と、感情が先立つ従犯の取り合わせも不自然だし、完璧主義者の割には結構想定外の出来事が多すぎる。これは、どちらかがどちらかを裏切っているのかも。★★★★☆
読了日:08月23日 著者:ジェフリー ディーヴァー
坂の中のまちの感想主人公の坂中真智(まさに坂の中のまち)は大学進学のために上京し、亡き祖母の親友である志桜里さんの家に下宿する。東京の坂の多さは知っていたけれど、これほど文学作品に坂が登場していたとは思わなかった。冒頭の一編こそ明らかにファンタジーで、現実には起こりえないけれど、『切支丹屋敷の骨』もまあ、不思議系の話だけど、坂マニアの志桜里さんとの交流や、幽霊部員のエイフクさんとの出会いや、学友であるよしんばちゃんや泉さんとのやり取り等、これは高校生くらいの子が読むといいかもしれないね。選ぶのは自分自身。恋愛も、生き方も。★★★★★
読了日:08月24日 著者:中島 京子
反社会学講座 (ちくま文庫 ま 33-1)の感想これは、「反社会」学ではなく、反「社会学」の本です。読んでいたら家族がびっくりしていましたが、これから道を踏み外すために予習をしていたわけではありません。ま、そう読めるよう、狙ったタイトルだとは思いますが。社会学って良くはわかりませんが、いろいろなデータを駆使して、現代社会の問題点などをあぶり出し提言するような学問?で、著者は言うのです。データの見方次第で、物事はいかようにも解釈ができる。同じデータを駆使しても、全然違う見方ができるのが、まず面白い。知的好奇心が刺激される。ちょっと古いけど読むべし。★★★★★
読了日:08月26日 著者:パオロ マッツァリーノ
土曜日は灰色の馬の感想以前から恩田陸の書く書評のようなエッセイが好きだったけど、今回はそれプラス第二章の『少女漫画と成長してきた』まで読めて、嬉しいの極み。まあまあ同世代なので、紹介されるマンガがことごとくわかる。好き。恩田陸はものすごく読書家なのよ。冊数もジャンルも膨大。マンガもめっちゃ読んでいて、映画が好きで、舞台も観に行くみたいだし、音楽もよく聞いているし、大概ビールを飲んでいる。ねえ、いつ本読んでいるの?そして、書いてるの?すごく不思議。私ももっと、世の中の創造物を楽しむ目を養うべく、精進しよう。★★★★★
読了日:08月27日 著者:恩田 陸
収容所群島〈2〉の感想この巻では逮捕された人びとの裁判の様子。形式上裁判だが、結果はすでに決まっている。そして刑の執行について。死刑か禁錮。そしていよいよ、く収容所送りについて。ソ連じゅうから集められる囚人たち。ソ連は広いので、中継監獄なるものがあって、護送列車の乗り換えというのもある。護送列車の中もすさまじい。4人用のコンパートメントに何十人かを押し込める。文字通り。水分をとらせるとトイレ問題が発生するので、水分は極力取らせない。もちろんトイレがない監獄もある。年々爆増する囚人のために、トイレ造りが間に合わないから。★★★★☆
読了日:08月28日 著者:A・ ソルジェニーツィン
【小説5巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部「神殿の巫女見習い2」の感想マインは初めて、直接貴族からの悪意をぶつけられた。平民のくせに、青色神官(貴族扱い)生意気な!今回は単純な差別意識がもたらした悪意だったけれど、これからだんだん貴族同士の権力争いに巻き込まれていくわけだ。それにしても、マインの魔力が突出しているのはどういうわけなのか。貴族であってもさほど魔力を持たない人がたくさんいるというのに、平民の身食いであるマインはなぜ。麗乃の意識を取り込んだことが、何か関係あるのだろうか。貴族に生れたのだから自分はえらいのだと信じて疑わないメンタルって、とても怖い。★★★★☆
読了日:08月30日 著者:香月美夜
虚栄の市 6 (岩波文庫 赤 227-6)の感想前巻から引き続き、貧窮生活から抜け出たアミーリャの幸せな日々。そしてレベッカの方は、過去の悪行の報いと本人の怠惰な性格ゆえに、落ちるところまで落ちてしまう。片方が上り調子の時は片方が落ちぶれる。とはいえ、レベッカも最終的には這い上がるが。時が過ぎ、貧しい人たちのための慈善小間物市でレベッカが売り子をしているのを見て、逃げるようにその場を去ったのはアミーリャたちの方だった。旧仮名遣いには読むのに苦労させられたし、時代的な偏見など突っ込みどころは多かったけれども、楽しい読書でした。★★★★☆
読了日:08月31日 著者:サッカレ
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