8月15日(土)
 
少し前からマンションの掲示板に貼られている紙。
管理組合の理事長名義で貼っているのですが、これ、避難訓練をしない理由なんだそうです。
諸説ある対策の結構少数派では?と思える項目もあるし、そもそも階段事故が発生したのはうちのマンションってわけではないらしい。
どんなことであれ、やらない理由って作れるものだなあと感心しました。

 
 
 
 
本日の読書:収容所群島 1 ソルジェニーツィン

 

帯より

『北極圏直下の白海に浮かぶソロヴェツキー諸島は中世以来、由緒あるロシア正教の聖地であった。ロシア革命後の1923年から、ここに陣地を超越した悪魔が住み着き、1939年までの16年間、絶滅収容所としてスターリンに利用されたのである。あらゆる拷問、虐殺の方法がソロヴェツキーで編み出され、やがてソビエト全土に癌腫のように繁衍し、収容所群島の体を為していった。人類史上稀なる国家犯罪の詳密は、至妙な隠蔽により、今日現在に至るも、闇に葬り去られたままである。』

まず、ずーっと勘違いしていたことを認めなければなりません。
「収容所群島」とは、シベリアの近くにある極寒の島々だと思っていましたが、モスクワから北に向かった北極圏のあたりにある…ようです。

この巻ではまだ収容所までは行っていません。
逮捕され、審理を受けるために監獄に入れられ、懲役8年が確定するまで。

なぜ彼が逮捕されたのか。
幼なじみとの手紙に、スターリンをちょっと揶揄した文章を書いたから。
一応正規軍の将校だったのですが、そんなことのために逮捕監禁されたのです。

彼だけではなく多くの人たちが、些細なことで、またはでっち上げで次々逮捕されたわけは、ノルマがあるからです!
犯罪者逮捕にノルマだなんて…と思った人もいたと思いますが、ノルマを達成できないと、今度は自分が革命を妨害したとして逮捕されてしまうので、インフレのように逮捕者は膨れ上がっていきます。

証拠は不要で密告が奨励されているので、どこで足をすくわれるかわかりません。
やられる前にやっておかねば、なのです。
出る杭は打たれ、埋もれている大勢の人たちが逮捕され監獄で審理を待ちますが、有罪であることは確定です。
あとはどれだけ絶望を味わわせるかというところで、監禁しているのです。

でも、反抗分子である自覚のない多くの人々は、「きっと何かの間違いだから、そのうち釈放されるだろう。反論したらかえって心証が悪くなる」と、従容と連行されていくのです。
そこで罪を認めさせるための拷問、虐待の数々。

これ、実に戦争中も、戦後も行われているんですよ。
軍隊という非生産部門が力を持っているというだけで、国の生産性は大きく下がるというのに、健康で何の問題もない国民が軍から連れ去られ、農地から引きずり出され、ただ監獄で日を送っているというのに、よく戦争に勝てたなあと思いました。
ソビエトの国力の底力のすごさ。

ヨーロッパ戦線では各国が入り乱れて戦っていましたから、例えばドイツにはソビエトやイギリスやアメリカの捕虜が収容されています。
他の国は捕虜に食料などの差し入れをしますので、何ならドイツの兵よりいいものを食べている国もあったそうですが、ソビエトでは捕虜は認められていません。
「捕まる前に死ね」というわけで国からは何も援助がありません。
世界中で自国の捕虜に対してこんなに冷たいのはソビエトだけだと著者は書いていますが、安心してください、日本もそうです。

決死の覚悟で収容所を脱走して自国に帰ったら、即銃殺です。
何か裏取引して出してもらったんだろう、と思われてしまうからです。
右を向いても左を見ても、上を向いても下を見ても、打開できる余地のない苦しさ。

もし日本が第二次世界大戦で勝っていたら、多分こんな国になったんだろうと思いました。
個人の権利より全体の利益を重視し、お上のなすことに疑いを持たず、言われるがままで。

ソビエトが対日戦に参戦する条件として、英米はロシア人捕虜をソ連に返しました。
虐殺されることは承知の上で。
そして、北方領土をソビエトの領地とすることも、参戦の条件として英米が差し出したものです。
国際政治におけるアングロサクソンの傍若無人が、ここにも。