6月1日(月)

なんか本当に読書力が落ちた5月でした。
原因がまったく思いつきません。
絶対20冊に届かないと思っていました。
初めて星2つも出してしまった…。

でも、★5つも3冊。
よかった。

『欅しぐれ』は単純に面白かったです。
大店のあるじと賭場の胴元という、本来ならありえない関係の友情の篤さ。
勧善懲悪なので最後はすっきりするんだろうなあと思いながらも、読むのをやめられない。
思い通りの結末でも、全然問題ない。
時代小説の良さを堪能しました。

『時間移民』は、中国のスケールの大きさを感じることのできるSF短編集。
劉慈欣のファンとしてのひいき目だけではなく、発想のスケールの大きさにぞくぞくします。
けれども常に社会に足をすくわれるかもしれない不安が背景にある。
それでも人間は世界を広げていくのだ。

『化学の授業をはじめます。』は、今年のベスト5に入れてもいいくらい面白かったし、まだ私の中でぐらぐら煮立っています。
「料理は化学です」というエリザベスのように、私は「家事は科学です」と家族に言っていたことも思い出しました。

6月はもっと本が読めるといいなあ。
3週間前に買ったマンガすら、まだ放置しているんだよ。

5月の読書メーター
読んだ本の数:21
読んだページ数:7285
ナイス数:720


ワトスン君、もっと科学に心を開きたまえ: 名探偵ホームズの科学事件簿ワトスン君、もっと科学に心を開きたまえ: 名探偵ホームズの科学事件簿感想
図書館でずっと気になっていた本。読んだような、読んでないような…。結論。過去に持ってた本だった。『猿でもわかる相対性理論』を読んでも、さ~っぱり理解できなかった現代物理学のあれこれを、覚えていられるわけもない。でも、今回は理解の9000歩手前ぐらいまでには近づけたように思う。(前回を1万歩手前とする)相変わらず相対性理論も量子力学もわからないけど、シュレーディンガーの猫とか、取っかかりやすい言葉に馴染みもあるし、時間はかかったけれど読み応えはあった。そしてワトスン君は、私より科学に心を開いている。★★★★☆
読了日:05月02日 著者:コリン ブルース

残月記 (双葉文庫 お 49-01)残月記 (双葉文庫 お 49-01)感想
三篇が収録されているが、どれも設定は興味深いし、不穏の種類が違うので、面白く読めるはずなのだが。『そして月がふりかえる』はまあまあ面白かったけれど、『月景石』については、もう少し登場人物の必然性というかタイミングというかに工夫があったほうがよいと思った。しかし、最も不満が残ったのは、表題作だ。結局大きな風呂敷を広げたうえで、小さい世界のことしか書いていないようで、シラケた。本当は瑠香と残月の身体性を離れてからの交流とかは、面白かったんだけど、それを取り巻く世界の枠組みが雑過ぎて…滅。★★★★☆
読了日:05月04日 著者:小田 雅久仁

街道をゆく 1 湖西のみち、甲州街道、長州路ほか (朝日文庫) (朝日文庫 し 1-57)街道をゆく 1 湖西のみち、甲州街道、長州路ほか (朝日文庫) (朝日文庫 し 1-57)感想
「知識があるということは、自分を高いところに立たせることである」=見晴らしがよくなるという意味の言葉がぴったりの紀行文。同じ景色を見ても、解像度が違うんだよなあ。ちょいちょい古代史の話が出てくるので、そのたびに高田崇史のQEDシリーズを復習しているような気になる。一言主の神とか、製鉄の話とか。あと、長州藩が好きではないので、「長州路」での長州人たちの話はあまり刺さらなかった。滋賀県は最近行ってみたい気持ちが高まっておりまする。★★★★☆
読了日:05月07日 著者:司馬 遼太郎

なんてやつだ よろず相談屋繁盛記 (集英社文庫)なんてやつだ よろず相談屋繁盛記 (集英社文庫)感想
主人公の信吾は、老舗料理屋の跡取り息子なのだが、3歳の時高熱が3日続いた後奇跡的に回復したのだが、そのために人には言えないが動物と話ができるようになった。頭がよく、武術も堪能だが、時々記憶が欠ける時があるらしい。第一巻なので、両親を説得して独立したが、よろず相談屋に来るのは金にならない相談ばかり。ようやく何とか、生活費稼ぎのための将棋会所で起こった問題を解決したことが、初めての相談料に繋がる、というところまで。『よろず相談屋繁盛記』なんて、看板に偽りありやんか!★★★★☆
読了日:05月08日 著者:野口 卓

新装版 青が散る (上) (文春文庫)新装版 青が散る (上) (文春文庫)感想
新設大学に進学した主人公が、成り行きでテニス部の創立に関わり、結果としてテニス三昧の大学生活を送るという話。このころからなのかな、勉強をするためではなく、人生の夏休みのような感じで男学生になる人たちが増えたのは。それでも、親が亡くなったり結婚が決まったりする仲間もいて、時間の流れ方は平等ではないのよね。自分のことだけを考えていればいい時期というのは、当事者はしんどいこともあるけれど、大人になった今振り返ると贅沢な時間だったなあと思う。さて、下巻では何が起きるのか?★★★★☆
読了日:05月09日 著者:宮本 輝

ダメ犬グー11年+108日の物語 (幻冬舎文庫 犬 11-1)ダメ犬グー11年+108日の物語 (幻冬舎文庫 犬 11-1)感想
サブタイトルでだいたいの内容は想像できたけど、グーの子どものように真っ直ぐなわがままっぷりがかわいくて、抱きしめてあげたくなったよ。3歳児くらいのわがままで小ずるいグーも、気づけばおばあさん犬で。僕は僕で、自分の生活やつきあいが忙しくなり、子どもの頃のようにいつも一緒というわけにいかなくなった。そんな時にグーが病気になる。家族の献身的な看護で、奇跡的な回復を見せるのだけど…。Hey!Say!JUMPの『だいすきなきみへ』を思い出してしまったよ。グーから僕へのメッセージソングみたいで。★★★★☆
読了日:05月10日 著者:ごとう やすゆき

サロメ (岩波文庫 赤 245-2)サロメ (岩波文庫 赤 245-2)感想
話としては知っていたけれど、読んだのは初めて。恋する人に振り向いてもらえなかったユダヤの王女サロメが、王の前で舞を舞った褒美に、その恋しくて憎い預言者ヨカナーンの首を所望する、という話。ところが、聞くと読むとは大違い。まず、会話劇のはずなのに、一つとして会話が成立していない。誰もが自分の言いたいことをまくしたてているばかり。人の話を聞け!主要登場人物全員が取っ散らかっているのであるが、ストーリーは単純明快で、読みやすい。これがワイルドの腕ってわけなのかしら。でもなぜかしら精神が疲弊します。★★★★☆
読了日:05月11日 著者:ワイルド

黄泉からの旅人黄泉からの旅人感想
3~4日ほどこの本にかかり切りで読んだのだけど、私の頭がどうかしたのかと思うほど、内容が頭に入ってこなかった。なぜ彼は姿を隠したのか。なぜ彼は怒り狂ったのか。なぜ彼はそんなに怯えているのか。全くわからない。20年も前に死んだ人の死体が蘇った。怪物が出現した。友人が失踪した。それらの謎を追う合間に、映画のシナリオを描く主人公。もう全くわからない。そしてブラッドベリ得意の幻想的な描写が、余計に現実を翻弄する。最後まで読んで、お疲れ、自分。★★☆☆☆
読了日:05月12日 著者:レイ ブラッドベリ

欅しぐれ[新装版] (朝日文庫)欅しぐれ[新装版] (朝日文庫)感想
すっごく面白かった!老舗の大店のあるじと賭場の胴元の、命をかけた大人の友情物語なんだけど、この二人が出会った場所というのが書道教室(筆道稽古場)なのよ!幼なじみではない。いい大人が、知り合ってすぐに互いの器量に惚れて、月に一度だけ食事をともにする、という関係。善悪ははっきりしているので、絶対に勧善懲悪だとわかるのに、最後までドキドキハラハラしながら読めた。結局、また狙ってくる可能性は大なのだけど、多分うまく切り抜けてくれるだろうという安心感と共に本を置くことができた。★★★★★
読了日:05月13日 著者:山本 一力

エンプティー・チェア 下 (文春文庫)エンプティー・チェア 下 (文春文庫)感想
最後の最後まで真相がわからず、ハラハラしました。上巻の時点で予想していた黒幕については合っていましたが、目の前の事件と黒幕が全然繋がっていかなくて。サックスの暴走により、地元の警察官に何人もの死者が出てしまったことで、うまく事件を収めることができるのか。登場人物表に出てこない”宣教師”とは何者なのか。など、考えることがたくさんあって、楽しかったです。しかも、黒幕はさておき、実働部隊の面々がさあ…玉ねぎを剥くように次々に…。さすがにこれで終わりだろう、と思っても、まだ出てくるんだよ。キャリーの手のように。★★★★☆
読了日:05月14日 著者:ジェフリー・ディーヴァー

時間移民 劉慈欣短篇集Ⅱ時間移民 劉慈欣短篇集Ⅱ感想
劉慈欣の小説を読むと、中国の文芸らしい「壮大なほら話」さが満載で、楽しい。「一日千秋」とか「白髪三千丈」とか、とにかく表現のスケールがでかいやつね。素粒子から無限の宇宙まで、私達の世界はこんなにも可能性を秘めていた。『朝に道を聞かば』は、科学者とは…と突き詰めたときの、一つの答えなのだろう。スティーヴン・ホーキングだけが排除されたことの意味。自分の命が尽きた後にも何かを繋いで残していこうという気持ちの強さが、したたかな中国という国と重なった気がした。自分ではない人たちに、何を残していけるのか。★★★★★
読了日:05月17日 著者:劉 慈欣

硝子の塔の殺人硝子の塔の殺人感想
新本格ミステリの集大成と言える作品。…なんでしょうね。登場人物はすべて類型的だし、無駄に壮大で緻密。(誉めてます)絶対、新本格ミステリが好きな人はハマると思いました。私自身は新本格だろうと旧本格だろうと社会派だろうと、面白ければいいという程度の、こだわりのないミステリファンですが、それでも作中に名前の出てくる作家や作品名にいちいち感動しました。どんでん返しに継ぐどんでん返し。でもって、最後の落としどころが最高にキュート。めっちゃ楽しい。でもね、私気になります。ガラス張りの部屋で本を保管しちゃだめじゃん。★★★★☆
読了日:05月19日 著者:知念 実希人

高慢と偏見とゾンビ ((二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション))高慢と偏見とゾンビ ((二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション))感想
『『高慢と偏見』殺人事件』も、それ以前に読んでいた『高慢と偏見、そして殺人』も、『高慢と偏見』の登場人物が物語のキャラクターを持ったまま、違うシチュエーションでストーリーを動かす話でしたが、今回読んだこの作品は、全61の章立てもそのままに、原作の8割がたは変えることなく物語が進みます。ただ、そこにゾンビという存在が付加されただけで。最初の十数ページを読んだ時点で既視感がハンパなかったので、本棚からオースティンの本を引っ張り出してみたら、本当に原作に忠実でびっくりしました。ゾンビはいるけどラブコメです。
★★★★☆
読了日:05月20日 著者:ジェイン・オースティン,セス・グレアム=スミス

永井路子の 方丈記/徒然草 わたしの古典(13) (わたしの古典)永井路子の 方丈記/徒然草 わたしの古典(13) (わたしの古典)感想
『枕草子』と並んで、三大随筆のうちの二編です。でも、圧倒的に説教臭いのです。そして年寄りに対して厳しい。日本初の「老害告発文学」かもしれません。どちらも仏教に基づいて、欲をかかず、行い正しく生きることの大切さを書いていますが、鴨長明の方が骨太の文章を書いているように感じました。(永井路子の訳を読んで、ですが)説教臭い『徒然草』には、時間を無駄にしないことについて、何度も書かれています。けれど、一見無駄なことの中にも、大切な何かがあることもあるのではないでしょうか、と兼好法師に問うてみたいものです。★★★★☆
読了日:05月21日 著者:永井 路子

まさかまさか よろず相談屋繁盛記 (集英社文庫)まさかまさか よろず相談屋繁盛記 (集英社文庫)感想
動物と会話ができ、商家の倅なのに護衛術をきわめている信吾の、よろず相談やシリーズ第2弾。なのだけど、今回は動物と会話ができるという特技が活きる話は一編のみ。時々記憶がすっぽり抜けるというのも全然出てこなくて、まだまだ設定が活きていない。四編中、よろず相談屋の話が二編、将棋会所の話が二編。徐々によろず相談所にも客は来ているようなのだけど、どうも将棋会所の方がメインのような感じがする。もっと地に足のついた、そして信吾の個性(設定)を活かした話を読みたいものです。★★★★☆
読了日:05月22日 著者:野口 卓

新装版 青が散る (下) (文春文庫)新装版 青が散る (下) (文春文庫)感想
大学の四年を終えて、燎平や仲間たちはそれぞれの人生を歩きはじめるところで、完。「青が散る」とは「青春の終幕」の意であったか。でもって非リアな青春を送ってしまった私には、その感傷が今一つピンとこないのだった。学生時代の私が読んでいたらどう感じたかはわからない。でも、ドラマを見なかったということからも、当時からこういう世界とは距離を置いていたような気がするな。ごめん、いい小説だとは思うけれども、私向きではなかったわ。★★★★☆
読了日:05月23日 著者:宮本 輝

命感想
この本を読む前は著者について、自分が正しいと思ったら周りの言うことなど聞く耳持たずに突き進む、過剰なくらいの信念の人だと思ってた。この本を読んだ後は、信念ではなくそういう風にしか生きる術を持たない人なんだなあと。とはいえ、家庭のある人との間に子どもができてしまうことは、それほど突飛な出来事ではないのでは?クズ男の元カレだけは最後まで名前が出なかったけど、後は編集者もそのパートナーも含めて全員実名で、過剰にドラマチックに愛と生命について追い詰められていく自分を書いているけれど、肝心の自分の覚悟がまるでない。★★★★☆
読了日:05月25日 著者:柳 美里

受難 (文春文庫 ひ 14-1)受難 (文春文庫 ひ 14-1)感想
ちょっと待ってよ!エロ、グロ、ホラーという、私の三大苦手分野が勢ぞろいじゃないの!ホラーじゃない?いやホラーでしょ。人面瘡なんてホラー以外の何物でもないでしょ。小学生の頃読んだマンガで強烈に刷り込まれた、人面瘡の恐怖。しかも、しゃべるし、食べる。(どうやって消化してるの?排泄はしないの?)罵倒する。性と愛について、修道院育ちのフランチェス子が真摯に考えて、なかなかいいことを言っているのですが、人面瘡がねえ…。本当に無理。ごめんね。★★★★☆
読了日:05月26日 著者:姫野 カオルコ

ソウルドロップの幽体研究 (ノン・ノベル 785)ソウルドロップの幽体研究 (ノン・ノベル 785)感想
最後まで読んで、これ、シリーズものなのでは?と思い、調べてみたら果たしてそうだった。だって、全然謎が解明されないまま終わるんだもの。怪盗”ペイパーカット”の目的がまずわからん。彼にあっさり殺される人がいるかと思えば、彼が勝手に窮地を救ってあげる人もいて、その線引きがわからん。主要登場人物たちはキャラ立ちしているけれど、ストーリーに活かされているわけではない。天才女性歌手の異能っぷりも理解できない。ことほど斯様にもやもやの残る読後感だったのだ。★★★★☆
読了日:05月27日 著者:上遠野 浩平

石の猿 上 (文春文庫)石の猿 上 (文春文庫)感想
中国からの密入国者をめぐる殺人事件。今までシリーズを読んできて感じる傾向としては、黒幕の協力者はライムの懐近くにいる。船に同乗していた手下と、ゴーストが買収している警察関係者のうちのどちらか、または両方が。とすると怪しいのは…。それから、ティーンエイジャーに対しては、怖い目に遭わせることはあっても、殺された人は今のところなかったはずだし、悪く見られていても根はいい子だったりするので、反抗期の少年は味方なんじゃないかと思っている。さて、正解はいかに。★★★★☆
読了日:05月29日 著者:ジェフリー・ディーヴァー

化学の授業をはじめます。化学の授業をはじめます。感想
主人公のエリザベスは、生来の資質と生まれ育った環境のせいか、人間関係を構築するのが苦手。でも非常に才能ある化学の研究者。しかし、1960年代のアメリカは白人男性優位社会。そこに一人で切り込んでいくエリザベス。ああ、うんざりするバカ男社会。そんな時に出会った運命の恋人キャルヴァン。彼は、初めて、そのままのエリザベスを評価してくれた人だった。二人の不器用な愛情表現が、切なくもあり可笑しくもあり。毎日が辛い人は、この本を読むといい。勧善懲悪でスッキリするから。『ブリジット・ジョーンズの日記』よりよほど有効。★★★★★
読了日:05月30日 著者:ボニー・ガルマス


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