4月1日(水)

おしりに火がついたように本を読む、という波がいったん収まって、2月よりも日にちが増えて、編み物も終わったけれども、読了本は2月より2冊減。
それでも、あんまりゆとりの読書とはなりませんでした。
何しろ読んだページ数が10000を超えましたから。(しかも『黄泉のツガイ』は0ページカウントでした)

今月は★5つ作品は2作。

『檜垣澤家の炎上』は、圧倒的★5つ。
とにかく800ページの文庫本を一瞬で読んだかのように集中が切れずに読み通せたくらいの面白さでした。
主人公のかな子が火事で母を喪った8歳から、火事ですべてを失った20歳くらいまでの話でしたが、すべてを失ったところから立ち直っていく後日譚も作れそう。
もし出版されたら、ぜひ読みたいと前のめりで思うほど面白かったです。

『日傘のお兄さん』は、もしかすると苦手な人は無理ってなるかも。
子どもの頃から日傘を差さないと皮膚がただれてしまうお兄さんは、主人公からしたら弱いけれども優しい人。
自分が一番つらかった時にそばにいて、毎日を楽しく過ごさせてくれた人。
でも事情を知らない人から見たら、日傘のお兄さんは一見して変な人で、よく知ればロリコンでニートというダメ人間。

でも夏美はその全てをわかったうえで、自分の人生を賭けておにいさんを守ろうと思うし、親友はその話を聞いて「ふうん」と言う。
温度差はあるけれど、否定しない、その距離感もいいなあと思った。

今月は旅行にも行くし、そろそろ意識的にアクティブの方向に自分を押し出さないとならないしで、読書ペースは上げない予定。

作家の恩田陸は、毎晩寝る前に1冊本を読むんですって。
あれだけ酒飲み(ビール飲み)なのに寝る前に読書とはすごい。
最近の私は布団に入ると1ページも読まないうちに寝てしまう。
子どもの頃の、不眠症の私、カムバック!
3月の読書メーター
読んだ本の数:29
読んだページ数:10072
ナイス数:976


スモールワールズスモールワールズ感想
少しヘヴィーな事情を抱えた人たちの物語。作品ごとに筆致が違い、面白く読んだりそれほどでもなかったりしたのだけれど、最後の一編はいらなかったかなあ。面白く読んだのは『魔王の帰還』。「勇、よお聞け、すぐそっちに戻るけえのう、お前が何と言おうがわしゃもう死ぬまで逃がさんぞ、腹括って首洗うて待っとれ!」という、果し合いのような心からの愛情表現。『花うた』は、手紙のやり取りだけで構成されているのだけど、『アルジャーノンに花束を』を髣髴させて、さらにその先のチャーリイをも垣間見せてくれているようで、胸が苦しくなった。★★★★☆
読了日:03月01日 著者:一穂 ミチ

GOSICKs ─ゴシックエス・春来たる死神─(ビーンズ文庫) GOSICKs(ビーンズ文庫) (角川ビーンズ文庫)GOSICKs ─ゴシックエス・春来たる死神─(ビーンズ文庫) GOSICKs(ビーンズ文庫) (角川ビーンズ文庫)感想
出版されたのは長編が先だけれど、時系列でいえばこの短編集の方が先だということは知っていたのですが、図書館の棚の順に長編から読んでしまったことを、今後悔。一弥とヴィクトリカの出会いはいいのよ、別に。多分最初っからヴィクトリカは偉そうで、一弥がそれに振り回されたであろうことは容易に想像できたし、実際そうだったし。でもさ、アブリルとの出会いがそういうことだったなんて!って言うか、アブリルはただのイギリス貴族の令嬢じゃなくて、ちゃんと夢を持って生きているってことがわかって、なんだか嬉しかったよ。★★★★☆
読了日:03月02日 著者:桜庭 一樹

バーナード嬢曰く。 (8) (REXコミックス)バーナード嬢曰く。 (8) (REXコミックス)感想
本で繋がる友情。そして図書室。永遠の楽園のような高校生活だなあ。とりあえず長谷川さんには『モンテクリスト伯』面白いから読むように伝えたい。アンディ・ウィアーが『火星の人』ではなく『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の人と言われたことに、時の流れを感じた。私のおススメの冒頭は「春が二階から落ちてきた。」。ド嬢と神林の百合度があからさまになっていておののく。カバーにバーコードがついていないのにドキドキ。カバーを外すとブレーメンの音楽隊。円山応挙の描く犬は可愛い。遠藤君はもっと拗れていい。
読了日:03月02日 著者:施川 ユウキ

更級日記 堤中納言物語 阿部光子の (わたしの古典シリーズ) (集英社文庫)更級日記 堤中納言物語 阿部光子の (わたしの古典シリーズ) (集英社文庫)感想
現代訳でさっくり読める古典シリーズ。今回は『更級日記』が読みたくて。一応13歳から52歳までの生涯を書いているのだが、なんといっても白眉は文学少女だったころのこと。大人になっても夢見がちな部分は残っていたとはいえ、生活に責任のない少女の頃は、薬師如来に「京都に早く上らせてくださいまし。そして、たくさんあるという物語を、あるだけみな見せてくださいまし」と薬師如来像にお願いするくらいなのである。1000年も昔の人が、結婚を勧める親に、考え方が古いと憤慨しているところもいとをかし。『堤中納言物語』も楽しい。★★★★☆
読了日:03月03日 著者:阿部 光子

虚実妖怪百物語 急 (怪BOOKS)虚実妖怪百物語 急 (怪BOOKS)感想
妖怪である必然性が、最後にわかりました。敵の黒幕である加藤保憲とは、もともと荒俣宏の『帝都物語』に出てくる人物。架空の存在が現実世界を破壊しようと出てきたとき、それを守れるのは実際にはいない存在の妖怪なのか、と。しかし、荒俣宏が率いる妖怪軍団と、加藤保憲が動かした警察や機動隊や自衛隊の面々が戦い始めたとき、京極夏彦が異議を唱える。妖怪は、戦う存在ではないはずだ、と。そして最後に登場するは水木御大。戦って勝つのではなく、言葉で加藤という存在を絵巻の中に封じ込める。不思議なことなど何もないのだよ。★★★★☆
読了日:03月04日 著者:京極 夏彦

隠居おてだま隠居おてだま感想
季節の移り変わりを愛で、風雅な余生を送るために隠居して隠居家に暮らしていたはずなのに、孫の千代太が次々と拾い物や難問を持ち込んでくるために、近所の人たちの面倒をみつつ新たな商売を始めることになった徳兵衛の、その後の話。相変わらず徳兵衛は頑固で、千代太は優しくて泣き虫で、彼らの周囲では解決しても解決しても問題が手元にやってくる。さながらおてだまのように。大人が自分の事情で手いっぱいのとき、子どもはただ巻き込まれてしまうしかない。親も苦しいとわかっているから、自分の気持ちは呑み込んでしまう。どの子もけなげ。★★★★☆
読了日:03月05日 著者:西條 奈加

spring (単行本 --)spring (単行本 --)感想
バレエダンサーであり振付家の萬春(よろずはる)の半生。集中力と観察力、そしてそれをトレースする力と表現力。中学生時代に出会い、ともにドイツに留学したJUN。幼い頃から近くで春のそばで彼を見守ってきた稔おじさん。同じバレエスクールに通っていたが、その後作曲家になった七瀬。そして彼自身の言葉で萬春を語る。一番好きなのは稔おじさんのパート。でも最後の章が今一つだったなあ。私にバレエの知識がないからなのだろうけれど、文章で書かれる春が自分のために作り上げた舞台が、まったく見えてこなかった。一人語りも冗漫と感じた。★★★★☆
読了日:03月06日 著者:恩田 陸

バイオリニストは肩が凝る 鶴我裕子のN響日記バイオリニストは肩が凝る 鶴我裕子のN響日記感想
NHK交響楽団の第1ヴァイオリン奏者の著者が、オーケストラの楽団員としての生活や、一流のマエストロたちのこぼれ話を、軽妙な筆致で描いたエッセイ集。バイオリニストは肩が凝ると言われれば、肩が凝るだろうなあとは思うが、目を酷使する仕事であるとは思わなかった。常に楽譜の小さな音符たちに目を凝らす、しかもステージの強烈なライトの下で、と言われて初めて、そうかと思った次第で。石の「おじぞうさん」並みの肩こりで、1時間マッサージしてもらってようやく「木仏」になって帰る。あら、私と同じだわ。★★★★☆
読了日:03月08日 著者:鶴我裕子

檜垣澤家の炎上 (新潮文庫 な 112-1)檜垣澤家の炎上 (新潮文庫 な 112-1)感想
これは、出版社にブラボー!です。よくぞ上下巻に分けずに800ページを一冊にまとめてくれました。だってもう、止められないもの、続きが気になって。主人公のかな子は、横濱で知らぬ者のない商家、檜垣澤家の当主の妾の娘。母を火事で亡くし、父は、卒中の後遺症で寝たきりになり、予後が良くなることなく亡くなった。本妻の元へ引き取られるが…。一応はミステリなのだ。でも、とりあえずミステリでなくても、この女系家族の腹を見せ合わない駆け引きが面白い。誰も心の内を話さないので、かな子視点で想像するしかないのが、もどかしくも愉快。★★★★★
読了日:03月09日 著者:永嶋 恵美

横浜駅SF (カドカワBOOKS)横浜駅SF (カドカワBOOKS)感想
噂にたがわず、めちゃくちゃ面白かったです~。各章のタイトルも秀逸。パロディでありながら、ちゃんと内容を表しています。この世に誕生して以来、100年以上にわたり一度たりとも工事が終わったこののない横浜駅を舞台に、ここまで壮大でバカバカしくもドラマチックな物語が!…ぷっくっく…。主人公のヒロトは、横浜駅の外側に住んでいる。ある日、駅から追放された男から「18きっぷ」を渡され、使命を託される。領土拡大を続ける横浜駅と敵対しているのが、JR北日本とJR福岡。ヒロトは世界を救えるか?★★★★☆
読了日:03月11日 著者:柞刈湯葉

フラワー・オブ・ライフ 第2巻 (白泉社文庫 よ 4-5)フラワー・オブ・ライフ 第2巻 (白泉社文庫 よ 4-5)感想
高1の学校祭から年末年始あたりまで。学校祭、本格的ですごいなあ。生地から舞台衣装作るとか、私には絶対無理。ってか、私絶対ノリが悪くて引かれる自信がある。徐々に友だちと深く付き合えるようになってくる関係性とか、よいクラスだなあと思う反面、先生。同僚の先生と不倫も、教え子との不適切な関係も、どちらもアウトじゃよ。というか、真島だけいまだに好きになれないキャラなのだが、彼、キャラ変しますかね。
読了日:03月11日 著者:よしなが ふみ

花感想
一代記とか親子三代にわたる話は、やっぱり面白いなあと思って読みました。まあ、昭和の文学なのでしょうね。最近のふわふわした、ちょっといい話系の小説とはやはり違います。でも、ページ数の問題なのか、宮尾登美子や有吉佐和子の作品と比べるとやはり薄い。徐々にライトな作品が好まれるようになっているんでしょうね、文芸の流れとして。ただ、どうしようもなく流れる「血」の話にしたかったのか、最後が唐突過ぎる気がしました。★★★★☆
読了日:03月13日 著者:林 真理子

愛するということ愛するということ感想
章タイトルに『性愛と精神』とあったけれど、最初から最後まで性愛オンリーに感じられた。作品はマヤの一人称で書かれているのだけれど、マヤの言う「愛している」がよくわからない。まず、精神のどの部分で、どの部分を愛しているのかがまったく書かれていない。マヤが野呂を「好き」ではなく「愛してる」というのが、私にはどうしても理解できない。それほどの深い絆が、彼らの間にあったようにはどうしても読めなかった。もしかするとフランス文学や映画が好きな人なら、読めるのかもしれない。とにかく、私には合わない作品だった。★★★☆☆
読了日:03月14日 著者:小池 真理子

プラナリアプラナリア感想
どこにでもいそうなありふれたイタイ人たちを書いた短編集。自分しか見えない、自分をも見えない。行きどまりではないはずなのに、どこへもいけない。乳がんの手術後仕事を辞め、何をする気も起きずに日を送る25歳の春香が主人公の『プラナリア』。自分を憐れんで、八つ当たりをして…助けてくれるはずの手を自分で振り払っているに過ぎないということを、25歳なら気づきなさいよ、と思う。『囚われ人のジレンマ』の浅丘君のセリフ。「損の種をまいているのは、往々にして自分なんじゃないかな」は、覚えておきたい。★★★★☆
読了日:03月15日 著者:山本 文緒

ためらいもイエス (文春文庫 や 40-1)ためらいもイエス (文春文庫 や 40-1)感想
つい最近も、恋愛小説は苦手だと思い知ったばかりだ。が、恋愛小説は苦手でも、ロマンス小説は好きかもしれない。具体的にどう違うのかはわからないけれど、私が思っている違いとしては、どろどろした感情が中心のが恋愛小説で、わたわたした情動が中心なのがロマンス小説。要するに、この小説は面白かった。会社で初の女性管理職が目前の、仕事ひとすじの28歳、奈津美。しかし彼女は大の恋愛音痴で、未だに処女であることを誰にも秘密にしているのだった。という、マンガでは割とありがちの設定。でも、だからこそ、読ませる技術が光るのでした。★★★★☆
読了日:03月16日 著者:山崎 マキコ

ボーン・コレクター 下 (文春文庫 テ 11-4)ボーン・コレクター 下 (文春文庫 テ 11-4)感想
なかなか犯人と思しき人物が出てこなくて、なんの伏線もなくいきなり犯人が断定されるやつか、と思ったけれど、実際に犯人が姿を現したら、ちゃんと伏線もあったことに気がついた。3人目の被害者からは、生きているうちに救出することができたので、ライムたちの勝ちだと思いながら読んでいたのに、犯人は被害者の生死など最初からどうでもよかったんだな。犯人が姿を現した時、そばにいた人が巻き添えを食ったのはショックだったし、その後の展開も想像を絶するけど、何事もなかったかのように次の事件が持ち込まれるのが一番ショックだったかも。★★★★☆
読了日:03月17日 著者:ジェフリー ディーヴァー

夜露がたり夜露がたり感想
著者初の「市井もの」ということだが、「人情もの」ではない。掛け違えた心が作り出すのは、取り返しのつかない痛みだったり別れだったり。そう、江戸に住む庶民のすべてがいい人のわけはないし、善人と悪人の間にくっきりと線が引かれているわけでもないのは、現在と同じなのだ。人間だもの。耐えに耐えた挙句に良い結末を迎える、なんて話ばかりではないので、カタルシスが得られるかは読者しだい。私は『帰ってきた』おみのの「あたしはあたしのもんだっ」が、結構好きだ。でも、砂原浩太朗は武家ものを読みたいなあ。★★★★☆
読了日:03月18日 著者:砂原 浩太朗

正欲 (新潮文庫 あ 78-3)正欲 (新潮文庫 あ 78-3)感想
なんというか…ヘヴィーな読書でした。「多様性」を尊重し、マイノリティだって胸をはって生きていく権利はある!とされる昨今の風潮に、「甘いことぬかすなよ」と釘をぶっ刺すような本。でも待って。この作品に書かれているほど、皆そんなに性に捕らわれているの?私が変なのかなあ。というか、理解しなければだめなの?私はこういう時いつも、梨木香歩の『村田江フェンディ滞土録』の下宿の女主人のセリフを思い出す。「理解はできませんが、尊重します」大事なのは理解し合うことよりも、とりあえず拒否しない事なんじゃないかなあ。★★★★☆
読了日:03月19日 著者:朝井 リョウ

ネットワーク・エフェクト: マーダーボット・ダイアリー (創元SF文庫 ウ 15-3)ネットワーク・エフェクト: マーダーボット・ダイアリー (創元SF文庫 ウ 15-3)感想
今回の”弊機”はメンサーの娘であるアメナの研修である惑星調査に護衛として付き添ったのだが、異星遺跡に汚染されたと思われる人々に襲われ、ワームホールに連れ込まれてしまう。次々襲い掛かる危機を満身創痍で躱しながら、”弊機”はボット同士のコミュニケーションを覚えながら成長していく。連作短編だった前作と違い、長編小説となった今作は、構成が複雑になった分、ボットたちの愉快な応答の頻度が減ってしまったのが残念。メンサーと”弊機”との係わりだとどうしてもシリアスになってしまう。次はARTとの冒険になりそうで楽しみ。★★★★☆
読了日:03月21日 著者:マーサ・ウェルズ

気の毒ばたらき きたきた捕物帖(三)気の毒ばたらき きたきた捕物帖(三)感想
ようやく捕物帖っぽくなってきた、とは言える。親分から命じられた事件を追う、というレベルではまだなく、身近な人の困りごとを追ううちに大きな事件へと辿りついてしまうという流れ。しかも、解決できるほどにはまだ、北一は手練れではない。北一を育てようと声をかけ目をかけ手を貸してくれる大人が、北一のまわりにはたくさんいる。事件はいつも嫌なものだけど、北一の素直さと人とのつきあい方が、このシリーズを読んでよかったと思わせてくれる。本書の最後に北一を訪ねてきた医者が、より一層読んでいる私の心を温かくしてくれた。★★★★☆
読了日:03月22日 著者:宮部 みゆき

一瞬の夏(上) (新潮文庫)一瞬の夏(上) (新潮文庫)感想
苦戦の読書。最近好きな本と苦手な本が明確になってきたようで困る。天才と目されるくらいの才能を持ちながら、気がやさしくて練習嫌いで殴り合いが嫌いという、元東洋ミドル級王者のカシアス内藤。一度はリングを去ったものの、ボクサーとして再起する彼を応援する著者や周囲の男たち。普通にスポーツのルポルタージュだと思って読んだら、全然違う。著者が対象に近すぎる。何なら自分のことを書きたいのか?と思ってしまうくらい。読みやすい文章ではあるけれど、内容が素通りしていく。評判の高い本だから、下巻は面白く読めるといいのだけれど。★★★★☆
読了日:03月24日 著者:沢木 耕太郎

日傘のお兄さん (新潮文庫 と 17-2)日傘のお兄さん (新潮文庫 と 17-2)感想
先日読んだ朝井リョウの『正欲』を思い出しました。マイノリティに対するマジョリティの一方的な糾弾。性だけじゃないんだよ、それは。けれど『正欲』よりこちらの方が健康的。この作品集に収録されている4作はどれも、ちょっと他の人と違ってるところを持っている。それを少し気にはしているし、生きにくいとも思っているけれど、しょうがないとあきらめてもいる。どうせわかってもらえない、なんて卑屈なことは思わない。理解してくれているのかはわからないけど、受け入れてくれる人は傍にいる。ああ、いい話だなあと、私は思った。★★★★★
読了日:03月25日 著者:豊島 ミホ

きよしこ (新潮文庫)きよしこ (新潮文庫)感想
吃音の白石きよし少年の、小1から大学受験までの話。成長譚と言ってもいいのかもしれないが、吃音のせいで内省的な少年は、小1の時点ですでにクラスの子どもたちより大人ではあった。「当たり前」をできない人を、子どもたちは嗤う。子どもって大人に比べてできないことが多いから、そんな自分よりできない人を見ると安心するのか、集団ヒステリーのように大勢で嗤う。重松清の作品なので、まあ、切なさてんこ盛りです。教師を目指していた少年が、結局教師ではなく作家になったのは、少年は言葉で「伝える人」になったということなんだろう。★★★★☆
読了日:03月26日 著者:重松 清

黄泉のツガイ(12) (ガンガンコミックス)黄泉のツガイ(12) (ガンガンコミックス)感想
全巻でゴンゾウさんが亡くなり、影森屋敷の要石も破壊されてと、徹底的に劣勢に立たされたので、ちょっと読むのが怖かったけれど、なんとか反撃することができてよかった。西ノ村はアキオの母さんと御陵の二人が核なのかな。まだ後ろにいるのかな。ユルとアサの両親は生きてはいるみたいだけど、ではなぜ姿を消しているのか。捕らわれているのか。そもそも西ノ村は何をしたいのか。今のままでは「解」の力も「封」の力も手に入れられないではないか。だから両親を捕らえているのか?話が進めば進んだで、謎は深まる。
読了日:03月27日 著者:荒川弘

改訂完全版 暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫 し 26-36)改訂完全版 暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫 し 26-36)感想
長い。苦戦した『占星術殺人事件』よりも、うんと厚い。でも、わりと読みやすかったです。ただ、感想は『占星術殺人事件』と同じ。犯人はわかったけど、「なぜ」と「どうやって」はわからず。最後に分かった動機には、説得力がないと思ったところまで同じ。最終的に御手洗がスピリチュアルでないと説明できない部分があると認めちゃったのが、フェアかもしれないけど、あかんやろ。トリックで説明できないなら、その設定は捨てるべき。というか無駄にホラー寄りだわ。グロいし。★★★★☆
読了日:03月28日 著者:島田 荘司

コフィン・ダンサー 上 (文春文庫 テ 11-5)コフィン・ダンサー 上 (文春文庫 テ 11-5)感想
あっという間に読み終わってしまった。300ページ。FBIの重要参考人3人を殺すべく、コフィン・ダンサーと呼ばれる殺し屋が雇われた。そのうちの一人が、早々に殺されてしまう。リンカーン・ライムたちは残された2人の参考人を守りながら、コフィン・ダンサーを追いかける。どこで犯人に追いつき、先回りできるか。割と早い段階で私の中では黒幕別人説が有力で、それは誰かというところまでは想像できている。殺し屋(スティーヴン・ケイル)とライムが思うコフィン・ダンサーはイコールなのか?などの妄想もまた楽しい。ああ、下巻が楽しみ。★★★★☆
読了日:03月29日 著者:ジェフリー ディーヴァー

フラワー・オブ・ライフ 第3巻 (白泉社文庫 よ 4-6)フラワー・オブ・ライフ 第3巻 (白泉社文庫 よ 4-6)感想
よしながふみの、シュッとした絵が好きだ。とおもっていたけど、この漫画を読むと、将棋の駒のような顔形に逆Uの字の目をしたギャグパターンの顔も好きだなあ。などと高校生たちの青春な話を楽しく読んでいたら最後の方で怒涛の展開に。ハル太は再発と死の恐怖におびえることとなり、真島とシゲと小柳はどろどろの三角関係。うわわわ。でも二年生になった彼らは、また新しい一年を送るのだろう。泣いたり怒ったり死の恐怖に震えたりしても、やっぱり笑って過ごすのだろう。
読了日:03月29日 著者:よしなが ふみ

逃亡テレメトリー: マーダーボット・ダイアリー (創元SF文庫 SFウ 15-4)逃亡テレメトリー: マーダーボット・ダイアリー (創元SF文庫 SFウ 15-4)感想
弊機がメンサー博士を護衛していた時、死体を発見してしまう。これがメンサー博士を殺すためにグレイクリス社が送り込んだ刺客なのか、またはグレイクリス社と敵対する元弊社の工作員がやられたのか。いやいや今度は、ミステリですか。結果としてメンサー博士が目的ではないことが分かった後も、弊機は捜査に協力するのである。人間嫌いで、さっさと部屋に戻ってドラマを見たいと思いながら、捜査に協力するのはやぶさかではないというか、ちょっとおもしろい経験と思っている。いやいや、人間らしくツンデレではないですか。★★★★☆
読了日:03月30日 著者:マーサ・ウェルズ

遊びをせんとや 古田織部断簡記遊びをせんとや 古田織部断簡記感想
む、難しいよ、この本は。歴史上の有名な人物は、ある程度名前がわかるのですが、さすがに役職までは把握できてるとはいいがたく、「飛州」とか「甲斐」とか「総見院」とか言われるたびに、誰だっけ?ってなる。小難しい割に話が進まないというか、小難しいから進まないのか。そして苦労した割に、カタストロフィがない。ぶっちゃけ、家康は実用本位の遊びのないつまらん人間で、茶人たるもの、権力に負けて自分を曲げるなというのが、利休と織部の心意気ということでいいんですね?★★★★☆

読了日:03月31日 著者:羽鳥 好之


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