2月18日(水)
 
編み物をしながらオリンピックを見たりしているので、今大会は結構楽しい。
基本的にはあまりスポーツに興味はないのだけれど、目の前で試合が行われたら、やっぱり見ちゃうもんねえ。
自分でスポーツをやることはないけれど、マンガでルールを知っていることもあるので、見るべきポイントは押さえている…こともあるのだよ。ふはは。
 
テレビよりも本を読みながら編むことが多いので、今月は読書も進んでいます。
昔は本を読みながら編むなんてできなかったけれど、今は文鎮と書見台(というかブックスタンド)のおかげで楽々です。

 

 

ストレスは、もちろん10さん。

たいていは話しかけてくれてもいいんだけど、模様編みの網目を数えている時とか、目を増やしたり減らしたりしている時に限って話しかけてくるのはなんでだろう。

ムキーッ!

 
ミラノです。
嘘です。
今晩から荒れるという予報だけど、朝はいい天気でした。

 
 
 
 
本日の読書:地図と拳 下 小川哲

 

カバー裏より

『1932年、満州国建国。明男が建築学徒として携わった仙桃城(シェンタオチョン)は、立派な都市に発展した。一方、乱暴な支配に苦しむ地元住民との対立は激化。明男がダンスホールで知り合った孫丞琳(ソンチョンリン)も、抗日軍の一人だった。リットン卿の調査を受け、細川は戦争構造学研究所を設立。十年先の未来を予測しようとするが……。人々はなぜ拳を振りかざし、戦争へと向かってしまうのか。圧倒的スケールで描き切る歴史×空想巨編。』

普通サイズの上下巻の本なのに、大河小説を読んだくらいには体力を失った。
長い年月「地図」を仕事としていたので、書名に「地図」という文字が入っていると、つい手に取ってしまうのだが、重苦しい本である確率が結構高い。

この本も、日露戦争を前にした時期から第二次世界大戦後までの長い年月を、ほぼ満州を舞台に書かれている。
最初から最後まで通して細川という男が出てくるところから、いかに短い期間に立て続けに日本が戦争という大きな波に翻弄されていたのかが、恐ろしいほどにわかる。

満州の東側の海に浮かぶ青龍島(チンロンタオ)が描き込まれた地図。
ないはずの島が、どうしてその地図に描き込まれたのか。
それを探るミステリだと思ったのだが、どっこい、テーマは時間で場所は仙桃城という街だった。

けれど、わかりにくいのだ。
パーツパーツは面白いのに、あまり有機的に組み合わさっていないというか。
その他の登場人物として括るには背負っているものが大きく、主たる人物にしては掘り下げが浅い。
そんな登場人物が結構中盤に多くて、共産主義者が、その挫折者が、憲兵が、中途半端に物語に介入してくる。
個人的にはその部分も面白く読んだけど、でもこの本の分量なのだったら、書くべきことはここではないだろう。

逆に、もっと長く深く全6巻くらいで書くべき作品だったのかもしれない。
でもたぶん、出版社がそれに応じることができなかったのだろうことも、想像に難くない。
何なら青龍島をめぐる謎も出版社から「ミステリ要素を入れてくれ」と言われたのかと思ったぐらいなのだが、解説を読むとミステリではなくSF要素を入れるよう要望があったらしい。

SF部分というか、まったくのフィクションとしては戦争構造学研究所という存在なのだけど、そのような組織が日本国内にあったということはあるらしいし、細川が作ったこの機関がさほどフィクション部分を強調しているわけでもないので、いかにも中途半端。

仙桃城における孫悟空とその娘孫丞琳の愛憎。
都市における建築物の意味――明男の半生。
高木と細川が夢見た満州の未来。
これらを別の作品として書いて、サーガのようにゆるく繋げたほうがわかりやすかったのではないかなあ。

実はこの物語の最初(ないはずの島を描いた地図の謎)も、最後に戦火の中ずっと仙桃城になる前の町――李家鎮の地図を描き続けたのも、クラスニコフ神父だった。
もともとは測量士だったのだが、ロシア正教の伝道師として満州に派遣された(満州の地図を作るため)神父の存在は、長く続いた物語の中であまりにも控えめだ。

参考文献のリストの膨大な量に比して、作者の思いが存分に投影されたとは思えないので、いつかきっと、もっと深く静かに沁み込むような長大な作品が書かれることと期待する。
その時まで私の体力が残っているかは…自信ないけど。