1月1日(木)
あけましておめでとうございます。
昨年は、一年の総括をすることなく終わってしまいましたが、ちょっと聞いてくださいよ。
書いてたんですよ、ブログ。
年越しそばを食べた後、お雑煮のだしをとりながら、事務所のカウコン見ながら。
あと3分で一年が終わる、という時に書き終わり、送信する前に保存もしないでパソコンを切りました。
書き上げた充実感で満足してしまったんでしょうか。
自分でも謎です。
しかし、というわけで、総括なしで新年を迎えました。
12月の読書の方だけ振り返りますね。
たくさん読みました。
たくさん読みましたが、予定通りには読めませんでした。
北広島で借りた10冊は、年内に読み終わる予定だったのですが、8冊止まり。
この遅れが、札幌で借りた10冊へのしわ寄せになるので、これからも頑張って読まねば。
★5つが8冊。
これはさすがに多いので、個別の紹介は割愛します。
単純に好きな本、心えぐられるようなノンフィクション、いろいろあります。
いろいろ読みましたからな。
12月の読書メーター
読んだ本の数:26
読んだページ数:7701
ナイス数:821
茜唄(上)の感想
これは『平家物語』に託された、勝者が語る歴史ではない、敗者の生きた歴史。圧倒的な知見を持ち、情勢を判断し、人を従え、たった一人ですべてを背負って政を行う平清盛。清盛のあとを継いで事実上の棟梁として平氏を率いたのは「相国最愛の息子」と言われた、四男の知盛。この作品は、知盛視点で語られる平氏の滅亡の話だ。歴史上の事実は変えていない。どんなに奇想天外な戦であろうと、それらは事実として歴史書に残っている。その中で、どれだけ知盛は平氏の劣勢を立て直そうとし、世の平穏を作り出そうとしたのか。そして敗れたのか。★★★★☆
読了日:12月01日 著者:今村 翔吾
松本ぷりっつの夫婦漫才旅 ときどき3姉妹 ゆるっと開運編 (MF comic essay)の感想
なんと末っ子のちーちゃんが大学生!おむつをしていたころから知っている身としては、「時がたつのは早いのぉ」と言うしかない。今回伊勢市周辺の旅があったが、今まで読んだどんな本よりも、伊勢に行きたい気にさせられた。ああ、食い倒れの旅がしたい。
読了日:12月01日 著者:松本ぷりっつ
君が夏を走らせるの感想
『あと少し、もう少し』で2区を走った大田の後日談。先輩から「バイトしない?」と言われてホイホイ行ったら、一ヶ月間の子守の依頼だった。中高生が読んだら、大田に共感するかもしれない。学校にある居場所が心地悪くて、でも自分にできることなんて何もないから、そこにとどまらざるを得ない。大人が読んでも、大田に共感するかも。子育てにまつわる一つ一つに。鈴香の母に感情移入する人もいるだろう。まだ、物心もつかない娘を他人に預けて入院しなければならない。こんな不安で辛いことはないだろう。近所に住むおばばの気持ちで読んだ。★★★★★
読了日:12月02日 著者:瀬尾 まいこ
プリンセス・ダイアリー スイート・シックスティーン篇の感想
ミアの16歳の誕生日。ミアは、マイケルと二人で過ごせたらそれでいいのだが、いつもどおり周りがことを大きくしてしまう。ジェノヴィアに友だち100人を呼んで、スポーツやショッピングでおもてなし。その様子をMTVで放送して、観光客をジェノヴィアに呼び戻そうと画策するおばあさま。もしやリリーも一枚かんでいるのでは?と疑心暗鬼のミア。結果はもちろん、想定外の出来事は何もなし。リリーがJPと付き合っているとかいないとか言ってるけど、私が見たところJPはミアのことを好きなんじゃないかな。★★★★☆
読了日:12月03日 著者:メグ キャボット
QED 源氏の神霊 (講談社ノベルス タS- 57)の感想
ついこの間、平家物語をモチーフにした『茜唄』を読んだばかりなのに、これもまた、壇之浦の合戦が裏テーマになっている。たまにあるよね、こういうシンクロニシティ。ポイントは、安徳天皇は女の子だったって説。これ、事実だとしたら恐ろしいことになる。いくら形だけの中宮などを置いても、天皇に子どもができなければ清盛の血筋は絶える。あと、鎌倉幕府を支えた北条家を始め三浦家や和田家など主だった豪族はみんな平氏だったということ。だから源平合戦ではなく、平平合戦だった、と。…だから、源氏の血はあっけなく断絶させられたのか…。★★★★☆
読了日:12月04日 著者:高田 崇史
十三番目の人格(ペルソナ)―ISOLA (角川ホラー文庫)の感想
怖かったらどうしようとドキドキしながら読んだけど、面白く読めました。というのも、ISOLAのターゲットは主人公ではないことが明らかで、直接恐怖の矛先を向けられることがなかったからだと思います。幼い時に事故で両親を失い、叔父夫婦の家で育てられた千尋は、それまで12人の人格を持っていたが、震災をきっかけに13番目の人格が現れる。その非人間的なくらい感情のゆらぎのない冷徹さ。ISOLAの正体は、ある程度まで読んだらわかる。しかしなぜ、そこまで非人間的な存在になってしまったのか。なれてしまったのか。そこが怖い。★★★★☆
読了日:12月05日 著者:貴志 祐介
生きながら火に焼かれて (ヴィレッジブックス N ス 4-1)の感想
未だに女性の地位が低い国は、私が思っているよりもたくさんある。この本の語り手であるスアドは、女性が男性と話をするだけでも、父親からせっかんを受けるような国(地域)で、初恋の男性との子どもを身ごもってしまい、家族に殺されかける。「名誉の殺人」を行わないと、家族が村八分になるから。女の子は学校に行かせてもらえず、朝から晩まで家事や家畜の世話、畑仕事などにこき使われる。スアドはそれが当たり前で、それ以外の人生があるとは思いもしないで生きてきたが。なんというか、とにかくすべてが想像以上に衝撃的でおぞましく悔しい。★★★★★
読了日:12月06日 著者:スアド
ロウフィールド館の惨劇 (角川文庫 赤 541-5)の感想
最初から犯人も動機も被害者も明らかにされている。犯人であるユーニスの秘密は、文字が読めないということ。けれど、それは人を殺すまでのこと?文字を読めない以上に問題なのは、ユーニスには人の感情というものが理解できないこと。これを作中では、読書の習慣がないから、人間同士の心の交流というものがあることをユーニスは知らなかったとしているが、どうだろう?だってユーニスは、テレビを見るのが大好きだったんだよ。殺されたカヴァデイル家の人々は、多少極端ではあるけれど、ごく普通のどちらかと言うと善良で鈍感な人々。怖い事件だ。★★★★☆
読了日:12月07日 著者:ルース・レンデル
ぐっどいゔにんぐ (金曜日の本)の感想
小説になる前の、短文やイメージ集。イラストも本人。これらの文章から、どんな作品が生まれてくるのだろう。作家を目指す人は、どのページでもいいから、そのイメージを膨らませて作品を書いてみるのもいいだろう。自分では思いつくことのできないイメージから想起されるものが、きっとあるはずだ。たった一つの文章を、手を変え品を変えて99の文体で表現しなおした、レーモン・クノーの『文体練習』よりももっと、練習になるのではないだろうか。★★★★☆
読了日:12月08日 著者:吉田 篤弘
いつの空にも星が出ていたの感想
驚きました。著者がガチのベイスターズファンだよ言うことがよくわかる作品集です。大洋ホエールズ時代から現在までの、横浜を本拠地とするチームを応援する人たちの物語。試合の展開が、選手のプレーの一つ一つが、詳しすぎてさすがに引きます。オタク過ぎる。でも、好きな気持ちって、やめようと思ってやめられるもんじゃあない。損得でもなく、勝手にあふれ出てきてしまう気持ち。それが一番顕著だったのが『パレード』かな。『ダブルヘッダー』のじいちゃんも、かっこいい。好きな気持ちに定年はないんだよ。★★★★☆
読了日:12月09日 著者:佐藤 多佳子
GOSICKIII ‐ゴシック・青い薔薇の下で‐ (角川ビーンズ文庫 79-3)の感想
一弥は日本に送ってほしいと姉に頼まれたいくつかの文房具を買いに、首都にあるデパートにやって来た。ソヴュール王国に伝わる秘宝〈青い薔薇〉を模したガラスの文鎮が、そこにしか売っていないと聞いたから。しかしデパート内で迷子になった一弥が見たのは、囚われているとおぼしき少女の姿。いつも謎をすいすいと解いてくれるヴィクトリカは、今回風邪でダウンしているため不在。一弥ひとりで謎を解くことができるか?できるわけもなく、高熱のヴィクトリカを呼び出しては、ヒントをもらうわけで。悪意はなくても、迷惑なやつかもしれないなあ。★★★★☆
読了日:12月10日 著者:桜庭 一樹
ゼロエフの感想
古川日出男の書く初めてのノンフィクションらしい。古川日出男の書く小説は、結構咀嚼力を必要とする、骨太なものだ。そしてこの、福島縦断記と言える『ゼロエフ』は、あえてなのだろうけれど、行きつ戻りつする彼の思考を丁寧にトレースし、それはかなりの遠回りをしながら収縮していくものだ。誠実な人なのだろう。だが、読みにくい。何を見たのか。聞いたのか。感じたか。何を見なかったのか。聞くことができなかったか。感じることなく素通りしたのか。しつこいくらいくどく、書き連ねていく。思考は行きつ戻りつ。★★★★★
読了日:12月11日 著者:古川 日出男

茜唄(下)の感想
源氏に滅ぼされた平家の視点から書かれた物語。誰もが知っている歴史的事件を、誰も言わなかった視点で語る。これが面白くないわけがない。多分作者も、楽しんで書いたのだと思う。文章に勢いがある。だけど、いや、だからか、疾走感の反面、プロットが粗い。そして出木杉くんの知盛。圧倒的に有能で、圧倒的に善。悲劇のヒーローにふさわしい造形。ただ、それに対する相手方の魅力が薄い。知盛の想像通りに展開する現実。それは、知盛一人が現代人の目で平安の世を見、歴史を知っているから。途中で飽きました。すまぬ。★★★★☆
読了日:12月15日 著者:今村 翔吾
SF作家の地球旅行記の感想
『横浜駅SF』の評判が良かったので、ずっと気になっていた作家の初読み。って言うか、図書館で『横浜駅SF』の隣にあったこっちの本の方を手に取った理由が自分でもわからん。でも、面白かった。普通に旅行記です。いや、旅行記として考えたら、普通以下かも。有名な観光地に行かないし、下調べしないで行き当たりばったりだし。でも、だから面白い。何より著者がそのシチュエーションを楽しんでいるのがわかる。まだ小説は未読だけど、多分私、この人の作品好きだ。文章が、物の見方が、とても好きだ。次はちゃんとSF読みます。★★★★★
読了日:12月16日 著者:柞刈 湯葉
ムーミン全集[新版]6 ムーミン谷の仲間たちの感想
先月『トーベとムーミン展』を見てから、再読したいなあと思っていた本。ムーミンのテーマは「寛容」と「多様性」だと知り、それを念頭に置いて読みましたが、まさにムーミン谷って多様性の権化。ムーミンの話に出てくるキャラクターたちは、大人であっても子どものように純真で、子どもであっても大人のように包容力がある。おばさんに皮肉や嫌味を言われ続けたニンニは、透けてしまって目に見えない子になった。そんなニンニを気遣いながら少しずつ姿を現してくれるのを待つ、ムーミンやその家族たちの姿はまさに「寛容」と「多様性」。★★★★★
読了日:12月17日 著者:トーベ・ヤンソン
若旦那は名探偵 七不思議なのに八つある (実業之日本社文庫)の感想
大阪の大店の若旦那である伊太郎は、家業どころか働くことがそもそも大嫌いで、母親からお小遣いをもらっては、何十両ものお金を湯水のように使い、父親から勘当される。せっかく勘当されたので、エンタメ花盛りのお江戸へと出奔する。たぶん実際にあったら絶対に嫌いになるタイプの若旦那こと伊太郎。でも、憎めない愛嬌もあるのである。多分。確かに名推理を披露するし、そこは論理的ではあるのだけれど、彼は多分事件の本質をつかむ嗅覚に優れているのだ。今後シリーズ化、されるのかな?★★★★☆
読了日:12月18日 著者:田中 啓文
七夜物語(上)の感想
主人公のさよは、お母さんと二人暮らし。しっかり者で、自分のことは自分でできるし、お手伝いだってちゃんとできる小学4年生。だけど、本当はちょっと甘えたい気持ちがある。同じクラスの仄田(ほのだ)くんは少し変わっている。頭はいいけれど運動が苦手。一応主人公はさよなので、彼女の抱える問題というのはきちんと書かれているのだけれど、なんといっても仄田くんの方が問題が大きい。上巻では5番目の夜のとっかかり部分まで。下巻でどういう展開になるのか、今のところ読めない。続きを楽しみに年明けを待とう。★★★★☆
読了日:12月19日 著者:川上 弘美
パンとペンの事件簿の感想
語り手のぼくは織物工場で働いていたが、工場主が変わり、労働時間が長くなったにもかかわらず賃金が下がったことなど、雇用状況の不満を訴えようとして、逆にお抱えヤクザにぼこぼこにされる。そこを助けてくれたのが、堺利彦をはじめとする売文社の面々だ。もちろんノンフィクションではないけれど、彼らの業績は史実に沿っている(多分、わりと)。息苦しくなっていく世の中で、24時間警察の監視下にあってなお、明るく飄々と生きる彼ら。最後、ぼくは就職が決まって売文社を去るのだが、その後について書かれることがあるかもしれないらしい。★★★★☆
読了日:12月20日 著者:柳 広司
南海ちゃんの新しいお仕事 階段落ち人生の感想
高井南海(みなみ)は、ある日歩道橋の階段の一番上から転がり落ちて、大出血。救急車を読んでくれたのは、日本有数の大企業の御曹司である板橋さん。実は彼は時空のひびを靄(もや)としてみることができる超能力を有している。靄を認識はしないが、消滅させることができ、ついでに怪我をなおすことができる特殊能力の持ち主南海は、板橋氏の会社に就職し、…。文体が特徴的過ぎて賛否ある作者ですが、そこはもう何十年も彼女の文章を読み続けてきたので大丈夫。と思ったけど、今回はだめだった。ごめん、もとちゃん。★★★★☆
読了日:12月21日 著者:新井 素子
月をみよう 新装版 (科学のアルバム天文・地学 1)の感想
科学の発展が著しい昨今、これほどのロングセラーはないのではないかと思います。子どもの頃びっくりし、今見てもうっとりするのが、月面から見た地球の姿。宇宙空間から見るのではなく、足元に月の地面があったうえでの、上空に浮かぶ地球。いつか火星の大地から見る地球、なんてのも見られるかもと思ったときもありました。夢がある一枚の写真。”六十三こも、月をもっている木星の夜は、入れかわりたちかわり月がでてきてとてもにぎやかなことでしょうね。”さすがに木星から月をみる夢はかないませんが、想像するだけで楽しいじゃないですか。★★★★★
読了日:12月22日 著者:藤井 旭
ドライブインまほろばの感想
小学6年生の憂は、母の再婚相手を殺し、異母妹を連れて家から逃げ出した。逃げ込んだ先の「ドライブインまほろば」を経営しているのは、2年前に5歳の娘を事故で亡くした比奈子。憂が殺した流星の双子の兄・銀河は、憂を探して「ドライブインまほろば」にたどりつく。そこで三者は…。憂の人生が壮絶で、胸が潰れそうになる。憂の一番大切な祖父を殺した銀河。銀河の一番大切な流星を殺した憂。一体このねじれた人間関係とストーリーをどうやって終わらせるのか。結果的に、非常に常識的な終わりを迎えるのである。読後感は、すこぶる良い。★★★★☆
読了日:12月23日 著者:遠田潤子
虚実妖怪百物語 序 (怪BOOKS)の感想
京極夏彦の作品は、いつも面白く読んでいる。蘊蓄だらけでめちゃくちゃ長くても、飽きることなく楽しく読める。私にとって、京極夏彦はそういう作家だったのだが。これはちょっと今一つだったなあ。登場人物はほぼ実在の人物。(なのに、榎木津とか木場とか出てくるんだよ)耐えられなかったのは、登場人物たちの会話のやり取り。くだらないダジャレや、もったいぶった展開。業界の、内輪受けのノリ。ああ、無理無理無理。あとはもう、読んでて辛いくらいつまらんかった。でも、これ「序」なので。次は「破」だから、きっと面白くなるはず…だよね。★★★★☆
読了日:12月24日 著者:京極 夏彦
プリンセス・ダイアリー がけっぷちのプリンセス篇の感想
マイケルが心の支えだったミア。ところがマイケルは、非開胸式心臓手術をするためのロボットを発明し、実用化を支援してくれる日本のツクバの研究所に一年もしくはそれ以上出向することになった。前々から思っているけれど、マイケルっていいやつなんだろうけれど、圧倒的に言葉が足りない。一年以上離れて暮らすことになるって、出発は今週末って、ミアじゃなくてもそりゃあ納得できないよ。気持ちがすれ違ったままマイケルは日本へ旅立ってしまい、続く。あらあらあら。私はJPの方が絶対おすすめなんだけどな。★★★★☆
読了日:12月25日 著者:メグ・キャボット
姥玉みっつの感想
幼馴染の老女三人組が、同じ長屋に住んで日常のあれやこれやを姦しくやり過ごす話なのかと思いきや、結構なハードボイルド展開でした。物語としては、長屋のそばで倒れていた母子を長屋で看病することから始まる。母親は亡くなり、残されたのは口のきけない娘。とりあえずお上に届けて身元を探してもらう間、三婆がその娘・お萩(仮)の面倒を見ることになったが…。もたれ合うことと支え合うことは違う。仲の良い幼馴染たちと、ごく近所で、喧嘩したり笑ったりして暮らす日々は、老いていく心もとなさを少しは解消できるのではないだろうか。★★★★★
読了日:12月26日 著者:西條 奈加
火定の感想
奈良の都を突如襲った不思議な病。高熱を発し、一度熱が下がった後に全身に疱瘡が広がり、亡くなる人達が次々と発生。疫神(天然痘)の描写が壮絶。つい出版年を調べてしまったが、これ、コロナの前に書かれた作品なのだ。施薬院とともに作られた悲田院。親のない子どもたちを養育する施設なのだが、ここの子どもたちが疫神にかかってしまったため、蔵の中に隔離される。他にどうしようもない、必要な策に胸がふさがれる。閉塞感が増していく作品を読んでいるなかで、最終章のタイトル「慈雨」が支えだった。喪われた命はあまりに多かったけど。★★★★★
読了日:12月28日 著者:澤田 瞳子

あおぞら町 春子さんの冒険と推理の感想
青空市に住む春子さんは、看護師の仕事を辞め、プロ野球選手である夫を支えることを第一に考える生活を送っている。これ、厳密に言うとミステリではないと思います。春子さんが事件に気付いたきっかけは、あとになるまで読者に示されないから。柴田よしきの作品としては、さほど上等とは言えないと思いましたが、面白く読みました。さほど上等と言えない理由は、作者の誘導がわかりやすすぎたことと、結果的に春子さんが事件を解決するのですが、「答はその一つに限らんやろ」くらいの緩い推理なので。でも、野球選手の妻の日常が興味深かった。★★★★☆
読了日:12月29日 著者:柴田よしき
読書メーター
あけましておめでとうございます。
昨年は、一年の総括をすることなく終わってしまいましたが、ちょっと聞いてくださいよ。
書いてたんですよ、ブログ。
年越しそばを食べた後、お雑煮のだしをとりながら、事務所のカウコン見ながら。
あと3分で一年が終わる、という時に書き終わり、送信する前に保存もしないでパソコンを切りました。
書き上げた充実感で満足してしまったんでしょうか。
自分でも謎です。
しかし、というわけで、総括なしで新年を迎えました。
12月の読書の方だけ振り返りますね。
たくさん読みました。
たくさん読みましたが、予定通りには読めませんでした。
北広島で借りた10冊は、年内に読み終わる予定だったのですが、8冊止まり。
この遅れが、札幌で借りた10冊へのしわ寄せになるので、これからも頑張って読まねば。
★5つが8冊。
これはさすがに多いので、個別の紹介は割愛します。
単純に好きな本、心えぐられるようなノンフィクション、いろいろあります。
いろいろ読みましたからな。
12月の読書メーター
読んだ本の数:26
読んだページ数:7701
ナイス数:821
茜唄(上)の感想これは『平家物語』に託された、勝者が語る歴史ではない、敗者の生きた歴史。圧倒的な知見を持ち、情勢を判断し、人を従え、たった一人ですべてを背負って政を行う平清盛。清盛のあとを継いで事実上の棟梁として平氏を率いたのは「相国最愛の息子」と言われた、四男の知盛。この作品は、知盛視点で語られる平氏の滅亡の話だ。歴史上の事実は変えていない。どんなに奇想天外な戦であろうと、それらは事実として歴史書に残っている。その中で、どれだけ知盛は平氏の劣勢を立て直そうとし、世の平穏を作り出そうとしたのか。そして敗れたのか。★★★★☆
読了日:12月01日 著者:今村 翔吾
松本ぷりっつの夫婦漫才旅 ときどき3姉妹 ゆるっと開運編 (MF comic essay)の感想なんと末っ子のちーちゃんが大学生!おむつをしていたころから知っている身としては、「時がたつのは早いのぉ」と言うしかない。今回伊勢市周辺の旅があったが、今まで読んだどんな本よりも、伊勢に行きたい気にさせられた。ああ、食い倒れの旅がしたい。
読了日:12月01日 著者:松本ぷりっつ
君が夏を走らせるの感想『あと少し、もう少し』で2区を走った大田の後日談。先輩から「バイトしない?」と言われてホイホイ行ったら、一ヶ月間の子守の依頼だった。中高生が読んだら、大田に共感するかもしれない。学校にある居場所が心地悪くて、でも自分にできることなんて何もないから、そこにとどまらざるを得ない。大人が読んでも、大田に共感するかも。子育てにまつわる一つ一つに。鈴香の母に感情移入する人もいるだろう。まだ、物心もつかない娘を他人に預けて入院しなければならない。こんな不安で辛いことはないだろう。近所に住むおばばの気持ちで読んだ。★★★★★
読了日:12月02日 著者:瀬尾 まいこ
プリンセス・ダイアリー スイート・シックスティーン篇の感想ミアの16歳の誕生日。ミアは、マイケルと二人で過ごせたらそれでいいのだが、いつもどおり周りがことを大きくしてしまう。ジェノヴィアに友だち100人を呼んで、スポーツやショッピングでおもてなし。その様子をMTVで放送して、観光客をジェノヴィアに呼び戻そうと画策するおばあさま。もしやリリーも一枚かんでいるのでは?と疑心暗鬼のミア。結果はもちろん、想定外の出来事は何もなし。リリーがJPと付き合っているとかいないとか言ってるけど、私が見たところJPはミアのことを好きなんじゃないかな。★★★★☆
読了日:12月03日 著者:メグ キャボット
QED 源氏の神霊 (講談社ノベルス タS- 57)の感想ついこの間、平家物語をモチーフにした『茜唄』を読んだばかりなのに、これもまた、壇之浦の合戦が裏テーマになっている。たまにあるよね、こういうシンクロニシティ。ポイントは、安徳天皇は女の子だったって説。これ、事実だとしたら恐ろしいことになる。いくら形だけの中宮などを置いても、天皇に子どもができなければ清盛の血筋は絶える。あと、鎌倉幕府を支えた北条家を始め三浦家や和田家など主だった豪族はみんな平氏だったということ。だから源平合戦ではなく、平平合戦だった、と。…だから、源氏の血はあっけなく断絶させられたのか…。★★★★☆
読了日:12月04日 著者:高田 崇史
十三番目の人格(ペルソナ)―ISOLA (角川ホラー文庫)の感想怖かったらどうしようとドキドキしながら読んだけど、面白く読めました。というのも、ISOLAのターゲットは主人公ではないことが明らかで、直接恐怖の矛先を向けられることがなかったからだと思います。幼い時に事故で両親を失い、叔父夫婦の家で育てられた千尋は、それまで12人の人格を持っていたが、震災をきっかけに13番目の人格が現れる。その非人間的なくらい感情のゆらぎのない冷徹さ。ISOLAの正体は、ある程度まで読んだらわかる。しかしなぜ、そこまで非人間的な存在になってしまったのか。なれてしまったのか。そこが怖い。★★★★☆
読了日:12月05日 著者:貴志 祐介
生きながら火に焼かれて (ヴィレッジブックス N ス 4-1)の感想未だに女性の地位が低い国は、私が思っているよりもたくさんある。この本の語り手であるスアドは、女性が男性と話をするだけでも、父親からせっかんを受けるような国(地域)で、初恋の男性との子どもを身ごもってしまい、家族に殺されかける。「名誉の殺人」を行わないと、家族が村八分になるから。女の子は学校に行かせてもらえず、朝から晩まで家事や家畜の世話、畑仕事などにこき使われる。スアドはそれが当たり前で、それ以外の人生があるとは思いもしないで生きてきたが。なんというか、とにかくすべてが想像以上に衝撃的でおぞましく悔しい。★★★★★
読了日:12月06日 著者:スアド
ロウフィールド館の惨劇 (角川文庫 赤 541-5)の感想最初から犯人も動機も被害者も明らかにされている。犯人であるユーニスの秘密は、文字が読めないということ。けれど、それは人を殺すまでのこと?文字を読めない以上に問題なのは、ユーニスには人の感情というものが理解できないこと。これを作中では、読書の習慣がないから、人間同士の心の交流というものがあることをユーニスは知らなかったとしているが、どうだろう?だってユーニスは、テレビを見るのが大好きだったんだよ。殺されたカヴァデイル家の人々は、多少極端ではあるけれど、ごく普通のどちらかと言うと善良で鈍感な人々。怖い事件だ。★★★★☆
読了日:12月07日 著者:ルース・レンデル
ぐっどいゔにんぐ (金曜日の本)の感想小説になる前の、短文やイメージ集。イラストも本人。これらの文章から、どんな作品が生まれてくるのだろう。作家を目指す人は、どのページでもいいから、そのイメージを膨らませて作品を書いてみるのもいいだろう。自分では思いつくことのできないイメージから想起されるものが、きっとあるはずだ。たった一つの文章を、手を変え品を変えて99の文体で表現しなおした、レーモン・クノーの『文体練習』よりももっと、練習になるのではないだろうか。★★★★☆
読了日:12月08日 著者:吉田 篤弘
いつの空にも星が出ていたの感想驚きました。著者がガチのベイスターズファンだよ言うことがよくわかる作品集です。大洋ホエールズ時代から現在までの、横浜を本拠地とするチームを応援する人たちの物語。試合の展開が、選手のプレーの一つ一つが、詳しすぎてさすがに引きます。オタク過ぎる。でも、好きな気持ちって、やめようと思ってやめられるもんじゃあない。損得でもなく、勝手にあふれ出てきてしまう気持ち。それが一番顕著だったのが『パレード』かな。『ダブルヘッダー』のじいちゃんも、かっこいい。好きな気持ちに定年はないんだよ。★★★★☆
読了日:12月09日 著者:佐藤 多佳子
GOSICKIII ‐ゴシック・青い薔薇の下で‐ (角川ビーンズ文庫 79-3)の感想一弥は日本に送ってほしいと姉に頼まれたいくつかの文房具を買いに、首都にあるデパートにやって来た。ソヴュール王国に伝わる秘宝〈青い薔薇〉を模したガラスの文鎮が、そこにしか売っていないと聞いたから。しかしデパート内で迷子になった一弥が見たのは、囚われているとおぼしき少女の姿。いつも謎をすいすいと解いてくれるヴィクトリカは、今回風邪でダウンしているため不在。一弥ひとりで謎を解くことができるか?できるわけもなく、高熱のヴィクトリカを呼び出しては、ヒントをもらうわけで。悪意はなくても、迷惑なやつかもしれないなあ。★★★★☆
読了日:12月10日 著者:桜庭 一樹
ゼロエフの感想古川日出男の書く初めてのノンフィクションらしい。古川日出男の書く小説は、結構咀嚼力を必要とする、骨太なものだ。そしてこの、福島縦断記と言える『ゼロエフ』は、あえてなのだろうけれど、行きつ戻りつする彼の思考を丁寧にトレースし、それはかなりの遠回りをしながら収縮していくものだ。誠実な人なのだろう。だが、読みにくい。何を見たのか。聞いたのか。感じたか。何を見なかったのか。聞くことができなかったか。感じることなく素通りしたのか。しつこいくらいくどく、書き連ねていく。思考は行きつ戻りつ。★★★★★
読了日:12月11日 著者:古川 日出男

茜唄(下)の感想
源氏に滅ぼされた平家の視点から書かれた物語。誰もが知っている歴史的事件を、誰も言わなかった視点で語る。これが面白くないわけがない。多分作者も、楽しんで書いたのだと思う。文章に勢いがある。だけど、いや、だからか、疾走感の反面、プロットが粗い。そして出木杉くんの知盛。圧倒的に有能で、圧倒的に善。悲劇のヒーローにふさわしい造形。ただ、それに対する相手方の魅力が薄い。知盛の想像通りに展開する現実。それは、知盛一人が現代人の目で平安の世を見、歴史を知っているから。途中で飽きました。すまぬ。★★★★☆
読了日:12月15日 著者:今村 翔吾
SF作家の地球旅行記の感想『横浜駅SF』の評判が良かったので、ずっと気になっていた作家の初読み。って言うか、図書館で『横浜駅SF』の隣にあったこっちの本の方を手に取った理由が自分でもわからん。でも、面白かった。普通に旅行記です。いや、旅行記として考えたら、普通以下かも。有名な観光地に行かないし、下調べしないで行き当たりばったりだし。でも、だから面白い。何より著者がそのシチュエーションを楽しんでいるのがわかる。まだ小説は未読だけど、多分私、この人の作品好きだ。文章が、物の見方が、とても好きだ。次はちゃんとSF読みます。★★★★★
読了日:12月16日 著者:柞刈 湯葉
ムーミン全集[新版]6 ムーミン谷の仲間たちの感想先月『トーベとムーミン展』を見てから、再読したいなあと思っていた本。ムーミンのテーマは「寛容」と「多様性」だと知り、それを念頭に置いて読みましたが、まさにムーミン谷って多様性の権化。ムーミンの話に出てくるキャラクターたちは、大人であっても子どものように純真で、子どもであっても大人のように包容力がある。おばさんに皮肉や嫌味を言われ続けたニンニは、透けてしまって目に見えない子になった。そんなニンニを気遣いながら少しずつ姿を現してくれるのを待つ、ムーミンやその家族たちの姿はまさに「寛容」と「多様性」。★★★★★
読了日:12月17日 著者:トーベ・ヤンソン
若旦那は名探偵 七不思議なのに八つある (実業之日本社文庫)の感想大阪の大店の若旦那である伊太郎は、家業どころか働くことがそもそも大嫌いで、母親からお小遣いをもらっては、何十両ものお金を湯水のように使い、父親から勘当される。せっかく勘当されたので、エンタメ花盛りのお江戸へと出奔する。たぶん実際にあったら絶対に嫌いになるタイプの若旦那こと伊太郎。でも、憎めない愛嬌もあるのである。多分。確かに名推理を披露するし、そこは論理的ではあるのだけれど、彼は多分事件の本質をつかむ嗅覚に優れているのだ。今後シリーズ化、されるのかな?★★★★☆
読了日:12月18日 著者:田中 啓文
七夜物語(上)の感想主人公のさよは、お母さんと二人暮らし。しっかり者で、自分のことは自分でできるし、お手伝いだってちゃんとできる小学4年生。だけど、本当はちょっと甘えたい気持ちがある。同じクラスの仄田(ほのだ)くんは少し変わっている。頭はいいけれど運動が苦手。一応主人公はさよなので、彼女の抱える問題というのはきちんと書かれているのだけれど、なんといっても仄田くんの方が問題が大きい。上巻では5番目の夜のとっかかり部分まで。下巻でどういう展開になるのか、今のところ読めない。続きを楽しみに年明けを待とう。★★★★☆
読了日:12月19日 著者:川上 弘美
パンとペンの事件簿の感想語り手のぼくは織物工場で働いていたが、工場主が変わり、労働時間が長くなったにもかかわらず賃金が下がったことなど、雇用状況の不満を訴えようとして、逆にお抱えヤクザにぼこぼこにされる。そこを助けてくれたのが、堺利彦をはじめとする売文社の面々だ。もちろんノンフィクションではないけれど、彼らの業績は史実に沿っている(多分、わりと)。息苦しくなっていく世の中で、24時間警察の監視下にあってなお、明るく飄々と生きる彼ら。最後、ぼくは就職が決まって売文社を去るのだが、その後について書かれることがあるかもしれないらしい。★★★★☆
読了日:12月20日 著者:柳 広司
南海ちゃんの新しいお仕事 階段落ち人生の感想高井南海(みなみ)は、ある日歩道橋の階段の一番上から転がり落ちて、大出血。救急車を読んでくれたのは、日本有数の大企業の御曹司である板橋さん。実は彼は時空のひびを靄(もや)としてみることができる超能力を有している。靄を認識はしないが、消滅させることができ、ついでに怪我をなおすことができる特殊能力の持ち主南海は、板橋氏の会社に就職し、…。文体が特徴的過ぎて賛否ある作者ですが、そこはもう何十年も彼女の文章を読み続けてきたので大丈夫。と思ったけど、今回はだめだった。ごめん、もとちゃん。★★★★☆
読了日:12月21日 著者:新井 素子
月をみよう 新装版 (科学のアルバム天文・地学 1)の感想科学の発展が著しい昨今、これほどのロングセラーはないのではないかと思います。子どもの頃びっくりし、今見てもうっとりするのが、月面から見た地球の姿。宇宙空間から見るのではなく、足元に月の地面があったうえでの、上空に浮かぶ地球。いつか火星の大地から見る地球、なんてのも見られるかもと思ったときもありました。夢がある一枚の写真。”六十三こも、月をもっている木星の夜は、入れかわりたちかわり月がでてきてとてもにぎやかなことでしょうね。”さすがに木星から月をみる夢はかないませんが、想像するだけで楽しいじゃないですか。★★★★★
読了日:12月22日 著者:藤井 旭
ドライブインまほろばの感想小学6年生の憂は、母の再婚相手を殺し、異母妹を連れて家から逃げ出した。逃げ込んだ先の「ドライブインまほろば」を経営しているのは、2年前に5歳の娘を事故で亡くした比奈子。憂が殺した流星の双子の兄・銀河は、憂を探して「ドライブインまほろば」にたどりつく。そこで三者は…。憂の人生が壮絶で、胸が潰れそうになる。憂の一番大切な祖父を殺した銀河。銀河の一番大切な流星を殺した憂。一体このねじれた人間関係とストーリーをどうやって終わらせるのか。結果的に、非常に常識的な終わりを迎えるのである。読後感は、すこぶる良い。★★★★☆
読了日:12月23日 著者:遠田潤子
虚実妖怪百物語 序 (怪BOOKS)の感想京極夏彦の作品は、いつも面白く読んでいる。蘊蓄だらけでめちゃくちゃ長くても、飽きることなく楽しく読める。私にとって、京極夏彦はそういう作家だったのだが。これはちょっと今一つだったなあ。登場人物はほぼ実在の人物。(なのに、榎木津とか木場とか出てくるんだよ)耐えられなかったのは、登場人物たちの会話のやり取り。くだらないダジャレや、もったいぶった展開。業界の、内輪受けのノリ。ああ、無理無理無理。あとはもう、読んでて辛いくらいつまらんかった。でも、これ「序」なので。次は「破」だから、きっと面白くなるはず…だよね。★★★★☆
読了日:12月24日 著者:京極 夏彦
プリンセス・ダイアリー がけっぷちのプリンセス篇の感想マイケルが心の支えだったミア。ところがマイケルは、非開胸式心臓手術をするためのロボットを発明し、実用化を支援してくれる日本のツクバの研究所に一年もしくはそれ以上出向することになった。前々から思っているけれど、マイケルっていいやつなんだろうけれど、圧倒的に言葉が足りない。一年以上離れて暮らすことになるって、出発は今週末って、ミアじゃなくてもそりゃあ納得できないよ。気持ちがすれ違ったままマイケルは日本へ旅立ってしまい、続く。あらあらあら。私はJPの方が絶対おすすめなんだけどな。★★★★☆
読了日:12月25日 著者:メグ・キャボット
姥玉みっつの感想幼馴染の老女三人組が、同じ長屋に住んで日常のあれやこれやを姦しくやり過ごす話なのかと思いきや、結構なハードボイルド展開でした。物語としては、長屋のそばで倒れていた母子を長屋で看病することから始まる。母親は亡くなり、残されたのは口のきけない娘。とりあえずお上に届けて身元を探してもらう間、三婆がその娘・お萩(仮)の面倒を見ることになったが…。もたれ合うことと支え合うことは違う。仲の良い幼馴染たちと、ごく近所で、喧嘩したり笑ったりして暮らす日々は、老いていく心もとなさを少しは解消できるのではないだろうか。★★★★★
読了日:12月26日 著者:西條 奈加
火定の感想奈良の都を突如襲った不思議な病。高熱を発し、一度熱が下がった後に全身に疱瘡が広がり、亡くなる人達が次々と発生。疫神(天然痘)の描写が壮絶。つい出版年を調べてしまったが、これ、コロナの前に書かれた作品なのだ。施薬院とともに作られた悲田院。親のない子どもたちを養育する施設なのだが、ここの子どもたちが疫神にかかってしまったため、蔵の中に隔離される。他にどうしようもない、必要な策に胸がふさがれる。閉塞感が増していく作品を読んでいるなかで、最終章のタイトル「慈雨」が支えだった。喪われた命はあまりに多かったけど。★★★★★
読了日:12月28日 著者:澤田 瞳子

あおぞら町 春子さんの冒険と推理の感想
青空市に住む春子さんは、看護師の仕事を辞め、プロ野球選手である夫を支えることを第一に考える生活を送っている。これ、厳密に言うとミステリではないと思います。春子さんが事件に気付いたきっかけは、あとになるまで読者に示されないから。柴田よしきの作品としては、さほど上等とは言えないと思いましたが、面白く読みました。さほど上等と言えない理由は、作者の誘導がわかりやすすぎたことと、結果的に春子さんが事件を解決するのですが、「答はその一つに限らんやろ」くらいの緩い推理なので。でも、野球選手の妻の日常が興味深かった。★★★★☆
読了日:12月29日 著者:柴田よしき
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