12月1日(月)
20冊は読めたけれども、ここ数ヶ月に比べたらペースダウン。
長いくせに全然面白くない作品や、薄くても読むのに時間のかかる難しい作品があったこともあるけれど、一番大きいのは娘関係に時間をとられたこと。
なかなか自分のペースを作るのは難しい。
まあ、月20冊を一応の目標としているので、まあいいか。
今月はHey!Say!JUMPのライブに行くので、ガツガツ読書は無理そう。
★5つは4冊
『やさしい猫』は、学生さんの必読書としてもいいと思う。
日本が難民に対して優しくない国であることは知っていたけれど、でも、まだまだ全然何もわかっていなかった。
知らないことは罪だと言える。
知ってなお、日本に住んでいる外国籍の人にヘイトな言葉をぶつけられる人は、多くないと信じたい。
『二流の人』
たん、たん、と短い文章を連ねながらも、同じようなことを何度も繰り返す安吾の文章は、好き嫌いはあると思うけれども、私にはクセになる面白さ。
黒田官兵衛を二流と言いながらも、官兵衛びいきが隠しきれていないところもよい。
『ばにらさま』
ある一点を超えると、関係性が変化するものが多くて、その仕掛けがうまいなあと感心しながら読んでいた。
たとえ登場人物に感情移入できなくても、好きなタイプの人間ではなくても、こういう人って確かにいるよなあという説得力。
『四色の藍』
人情物の時代小説かと思いきや、しっかりミステリになっていた。
裏切り、意外な犯人、どんでん返し。
けれど、武家と町人それぞれの仇討ちを終えてみたら、新しいかたちの家族がそこに生れていた。
だから読後感がものすごくよい。
11月の読書メーター
読んだ本の数:22
読んだページ数:7180
ナイス数:771
プリンセス・ダイアリー クリスマスプレゼント篇の感想
これもまた番外篇。クリスマス休暇の一週間、マイケルとリリーがジェノヴィアに来てくれる。ミアにとって、これほど楽しみなことはない。プリンセスとしての義務(公式行事)を果たすとき以外は、マイケルやリリーと楽しく過ごすつもりでいたのに。今回もまたリリーのせいで、ヨーロッパの各王家が集まった公式のパーティーが台無しになり、ミアはリリーに腹を立てる。二人がビーチで言い争っている時に、アメリカのクルーズ船の観客たちが乗ったボートが転覆したものだから、さあ大変。全部丸く収まるのはお約束。オチはオー・ヘンリーのあれ。★★★★☆
読了日:11月01日 著者:メグ キャボット
名誉王トレントの決断 (ハヤカワ文庫 FT ア 1-17 魔法の国ザンス 17)の感想
長いシリーズの最終巻。で、タイトルが『名誉王トレントの決断』ときたら、それはたいそうな決断と想像できる。ところが主人公はハーピーとゴブリンのハーフ、グローハ。どこかに自分と同じ翼のあるゴブリンがいるはず、と探索の旅に出る。ビングたちとフェイド・アウトする予定だったトレント。年寄りは消えていくべき…ではなく、「冒険がどれほど若い気持ちを燃えたたせてくれるか、すっかり忘れていたよ。もうしばらく、若いままでいるつもりだ」と、仲間ともどもフェイド・アウトを取りやめることに。決断そっちか。ザンスは今日も平和である。★★★★☆
読了日:11月02日 著者:ピアズ アンソニイ
やさしい猫 (中公文庫 な 64-3)の感想
読み初めには想像もしなかった、圧巻の読みごたえ。けれども少女の視点で語られる口調は、読者を決して拒むものではない。小4のマヤはお母さんと二人暮らし。ある時お母さんが連れてきた恋人のクマさんは、スリランカ人。ようやく二人が結婚しようとしたとき、クマさんが逮捕された。クマさんを家族に取り戻すために、ミユキさんとマヤの長く苦しい戦いが始まる。いろんな、胸が苦しくなるようなエピソードがたくさんある。知らないということは弱者が生きていくためには大変不利である。目からうろこと涙をぼたぼたこぼしながら読んだ。★★★★★
読了日:11月04日 著者:中島 京子
QED ~ortus~白山の頻闇 (講談社ノベルス タS- 50)の感想
『白山の頻闇』については、はっきり言って、このシリーズにもう飽きてきました。どこへ行っても、何を見ても、結局大和朝廷とまつろわぬ人々との、塗り替えられた歴史の真実を暴いていくだけなんだもの。今回は奈々の妹の沙織の夫が事件の関係者ということで、少しは違う展開になるかと思いきや、警察でぎゃんぎゃんまくしたてるいつもの沙織で、やっぱりうんざり。『江戸の弥生闇』は、吉原の闇。大河ドラマなどでは知りようのない、どこまでも深くて昏い闇。こちらは大仰な日本の歴史を引っ張り出してこなかったので、面白かった。★★★★☆
読了日:11月06日 著者:高田 崇史
幸福な死 (新潮文庫)の感想
大苦戦の読書でした。第一章の「自然な死」と第二章の「意識された死」の二部構成ですが、とにかく第二章が意味わからん。解説を読んで、やや納得。この作品は、『異邦人』を書く前の、未発表のものなのだそうです。貧しいのに自尊心の高い若者が金持ちの老人を殺して金を奪うという『罪と罰』のような話、からの…。というかさ、未発表のこの作品、文庫としてしれッと売らないで欲しい。カミュの研究している人とか、めっちゃファンの人は読めばいいけど、通りすがりの本好きでは太刀打ちできないと思います。ってか、私は全然できませんでした。★★★★☆
読了日:11月07日 著者:カミュ

二流の人の感想
『梟雄』『織田信長』『家康』『二流の人』講談社のミリオン・ブックスから出されたこの本は、もう絶版となって久しいと思う。『梟雄』とは、斎藤道三。ただ、子どもの頃の描写で、「絵の中から抜けでたように美しい」とあったので、誰のことかと一瞬悩んだ。残り三作は、信長、家康、秀吉と黒田如水(官兵衛)の話。講談調のような文章と現代の小説らしい文章の中間のようなそれが読みやすくて、とても面白かった。特に黒田如水は、己に恃むところが多い割に報われず、才能はあるのに秀吉や家康の間で狂言回しのように使われていたのが不憫だった。★★★★★
読了日:11月09日 著者:坂口 安吾
ばにらさま (文春文庫 や 35-4)の感想
『ばにらさま』の瑞希や『菓子苑』の胡桃のように、自分にしか興味がなくて、周囲に迷惑をかけている自覚を持てないような人は苦手だ。できればお近づきになりたくはない。でも『ばにらさま』の竹山は、瑞希のことを見捨てはしない。『菓子苑』では、胡桃と舞子の関係性が一瞬で変化する。え?そういうことだったの?『子供おばさん』の”何も成し遂げた実感のないまま、何もかも中途半端のまま、大人になりきれず、幼稚さと身勝手さが抜けることのないまま”って、私もそうだ。結局ブーメランなんだよなあ。自分に返ってきて、ぐっさりやられる。★★★★★
読了日:11月10日 著者:山本 文緒
あの夏の正解の感想
もう5年も前になるんですね。コロナで、高校野球の全国大会が中止になったのが。「誰でもできるわけではない経験を自分たちはさせてもらって、自分はそれを奇跡だと思っているので」「大きなものをなくしたからこそ、多くの視点で物事を考えられる人間になれるんじゃないかと思っています」「いつ野球ができなくなるかという不安があって、でも高校野球生活があと三ヶ月というときに、初めて甲子園のためじゃなく、自分のために練習しようと思えました」辛い経験をプラスに転換できる強さは、きっとこの先の人生で力になる。ああ、みんないい子。★★★★☆
読了日:11月11日 著者:早見 和真
四色(よしき)の藍(あい) (PHP文芸文庫)の感想
三ヶ月前に夫を殺された、紺屋・紫屋の女将である環。若侍こと蓮沼伊織、東雲屋の奉公人が多く来る飲み屋で働くお唄、その辺一帯で洗濯代行を行う洗濯婆のおくめとともに、それぞれの方法で東雲屋のしっぽを掴もうとするのだが。最初は痛快な仇討ちものだと思ったのだ。ところがそれぞれに思い人がいたりして、そちらも気になる展開だった。上手くいく者、永遠の別れを余儀なくされる者、距離を置く者それぞれの前に、まだ人生は続いていく。切ない展開でもあったが、気がつけば新しい家族を作る物語だったともいえる。満足度、高し。★★★★★
読了日:11月13日 著者:西條 奈加
彩紋家事件 前編 (講談社ノベルス セA- 10)の感想
二段組で450ページ以上。この大半が奇術サーカスに費やされています。そもそもマジックを文字で読むことのしんどさよ!神さま、私は何の罪で罰を受けているのでしょうか。一応カバー裏のあらすじには「犯人」の名前が書いてありますが、だからと言って誰が犯人なのかはわかりません。私は彩文高良=螽斯太郎じゃないかと思って読んでいたのですが、螽斯が一族の前に顔を見せても誰一人動揺しなかったから違うんだね、きっと。じゃあなんで、行方不明者と記憶喪失者がそれぞれ一人ずついるんだよ!★★★☆☆
読了日:11月14日 著者:清涼院 流水
アンと幸福の感想
前巻で、アンちゃんが成長していないことにちょっとがっかりしたのだけれど、それは杞憂でした。自己評価が低くて何事にも自信を持てないアンちゃん。けれど、自分が売っている和菓子について、それが持つ文化について、もっと知りたいと思うようになってきたこと、自分の足で前に進み始める。それに引き換え、立花くんだよ。今回改めて彼がアンちゃんの上司にあたるということが、本人に強く刺さってしまって、以前危惧した通りに、乙女を通り越してこじらせ男子になってしまった。桜井さんが言うように「かまってちゃん」じゃん。次、どうなる?★★★★☆
読了日:11月16日 著者:坂木司
松本ぷりっつの夫婦漫才旅 ときどき3姉妹 その2 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)の感想
今回は、私が行ったことがあるところがあまりなくて、それはそれで読んでいて楽しかった。どこに行っても、楽しむことができるぷりっつさん一家は素晴らしいと思う。そして積極的にいろんな体験をしてみるのも素敵。我が家はみんな「体験」にしり込みしがちで、絵付けとかしなかったからなー。お金もかかるし…。でも子どもとの思い出って親の宝物だから、貪欲に増やす努力をすればよかったよ。
読了日:11月16日 著者:松本ぷりっつ
GOSICKII‐ゴシック・その罪は名もなき‐ (角川ビーンズ文庫 79-2)の感想
今回は、久城とヴィクトリカの関係については旧知のこととして扱っていたので、すんなり読み進めることができた。現在の殺人事件については、犯人も動機もわかりましたよ。だが、母が犯したと言われた殺人事件の真相及び真犯人は、なんともむなしいというか…。たった一つしか世界を知らないということの弊害が、こんなに大きなものになろうとは。しかし、先の大戦でヴィクトリカの母が犯した罪とは?”灰色狼”の村の今後は?そして出奔したアンブローズが再びヴィクトリカたちに関わってくることはあるのか?謎はまだまだ続くのだった。★★★★☆
読了日:11月17日 著者:桜庭 一樹
塞王の楯 下 (集英社文庫)の感想
上巻で実に魅力的なキャラクターとして心に残った京極高次が、再び穴太衆とタッグを組む!いや、実際は何もしないけど。存在が楯、という気がしましたよ。闘いに倦み疲れ、戦国の世を終わらせるため、絶対に落とされない石垣を組む匡介。闘いに倦み疲れ、戦国の世を終わらせるため、圧倒的な強さの鉄砲を作る国友衆の彦九郎。何度も何度も石垣に打ち込まれる大砲の弾。崩されるたびに命をかけて修復していく作業は、きっと平和を守るってこういうことなんだと読者に示しているかのよう。それが本当の『塞王の楯』なのだと思う。★★★★☆
読了日:11月18日 著者:今村 翔吾
銀の夜 (光文社文庫 か 42-2)の感想
中学時代からの親友同士で、高校生の時にはバンドを組んでアイドル並みの人気を博していたちづる、麻友美、伊都子。しかし、35歳の今、三人はそれぞれの人生に倦んでいた。確かに、35歳ってそういう年齢だよね、と思いながら読んでいたのだけど、どうも3人ともに年齢より幼いのでは?という気がぬぐえない。最後に大きな出来事があって、3人は力を合わせてそれに対処し、そしてその後はそれぞれの足で歩きはじめる。でもいつかそのうち、少女時代のしっぽを切り捨てた大人同士の友人として、また旧交を温めると信じてる。★★★★☆
読了日:11月19日 著者:角田光代
彩紋家事件 後編 下克上マスターピース (講談社ノベルス)の感想
私は小説に対する間口は割と広い方だと思っている。突拍子のない設定も、とんでもない展開も、作品の中で整合性が取れていればOKだ。でも、この作品は無理だった。書きたかったのは小説じゃあないんだね。大事なのはトリックだけだったんだ。せめて文章だけでも、読ませるようなうまさを持っていれば救われたけれど、壊滅的に文章が下手だ。流れるようには読めない。薄っぺらくて単調で、笑えない小ネタとあざとい蘊蓄。そして実在の編集者を登場させたり、実在の作家の名前をアナグラムにしてみたり。学生の同人誌レベルのものだと思いました。★★★☆☆
読了日:11月21日 著者:清涼院 流水
キツネ目 グリコ森永事件全真相の感想
時系列に沿って書かれているので非常にわかりやすい。文章も、平易でありながら、読みやすく理解しやすくて、面白かった。サブタイトルにある「全真相」はまあ、言い過ぎだろう。だって犯人が逮捕どころか、特定もされてないんだもの。誘拐・脅迫事件のため、犯人に存在を勘づかれないように秘密の保持に力を入れすぎたため、基本の捜査ができなかったり、捜査方針の徹底ができなかったりで、逮捕に至れなかったのは不運というしかない。それと同時に、警察の捜査がいかに柔軟性に欠けているかが明らかになる。臨機応変に対処する犯人とは対照的だ。★★★★☆
読了日:11月22日 著者:岩瀬 達哉
QED 憂曇華の時 (講談社ノベルス タS- 54)の感想
今回はなんとなく、殺人事件の犯人の目処はついた。でも、ちょっと許せんな、今回の犯人は。今までも、日本の古代史の闇と絡めた殺人って、不条理にもほどがあると思っていたけれど、今回の許せんポイントは、自分の手を汚さず若者を煽ったこと。そして、事態を混乱させた火種についても、5~6年たって落ち着いたときにでも、正式に披露することはできたのではないか?と思えて、悪い人ではないのだろうけど、いい人でもない、という感じ。全ての謎もきちんと解明されていないのは、次作への伏線なんでしょうか。★★★★☆
読了日:11月23日 著者:高田 崇史
プリンセス・ダイアリー パーティ・プリンセス篇の感想
ミアが生徒会長になって9カ月。生徒会の財政が破綻した。
アメリカの高校って、生徒会の裁量権がすごいと思うと同時に、顧問の先生は予算のたて方とかの指導をしないのか、とも思った。その破綻の穴埋めをするためにはどうしたらいいかと悩むミアに、いつも通り難問が襲いかかる。マイケルはいつも、いい人なんだけど言葉が足りない。だからミアは不安になる。そんなところにJPという、ミアと同じく文章を書くことが好きな男子が現れる。私としては言葉の足りないマイケルよりも、言葉と態度でしっかりフォローしてくれるJPの方がいいなあ。★★★★☆
読了日:11月24日 著者:メグ キャボット
白痴 青鬼の褌を洗う女 (講談社文芸文庫)の感想
坂口安吾の、戦前から戦後すぐに発表された作品の短編集。『ラムネ氏のこと』と『故郷に寄する讃歌』以外の作品は、男女の恋愛を描いている。そこに描かれているのは、男を翻弄する女。そして、女に翻弄されながらもしがみつくわけではない、けれどもふわふわと離れがたくそこにいる男との対比。それらは、安吾の人生のテーマなのかもしれない。でも、私が好きなのは『ラムネ氏のこと』だな。これは時代性を問わず、最近の話としても通用するような、ちょっとした小話。今後大きな辞書を見かけたら、ラムネ氏のことを調べてしまいそうだ。★★★★☆
読了日:11月28日 著者:坂口安吾
パパは家出中の感想
主人公のガブリエルは、絵を描くのが得意で、いつかは映画を製作をするのが夢の15歳の男の子。別居するに至った両親を、なんとか仲直りさせようと奔走する、純粋でいい子です。個人の自由はもちろん大切だけれども、大人としての義務は果たさなければならない、と私は考えるので、いつまでも子どものままに自己中心的で生活能力のないガブリエルの両親は、どうしても好きになれなかった。そして、ガブリエルの秘密の能力と、幼いころに亡くなっている双子の兄弟との関係が、思わせぶりに書かれている割にはストーリーに全然生かされていない。★★★★☆
読了日:11月29日 著者:ハニフ クレイシ
湖の女たち (新潮文庫 よ 27-8)の感想
琵琶湖のほとりにある高齢者の介護施設で、寝たきりの男性が殺された。捜査を担当していた圭介は、同じ施設で介護士をしている佳代とひょんなことで知り合い、そこから2人の関係が始まるのだが、ここの部分がとにかく気持ち悪い。圭介による一方的な支配と洗脳。雑誌記者の池田は事件の取材中に被害者が731部隊に所属していたことを知る。現在の殺人事件と過去の731部隊が交差する。実際にあったいくつかの事件をモチーフにしながら、「生産性がないとされる者への憎悪」「高齢者介護」などに自分はどう向き合っているのかを突き付けてくる。★★★★☆
読了日:11月30日 著者:吉田 修一
読書メーター
20冊は読めたけれども、ここ数ヶ月に比べたらペースダウン。
長いくせに全然面白くない作品や、薄くても読むのに時間のかかる難しい作品があったこともあるけれど、一番大きいのは娘関係に時間をとられたこと。
なかなか自分のペースを作るのは難しい。
まあ、月20冊を一応の目標としているので、まあいいか。
今月はHey!Say!JUMPのライブに行くので、ガツガツ読書は無理そう。
★5つは4冊
『やさしい猫』は、学生さんの必読書としてもいいと思う。
日本が難民に対して優しくない国であることは知っていたけれど、でも、まだまだ全然何もわかっていなかった。
知らないことは罪だと言える。
知ってなお、日本に住んでいる外国籍の人にヘイトな言葉をぶつけられる人は、多くないと信じたい。
『二流の人』
たん、たん、と短い文章を連ねながらも、同じようなことを何度も繰り返す安吾の文章は、好き嫌いはあると思うけれども、私にはクセになる面白さ。
黒田官兵衛を二流と言いながらも、官兵衛びいきが隠しきれていないところもよい。
『ばにらさま』
ある一点を超えると、関係性が変化するものが多くて、その仕掛けがうまいなあと感心しながら読んでいた。
たとえ登場人物に感情移入できなくても、好きなタイプの人間ではなくても、こういう人って確かにいるよなあという説得力。
『四色の藍』
人情物の時代小説かと思いきや、しっかりミステリになっていた。
裏切り、意外な犯人、どんでん返し。
けれど、武家と町人それぞれの仇討ちを終えてみたら、新しいかたちの家族がそこに生れていた。
だから読後感がものすごくよい。
11月の読書メーター
読んだ本の数:22
読んだページ数:7180
ナイス数:771
プリンセス・ダイアリー クリスマスプレゼント篇の感想これもまた番外篇。クリスマス休暇の一週間、マイケルとリリーがジェノヴィアに来てくれる。ミアにとって、これほど楽しみなことはない。プリンセスとしての義務(公式行事)を果たすとき以外は、マイケルやリリーと楽しく過ごすつもりでいたのに。今回もまたリリーのせいで、ヨーロッパの各王家が集まった公式のパーティーが台無しになり、ミアはリリーに腹を立てる。二人がビーチで言い争っている時に、アメリカのクルーズ船の観客たちが乗ったボートが転覆したものだから、さあ大変。全部丸く収まるのはお約束。オチはオー・ヘンリーのあれ。★★★★☆
読了日:11月01日 著者:メグ キャボット
名誉王トレントの決断 (ハヤカワ文庫 FT ア 1-17 魔法の国ザンス 17)の感想長いシリーズの最終巻。で、タイトルが『名誉王トレントの決断』ときたら、それはたいそうな決断と想像できる。ところが主人公はハーピーとゴブリンのハーフ、グローハ。どこかに自分と同じ翼のあるゴブリンがいるはず、と探索の旅に出る。ビングたちとフェイド・アウトする予定だったトレント。年寄りは消えていくべき…ではなく、「冒険がどれほど若い気持ちを燃えたたせてくれるか、すっかり忘れていたよ。もうしばらく、若いままでいるつもりだ」と、仲間ともどもフェイド・アウトを取りやめることに。決断そっちか。ザンスは今日も平和である。★★★★☆
読了日:11月02日 著者:ピアズ アンソニイ
やさしい猫 (中公文庫 な 64-3)の感想読み初めには想像もしなかった、圧巻の読みごたえ。けれども少女の視点で語られる口調は、読者を決して拒むものではない。小4のマヤはお母さんと二人暮らし。ある時お母さんが連れてきた恋人のクマさんは、スリランカ人。ようやく二人が結婚しようとしたとき、クマさんが逮捕された。クマさんを家族に取り戻すために、ミユキさんとマヤの長く苦しい戦いが始まる。いろんな、胸が苦しくなるようなエピソードがたくさんある。知らないということは弱者が生きていくためには大変不利である。目からうろこと涙をぼたぼたこぼしながら読んだ。★★★★★
読了日:11月04日 著者:中島 京子
QED ~ortus~白山の頻闇 (講談社ノベルス タS- 50)の感想『白山の頻闇』については、はっきり言って、このシリーズにもう飽きてきました。どこへ行っても、何を見ても、結局大和朝廷とまつろわぬ人々との、塗り替えられた歴史の真実を暴いていくだけなんだもの。今回は奈々の妹の沙織の夫が事件の関係者ということで、少しは違う展開になるかと思いきや、警察でぎゃんぎゃんまくしたてるいつもの沙織で、やっぱりうんざり。『江戸の弥生闇』は、吉原の闇。大河ドラマなどでは知りようのない、どこまでも深くて昏い闇。こちらは大仰な日本の歴史を引っ張り出してこなかったので、面白かった。★★★★☆
読了日:11月06日 著者:高田 崇史
幸福な死 (新潮文庫)の感想大苦戦の読書でした。第一章の「自然な死」と第二章の「意識された死」の二部構成ですが、とにかく第二章が意味わからん。解説を読んで、やや納得。この作品は、『異邦人』を書く前の、未発表のものなのだそうです。貧しいのに自尊心の高い若者が金持ちの老人を殺して金を奪うという『罪と罰』のような話、からの…。というかさ、未発表のこの作品、文庫としてしれッと売らないで欲しい。カミュの研究している人とか、めっちゃファンの人は読めばいいけど、通りすがりの本好きでは太刀打ちできないと思います。ってか、私は全然できませんでした。★★★★☆
読了日:11月07日 著者:カミュ

二流の人の感想
『梟雄』『織田信長』『家康』『二流の人』講談社のミリオン・ブックスから出されたこの本は、もう絶版となって久しいと思う。『梟雄』とは、斎藤道三。ただ、子どもの頃の描写で、「絵の中から抜けでたように美しい」とあったので、誰のことかと一瞬悩んだ。残り三作は、信長、家康、秀吉と黒田如水(官兵衛)の話。講談調のような文章と現代の小説らしい文章の中間のようなそれが読みやすくて、とても面白かった。特に黒田如水は、己に恃むところが多い割に報われず、才能はあるのに秀吉や家康の間で狂言回しのように使われていたのが不憫だった。★★★★★
読了日:11月09日 著者:坂口 安吾
ばにらさま (文春文庫 や 35-4)の感想『ばにらさま』の瑞希や『菓子苑』の胡桃のように、自分にしか興味がなくて、周囲に迷惑をかけている自覚を持てないような人は苦手だ。できればお近づきになりたくはない。でも『ばにらさま』の竹山は、瑞希のことを見捨てはしない。『菓子苑』では、胡桃と舞子の関係性が一瞬で変化する。え?そういうことだったの?『子供おばさん』の”何も成し遂げた実感のないまま、何もかも中途半端のまま、大人になりきれず、幼稚さと身勝手さが抜けることのないまま”って、私もそうだ。結局ブーメランなんだよなあ。自分に返ってきて、ぐっさりやられる。★★★★★
読了日:11月10日 著者:山本 文緒
あの夏の正解の感想もう5年も前になるんですね。コロナで、高校野球の全国大会が中止になったのが。「誰でもできるわけではない経験を自分たちはさせてもらって、自分はそれを奇跡だと思っているので」「大きなものをなくしたからこそ、多くの視点で物事を考えられる人間になれるんじゃないかと思っています」「いつ野球ができなくなるかという不安があって、でも高校野球生活があと三ヶ月というときに、初めて甲子園のためじゃなく、自分のために練習しようと思えました」辛い経験をプラスに転換できる強さは、きっとこの先の人生で力になる。ああ、みんないい子。★★★★☆
読了日:11月11日 著者:早見 和真
四色(よしき)の藍(あい) (PHP文芸文庫)の感想三ヶ月前に夫を殺された、紺屋・紫屋の女将である環。若侍こと蓮沼伊織、東雲屋の奉公人が多く来る飲み屋で働くお唄、その辺一帯で洗濯代行を行う洗濯婆のおくめとともに、それぞれの方法で東雲屋のしっぽを掴もうとするのだが。最初は痛快な仇討ちものだと思ったのだ。ところがそれぞれに思い人がいたりして、そちらも気になる展開だった。上手くいく者、永遠の別れを余儀なくされる者、距離を置く者それぞれの前に、まだ人生は続いていく。切ない展開でもあったが、気がつけば新しい家族を作る物語だったともいえる。満足度、高し。★★★★★
読了日:11月13日 著者:西條 奈加
彩紋家事件 前編 (講談社ノベルス セA- 10)の感想二段組で450ページ以上。この大半が奇術サーカスに費やされています。そもそもマジックを文字で読むことのしんどさよ!神さま、私は何の罪で罰を受けているのでしょうか。一応カバー裏のあらすじには「犯人」の名前が書いてありますが、だからと言って誰が犯人なのかはわかりません。私は彩文高良=螽斯太郎じゃないかと思って読んでいたのですが、螽斯が一族の前に顔を見せても誰一人動揺しなかったから違うんだね、きっと。じゃあなんで、行方不明者と記憶喪失者がそれぞれ一人ずついるんだよ!★★★☆☆
読了日:11月14日 著者:清涼院 流水
アンと幸福の感想前巻で、アンちゃんが成長していないことにちょっとがっかりしたのだけれど、それは杞憂でした。自己評価が低くて何事にも自信を持てないアンちゃん。けれど、自分が売っている和菓子について、それが持つ文化について、もっと知りたいと思うようになってきたこと、自分の足で前に進み始める。それに引き換え、立花くんだよ。今回改めて彼がアンちゃんの上司にあたるということが、本人に強く刺さってしまって、以前危惧した通りに、乙女を通り越してこじらせ男子になってしまった。桜井さんが言うように「かまってちゃん」じゃん。次、どうなる?★★★★☆
読了日:11月16日 著者:坂木司
松本ぷりっつの夫婦漫才旅 ときどき3姉妹 その2 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)の感想今回は、私が行ったことがあるところがあまりなくて、それはそれで読んでいて楽しかった。どこに行っても、楽しむことができるぷりっつさん一家は素晴らしいと思う。そして積極的にいろんな体験をしてみるのも素敵。我が家はみんな「体験」にしり込みしがちで、絵付けとかしなかったからなー。お金もかかるし…。でも子どもとの思い出って親の宝物だから、貪欲に増やす努力をすればよかったよ。
読了日:11月16日 著者:松本ぷりっつ
GOSICKII‐ゴシック・その罪は名もなき‐ (角川ビーンズ文庫 79-2)の感想今回は、久城とヴィクトリカの関係については旧知のこととして扱っていたので、すんなり読み進めることができた。現在の殺人事件については、犯人も動機もわかりましたよ。だが、母が犯したと言われた殺人事件の真相及び真犯人は、なんともむなしいというか…。たった一つしか世界を知らないということの弊害が、こんなに大きなものになろうとは。しかし、先の大戦でヴィクトリカの母が犯した罪とは?”灰色狼”の村の今後は?そして出奔したアンブローズが再びヴィクトリカたちに関わってくることはあるのか?謎はまだまだ続くのだった。★★★★☆
読了日:11月17日 著者:桜庭 一樹
塞王の楯 下 (集英社文庫)の感想上巻で実に魅力的なキャラクターとして心に残った京極高次が、再び穴太衆とタッグを組む!いや、実際は何もしないけど。存在が楯、という気がしましたよ。闘いに倦み疲れ、戦国の世を終わらせるため、絶対に落とされない石垣を組む匡介。闘いに倦み疲れ、戦国の世を終わらせるため、圧倒的な強さの鉄砲を作る国友衆の彦九郎。何度も何度も石垣に打ち込まれる大砲の弾。崩されるたびに命をかけて修復していく作業は、きっと平和を守るってこういうことなんだと読者に示しているかのよう。それが本当の『塞王の楯』なのだと思う。★★★★☆
読了日:11月18日 著者:今村 翔吾
銀の夜 (光文社文庫 か 42-2)の感想中学時代からの親友同士で、高校生の時にはバンドを組んでアイドル並みの人気を博していたちづる、麻友美、伊都子。しかし、35歳の今、三人はそれぞれの人生に倦んでいた。確かに、35歳ってそういう年齢だよね、と思いながら読んでいたのだけど、どうも3人ともに年齢より幼いのでは?という気がぬぐえない。最後に大きな出来事があって、3人は力を合わせてそれに対処し、そしてその後はそれぞれの足で歩きはじめる。でもいつかそのうち、少女時代のしっぽを切り捨てた大人同士の友人として、また旧交を温めると信じてる。★★★★☆
読了日:11月19日 著者:角田光代
彩紋家事件 後編 下克上マスターピース (講談社ノベルス)の感想私は小説に対する間口は割と広い方だと思っている。突拍子のない設定も、とんでもない展開も、作品の中で整合性が取れていればOKだ。でも、この作品は無理だった。書きたかったのは小説じゃあないんだね。大事なのはトリックだけだったんだ。せめて文章だけでも、読ませるようなうまさを持っていれば救われたけれど、壊滅的に文章が下手だ。流れるようには読めない。薄っぺらくて単調で、笑えない小ネタとあざとい蘊蓄。そして実在の編集者を登場させたり、実在の作家の名前をアナグラムにしてみたり。学生の同人誌レベルのものだと思いました。★★★☆☆
読了日:11月21日 著者:清涼院 流水
キツネ目 グリコ森永事件全真相の感想時系列に沿って書かれているので非常にわかりやすい。文章も、平易でありながら、読みやすく理解しやすくて、面白かった。サブタイトルにある「全真相」はまあ、言い過ぎだろう。だって犯人が逮捕どころか、特定もされてないんだもの。誘拐・脅迫事件のため、犯人に存在を勘づかれないように秘密の保持に力を入れすぎたため、基本の捜査ができなかったり、捜査方針の徹底ができなかったりで、逮捕に至れなかったのは不運というしかない。それと同時に、警察の捜査がいかに柔軟性に欠けているかが明らかになる。臨機応変に対処する犯人とは対照的だ。★★★★☆
読了日:11月22日 著者:岩瀬 達哉
QED 憂曇華の時 (講談社ノベルス タS- 54)の感想今回はなんとなく、殺人事件の犯人の目処はついた。でも、ちょっと許せんな、今回の犯人は。今までも、日本の古代史の闇と絡めた殺人って、不条理にもほどがあると思っていたけれど、今回の許せんポイントは、自分の手を汚さず若者を煽ったこと。そして、事態を混乱させた火種についても、5~6年たって落ち着いたときにでも、正式に披露することはできたのではないか?と思えて、悪い人ではないのだろうけど、いい人でもない、という感じ。全ての謎もきちんと解明されていないのは、次作への伏線なんでしょうか。★★★★☆
読了日:11月23日 著者:高田 崇史
プリンセス・ダイアリー パーティ・プリンセス篇の感想ミアが生徒会長になって9カ月。生徒会の財政が破綻した。
アメリカの高校って、生徒会の裁量権がすごいと思うと同時に、顧問の先生は予算のたて方とかの指導をしないのか、とも思った。その破綻の穴埋めをするためにはどうしたらいいかと悩むミアに、いつも通り難問が襲いかかる。マイケルはいつも、いい人なんだけど言葉が足りない。だからミアは不安になる。そんなところにJPという、ミアと同じく文章を書くことが好きな男子が現れる。私としては言葉の足りないマイケルよりも、言葉と態度でしっかりフォローしてくれるJPの方がいいなあ。★★★★☆
読了日:11月24日 著者:メグ キャボット
白痴 青鬼の褌を洗う女 (講談社文芸文庫)の感想坂口安吾の、戦前から戦後すぐに発表された作品の短編集。『ラムネ氏のこと』と『故郷に寄する讃歌』以外の作品は、男女の恋愛を描いている。そこに描かれているのは、男を翻弄する女。そして、女に翻弄されながらもしがみつくわけではない、けれどもふわふわと離れがたくそこにいる男との対比。それらは、安吾の人生のテーマなのかもしれない。でも、私が好きなのは『ラムネ氏のこと』だな。これは時代性を問わず、最近の話としても通用するような、ちょっとした小話。今後大きな辞書を見かけたら、ラムネ氏のことを調べてしまいそうだ。★★★★☆
読了日:11月28日 著者:坂口安吾
パパは家出中の感想主人公のガブリエルは、絵を描くのが得意で、いつかは映画を製作をするのが夢の15歳の男の子。別居するに至った両親を、なんとか仲直りさせようと奔走する、純粋でいい子です。個人の自由はもちろん大切だけれども、大人としての義務は果たさなければならない、と私は考えるので、いつまでも子どものままに自己中心的で生活能力のないガブリエルの両親は、どうしても好きになれなかった。そして、ガブリエルの秘密の能力と、幼いころに亡くなっている双子の兄弟との関係が、思わせぶりに書かれている割にはストーリーに全然生かされていない。★★★★☆
読了日:11月29日 著者:ハニフ クレイシ
湖の女たち (新潮文庫 よ 27-8)の感想琵琶湖のほとりにある高齢者の介護施設で、寝たきりの男性が殺された。捜査を担当していた圭介は、同じ施設で介護士をしている佳代とひょんなことで知り合い、そこから2人の関係が始まるのだが、ここの部分がとにかく気持ち悪い。圭介による一方的な支配と洗脳。雑誌記者の池田は事件の取材中に被害者が731部隊に所属していたことを知る。現在の殺人事件と過去の731部隊が交差する。実際にあったいくつかの事件をモチーフにしながら、「生産性がないとされる者への憎悪」「高齢者介護」などに自分はどう向き合っているのかを突き付けてくる。★★★★☆
読了日:11月30日 著者:吉田 修一
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