9月20日(土)
最近ぐっと気温が低くなってきました。
今日のお散歩なんて、長袖で出かけるくらい。
家にいても、窓を開けると寒い、閉めると蒸し暑い。
寝る時も、半そでパジャマでは寒いし長袖だと暑い。
どないせいというんじゃ!
とはいえ、暦の上では着々と秋のはず。
しかし、散歩していると、朝顔。
まだ夏?
本日の読書:八月の母 早見和真
苦しくて、何度も本を置き、また手に取りなおした。
美智子は家が嫌いだった。
威張ってばかりいる父と、父と祖母の顔色を窺って自分を持たない母、父の期待に応えられない自分。
ところが、父の死後、母が変わった。
次々に男を変え、女であることを前面に出して生きる母。
家を出るためバイトしてためたお金を、母は持ち逃げして消えた。
母が遺したスナックを継いで生きるしかなかった美智子は娘を授かった。
が、彼女は子どもを育てるというのがどういうことか、最後まで理解しなかった。
溺愛と放置。
娘エリカは、大人を信じない少女に育つ。
信じたら裏切られる。
その時男は強いままでいられるけれど、女は弱い立場に落とされる。
どんなにいい人と思えた男も、ふとしたきっかけで豹変する。
エリカは思う。
自分が母親になったら、いい母親になるのに。
だって私は、子どもが欲しいものをちゃんと知っているから。
そしてエリカの作った家庭は…。
時折差し挟まれる、幸せな家族の風景。
パパとママと5歳の息子。
ママは、故郷を捨ててきた。
多分エリカの娘だろうとは思った。
美智子もエリカも故郷を捨てたくても捨てられなかった。
母親がいたから。
「私にはあんたしかおらんのよ。昔からあんただけが私の希望やった」
エリカの娘は故郷を、母を捨てたんだな。
断片的に語られるエリカの人生で、本当は一体何があったのかは最後まで読んでもわからなかった。
子どもたちの父親のことも。
そして唐突に現れた上原との関係も。
故郷を捨てた陽向(ひなた)とエリカを会わせてどうするつもりだったのかということも。
「私にはあんたしかおらんのよ。昔からあんただけが私の希望やった」
自分が言われて嫌だったこの言葉を、最後にエリカが陽向に言う。
その時陽向の脳裏に浮かんだのは、命を懸けて陽向を守ろうとした少女紘子(ひろこ)の言葉だった。
「陽向ちゃんの人生は誰かのためにあるわけやない。生きることを絶対誰かのせいにせんといて。あなたの人生はあなただけのものやから。それだけは誰にも、ママにも触れさせんといて」
紘子がなぜそこまでエリカにこだわり、陽向を守ろうとしたのかは、ちょっと謎。
陽向の窮状をわかっていたとはいえ、自分の命を懸けるほど強い子だとは思えなかったので。
紘子の兄もまた少し出来すぎな気はするけれど。
それでも、母という呪い(当人にとっても子どもにとっても)、母という業を正面から書いた作品として、一生私の心に残る作品になると思う。
Amazonより
『彼女たちは、蟻地獄の中で、必死にもがいていた。愛媛県伊予市。越智エリカは海に面したこの街から「いつか必ず出ていきたい」と願っていた。しかしその機会が訪れようとするたび、スナックを経営する母・美智子が目の前に立ち塞がった。そして、自らも予期せず最愛の娘を授かるが──。うだるような暑さだった八月。あの日、あの団地の一室で何が起きたのか。執着、嫉妬、怒り、焦り……。人間の内に秘められた負の感情が一気にむき出しになっていく。強烈な愛と憎しみで結ばれた母と娘の長く狂おしい物語。ここにあるのは、かつて見たことのない絶望か、希望か──。』苦しくて、何度も本を置き、また手に取りなおした。
美智子は家が嫌いだった。
威張ってばかりいる父と、父と祖母の顔色を窺って自分を持たない母、父の期待に応えられない自分。
ところが、父の死後、母が変わった。
次々に男を変え、女であることを前面に出して生きる母。
家を出るためバイトしてためたお金を、母は持ち逃げして消えた。
母が遺したスナックを継いで生きるしかなかった美智子は娘を授かった。
が、彼女は子どもを育てるというのがどういうことか、最後まで理解しなかった。
溺愛と放置。
娘エリカは、大人を信じない少女に育つ。
信じたら裏切られる。
その時男は強いままでいられるけれど、女は弱い立場に落とされる。
どんなにいい人と思えた男も、ふとしたきっかけで豹変する。
エリカは思う。
自分が母親になったら、いい母親になるのに。
だって私は、子どもが欲しいものをちゃんと知っているから。
そしてエリカの作った家庭は…。
時折差し挟まれる、幸せな家族の風景。
パパとママと5歳の息子。
ママは、故郷を捨ててきた。
多分エリカの娘だろうとは思った。
美智子もエリカも故郷を捨てたくても捨てられなかった。
母親がいたから。
「私にはあんたしかおらんのよ。昔からあんただけが私の希望やった」
エリカの娘は故郷を、母を捨てたんだな。
断片的に語られるエリカの人生で、本当は一体何があったのかは最後まで読んでもわからなかった。
子どもたちの父親のことも。
そして唐突に現れた上原との関係も。
故郷を捨てた陽向(ひなた)とエリカを会わせてどうするつもりだったのかということも。
「私にはあんたしかおらんのよ。昔からあんただけが私の希望やった」
自分が言われて嫌だったこの言葉を、最後にエリカが陽向に言う。
その時陽向の脳裏に浮かんだのは、命を懸けて陽向を守ろうとした少女紘子(ひろこ)の言葉だった。
「陽向ちゃんの人生は誰かのためにあるわけやない。生きることを絶対誰かのせいにせんといて。あなたの人生はあなただけのものやから。それだけは誰にも、ママにも触れさせんといて」
紘子がなぜそこまでエリカにこだわり、陽向を守ろうとしたのかは、ちょっと謎。
陽向の窮状をわかっていたとはいえ、自分の命を懸けるほど強い子だとは思えなかったので。
紘子の兄もまた少し出来すぎな気はするけれど。
それでも、母という呪い(当人にとっても子どもにとっても)、母という業を正面から書いた作品として、一生私の心に残る作品になると思う。