バナナの保存は冷蔵派?常温派?
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私は常温派なの。
バナナスタンドにバナナを吊るして、シュガースポットが増えてきたら食べる。
でも10さんは冷蔵派なのよ。
常温にしていたら、すぐに傷むからって。
バナナスタンドに吊るしてって言ったら、「なんかよくわからんものがあったので捨てた」って…。
でも冷蔵庫に入れると、すぐに皮が黒くなっちゃうじゃん。
中身が黒くなるわけじゃないけど、シュガースポットが分からなくなる。
黒くて薄い皮をむいて食べたら、まだ青臭かったってこともしばしば。
父は、「昔のバナナは本当に美味しかったんだよ」と言う。
思い出補正で美味しく感じているのかと思ったけど、昔は台湾バナナが主流だったんだって。
そりゃあ近場のバナナのほうが美味しいよね。
遠い国から送られてくるバナナは、熟す前に収穫されるから、追熟にも限界があるもの。
父の話を聞いてからバナナの産地を確認しているけれど、一番近くてフィリピン産。
もう台湾でバナナは作ってないのかしら。
本日の読書:月人壮士(つきひとおとこ) 澤田瞳子
〈螺旋プロジェクト〉の一冊。
〈螺旋プロジェクト〉とは
「共通のルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家=朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画である。
ルール1 「海族」vs.「山族」の対立を描く
ルール2 共通のキャラクターを登場させる
ルール3 共通シーンや象徴モチーフを出す
(中央公論新社HPより)
これは、読む人を相当選ぶ小説だと思います。
何しろまだまだ分からないことの多い奈良時代の、聖武天皇の死について、です。
聖武天皇と言えば、仏教に深く帰依されて、全国に国分寺を建立し、奈良の大仏を建立した天皇です。
おかげさまで国庫がすっからかんになり、庶民の暮らしは困窮したのですが。
中臣家の三男継麻呂と道鏡が橘諸兄に呼び出され、天皇は死に際して遺詔(遺言のようなもの)を残さなかったか探れ、と命じられます。
というのも現天皇(孝謙天皇)は、アラフォーの聖武天皇の実の娘で、5日前に聖武天皇は、皇太子を道祖(ふなど)王とするようにとの遺詔を発したばかりだが、血統の違う道祖王を指名することに違和感を覚えたからだ。
中臣家はもともと藤原氏系統のおおもとであるが、血筋としては格上だが、今は不比等の一族に押しやられ、かつての栄光は見る影もない。
橘諸兄もまた、消えゆく橘氏の残り香であり、中臣家ともども藤原氏にはよい感情を持ってはいない。
道鏡は、まだ天皇家の人々に仕えて間もない新入りで、そのあまりにもまっすぐな心根に「足元をすくわれないように。機会があればすぐに宮廷を去るように」と言われるのですが、真っ当すぎて宮廷を去るタイミングを逃し、後々足をすくわれるのは歴史の知るところ。
ともあれ、生前の聖武天皇に近しい人々に話を聞き、その人物像を浮かび上がらせる。
古より国土に根を張り天地のすべてを統べる高貴な天皇家の血を父から受け継ぎ、朝廷での権力を握ってはいるもののたかが臣下でしかない藤原氏の血を母から受け継いだ聖武天皇は、己の中で混じり合うことのない二つの血筋に悩まされる。
それは、律令完成後の新しい世界で初めての、全きの完璧な存在である天皇を、己の血筋から生み出したいという持統天皇の強い願いと、一見持統天皇に協力している風でありながら着々と自らの血筋を天皇家に注ぎ込む藤原氏の思惑が絡まり合った結果なのである。
骨肉の争いが絶えることがなかった奈良時代の物語は、上手の手にかかれば実にワクワクするものになる。
奈良時代好きとしては、ありがとう!澤田瞳子先生!という感じなのだが、さすがに万人向けではない。
人名も役職も建物も、分かりにくすぎる。(作品内で聖武天皇は首(おびと)大王であり、孝謙天皇は阿倍女王である)
そして〈螺旋プロジェクト〉としても、これは異色の作品だ。
天皇家(山)と藤原氏(海)に一応分かれているが、その根拠は極めて薄い。
耳がとがっているわけでも、目が青いわけでもない。
二つの部族の対立は聖武天皇の中にしかない。(孝謙天皇の中にも、後の藤原氏の女性が生んだ天皇も、この対立に関しては無自覚なので)
そんなに藤原の血が天皇家に入っているのが嫌なら、さっさと長屋王にくらいを譲ればいいのに。
持統天皇が、自分の血筋にこだわった結果、数代あとには天武天皇系統は絶滅してしまう、天智天皇系統が復活することになるのだが、持統天皇は天智天皇の娘なんだよね。
愛する夫の血を残すために、甥やら姪やら殺しまくり。怖~。
で、数代後に絶える。
諸行無常ですな。
関係ないけど、乙巳の変について澤田瞳子さんに書いてほしいという野望を持っている。
あの当時絶対忌み嫌われた血という穢れ。
ましてや、天皇の前で入鹿を惨殺って、ありえない話のはず。
殿中でござるのよ。
刀を持って天皇の御前に参れるはずがないのに、どうしてそれが可能になったのか?
そして中大兄皇子の罪は問われず、後に天智天皇になってしまう。
人殺しなのに。クーデターなのに。
その謎を、納得できるような形で小説にできるのは、澤田瞳子さんだけだと思っているのよね。
ぜひ、いつか、お願いします。
カバー裏より
『七五六年、大仏を建立した先帝が崩御。中臣継麻呂と道鏡は遺詔の真偽を探ることになるが、浮かび上がってきたのは、帝と母君の尋常ならざる関係や隔たった夫婦のありよう、御仏への傾倒、政(まつりごと)の迷走など、死してなお謎多きふるまいと孤独に沈む横顔ばかり――。国のおおもとを揺るがす天皇家と藤原氏の相克を背景に、聖武天皇の真実に迫る物語。』〈螺旋プロジェクト〉の一冊。
〈螺旋プロジェクト〉とは
「共通のルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家=朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画である。
ルール1 「海族」vs.「山族」の対立を描く
ルール2 共通のキャラクターを登場させる
ルール3 共通シーンや象徴モチーフを出す
(中央公論新社HPより)
これは、読む人を相当選ぶ小説だと思います。
何しろまだまだ分からないことの多い奈良時代の、聖武天皇の死について、です。
聖武天皇と言えば、仏教に深く帰依されて、全国に国分寺を建立し、奈良の大仏を建立した天皇です。
おかげさまで国庫がすっからかんになり、庶民の暮らしは困窮したのですが。
中臣家の三男継麻呂と道鏡が橘諸兄に呼び出され、天皇は死に際して遺詔(遺言のようなもの)を残さなかったか探れ、と命じられます。
というのも現天皇(孝謙天皇)は、アラフォーの聖武天皇の実の娘で、5日前に聖武天皇は、皇太子を道祖(ふなど)王とするようにとの遺詔を発したばかりだが、血統の違う道祖王を指名することに違和感を覚えたからだ。
中臣家はもともと藤原氏系統のおおもとであるが、血筋としては格上だが、今は不比等の一族に押しやられ、かつての栄光は見る影もない。
橘諸兄もまた、消えゆく橘氏の残り香であり、中臣家ともども藤原氏にはよい感情を持ってはいない。
道鏡は、まだ天皇家の人々に仕えて間もない新入りで、そのあまりにもまっすぐな心根に「足元をすくわれないように。機会があればすぐに宮廷を去るように」と言われるのですが、真っ当すぎて宮廷を去るタイミングを逃し、後々足をすくわれるのは歴史の知るところ。
ともあれ、生前の聖武天皇に近しい人々に話を聞き、その人物像を浮かび上がらせる。
古より国土に根を張り天地のすべてを統べる高貴な天皇家の血を父から受け継ぎ、朝廷での権力を握ってはいるもののたかが臣下でしかない藤原氏の血を母から受け継いだ聖武天皇は、己の中で混じり合うことのない二つの血筋に悩まされる。
それは、律令完成後の新しい世界で初めての、全きの完璧な存在である天皇を、己の血筋から生み出したいという持統天皇の強い願いと、一見持統天皇に協力している風でありながら着々と自らの血筋を天皇家に注ぎ込む藤原氏の思惑が絡まり合った結果なのである。
骨肉の争いが絶えることがなかった奈良時代の物語は、上手の手にかかれば実にワクワクするものになる。
奈良時代好きとしては、ありがとう!澤田瞳子先生!という感じなのだが、さすがに万人向けではない。
人名も役職も建物も、分かりにくすぎる。(作品内で聖武天皇は首(おびと)大王であり、孝謙天皇は阿倍女王である)
そして〈螺旋プロジェクト〉としても、これは異色の作品だ。
天皇家(山)と藤原氏(海)に一応分かれているが、その根拠は極めて薄い。
耳がとがっているわけでも、目が青いわけでもない。
二つの部族の対立は聖武天皇の中にしかない。(孝謙天皇の中にも、後の藤原氏の女性が生んだ天皇も、この対立に関しては無自覚なので)
そんなに藤原の血が天皇家に入っているのが嫌なら、さっさと長屋王にくらいを譲ればいいのに。
持統天皇が、自分の血筋にこだわった結果、数代あとには天武天皇系統は絶滅してしまう、天智天皇系統が復活することになるのだが、持統天皇は天智天皇の娘なんだよね。
愛する夫の血を残すために、甥やら姪やら殺しまくり。怖~。
で、数代後に絶える。
諸行無常ですな。
関係ないけど、乙巳の変について澤田瞳子さんに書いてほしいという野望を持っている。
あの当時絶対忌み嫌われた血という穢れ。
ましてや、天皇の前で入鹿を惨殺って、ありえない話のはず。
殿中でござるのよ。
刀を持って天皇の御前に参れるはずがないのに、どうしてそれが可能になったのか?
そして中大兄皇子の罪は問われず、後に天智天皇になってしまう。
人殺しなのに。クーデターなのに。
その謎を、納得できるような形で小説にできるのは、澤田瞳子さんだけだと思っているのよね。
ぜひ、いつか、お願いします。