7月8日(火)
体調崩して休職中の娘から「薬の量が減りました」と報告がありました。
薬が増えると副作用が気になりますが、減るときもまた副作用がある場合があります。
治ってるはずなのに体調が悪くなるのはなぜ?と不安になるかもしれないと思い、娘には「薬が体にどの程度作用するかは飲んでいないとわからないことなので、めまいや頭痛があってもあまり気にしないように」と伝えました。
実は私もコルセットを外してから、体の不調を感じていました。
9か月間、入浴中の30分を除いた一日23時間30分コルセットをしていたわけです。
しかも、「しっかりきつめに締めてくださいね」の看護師さんの言葉を忠実に守り、毎回しっかりぎゅうっと締めつけておりました。
それはもう、スカーレット・オハラもびっくりなくらいに。
コルセットを外してから、腹部が膨張してきたように感じて気持ち悪かったのです。
実際に膨張したわけではないと思います。
ゴムゴムの実を食べた記憶はないので。
でも、内側からお腹が押されているような苦しさ。
どうも、ずっときつく締めていたコルセットがなくなった反動で、そのような症状になったみたいです。
長時間正座していたら足がしびれるように、ずっと圧迫されていたお腹が久しぶりに息を吹き返したということなのでしょうか。
あんまり続くようなら病院に行こうと思っていましたが、先週の土曜日をピークに少しずつ楽になってきたので、今のところ経過観察。
ぼちぼちのんびり回復していきましょう。
本日の読書:書楼弔堂 炎昼 京極夏彦
カバー裏より
『明治三十年代初頭。人気のない道を歩きながら考えを巡らせていた女学生の塔子は、道中、松岡と田山と名乗る二人の男と出会う。彼らは幻の書店を探していて――。迷える人々を導く書舗、書楼弔堂。田山花袋、平塚らいてう、乃木希典など、後の世に名を残す人々は、出会った本の中に何を見出すのか?移ろいゆく時代を生きる人々の姿、文化模様を浮かび上がらせる、シリーズ待望の第二弾!』
目次
・事件(田山花袋)
・普遍(添田啞蝉坊)
・隠秘(福來友吉)
・変節(平塚らいてう)
・無常(乃木希典)
・常世(柳田國男)
目次の後の括弧書きは、弔堂が本を売った相手。
ただし、柳田國男は全ての作品で本を購入しているが、彼のための一冊とは自分自身で後に著す物のことだろうとの店主の言葉。
この本の語り手である天馬塔子も何冊か本を買っているが、彼女はフィクションの人物と思われる。
後々の自分のために記しておく。
多分作者が描きたかったのは、柳田國男が民俗学の入り口に立つまでの、煩悶する姿だったのではないかと思う。
一冊を通して、抒情派詩人として人気を博しておきながら詩と決別し、中央官吏を目指しながら、共通語では語ることのできぬ地方の人々の暮らしと文化に思いをはせる生真面目な学生としての柳田國男の姿が語られる。
が、白眉は乃木希典を描いた『無常』だろう。
ここでは、客である乃木希典は多くを語らず、店主の方が強く厳しく客を諫める。
戦争は国益のためにするもので、徳のない蛮行、そこに義などないと断ずる。
侵略であれ国防であれ、殺し合うなら同じこと。
陛下のために死ね、義を通すために死ねと謂われて、兵隊が皆死んでしまったとして、それで敵国が降伏したとしても、それは勝ちなのですかと畳みかける。
何よりも賢く勝とうとするならば、戦をしないことですよ。戦わずして勝たぬ限り、真の勝ちはない。
これほど強く、店主が客にものを言ったことがあっただろうか。
旧知の仲とはいえ、あまりにも厳しい物言いに、読んでいるこちらの方が怯みそうになるが、この店主の言に対して乃木希典が行ったことは歴史の知る通り。
女学生の平塚らいてうが出てくる『変節』もまた、面白かった。
男尊女卑、家長制度は、日本古来の伝統であり文化であるというのは間違いで、これは単なる武家の伝統である、と。
「女は家を守らなければならない」のは、男は外で戦う(死ぬかもしれない)から。
そして同じ頃、商家には商家の、農村には農村の伝統があり文化があった。
特に農家では女性は重要な働き手なので、年配の女性を刀自(戸主の意)と呼んで敬っていたところもある。
家長を拡大していくと、国にとっての家長である天皇崇拝に繋がり、天皇家のもとをただすと天照大神(太陽の女神)に繋がっていく。
よく考えると明治維新というのは武士だけが起こしたクーデターなんだよね。
だからいろんなことがひっくり返ったのに、武家の伝統だけが残された。
武士が起こしたクーデターということは軍事クーデターであり、だから明治政府は素早く陸海軍と警察を薩長で固めたんだな、とか、いろいろ思うところあり。
いつもより体温高めの京極夏彦でした。
