6月17日(火)
腰が痛いのです。
尋常じゃなく、腰が痛いのです。
3日くらい前からずっと違和感が消えないのです。
娘の家に行く前日、右足を強打して薬指を打撲か骨折しましたが、まだ腫れているし痛いので、これは骨折ではないかと思っています。
だからと言って病院でできることはないので、普通に生活しています。
痛みもそろそろ薄らいできました。
それに代わるような腰の痛み。
考えられるのは軽度のぎっくり腰か、腰の捻挫。
重たいものもって階段を昇ったり、中腰で作業したり、硬い床に薄い布団一枚敷いて寝ていたこと…心当たりはいろいろあります。
可能性は低いけど無視できないのが、腎盂腎炎。
腎臓に近いけれどちょっと違う気がするから、多分これではないと思うけど。
腎結石ではない。
激痛ではないから。
ただ、動くと痛い。
けれど、動かないわけにはいかんのです。
今日も図書館まで歩いて行って、本を9冊借りてきました。
で、徐々にしんどくなってきた…と。
明日は一日静養することにします。
幸い本はたくさんあるし。
本日の読書:月まで三キロ 伊与原新
カバー裏より
『『この先にね、月に一番近い場所があるんですよ」。死に場所を探す男とタクシー運転手の、一夜のドラマを描く表題作。食事会の別れ際、「クリスマスまで持っていて」と渡された黒い傘。不意の出来事に、閉じた心が揺れる「星六花」。真面目な主婦が、一眼レフを手に家出した理由とは(「山を刻む」)等、ままならない人生を、月や雪が温かく照らしだす感涙の傑作六編。新田次郎文学賞他受賞。』
目次
・月まで三キロ
・星六花
・アンモナイトの探し方
・天王寺ハイエイタス
・エイリアンの食堂
・山を刻む
・新参者の富士
理系の雑学を聞くのが好きだ。
理解できるできないではなく、単純に、世の中にはこんなことが、こんな考え方があるということを知るのが、楽しい。
だから、理系作家の書く文学というだけで、瞳をキラキラさせ、大きく開けた口から浅い息をはっはと吐き、しっぽをぶん回しながら読んでいた、と思う。
正直、こんな科学の知識を知ったところで、人生の悩みが解決するわけはない。
事実、これらの作品のなかでも、根本的な解決に至った話はない。
けれども、今までと違った角度から物事を見ること、新たな知識を介在させて考えることによって、物事の見え方や悩みが、違う様相を呈してくることは確かにある。
『アンモナイトの探し方』で、主人公の少年は誰にも言えない悩みを抱えている。
大人はそれを、中学受験の不安によるものだと思い、不安をあおらないよう遠巻きに接する。
しかし主人公は、周囲の大人に自分の本当の悩みを話すことができない。
なぜなら、大人が彼に隠していることと関係あるからだ。
母の実家(北海道の夕張と三笠の間にあるダム湖のあたり)でアンモナイトを捜している老人は言う。
「わかるための鍵は常に、わからないことの中にある。その鍵を見つけるためには、まず、何がわからないかを知らなければならない」
私がその老人を信頼に値できるな、と思ったのは、洋服の胸ポケットに緑の表紙の小さなノートを入れている、という描写を読んで、だ。
野帳をポケットに入れているということは、その都度その都度きちんとメモを残す習慣のある人だ。
観察し、記録し、それをもとに思考する人であることを、その描写で表現している作者もまた、信頼できる人だと思った。
好きなのは『エイリアンの食堂』。
鈴花の疑問に、まっすぐ答えてくれるプレアさんが好きだ。
自分の好きなことを研究するために、家族を持たず家も持たず、それでもぶれない気持。
彼女はただ、鈴花の疑問に科学的に正しい回答をしているだけなのだが、どうやってそれを伝えるか、口に出せない鈴花の本当に知りたいことにどう答えるかを、きちんと丁寧に考えていることがわかる。
ないものねだりじゃないんだ、どうやって自分に引き寄せればいいのか方法を知らないだけなんだ。
舞台となっているつくば市に住んでいたことがあるので、中央公園のそばの大きな歩道橋はよく知っているし、子どもの友だちの両親が勤めていた高エネ研も馴染み深くて、情景が目に浮かぶ分、鈴花の気持ちに寄り添いやすかったかも。
そして何より、知人にいたんだ、プレアさんみたいな人。
彼女はJAXAの正規職員だったけど、より自分の興味のある方へと5年刻みくらいで人生設計を立てていて、自転車と段ボール数箱分しかものを持たず、身軽に生きている姿がスナフキンみたいだなって思っていたんだ。
LINEのアイコンがそもそもスナフキンだったし。
読んでいてちょっとつらかったのは、『山を刻む』。
専業主婦の主人公が、夫の定年退職後に自分の人生を変えようと日帰りの登山に出掛ける話なのだけど。
日々家族のために彼女がしているあれこれを、夫も子どもたちも、当たり前すぎて何も思わない。
自分の時間が、愛情は、家族に刻まれた(傷つけられた)と思うのは、主婦としてあまりに辛い。
けれどもつけられたその傷も、自分の成し遂げた勲章であると思った後の彼女の電話。
これからの人生。
なんと、一番読後感が良かったと言える。
