す5月1日(木)

2月から3ヶ月連続で20冊の壁を越えられません。
先月は1週間娘の家に行っていたので、予想通りと言えばそうですが。(予想では10冊とか言ってたな)

しかしマンガも読んだし、★5つの作品も多かったし、満ち足りた読書生活だったと言わせてください。←誰に許可を?
今月は特に予定はないので、晴歩雨読で20冊ちょいくらい読めたらいいですね。

最近覚えたことば「五風十雨」
五日に一回風が吹いて、十日に一回雨が降るような天気が続けば、その年は豊作なるという意味。
言霊を信じて、読書とは無関係だけど書いておきます。

さて、読んだ本は少ないのに、★5つがなんと5冊。
何かの間違いかと思って見返したけれども、どれもよかった本ばかり。ほくほく。

『定年物語』
これは、長いことお疲れさまでしたというご祝儀のようなものが入っていないわけではないけれど、やっぱりほぼ同世代としては「わかるわかる」が多くて楽しかったのも事実。
何よりも、面白かったしね。

『あなたの代わりに読みました』
代わりに読んでくれたのに、申し訳ないけどこの本を読んで、自分でも読みたい本というのがどんどん増える。
一番好きなのは小説なんだけど、小説だけではない、もっと蒙が啓かれるような読書をしたくなるのです。

『バクテリア・ハザード』
死に至る病を引き起こすバクテリアとの闘い、石油関連組織との闘い、どちらも一刻を争うピンチの連続で、本当に面白かった。
金儲けだけではない企業理念、あればいいと思うけれど。

『アーモンド』
主人公は感情を持つことができない、感情を理解できない少年なんだけれど、一緒にいる心地よさとか、肌感覚ではわからなくても頭で理解できる肉親の愛情とか、そういうことの積み重ねが、徐々に彼に感情のようなものを芽生えさせた時、読んでいて本当に嬉しくなった。
脳の仕組みなんてまだわからないことがたくさんあるのだ。
絶望するには早すぎる。

『なんとかしなくちゃ。青雲編1970-1993』
こういう元気の出る作品が好き。
自分の頭で考えて、行動できる女の子が主人公の話が。
周囲の人からちょっと変わってると思われていても、本人はピンと来てなくて、みんなが気持ちよく収まる落としどころをいつも考えている。
主人公の成長を、作者とともに見守ったような読書だった。

4月の読書メーター
読んだ本の数:20
読んだページ数:6635
ナイス数:576


聖なる洞窟の地 下 エイラ 地上の旅人 16聖なる洞窟の地 下 エイラ 地上の旅人 16感想
ようやく物語の完結を読めた喜びとともに、久しぶりにストーリーが比較的テンポよく進んだので、面白かったといえる。ただ、やっぱり無駄な描写や繰り返しが多すぎるし、挿絵がなくてイメージがわかない部分もあるため、大満足とはいかなかった。ネアンデルタール人もクロマニヨン人も、基本的にはひとりで生きていくことが難しい時代を、ひとりの力を最大限に生かして生きたエイラ。人類史の膨大な資料をもとに、狩や道具だけではなく、文化や宗教までを網羅したフィクション。作者も読者も、お疲れさまでした。★★★★☆
読了日:04月02日 著者:ジーン・アウル

ルーグナ城の秘密―魔法の国ザンス3 (ハヤカワ文庫 FT 59)ルーグナ城の秘密―魔法の国ザンス3 (ハヤカワ文庫 FT 59)感想
今作ではビングとカメレオンの息子、ドオアが主人公。これはドオアの成長譚ともいえる。各キャラクターの設定がしっかりしているので、ストーリーの方は後からついていくといった感じでしょうか。あれよあれよと面倒ごとに巻き込まれ、ピンチに陥り、一癖も二癖もある魔法のせいでどう話が展開していくのか先が読めない。だから「ここが面白かった」とか「読むべきポイントはここ」とは言えない。とにかく作者の描く流れに乗ってただ楽しめばいいのだ。作中のドオアが分からなかったミリーの恋人の正体は、最初っからわかったけどね。★★★★☆
読了日:04月04日 著者:ピアズ アンソニイ

定年物語 (単行本)定年物語 (単行本)感想
新井素子が高校生でデビューしたとき私は中学生で、それからずっと追いかけてきた。もちろん同じ距離感というわけにはいかないけれど。本当は退職した直後に読めばよかったのかもしれないけれど、買ってから結構積んでしまった。満を持して読み始めたら、「やっぱこれ、私のための本だった~!」もう、一章一章ごとに「うんうん、わかる」とか、「いや違うの、これってこういうことなのよ」など素ちゃん…じゃないや、陽子さんに語りたいことがあふれ出て、まともに感想書いたら単行本400ページくらいになってしまう。★★★★★
読了日:04月05日 著者:新井 素子

あなたの代わりに読みました 政治から文学まで、意識高めの150冊あなたの代わりに読みました 政治から文学まで、意識高めの150冊感想
1~2年に一回、本屋の検索機で検索して未所持の本を見つけたら、何冊あっても即買いするのが、斎藤美奈子の本だ。とにかく読書の範囲が広い、深い。2013年から2023年まで、週刊誌で連載していた書評の厳選された150冊。全体が「現代社会」「文芸書」「文化と暮らしと芸能」と3章に分かれていて、白眉は第一章の「現代社会」部分だ。知らなかったこと、知らされてこなかったこと、知ろうとしなかったことがこんなにもあるのだと思い知らされる。そして読みたい本は、また増えていく。★★★★★
読了日:04月06日 著者:斎藤 美奈子

バクテリア・ハザード (集英社文庫)バクテリア・ハザード (集英社文庫)感想
コロナの頃に買ったけれど、その厚さにビビって今まで読まなかったことを後悔しています。読み始めたら止まらない。日本人研究者が、石炭のような有機物から石油を生成することができるバクテリアを発見した。その遺伝子情報を解き明かすことができたら、世界中どこの国も石油に困ることは無くなる、夢のような話のはずだった。いや、もう、これどうなっちゃうの?人類同士の共存のほかに、人類とバクテリアとの共存のことも考えるとすると、ウィズコロナより20年近くも前にこの本が書かれていたことに驚きを禁じ得ない。★★★★★
読了日:04月09日 著者:高嶋 哲夫

大胆推理! ケンミン食のなぜ大胆推理! ケンミン食のなぜ感想
目次を見るだけで、「おお、確かに何故なんだろう?」と思えるということは、目の付け所がいいんだろう。カステラが和菓子なのは、バターを使っていないからと言われれば、確かに!名古屋の人があんこが好きなのは、お茶の文化があるから、とか、山形の食文化が特別なのは、明治の時代に取り残されて、古い食文化が残っているから、とか、いろいろと面白かったけれど、疑問もいくつかある。大阪のうどんは汁まで飲み干すものだと何度か書いてあったけど、私が何回か食べた大阪のうどんはしょっぱくて、汁などとても飲めたものではなかった。★★★★☆
読了日:04月11日 著者:阿古 真理

好きになってしまいました。 (だいわ文庫)好きになってしまいました。 (だいわ文庫)感想
いつも通りのしをん節炸裂!と言うか、脱力…と言うか。まあ、とにかくいつも通りの自虐ネタ満載の面白エッセイでした。ただ、若いころはとにかくBUCK-TICKを追いかけていたしをんちゃんが、彼らのことに全く触れていなかったのがちょっと寂しかったな。大きな出来事があったのに。私も大概方向音痴だけど、しをんちゃんの方向音痴には負けるなあと読んでいた時に思ったのですが、具体的にどんなエピソードを読んでそう思ったのかは忘れてしまった。秒で記憶が薄れていくので…。★★★★☆
読了日:04月14日 著者:三浦しをん

流星さがし (光文社文庫 し 28-15)流星さがし (光文社文庫 し 28-15)感想
手持ちの本を読み終わって、急遽本屋さんで買ったので事前情報なし。パラパラ見て単発の連作短編集だと思って読んだら、どうも主人公の学生時代の話もあるらしい。ということで、主人公の新米弁護士・成瀬歌義には遠距離恋愛(アメリカ)中の彼女がいるらしいのだが、ちょっとどの程度の関係性なのかが分からなくて戸惑ってしまった。肝心の、それぞれの事件については、ちょっと切ない系の話が多いけれど、読後感はとても良い。★★★★☆
読了日:04月17日 著者:柴田よしき

アーモンド (祥伝社文庫 そ 4-1)アーモンド (祥伝社文庫 そ 4-1)感想
脳のなかの扁桃体(アーモンド)が小さく未発達なため、感情を持つことができない少年・ユンジェ。それでも、口の悪い祖母と明るい母に存分に愛されて育った彼は、幸せだった。たとえその概念を彼が理解しないとしても。十六歳の誕生日、通り魔に襲われて家族を失ったユンジェは、大家さんであるシム博士の庇護のもと、一人で暮らしていく。そんな時に出会ったゴニ。存分な愛情を与えられず、その怒りや悲しみを暴力で表すしかなかったゴニ。反発し、暴力をふるいながらも、徐々にユンジェに心を開くゴニ。人は、変わることができるのだ。涙。★★★★★
読了日:04月18日 著者:ソン・ウォンピョン

先生、オサムシが研究室を掃除しています! (鳥取環境大学の森の人間動物行動学)先生、オサムシが研究室を掃除しています! (鳥取環境大学の森の人間動物行動学)感想
珍しい、聞いたことのないような動物の生態について読むのは楽しい。純粋に面白いし、知的好奇心が満足させられるし。でも、このシリーズを読み続けていると、ヤギ部のヤギたちの話に、懐かしさや安心感を覚えてしまうのも事実だ。
まるでしばらく会っていない旧友の近況を聞いたかのように。家族のように傍にいる仲間が、どれだけ老ヤギの心の支えになっているのか。心?意識?「脳という物質から、なぜ意識という非物質のものが生じるのか」医学のような、哲学のような問。答えを出せるとは限らない、こういう問いに答えを探すことが、学問の力。★★★★☆
読了日:04月19日 著者:小林 朋道

トオリヌケ キンシ (文春文庫 か 33-8)トオリヌケ キンシ (文春文庫 か 33-8)感想
短編はどれも、それぞれ生きていくにはちょっとしんどい、けれど人には人には伝わりにくい困難を抱えた人が出てくる。「場面緘黙症」「共感覚」「ネグレクト」「相貌失認」「醜形恐怖症」「半側空間無視」など。本人が一人で悩んでいるうちは、それはとてもつらい。でも、傍で支えてくれる、見守ってくれる、一緒に歩いてくれる人がいたら、少しは楽になるかもしれない。”たとえ行き止まりの袋小路に見えたとしても、根気よく探せば、どこかへ抜け道があったりする。”どうして本屋大賞は加納朋子を選ばないんだろう?★★★★☆
読了日:04月20日 著者:加納 朋子

QED 竹取伝説 (講談社文庫)QED 竹取伝説 (講談社文庫)感想
奥多摩の山奥にある2つの集落をつなぐ鵲(かささぎ)橋。その周辺では、昔から不審な事故死が多発していたのだった。このシリーズの主人公…ではないよな、語り手…でもない、ヒロイン…とも違う、しいて言うならこのシリーズの聞き手である棚旗奈々の上司が、腹に竹槍を突きさされた死体を発見したことから、彼らはこの事件にかかわりを持つことになる。今どきなぜ竹槍?今回は「七夕」における呪。しかしこのシリーズの聞き手である棚旗(たなはた)奈々。この名前に隠された秘密はないのかい?「たなはた」で「なな」なんだよ。誰か突っ込めよ。★★★★☆
読了日:04月21日 著者:高田 崇史

巴里・妖都変 (カッパ・ノベルス 薬師寺涼子の怪奇事件簿)巴里・妖都変 (カッパ・ノベルス 薬師寺涼子の怪奇事件簿)感想
国際的な巨大ハイテク企業の一角で、錬金術をものにした元工学博士が作り出す、伝説上の怪物たち。怖い。私は学生の頃、モンティ・パイソンの映画で「人喰いウサギ」を見てからというもの、どんなに愛くるしい小動物と言えど、油断をしたことがない。やっぱりいるんだ、「人喰いリス」。怖い。相変わらず作者の、日本の政財界人や高級官僚に対する嫌悪感がはなはだしくて、偏見が過ぎるよなあと思いながらも、痛快である。★★★★☆
読了日:04月22日 著者:田中 芳樹

魔法の通廊―魔法の国ザンス〈4〉 (ハヤカワ文庫 FT (78))魔法の通廊―魔法の国ザンス〈4〉 (ハヤカワ文庫 FT (78))感想
前作から主人公が世代交代してはいたけれど、ドオアはまだ十六歳。なのに、王の代理を仰せつかったドオアの傍に両親の姿が見えない。ビングとカメレオンはいったいどこで何をしているのか。結局最後まで出てこなかった。こうなってくるとトレント王の方がドオアの親に見えてくる。トレント王とアイリス女王が魔法の聞かない国、マンダニアで行方不明になる。トレント王がどこにいるかを知っているのはドオアのみという状況で、ドオアは二人を捜しにマンダニア国に行くことにする。ずるくて強かな大人相手に「正直」を武器に乗り込むドオア。よき。★★★★☆
読了日:04月24日 著者:ピアズ アンソニイ

でも女 (集英社文庫)でも女 (集英社文庫)感想
群ようこのエッセイは、面白いと思って読んだことはある。小説は…読んだことはあるはずだが、全く覚えていない。印象に残っていない。この短編集に関していえば、はっきりと「つまらなかった」と言える。専業主婦とキャリアウーマンとか、都会のお嬢様と地方出身の庶民とか、極端なモデルを対比させて、そこにユーモアとかペーソスとかを感じさせようとしているのかもしれないけれど、私にはハマらなかった。★★★☆☆
読了日:04月25日 著者:群 ようこ

遠野物語remix遠野物語remix感想
思った以上に素朴。例えば『今昔物語』や『宇治拾遺物語』の方が、体裁を整えようという意図が見えるほど。ここまで、語り手の話す通りを記録するというのは、逆に難しいのかもしれない。そこに自分の視点を加えないという、強い意志がないと無理だろう。その分読み手としては、話が前後していたり、伝わりにくかったりするところも多かったらしく、京極夏彦がそれを整理して読みやすく書き直したのが本書。遠野は山奥にあるけれども、実は城下町で、交通の要衝でもあり、栄えていたというのは知らなかった。★★★★☆
読了日:04月26日 著者:京極 夏彦,柳田 國男

名探偵コナン (107) (少年サンデーコミックス)名探偵コナン (107) (少年サンデーコミックス)感想
今回は3つの事件(警察学校の学生たちの事件、長野県警の事件、毛利夫妻の事件)が収録されていて、どれもサクサク事件が解決して、久しぶりに面白かった。黒の組織については進展がないけれど、今回はあまりイラっとしなかったなあ。しかし次の巻の発売が1年後とは…生きて完結を見ることができるのだろうか、自分…。
読了日:04月27日 著者:青山 剛昌

なんとかしなくちゃ。 青雲編なんとかしなくちゃ。 青雲編感想
これは、作者が相当楽しんで書いたに違いないと思った。梯結子という女性の、幼少期から大学卒業時までの話である。幼いときから彼女は、「理不尽だな―」「不便だな―」「もったいないなー」など「キモチワルイ」状況に陥った時に、何とかならないか考える癖があった。周囲をよく観察し、どうしたらよいかを自分の頭で考える。これは私の大好きな、賢い女の子の話である。地の文に、折々作者の意見や思い出が差し挟まれるのも御愛嬌。なんだか作者と二人で結子の成長を見守っているようで、なかなか楽しい読書体験だった。★★★★★
読了日:04月27日 著者:恩田 陸

三省堂国語辞典から 消えたことば辞典三省堂国語辞典から 消えたことば辞典感想
「三省堂国語辞典から消えたことば」であって、言葉自体がなくなったわけではないことを意識して読まないと、「コカ・コーラ」を見つけてぎょっとしたりする羽目になる。「士農工商」が消えた理由が、教科書に記述されなくなっているからというのにショック。「ながら族」が消えたのも、ショック。私は今でも音楽を聴きながら勉強しているので。どうも消えたのは「○○族」の「族」の意味らしい。最近は「○○系」「○○民」「○○界隈」などに代替わりした感を抱く、とあったけれど、「ながら族」はそれらに変えようがない、と思うのだが。★★★★☆
読了日:04月29日 著者:見坊 行徳,三省堂編修所

ヒジヤマさん 星の音 森のうた こうの史代短編集 (ゼノンコミックス DX)ヒジヤマさん 星の音 森のうた こうの史代短編集 (ゼノンコミックス DX)感想
遠距離恋愛の切なさとホロホロした脆さ…安定のこうの史代だなと、『小さな恋のうた』を読んで思ったのに、次の『星のふる里』の最後の3コマですべてをひっくり返され、さらに次はこうの史代が描く巨大ロボット物⁉引き出しの多さに驚愕する。核分裂を発見した女性科学者を描いた『リーゼと原子の森』は、長編でもう一度描いてほしい。一見クールビューティーなのに、一生懸命なわりに不器用すぎて、涙もろくて愛すべきヒジヤマさんのシリーズも好き。「孤独の淵はどこにでもある。あなたはこの淵に立つ誰かに寄りそう者になるのよ」作者のテーマ。
読了日:04月30日 著者:こうの史代


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