4月18日(金)
 
10さんに晩ご飯当番を言い渡される。
急遽決まったことなので特に買い置きもなく、近くの格安スーパーのカードを渡されたので、買い物に行った。
 
札幌だと格安スーパーになるけれど、東京のスーパーの価格の安さには、そして品ぞろえのよさの前には、哀しいほどしょぼいお店。
それでもフキとタケノコが安かったので、身欠きにしんとの炊き合わせを作ろうと思った。
ら、身欠きにしんが売ってない。
3周しても見つからないので、一夜干し氷下魚を代用することにする。
 
ニシンのうまみをぎゅっと濃縮した身欠きにしんに比べると、それでなくてもたんぱくな味わいの氷下魚の、一夜干しごときでは全然太刀打ちできなかった。無念。
 
以前買って冷凍しておいたツボ抜きイカが手つかずで残っていたので、ネギと炒めて中華風にしようかと思った。
長ネギ1本が158円。
そんな格安スーパーってある?
セロリ128円で代用する。
セロリの葉は後日また使うとして、茎だけなので70円くらいと考えて、まあOK。
これは結構おいしくできた。
ただし、私が偏愛する味覇(ウェイバー)が切れていたので、オイスターソースで中華風を醸し出した。
 
肉厚のスモークサーモンが結構な量で300円だったので、オニオンスライスと合わせてサラダにしてみた。
が、燻製臭はするものの、サーモンの風味は一切なかった。
多分解凍したサーモンの刺身が売れ残ったので、急遽燻製の香りづけをしたのだと思う。
安いものには理由がある。
 
私が作る晩ご飯は、たいていこのようにケチケチ料理で、しかも酒のあてになるものばかり。
だから10さん、なかなか晩ご飯を作らせないようにしているのかなあ。
 
ふきのとうやタンポポほど目立たないけれど、つくしも結構顔を出してきた。

 
 
 
 
本日の読書:アーモンド ソン・ウォンピョン

 

カバー裏より

『扁桃体が小さく、怒りや恐怖を感じることができない十六歳の高校生、ユンジェ。祖母から「かわいい怪物」と呼ばれた彼は、目の前で祖母と母が通り魔に襲われたときも、黙ってその光景を見つめているだけだった。事件によって一人ぼっちになった彼の前に現れたのは、もう一人の”怪物”ゴニ。激しい感情を持つその少年との出会いは、ユンジェの人生を大きく変えていく――。』

とてもとても良い本でした。

脳のなかの扁桃体(アーモンド)が小さく未発達なため、感情を持つことができない少年・ユンジェ。
母親は、なんとか「普通の子」に見えるよう、毎日訓練をするのだが、その意味すら彼には理解できない。
知能は普通なので、却って彼は周囲から気味悪がられることになる。

それでも、口の悪い祖母と明るい母に存分に愛されて育った彼は、幸せだった。
たとえその概念を彼が理解しないとしても。

十六歳の誕生日、通り魔に襲われて祖母が亡くなり、母は植物状態になってしまったユンジェは、大家さんであるシム博士の庇護のもと、一人で暮らしていく。

そんな時に出会ったゴニという少年は、幼いころに親の許から姿を消し、病気の母が亡くなる直前にようやく父親に見つけられた。
しかし、父が思っていた(つまり理想の)息子とはあまりに違うゴニに、父は、母に会わせることをせず、代わりにユンジェを息子として病床に連れて行った。
ゴニは父とユンジェに、永遠に母を奪われてしまう。

見知らぬ大人たちに引き取られては、存分な愛情を与えられず、その怒りや悲しみを暴力で表すしかなかったゴニ。
反発し、暴力をふるいながらも、徐々にユンジェに心を開くゴニ。
ユンジェは無感情。

「父さんは、俺が今までどうやって暮らしてきたかなんて、一度も聞かなかったんだ」というゴニのセリフが、どれほど愛情に飢えていたのかを如実に表している。
ゴニの感情に振り回されながらも、ユンジェは少しずつ感情というものを理解し、身に着けようと思い始める。

ゴニが最後に感情を爆発させたとき、二人の運命が大きく動く。

これは、「大人は自分のことを全然わかってくれない。わかろうとしてくれない」と思っている中高生に、ぜひ読んで欲しいと思う。
大人は本当にわかろうとしてくれていないのか?
仮に周りの大人が無理解でも、自分に対して誠実であるというのはとても大切なことで、「理解は出来なくてもそばにいる」存在に気づけたら、こんなに幸せなことはないよ。
そして、人は、自分は、成長することができる、ということを忘れないで。