3月16日(日)
2月に結構長引く風邪をひいたのに、またすぐに熱を出してダウンって、体の衰えって…しくしく。
と思いながら寝て起きたら、ほとんど治っておりました。
大きな地震の後に余震が来るように、大きな風の後の余邪だったのかもしれません。
食欲はないわけでもないが、特にお腹が空いたという気もしていない寝起き、10さんが用意してくれた朝食はミニトマト2個、バナナ1本、ヤクルト1本でした。
柵やから動いていないので、そのくらいの朝食で充分でした。
で、お昼。
「夜はうどんにしようと思ってるんだけど、お昼は何がいい?」
一応私の食欲に気を使ってくれているのが分かったので、「なんでもいいよ」と。
「じゃあ、おにぎりとかでいい?」
いいよ。
お昼前に図書館に行くときに、「やっぱりパン屋さんでサンドイッチでも買う?」
おにぎりの方がいいけど、まあさんどいっちでもいいや。「いいよ」
図書館帰りにパン屋に向かいながら「やっぱり、すき家でカレーでも食べる?」
なんでもいいとは言ったけど、カレーはないわ。
ならお昼にうどん食べて夜にカレーのほうがいいよ。
結局お昼はおにぎりで、夜はうどんになりました。
何なら少しお腹が空いていますけど…。
本日の読書:友罪 薬丸岳
カバー裏より
『あなたは”その過去”を知っても友達でいられますか?埼玉の小さな町工場に就職した益田は、同日に入社した鈴木と出会う。無口で陰のある鈴木だったが、同い年の二人は次第に打ち解けてゆく。しかし、あるとき益田は、鈴木が十四年前、連続児童殺傷で日本中を震え上がらせた「黒蛇神事件」の犯人ではないかと疑惑を抱くようになり――。少年犯罪のその後を描いた、著者渾身の長編小説。』
ジャーナリストになろうとしてなれず、食うに困って埼玉にある寮付きの工場で働くことにした益田。
同じ日に採用された鈴木とともに、寮生活を始める。
寮といっても、もともと一部屋だったものを薄いベニヤで壁をつけただけのような、狭苦しい3畳間。
隣の鈴木の部屋は益田の部屋とは違って押し入れはあるが、窓はない。
人とのつきあいを極端に避けるような鈴木に益田は声をかけ、徐々に鈴木は皆とうちとけてゆく。
言葉にウラオモテがなくまっすぐな正義感を持ち、妙に世間知らずの鈴木を、益田は好意を持って受け入れたのだが。
十四年前に日本中を震撼させた連続児童殺傷事件の犯人ではないかと疑いを抱いたことから、話は加速する。
その事件は益田の実家のすぐ近くで起こったもので、地元の、犯人の少年時代を知る人に、現在の鈴木の写真を見せたところから、世間が鈴木の正体を知るに至るまでの展開があまりに早くて、益田だけではなく、読者の私も戸惑ってしまった。
鈴木の会社の事務員で、過去から逃げながら暮らしている美代子は、鈴木の優しさに好意を抱く。
休みの日に映画を観たり、家に呼んでご飯を食べたり。
女性と付き合うということが分かっていない鈴木にとっても、その時間は安らぎの時だったと思う。
鈴木の正体が分かった時、一度は彼を拒絶したが、時間がたつにつれて、本当に彼と過ごした時間はおぞましいものだったのか?と考える。
彼の優しさは、不器用で世間知らずの正義感は、嘘ではなかったはず。
ジャーナリスト志望だった益田には、マスコミ関係に人脈がないわけでもなく、身近で見た「黒蛇神事件」の犯人についての記事の執筆を依頼される。
一度書いては見たものの、その影響の大きさを考えて記事を出さないよう頼むが、手渡された原稿は出版社の悪意のある情報などを加えられて、発表されてしまう。
なぜ、ジャーナリストを目指す益田が、記事を書くことを躊躇したのか。
それは中学生時代に自殺した友だちを、守ることができなかった悔いを今も抱えているからだった。
いじめられている友だちを見捨てた過去が、自分の記事で日本中の人たちから忌み嫌われ憎まれることになるのを、怖れたのだ。
また同じ過ちを…。
記事がでたあと、鈴木は姿を消した。
誰のことも、運命ですらも責めることなく、またどこかでひっそりと生きていくのだろう。
死に場所を求めて。
タイトルの『友罪』は、友の犯した罪、というほかに、友に対する罪という意味も含んでいると思う。
最後の最後に益田は、実名で鈴木あての手紙という形の手記を発表する。
匿名の告発ではなく、実名で。
自分にも火の粉が降りかかってくることは覚悟の上で。
自分がその立場になった時、過去の事件で友だちをだった人を切り捨てるだろうか?と考える。
そうではない、フェアな人間でありたいとは思っているけれど、犯罪者に対する嫌悪と恐れ、日本中の悪意に巻き込まれるかもしれないという不安に、立ち向かえるだろうか。
自分はそれほど強い人間ではないという自覚はあるが、理想が高いのも事実だ。
つないだ手を振り払うような人間ではないと思いたい。
最後まで、書かれているのは鈴木の周りの人々の気持ちだ。
鈴木が何を考え、どう感じているのかは直接には書かれていない。
ただ、鈴木は益田のことを初めてできた親友だと思い、誰のことよりも大切にしていたことが強く伝わってきて、余計に切なかった。