2月14日(金)
平日なので、昼間のすいている時間にミスドにでも行ってチョコレートのドーナツを買おうと思っていたのですが、昨日から体調不良につき外出を断念。
関空で買ったまま隠してあった神戸のチョコレートを10さんに渡す。(本来は自分用だったので特に包装はなし)
喜んでもらえて幸いです。
さて、最近気になる「とりあえずビール」はビールに失礼問題。
私は「とりあえず」という言葉がそれほど悪い言葉とは思っていません。
むしろ、「ほかのものはメニュー見て考えるけど、ビールだけは確定しているから、先にビールだけ早く持ってきて」という、やや前のめりな言葉だと思っていました。
念のために辞書を見ても、「まず第一に」「何はさておき」という、前のめりな意味しかありません。
しかし「とりあえずビール」でwikiってみると、『人によっては、「とりあえず」という表現が、ビールが他の酒類より格下に聞こえると感じ嫌がることもある。』って最後に書いてありますね。
でも、でもですよ、本来の語彙にないところで感じる人がいるからって、CMで断罪するか?
だって「とりあえず」には格を下げる意味なんてないんだから。
言葉は変化していくものだということは重々承知していますが、最近は本来の意味を知らないまま感覚で意味を変容させていく若者に、大人が追随することが多すぎるような気がします。
若者の流行は、飽きれば沈静化することもあるのだから、もう少し放置しておいていいんじゃないかなあ。
あと、別なCMですが、ずっと気になっていること。
カニ寄りのかまぼこは大当たりですが、かまぼこ寄りのカニはありえん!
毎回CMを見るたびに、松坂桃李くんに説教してます。
本日の読書:中国の死神 大谷亨
Amazonより
『中国の死神である「無常」。寿命が尽きようとする者の魂を捉えにくるこの冥界からの使者は、日本では無名だが中国ではよく知られた民間信仰の鬼神である。冥界と密接な関係をもつ廟で盛んに祀られ、その信仰は中国にとどまらず台湾や東南アジア各地にまで広がっている。「白と黒」のペアで存在することが多い無常は、謎の高帽子をかぶったり長い舌をダラリと垂らしたりと、強烈な視覚イメージで中国人のあいだに根づいている。だがその一方、無常がいつ、どの地域で、どのように誕生して現在に至るのか、なぜ人々は死神を拝むのか、そうした無常信仰に対する客観的な考察はこれまで十分になされてこなかった。本書は、2年半に及ぶ中国でのフィールドワークに基づきながら、無常の歴史的変遷を緻密にたどり、妖怪から神へと上り詰めたそのプロセスや背景にある民間信仰の原理を明らかにする中国妖怪学の書。貴重な写真をフルカラーで130点以上収録。』
以前から中国の神様とか神話に興味がありました。
というのも、天帝とか西王母のような存在はあるらしいのですが、どうもそれと宗教や信仰が私の中で結びつかないのです。
でもまあ、死神から勉強してみるか、と思って読んだのですが、思っていたのとはちょっと違う展開になってしまいました。
著者がテーマとして追いかけているのが「無常」という死神です。
ここで中国の世界観が関係してくるのですが、神様は基本的に天にまします。
しかし、寿命が尽きそうな人間がいると、部下に「迎えに行ってやれ」と命じます。
なんと神さまの世界は階級社会で、しかも官僚制です。
上司である神さまに命じられて迎えに来てくれるのが勾魂使者である「無常」なのでした。
あんまり死神っぽくな~い。
しかもこの無常、「白無常」と「黒無常」のペアが一般的なのですが、時代を遡ったり違う地域だったりすると「白無常」オンリーだったり、「ぶさかわ黒無常」との3人組だったりといろいろです。
そんなことから、「無常」とはなんぞや。
いつ、どこで、どのように発生したものなのかを、フィールドワークを中心に解き明かしていきます。
ちなみに中国思想では、神はすべて天に、人はすべて地に、死者はすべて地獄にいます。
善人も悪人も区別なく地獄。
ただし、悪人にはひどい仕置きが待っている、と。
そして善人は、まれに神さまになれたりもします。
私が中国の神様でよくわからなかったのがここです。
人間が修行して道士になったり仙人になったりするのはわかるとして、元が人間の神さま多くね?
清の時代の末期での「無常」の成り立ち。
貧しいけれども、盗んだものを母親に与えたりした孝行息子(?)が、死後にその善行(?)を認められて神さまになったとさ。
え?マジ?
じゃあ、ジャン・バルジャンなんて中国に生まれてたら神じゃん。
しかしもう少し遡って、清代の中期(日本だと江戸時代くらい?)に、山に棲む化け物がいろんな話とまじりあってできたのが「白無常」なのではないか、ということです。
ええと、つまり、それって日本だったら妖怪ってことでいいよね。神じゃないね。
あとがきで著者も、中国にはたくさんの妖怪がいるけれども研究が進んでいないと書いていましたし、やっぱ妖怪なのね。
それこそ民俗学みたいなものが中国にはなくて、どんどん近代化がすすめられているため、近い将来には非常に漂白されてきれいになったものしか残らないのではないかという危惧。
今こそ急いで中国の水木しげるみたいな人に頼んで(誰?)、絵と文で妖怪を紹介していかねば!
そして、結局のところ「無常」が現れてから2~300年くらいしかたっていないということ。
神としてはせいぜい100年ちょいくらい?
中国4000年の歴史を考えるに、あまりにも新しい神さまではありませんか。
民間信仰は民間信仰で祀ってはいるけれど、あくまでも現世での利益をお願いするくらい。
死後の安寧とかそんなもんは一切関係ない。
やっぱり中国人ってリアリストだなあ。