2月10日(月)

 

4日ほど家を空けただけなのに、ちょっとばかり違和感が漂う。

 

まずタオル。

私はローリングして使う最低分だけを脱衣所の棚に入れていたはずなのに、戻ってきたら棚がぎゅうぎゅうになっていた。

私が使う大き目のバスタオルと、10さんが使う小さめのバスタオルもごっちゃになっているし、フェイスタオルもサイズいろいろごちゃまぜで。

もちろんすぐに余分のタオルはしまいました。

それにしても、なんでも大量にあると安心する昭和の男10さんは、もはや親世代なのではないかと思うくらいこのあたりの価値観が違う。

 

それからハンガー。

洗濯物を干すのに使うハンガーも、形状ごとに分けてかごに入れているんだけど、入れ方が雑。

それでも、注意して形状ごとに分けて入れてくれるようになっただけましだと思った方がいいのかな。

以前は無計画ハンガー収納罪で逮捕したいレベルに雑だったから。

 

トイレのドアが閉めにくくなっていた件。

別に閉まらないわけではないけれど、少し抵抗感があるようになった。

10さんに言うと、私が帰ってきた晩からだというけれど、原因不明。

蝶番とかも見てみたけれども特に緩んでいることもない。

何らかの湿気でドアが膨張したのか?

2~3日様子を見て、自然に直るのを待つ作戦ということで、10さんと意見の一致をみる。

 

久しぶりに晩ごはん当番を仰せつかる。

You Tube見ながらご飯作ろうなんて思ったら、三宅香帆さんがコーチャンフォーの新川通店で本を買う動画が流れてきたので、つい見入ってしまった。

以前、コーチャンフォーの若葉台店で本を買う動画を上げていたけれど、よほど気に入ったのか、札幌まで来て(彼女は京都の方)お買い上げいただき、道民として大変うれしい。

 

絵本のコーナーだけで何列あるの!?

とにかく岩波の本が充実している!

と感動しまくりの彼女を見ていると、ご飯の支度をしている場合じゃない、一緒に感動しなくちゃという気になってしまった。

 

たまにコーチャンフォーの若葉台店で買い物する動画はあるけれど、こうやって北海道まで来てくれたのは彼女くらいじゃないだろうか。

私の好きな『本タメ』の二人は、若葉台店の雑貨コーナーだけでテンションが上がり1万円を使い果たしたので、仕切り直しで本だけを買うという、おかわり企画をやったりしたけど。

本好きにはコーチャンフォーの、一面の本棚という景色が何よりも楽しい。

道外の人もどんどん来てくれると嬉しいな。

 

 

 

 

本日の読書:逃亡くそたわけ 絲山秋子

 

カバー裏より
『「どうしようどうしよう夏が終わってしまう」軽い気持ちの自殺未遂がばれ、入院させられた「あたし」は、退屈な精神病院からの脱走を決意。名古屋出身の「なごやん」を誘い出し、彼のぼろぼろの車での逃亡が始まった。道中、幻聴に悩まされ、なごやんと衝突しながらも、車は福岡から、阿蘇、さらに南へ疾走する。』

21歳の女子大生である「あたし」は、もともと軽いうつ病の気があったのだが、突如躁に転換し、軽い気持ちで自殺を図る。
結果入院させられた病院は、拘束されているわけではないけれども、退屈だ。
ここにはいられない、と、財布と鍵だけ持って病院を脱走する。
たまたまその時中庭にいた「なごやん」を誘って。

「なごやん」なんて言うから、名古屋出身なんだろうとは思ったけれど、なんとなく小柄で猫背の貧相なおじさんかと思ったら、元慶応ボーイの24歳。
軽いうつということだけど入院しているのは、一人暮らしだからなんだろうか。
ちなみに「なごやん」というのは、故郷の名古屋を捨てた「なごやん」が愛する名古屋の銘菓の名前。

行き当たりばったりの逃避行は、疾走感と同じくらい閉塞感に満ちている。
どれだけ逃げても、病気は治らないのだ。
いずれ病院に戻されることになる。
さらに、九州の果てまで行ってしまえば、その先は車では行けないのだ。
飛行機で、船で、九州を脱出したところで、結局地球の重力からは自由になれやしない。

それでも、何かが吹っ切れて、たぶん二人は病院へ戻るだろう。
「なごやん」の退院は少し伸びてしまうかもしれないが、都会コンプレックスが減った分、故郷への愛着を自覚したのだから、まあまあよしとしよう。
会社に戻れるかはわからないが、社会へは戻れる。

「あたし」は多分まだ退院は無理だと思う。
幻聴・幻覚が本当に消えたのかもわからないし。

つまり、近い将来二人は別々の人生を生きていくことを互いに理解している。
もともと恋愛感情などもなく、行き当たりばったりの逃避行なのだ。
けれど、多少のお金は持っていたとしても、病気を抱えて不安だらけで、それでもふたりは一週間生き延びてきたではないか。

万引きだったり当て逃げだったり畑泥棒や無銭飲食もしたけれど、車中泊などもしながら、日帰り温泉にも入ったり、たまには贅沢にホテルに泊まったり。
そんなんでも、生きていけるんだなあ。
型にはまらなくても生きていくことはできるんだなあ。
という、謎のエールをもらったような気がした。