1月30日(木)
ずっと雪が少なかった札幌でしたが、今日はず~っと雪が降っていました。
いきなり30センチくらい?
まあ、雪まつりの前に雪が降って、雪まつりの頃は寒くなって雪が融けないっぽいから、気候としては正しいのだろうけれども…ドカ雪はやめれ。
いろんな人が迷惑するから。
降るならちびちびコツコツで頼む。
本日の読書:黄色い牙 志茂田景樹
読み応えありました~。
主人公の佐藤継憲が、軍縮の影響で一年で兵役を終えて故郷の山に戻ってきたところから始まる。
彼の家は代々続くマタギで、代々のほとんどがシカリ(集団で猟をするときの頭領のようなもの)を務めていた。
病に侵されている父親は、継憲が隣家の娘・八重と早く結婚してシカリを継いでくれることを望んでいるが、継憲は町の郵便局で働くさとと結婚したいと思っている。
生まれてからほぼ集落を出ることなく人生を過ごす露留(つゆどめ)の人々は、過去と同じ今日や未来を過ごせるものと思っているけれど、時代の流れがこの山奥の集落にも押し寄せてくる。
銅山や金山の採掘、山の樹木の伐採、軍の台頭と、ほぼ自給自足で生活してきたマタギの人たちが、そうは生きられなくなっていく。
その中で継憲がどうやって、マタギとしての矜持を保ち、減っていくマタギたちとどのように量を行っていくかを、非常に詳しく、目に見えるような描写で綴られている。
それと同時に、町の娘であるさとと両想いで結婚した継憲とは別に、幼いころから継憲にライバル意識を持っていた辰吉と、継憲に思いを寄せていた八重夫婦の愛憎。
人の気持ちというのは理性では如何ともしがたいので、しょうがないのだが。
辰吉に関係を強要されて子をなしてしまった八重は、辰吉への多少の情はあったのかもしれないが、最後まで思い続けたのは継憲だ。
そして辰吉はそんな八重の心を知っているから余計に八重に辛く当たるし、継憲や集落の人たちに対しても迷惑をかけ続ける。
まあ、要領よくおいしい思いをするときはひとり占め、何か問題が起こった時は仲間を見捨てて知らんぷりというような辰吉は、いくら銃の腕前がいいとしても、最初からシカリには不向きだったと思う。
時代が変わっても変わらない人の心。
時代とともに変わっていく人々の思い。親子関係も含めて。
ちょうだいな大河小説を擁んだような気になるけれど、大正の後期から第二次大戦中までの出来事だった。濃ゆい。
Amazonより
『近代化の波に洗われるマタギ社会のゆるやかな崩壊を、そのリーダーである主人公の波乱の人生を通して冷徹に描く。直木賞受賞作。96年刊の改訂版。』読み応えありました~。
主人公の佐藤継憲が、軍縮の影響で一年で兵役を終えて故郷の山に戻ってきたところから始まる。
彼の家は代々続くマタギで、代々のほとんどがシカリ(集団で猟をするときの頭領のようなもの)を務めていた。
病に侵されている父親は、継憲が隣家の娘・八重と早く結婚してシカリを継いでくれることを望んでいるが、継憲は町の郵便局で働くさとと結婚したいと思っている。
生まれてからほぼ集落を出ることなく人生を過ごす露留(つゆどめ)の人々は、過去と同じ今日や未来を過ごせるものと思っているけれど、時代の流れがこの山奥の集落にも押し寄せてくる。
銅山や金山の採掘、山の樹木の伐採、軍の台頭と、ほぼ自給自足で生活してきたマタギの人たちが、そうは生きられなくなっていく。
その中で継憲がどうやって、マタギとしての矜持を保ち、減っていくマタギたちとどのように量を行っていくかを、非常に詳しく、目に見えるような描写で綴られている。
それと同時に、町の娘であるさとと両想いで結婚した継憲とは別に、幼いころから継憲にライバル意識を持っていた辰吉と、継憲に思いを寄せていた八重夫婦の愛憎。
人の気持ちというのは理性では如何ともしがたいので、しょうがないのだが。
辰吉に関係を強要されて子をなしてしまった八重は、辰吉への多少の情はあったのかもしれないが、最後まで思い続けたのは継憲だ。
そして辰吉はそんな八重の心を知っているから余計に八重に辛く当たるし、継憲や集落の人たちに対しても迷惑をかけ続ける。
まあ、要領よくおいしい思いをするときはひとり占め、何か問題が起こった時は仲間を見捨てて知らんぷりというような辰吉は、いくら銃の腕前がいいとしても、最初からシカリには不向きだったと思う。
時代が変わっても変わらない人の心。
時代とともに変わっていく人々の思い。親子関係も含めて。
ちょうだいな大河小説を擁んだような気になるけれど、大正の後期から第二次大戦中までの出来事だった。濃ゆい。

