7月10日(水)
 
今日は前々から楽しみにしていた、『国宝鳥獣戯画 京都高山寺展』に行ってきました。
昨日の初日をあえて外して、平日の午前中という時間帯を狙って行ったのですが、結構混んでいました。
いやだけど、『浮世絵のヒロインたち展』もよさげじゃない?

 
鳥獣戯画部分は思ったより少なくて、『高山寺展』と思って行った方がいいと思いました。
なのにグッズは鳥獣戯画だらけで、大勢の人が殺到しておりました。
 
私は昔っから鳥獣戯画が好きで、文庫本カバーも、ハンカチも、付箋紙も持ってるんですよ。
で、好きすぎて、コラボが許せない。
たれぱんだも好きだけど、ミッフィーも好きだけど、onちゃんも好きだけど、鳥獣戯画の世界に入ってきてほしくない。
 
ってわけで、ちょっとお高かったけど買ってしまったTシャツとサコッシュ。
白いTシャツなんて着れないよぉ…。

 
背中はこの絵。
投げ飛ばされているのに、楽しそうに笑っているウサギがいいよねえ。
一番好きなのは、鼻をつまんで背面で川に飛び込もうとしているウサギなのですが、その部分はグッズになってなかった…。

 
お昼は芝漬け鬼おろしうどん。
うみゃい。にこにこ。

 
実は今日、SUICAと図書館の貸し出し券を落としてしまいました。
SUICAは何にも紐づいていないし、2000円か5000円しかチャージしないので、それほどのダメージはないはず。
それより図書館の券の方が困ってしまう。
道々落ちていないか探したけどなかったので、誰かに拾われたのは確実なんだけど、大したものじゃないからそのまま捨てられたらどうしよう。
 
だから私はマイナカードを持てないんじゃ。(カード落としがち)
 
 
 
 
本日の読書:春の夢 宮本輝

 

カバー裏より

『亡き父の借財を抱えた大学生、井領哲之。大阪にあるホテルでのアルバイトに勤しむ彼の部屋には、釘で柱に打ちつけられても生きている蜥蜴(とかげ)の「キン」がいる――。可憐な恋人とともに、人生を真摯に生きようとする哲之の憂鬱や苦悩、そして情熱を一年の移ろいのなかにえがく、青春文学の輝かしい収穫。』

なんとも感想が難しい。
1982年、のちにバブル経済とよばれる好景気の直前が舞台でしょうか。
中途半端に過去なので、ちょっとした違和感がすごく気になってしまう。

主人公は大阪の大学生だが、父が亡くなる直前に残した借金のため、京都にほぼ近いようなはずれのボロアパートに暮らし、ホテルのボーイのアルバイトで生活している。
借金取りに追われ、母親とも別れて身を潜めて暮らしているが、時々ちょっと贅沢だな、と思う部分もある。
贅沢をする、というのではなく、例えばホテルで出る賄いを食べずに帰るとか、お金を借りる相手をわざと怒らせて借りずに返すとか。
そんな場合じゃなかろう?って思うのだけれど。

生活の糧はアルバイトで得ているはずなのに、失恋したと思えば20日も仮病で休むし、スマホのない時代、無断欠勤も当たり前…だったっけ?

とはいえ、バブルの前なので、自己破産なんて知恵もなく、ホテルのボーイなのに借金取りに何度も顔をボコられても、割と普通に「酔っ払いにやられた」とか言って仕事してるし。
お客さん、びっくりしないのか?

など、突っ込みつつも、その極限で生きている大学生が、辛いことも経験しつつ腐らずに、誠実に、時には弱く、短慮だったとしても、明るい未来を思わせる終わり方なのは、さすが宮本輝というところでしょうか。

哲之がボロアパートに越してきた日、ケチケチ大家が電気の契約をするのを忘れていたため真っ暗な部屋で壁にくぎを打ったことで、壁に打ちつけられたままその一年間を生き通した蜥蜴が助演賞。
蜥蜴はただ生きているだけなのだけど、哲之がそれをもとに哲学的にいろいろ思索するわけです。
時に宗教であったり、時に自らの人生についてだったり。

それから哲之の彼女がかなりキュート。
女子大生のわりには懐が広く、かと思えば他の男性にちょっとゆれてみたり。

そして、最後の一行が秀逸。
このためにこの作品があるのではないかと思うくらいの、良いエンディングでした。