7月1日(月)

今月は遠出をしなかった代わりに、父の入退院とそれに伴う病院の付き添いで、思ったほど読書は進まなかったなあ。
在職中と同じレベルということは、これが私の適正読書量なのかもしれない。

22冊中、★5つは3冊。

ケイト・モートンの『湖畔荘』は、上下合わせての★5つ。
イギリスを舞台にしたミステリというだけで、もう優勝。
一筋縄ではいかない登場人物たちのやり取りだけでも十分読み応えあるのに、時代を行ったり来たりしたあげくにわかった衝撃の出来事!
幼児殺人事件じゃなくて本当によかったよ。

『流浪地球』は、古き良き時代のSF臭をぷんぷん漂わせた、現代SFなのですなあ。
スペースオペラのような爽快感、ブラッドベリのような詩情、ちょろっとデストピアの苦みもあって、つまり大好物。
微かに漂うオタク感もよし。

『ちいさなもみのき』
絵を描かない絵本作家としてのマーガレット・ワイズ・ブラウンの文章に、はずれなしといつも思う。
訳者が素晴らしいのもあるのでしょうが。
そして、素朴なバーバラ・クーニの絵。
この本において、これ以上の組み合わせはないでしょう。

次点として、『クリスマスに少女は還る』。
これ、最後まで読んだ時の納得感は★5つものなんだけど、前半があまりにも退屈だったので減点。
時間と心にゆとりがある方には、お薦めです。

そして、もう救いようがないくらい私の中では駄作となってしまった『NO.6』。
モノローグが多すぎるし、モノローグのトーンがみんな同じ。
不安を抱えているけれど、焦ってはいない。
非常事態なんだから、もっと焦ろよ。

2024年上半期の読書量としては、去年よりペースが鈍い。
退職したからといって無尽蔵に自由時間が増えるわけでもないのに、勉強やらパズルやらゲームやら、今まで抑えめだった好きなことに時間がとられがち。
今月は父に時間を取られると思うので、隙間時間を有効に読書に使いたい。

6月の読書メーター
読んだ本の数:23
読んだページ数:7389
ナイス数:843


友情よここで終われ (創元推理文庫)友情よここで終われ (創元推理文庫)感想
相変わらず一気読み必至のストーリーで、ぐいぐい読み進めてはいたのですが、今回はちょっと読みながら頭の片隅に違和感がちょいちょい顔を出しました。なぜみんな、周りの人に一言言わないの!?そうすれば何人かは死なずにすんだはず。ハイケが殺された理由がいまいち判然としない。そんな理由で?オリヴァーの家庭状況も恋愛体質もわたし的には不要。もう58歳、落ち着いて、無理をしないで生きなさいよ、と言いたい。あと、ドイツでも、認知症の親を自宅で一人娘が介護するんだ…と思った。★★★★☆
読了日:06月02日 著者:ネレ・ノイハウス

死の10パーセント: フレドリック・ブラウン短編傑作選 (創元推理文庫)死の10パーセント: フレドリック・ブラウン短編傑作選 (創元推理文庫)感想
フレドリック・ブラウンのSF短編全集が出たとき、どうしてSF限定なのだろうと思った。ミステリの短編もそこそこあるのに。『真っ白な嘘』とか好きだったので、なんとか頑張って全集を刊行してほしい。買うから。エド・ハンターシリーズは長編のイメージが強かったけど、短編もあったなあと懐かしく思い出した。『球形の食屍鬼』と『殺意のジャズソング』が特に好きかな。落としどころの意外性が。とにかく東京創元社さま、短編全集完全版をぜひ出版していただきたいのです。お願いします。★★★★☆
読了日:06月03日 著者:フレドリック・ブラウン

草を結びて環を銜えん (ケン・リュウ短篇傑作集4)
草を結びて環を銜えん (ケン・リュウ短篇傑作集4)感想
『烏蘇里(ウスリー)羆』というのは、エゾヒグマ、つまり北海道にいるヒグマのこと。これは、東アジアの文化というか死生観、自然観が色濃くて、日本人作家もこのくらい書いてくれないかなあと思いながら読んだ。作者は三毛別羆事件を知っていたのだろうか。そして表題作。これが白眉と思います。SFかどうかはさておいて。雀という少女の口から語られる緑鶸(みどりのまひわ)という遊女は、意地悪この上なく、人間以外の生き物にしか優しい目を向けない。が、読者にはわかる。緑鶸がどれほど命を張って雀を庇ってきたのかということを。★★★★☆
読了日:06月05日 著者:ケン リュウ

斑鳩宮始末記斑鳩宮始末記感想
この作品の価値は、時代設定の妙、にあります。大化の改新の前、聖徳太子が皇太子のころの日本を舞台に、殺人事件が起きます。この時代、人々はどう暮らし、何をどう感じ、何に価値を抱いて生きてきたのかが、事件の捜査を通してわかるようになっています。だからミステリとして読むと今一つかもしれませんが、古代史好きにはたまらんのです。蘇我・物部の争いから約10年。17条の憲法、冠位十二階制と、聖徳太子の考えで世の中の仕組みがどんどん変わっていく直前の時。この時代を舞台にした小説、もっと読みたい。★★★★☆
読了日:06月07日 著者:黒岩 重吾

逆ソクラテス (集英社文庫)逆ソクラテス (集英社文庫)感想
短篇それぞれのタイトルに否定的な語が付いているのが特徴。そして主人公はどれも小学校高学年の子ども。先入観にとらわれないこと、ピンチであっても一発逆転が起きることもあること、ものごとには自分が想像しなかった理由があるときもあることなど、大人にとっては当たり前のことが、みずみずしい心で新発見されたりするのである。それでも私は大人だからなあ。夢はかなう時があるし、努力は報われることがあることも知っている。だから、視点としては面白かったんだけど、あまりワクワクドキドキはしなかったんだよね。残念。★★★★☆
読了日:06月08日 著者:伊坂 幸太郎

NO.6〔ナンバーシックス〕♯7 (講談社文庫 あ 100-7)NO.6〔ナンバーシックス〕♯7 (講談社文庫 あ 100-7)感想
延々とモノローグで進められるストーリーがまどろっこしすぎて、うんざりしてきている。残りあと2巻しかないのに、まだ沙布の捕らわれた本当の意味が解らない。独裁者を狙う市長を陰で操っている人の正体もわからない。紫苑の父だと面白くなるなとずっと思っていたのだけれど、今さらそうなったとしても残り巻数が少なすぎて、書き込み不足になりかねないから、もういいや。多分私は、作者が必要以上に登場人物にのめり込みすぎると、却って冷めてしまうのだ。あと2巻だから、これは頑張って読むけれど。★★★☆☆
読了日:06月09日 著者:あさの あつこ

遭難者の夢―家族狩り〈第2部〉 (新潮文庫)遭難者の夢―家族狩り〈第2部〉 (新潮文庫)感想
登場人物の多くは、第一部からほとんど進展がない。ただ、高校の美術教師をしている浚介は、第一部でほとんど接点のなかった教え子に冤罪を着せられ、殺人事件の発見者となったあと、酒に酔って家に帰る途中若者たちに暴行を加えられ、心に大きな傷を負うことになる。私は刑事の馬見原の、家族に対する不誠実な態度が好きになれないのだけだけれど、あとがきで作者が、幼い頃宮崎県の馬見原という地名に救われたと書いていたので、どこかで家族を救うことになるのだろうか。今のままではだれも幸せではない。そして、最後にまた陰惨な事件の描写。★★★★☆
読了日:06月10日 著者:天童 荒太

ピュア・ラブ〈3〉飛翔篇ピュア・ラブ〈3〉飛翔篇感想
木里子と陽春の恋愛がとうとう成就する最終巻。彼らの恋の障害になったのは、木里子が白血病にかかり再再発の可能性があるということと、陽春が修行中の禅僧であるということ。最終巻は、木里子に恋のライバル現る、という、今までの障害からするといかにも小粒感漂う話。納得いかないのは、木里子が結婚を逡巡する理由として、自身の病気のことと、お寺での生活作法について無知であることの不安だけで、教師生活とどう両立させようなどとはまったく悩んでいなかったこと。なんというか、人間性が薄っぺらくて、どうしても好きになれませんでした。★★★★☆
読了日:06月11日 著者:宮内 婦貴子

ミステリと言う勿れ (14) (フラワーコミックスα)ミステリと言う勿れ (14) (フラワーコミックスα)感想
ちょっと待って、ちょっと待って!池本刑事の横にいるエア整くんは面白かったけど、そうじゃなくて!我路くん、ついに的に正面から向かうことにしたのもちょっとドキドキするんだけど、そうじゃなくて!彼の正体!!整くんとも無縁じゃなかったし、何より天達先生、あなたはいったい何者なんですか?
読了日:06月11日 著者:田村 由美

おいしおす 京都みやげ帖おいしおす 京都みやげ帖感想
京都に行きたいと思っている。この本は20年も前の本なので、さすがに直接参考にはできないが、それでも弘化4年<江戸末期>創業のお店があったりなんかするかもしれない。とりあえず錦市場には行くことにする。野菜と漬物は旬のものがあったら買いたい。鯖の浜焼きも美味しそうだけど、持って帰るのは無理そうだから宅配便で送ろう。あと、柳桜園茶舗のかりがね茶は絶対欲しい。パッケージの鳥獣戯画がかわいすぎる。それとは別に、宇治のお茶は欲しいよね。自分へのお土産目当てで京都に行く。そういう旅があってもいいじゃないか。★★★★☆
読了日:06月12日 著者:沖村 かなみ

湖畔荘 下 (創元推理文庫 M モ 8-6)湖畔荘 下 (創元推理文庫 M モ 8-6)感想
玉ねぎの皮をむくように、少しずつ明かされる真実から目を離すことができなかった。誰もが大切な家族を守りたかっただけなのだ。だからみんなが秘密を抱えることになり、事態は複雑を極めることになる。ゴシック・ロマンス風に始まった物語だったけど、大河小説並みの家族小説に落ち着きましたな。それにしても、あれがそう繫がりこうなりますか!の連続で、セイディとピーターの間にさえ、何かかかわりがあるのかと勘ぐってしまったよ。ほんの小さな違和ですら、あとから思い返せば「そういうことだったのか!」と膝を打つことになる。★★★★★
読了日:06月13日 著者:ケイト・モートン

バールの正しい使い方バールの正しい使い方感想
何の予備知識もないまま、タイトルに惹かれて読んだ。ずっと気になっていたのだ。ニュースで言われる「バールのようなもの」って何?その謎が、ついに解き明かされるかと思って読んでみたのだけれど、作中の子どもたちはみんな「のようなもの」に反応して、「バール」については周知のことのようだった。ほんの数カ月足らずで転校を繰り返す要目礼恩(かなめれおん)。これはその彼の、小学校4年生から6年生にかけて経験した、嘘をめぐる話だ。しかも、どの話も子どもと死との距離がごく近い。これは、大人を信じたい子どもの話でもある。★★★★☆
読了日:06月15日 著者:青本雪平

むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。感想
一応短編集で、各話に直接の繫がりはありませんが、同じ世界の出来事として周知の出来事になっています。例えば、日本に(地球に)初めて探偵という概念を持ち込んだのはかぐや姫。で、最後の『猿六とぶんぶく交換犯罪』で名探偵まで登場しちゃいます。字面を見ただけでは気づかなかったのは迂闊でした。名探偵・猿六と助手の綿さん。(ふたりとも猿)お気に入りは『わらしべ多重殺人』。平安時代を舞台に、結構最近の世相を入れ込んでるなあ、なんてのんきに読んでいたら、しっかりと叙述トリックにやられました。上手い!★★★★☆
読了日:06月16日 著者:青柳 碧人

銀のシギ (ファージョン作品集 6)銀のシギ (ファージョン作品集 6)感想
風車小屋に住む粉屋のコドリングかあちゃんは、女手一つで6人の子どもたちを育てています。と言っても多分男の子4人は成人で、娘のドルは18歳、末娘のポルは12歳。そのドルが、家族が働いている間に全員のお昼ご飯を食べてしまいます。これはイギリスの話なので、元ネタは『トム・ティット・トット』だとわかります。でも、大きく違うのはドルの妹のポル。彼女は黒くて禍々しい小鬼に捕らえられた銀のシギを助けます。ポルは姉を救うため小鬼を探しに出かけますが…。という後半が、ファージョンのオリジナル。作中おとぎ話の真実が素敵。★★★★☆
読了日:06月17日 著者:エリナー・ファージョン

流浪地球流浪地球感想
『三体』シリーズで壮大な世界を見せてくれた劉慈欣の短編集。『流浪地球』は、ぜひ萩尾望都のマンガでも読みたい繊細な心理描写と茫漠たる世界。もしかするとユーモアSFなのかもしれないけれど、一番怖かったのは『呪い5.0』。世界中がインターネットで繋がれ、データがクラウド上に置かれ、AIがプログラムを自動生成できる時代…って今じゃん!悪意を持った誰かが巧妙にその悪意をプログラミングすれば、あとは自動的に悪夢が増殖していく。『中国太陽』は、『三体』のエピソードに組み込まれてもおかしくないね。この話、好きだなあ。★★★★★
読了日:06月20日 著者:劉 慈欣

ブラックサマーの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)ブラックサマーの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
600ページ以上もあるのに、一気に読まされてしまう。なぜなら主人公であるポーが、冤罪事件を起こしたと糾弾され、仲間からの信頼は絶大とはいえ、対外的には絶体絶命に追い込まれているから。最終的にポーが逮捕されないだろうとはわかっているのだけど、どうやってこのピンチを切り抜けるのか。冒頭のシーンまでたどり着いたとき、思ったよりも残りのページが多かったので、もうひとひねりあるなと思ったけれど、さらにその下に真実があるとは驚いた。そして、実の父親が娘を殺害するに至った理由とその手段のおぞましさに、震える。★★★★☆
読了日:06月21日 著者:M W クレイヴン

笑うスイ-ツゴ-ジャス・カワイイ笑うスイ-ツゴ-ジャス・カワイイ感想
割と初心者に手厚い記載。卵は指示がない限りLサイズを使用とか、バターは支持のない限り無塩のものを使用とか、スイーツづくりには常識なのかもしれないけれど、私は知らないことが多くて勉強になりました。銘菓「ひよこ」を使用した『トリケラチップス』とかチョコバナナなんだけど『コーティングペンギン』とか私にもできそう。一から作る方でも、「白玉粉で作る草餅」で作るカエルの『ケロッパーズ』とか、『マシュマロン』や『パンダンゴ』など、私でも作れそうなうえにかわいいスイーツだらけで、写真を眺めているだけで和みました。★★★★☆
読了日:06月22日 著者:ルコラニコラ,中村 史

NO.6〔ナンバーシックス〕♯8 (講談社文庫 あ 100-8)NO.6〔ナンバーシックス〕♯8 (講談社文庫 あ 100-8)感想
この話の主人公は紫苑じゃないのでしょうか?私はそのつもりで読んできたのですが、どうも作者はネズミを主人公と考えていたようです。NO.6に侵入したのは、沙布を救出するためだったはず。紫苑が主人公なら、そうなる。しかし沙布との再会シーンは最初の一章で終わり。詳細な描写の一切ないふわふわした台詞と、冗長なモノローグのあと、紫苑とネズミは沙布の導きでNO.6のマザーコンピュータを破壊して、矯正施設からの脱出を図る。NO.6の破壊こそがネズミの目的だった。そして今のところ反撃なし。なんだかなあ。★★★☆☆
読了日:06月23日 著者:あさの あつこ

贈られた手―家族狩り〈第3部〉 (新潮文庫)
贈られた手―家族狩り〈第3部〉 (新潮文庫)感想
主要な人物たちの状況に大きな変化はない。ただ、游子は児童福祉の仕事に行き詰まり、両親も彼女の大きな負担となっている。そしてさらに近所に住む祖父までが…?浚介も、彼とは無関係に次々身近で起きる事件のせいで、学校での居場所が失われかけている。しかしその反面、彼だけは、少しだけ世の中に対する自分の無力を言い訳に無関心を貫いてきたことが、間違っていたのではないかと思いはじめる。彼はもう、大丈夫じゃないかなあ。亜衣が自傷行為から家族への暴力へと移行しそうで心配。★★★★☆
読了日:06月24日 著者:天童 荒太

ちいさなもみのき (世界傑作絵本シリーズ)
ちいさなもみのき (世界傑作絵本シリーズ)感想
男の人がもみの木を家に持ち帰るために森に来た。病気で歩けない自分の坊やのために連れて帰るのだ、と大きな穴を掘り、丁寧に根を包みこんで、家に持ち帰る。文章も絵も、シンプルだけれど濃やかで、温かくて、うっとりその世界に浸っていたら、ある年の冬…。”クリスマスなしでは、このよは、ただ、おおきく、つめたく、からっぽにみえました。”欧米の人の考えるクリスマスは、日本人の考えるクリスマスより、よほど大きく大切なものなのでしょう。そしてもちろん、大人が考えるような悲しい結末にはなりませんでしたよ。★★★★★
読了日:06月25日 著者:マーガレット・ワイズ ブラウン

クリスマスに少女は還る (創元推理文庫) (創元推理文庫 M オ 4-1)
クリスマスに少女は還る (創元推理文庫) (創元推理文庫 M オ 4-1)感想
200ページまで読んでも、誘拐された少女たちの話が見えてこない。あくまでも親や警察など、大人の話で。なので前半しばらくびくびくしながらも退屈でした。でも。少女たちの状況が見えてくるにつれて、目が離せなくなりました。たった10歳の少女たちが、自分の知っていること、できることを総動員して、二人で生きて帰ろうとする。心も体も傷だらけで、それが癒えることは当分ないのだろうけれど、それも含めて自分を受け入れて成長してほしいと思った。★★★★☆
読了日:06月27日 著者:キャロル オコンネル

雪まろげ: 古手屋喜十 為事覚え雪まろげ: 古手屋喜十 為事覚え感想
古手屋というのは、今でいう古着屋。主人公の喜十はそのかたわら同心の手下でもある。最初の『落ち葉踏み締める』がとにかく良くて。14歳の新太は、父親亡き後5人の弟妹を母と二人で食わせていかなくてはならない。新太が不憫で不憫で、途中から決して幸せになれないであろうと予想しながら、なんとか幸せになるよう祈りながら読んだのに。一応それぞれの話は独立しているのだけど、最後の話は新太の弟妹の運命を大きく変える話となっている。泣けて泣けてしょうがなかった。でもきっと、彼らの未来には笑顔があふれていると信じている。★★★★☆
読了日:06月28日 著者:宇江佐 真理

辮髪のシャーロック・ホームズ 神探福邇の事件簿辮髪のシャーロック・ホームズ 神探福邇の事件簿感想
何も知らずにタイトルに惹かれて読みました。間違いなくシャーロック・ホームズのパロディだろうと思ったのですが、ちゃんとミステリになっているうえに、本家のホームズと同じ時代の香港の歴史までがふんだんに書かれていました。実際の中国語で書かれたホームズやワトソンの表記を、世界観に合わせてちょっとだけ変えているというのは、あとがきを読むまで分かりませんでしたが、漢字って便利なもので、なんとなく元の名前も浮かんできます。例えば福邇の家の住所は「荷李活道(ホーレイウッドウ)二百二十一号乙」。次巻も楽しみ。★★★★☆
読了日:06月30日 著者:莫理斯 (トレヴァー モリス)


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