4月25日(木)

 

今日は元職場の後輩が札幌に来たので、ランチをしてきました。

明日は一日学会のお仕事ということで、今日は大学生の息子さんとの待ち合わせまでの3時間、ランチしてお茶して、ずーっとおしゃべりしてきました。

楽しかった。

 

彼女とは平成3年につくば市で知りあいました。

共に異動してきたばかりで知り合いもいなくて、隣同士の執務室だったので、毎日彼女の席で一緒にお昼を食べたのでした。

4歳年下ですが、不思議と話が合うのです。

 

奈良県出身の彼女はちょっとおっとりしていて、めちゃくちゃ賢いのに、なんか守ってあげたくなっちゃう。

でも、いつも私の方が助けられていたかもなあ。

 

育休の一年間で職場のネット環境が整備されたとき、戸惑わないように事前に手紙で教えてくれたり。(でも、めちゃくちゃ戸惑ったけど)

「マッピーさん、職場が事務所からオフィスになりました」←どゆこと?っておもうよね

 

途中から、行政職ではなく研究職に変わったので、仕事での付き合いはほとんどなくなり、彼女も結婚して子育てして私も北海道に異動になって年賀状だけの付き合いになったけど、この前の私の単身赴任で、また付き合いが少し復活して。

 

私ががんの手術のあと自宅療養するときに、「しんどいときは笑うに限ります」と『のだめカンタービレ』を貸してくれたのですが、「何冊か抜けている巻がありますが、問題ありません」って、本当に3冊抜けてたのにはびっくりしたよ。

本当に問題なかったのにも、またびっくりしたけど。

で、「体力大事」って、天気がいいとお昼ご飯のあと「お散歩しましょ」って誘いに来てくれて。

 

このあいだ、退職のご挨拶に行ったときにはじめて「メールアドレス交換しましょう」ってなったのには、笑っちゃった。

30年以上の付き合いなのに、一度もメールの必要性を感じなかったんだなあ。

 

今日も、最初の内こそ、仕事の話や子どもの話、親の話に自分の老後の展望など、まあ割と年相応の話はしたのですが、結局『グインサーガ』だとか『三体』だとか『ゲーム・オブ・スローンズ』だとか『地球へ…』だとか『ポーの一族』だとか『薬屋のひとりごと』だとか『BASARA』だとか『王家の紋章』『悪魔の花嫁』『ガラスの仮面』だとか…止まらないんだわ。

あと美術館や博物館の話なんかも。

なんでこんなに話が合うんだろう。

 

あっという間だったなあ。

楽しかったなあ。

次、いつ会えるかなあ。

 

 

 

 

本日の読書:海を見る人 小林泰三

 

カバー裏より
『「あの年の夏祭りの夜、浜から来た少女カムロミと恋に落ちたわたしは、1年後の再会というあまりにも儚い約束を交わしました。なぜなら浜の1年は、こちらの100年にあたるのですから」――場所によって時間の進行が異なる世界での哀しくも奇妙な恋を描いた表題作、円筒形世界を旅する少年の成長物語「時計の中のレンズ」など、冷徹な論理と奔放な想像力が生みだした驚愕の異世界七景。SF短篇の名手による珠玉の傑作集。』

目次
・時計の中のレンズ
・独裁者の掟
・天獄と地国
・キャッシュ
・母と子と渦を旋(めぐ)る冒険
・海を見る人
・門

最初はとても読みにくかった。
世界のありかたがよくわからなくて。

『時計の中のレンズ』は、陸続きでありながら重力の異なる世界を旅する一族の話。
重力が異なれば、生物の発達の方向も違って来るわけで、そうなると同じ種族でありながら生まれる家畜の生存率が非常に低くなり、それは一族の死活問題となってくるのだ。
という話なんだけど、〈歪んだ円筒世界〉だとか〈楕円体世界〉だとか、生物の〈かたもの細工〉〈やわもの細工〉人間を含む〈ぬれもの細工〉って、なんなの?とか、理解が全然追いつかない。

それでも、『独裁者の掟』『天獄と地国』と読み進めるうちに、これははるか遠い未来のパラレルな世界なのか?と思いはじめる。
正解かどうかはさておいて、自分の中で整理がつけば、あとはさくさく読むことができる。
間違っていれば、その都度修正しながら読めばいいのだから。

『キャッシュ』から、愛情と論理が対峙することで生まれる亀裂、それをクールに受け止めることも哀切をもって受け入れることもできるように書かれた作品世界にどっぷりと浸かる。


特に、『キャッシュ』は、今の時代の方がより説得力を増すかもしれない。
人間なら当たり前すぎてプログラミングしなかったことで起きる、致命的なバグ。
人類に、いや生物にとっては自明なことも、AIにはプログラムしなければ理解できないこと。
自己流の解釈で対応したばかりに…。

『母と子と渦を旋る冒険』は、子どもの健気さと、母の冷やかさが哀しすぎる。
『海を見る人』の、日常的にウラシマ効果の起こる世界って嫌だなあ。
ロミオとジュリエットよりも切ない。
『門』は、ネタバレになるかもだけど、大姉の正体がわかったところでオチがわかってしまった。
これはハッピーエンドといっていいの?

超伝導とか超光速とか、相対性理論とか量子力学とか、設定がいちいち難しくても気にしないで読めば、そのうち感覚がわかってくる。
作者は「電卓片手に読めば物語の裏側がわかる」とおっしゃいますが、表側だけでも十分面白かったです。