4月9日(火)

長男と娘が家を出る時に置いていった貯金箱。
自由に使ってくださいと許可はもらっていたものの、いくらあるのかわからん状態で適当に使い始めるわけにもいかず、そのまま放置していました。
 
今日ようやく、それぞれの金額を確認しました。
ちなみに右が娘、左が長男の残したもの。

 
長いこと放置していたので、サビたりカビたり汚れたりがひどい。
なのでまず、マネーロンダリングを敢行。
一円玉以外は酢水に5分ほど漬ける。…と言いつつ、一円玉もあるじゃないか。

 
一円玉は古い歯ブラシに歯磨き粉をつけてこすり洗い。
爽やかな香りが嬉しい。

 
数えた結果は以下の通り。
二人にも写真を送って、感謝の言葉も添えました。

 
 
 
 
 
本日の読書:夏物語 川上未映子

 

Amazonより

『大阪の下町で生まれ小説家を目指し上京した夏子。38歳の頃、自分の子どもに会いたいと思い始める。子どもを産むこと、持つことへの周囲の様々な声。そんな中、精子提供で生まれ、本当の父を探す逢沢と出会い心を寄せていく。生命の意味をめぐる真摯な問いを切ない詩情と泣き笑いの筆致で描く、全世界が認める至高の物語。』

これは、売れない小説家の夏目夏子が、自分の子どもに会いたいと、精子提供により一人で子供を出産することの物語である。
が、私の心に刺さったのは、そのことではなかった。

二部に分かれたこの作品の第一部は2008年の夏が舞台。
第二部は2016~2019年の夏。

第二部では小説家になった夏子が、なんとか暮らしていけるようになり、作家仲間や編集者と付き合ううちに、急にわが子という存在が欲しくなり、悩み立ち止まりしながら出産を決意する。
作者が書きたかったのは、精子提供で生まれてきた子どもの存在なのだと思う。

父親と信じていた人が他人だったという衝撃。
デリケートな問題ゆえ、必要最低限の人にしか明かされることはなく、長じた子供が実の父を探そうとしても探すことのできないシステムの闇。
それも衝撃的な内容ではあった。
けれど私は、第一部の印象の方が圧倒的に強かった。

第一部では、父が出て行き、祖母や母が亡くなり、親代わりだった姉の巻子が小学生の娘の緑子と一緒に大阪から上京し、夏子のボロアパートに2泊した時の話だ。
家族の縁が薄かった姉妹は子どもの頃から働きづめで、なのに巻子はやっぱり娘を女手一つで育てていて、負の連鎖のような生活をしている。
夏子は小説家になりたくて上京し、バイトをしながら生活しているが、家賃を3ヶ月も滞納している。

だが、貧乏がデフォルトなので、巻子にも夏子にも悲壮感はない。
と言うよりも、大阪弁での二人の会話には、そこはかとないユーモアが漂っている。

そこに、緑子の存在。
彼女は、半年前から母と口をきかない。
理由には心あたりがない巻子。
必要なことは筆談で、必要のないことは一方的に大阪弁で語りかける巻子は、実にたくましい母である。

緑子が常に持ち歩いているノートに記された緑子の気持ち。
自分がいるばっかりにお母さんが苦労しているのはわかるので、早く大人になりたいと思っている。
けれども、気が緩むと言ってしまいそうになる「なんで私なんかを生んだのさ!」。
これを言ってしまったら、「生みたくて生んだわけじゃない」と言われてしまうかもしれない。
それが怖くて緑子は母親と会話ができなくなってしまったのだ。

この緑子の気持ちが、勝手に不安になって、勝手に悲しくなって、喋れなくなってしまった緑子の気持ちがとても丁寧に描かれていて、緑子の気持ちに包まれたまま窒息して死ぬんじゃないかと思うくらい、胸が苦しくなった。

第一部の最後に緑子の気持ちが解放され、第二部で緑子は女子大生として母と仲良く暮らしている。
第二部では、夏子も逢沢君も善百合子もそれぞれ重たいものを抱えているけれど、なんだかんだ言って彼らは大人なので、どうしても私は緑子の方に肩入れをしてしまう。

『ヘヴン』とこれしか読んでいないけど、この作者、青少年の不安や怒りや絶望を書くのが上手いと思った。