娘の家で見たテレビCM。

最初なんのCMなのかわかりませんでしたが、ついつい引き込まれて見入ってしまいました。

見終わってブラボー!

いいCMでした。うるうる。

他人事とは思えん。

 

 

 

 

本日の読書:阿弥陀堂だより 南木佳士

 

カバー裏より
『作家としての行き詰まりを感じていた孝夫は、医者である妻・美智子が心の病を得たのを機に、故郷の信州へ戻ることにした。山里の美しい村でふたりが出会ったのは、村人の霊を祀る「阿弥陀堂」に暮らす老婆、難病とたたかいながら明るく生きる娘。静かな時の流れと豊かな自然のなかでふたりが見つけたものとは……。』

売れない作家の孝夫は、心の病に罹った妻の美智子の療養も兼ねて、故郷の信州に戻ることにした。
不器用ながら田舎暮らしをしていくうちに、挫折を知らないエリート医師だった妻の、病以降の屈託がほどけてゆく。

集落のはずれで村人の霊を祀るおうめ婆さん。
山の上にある小さな阿弥陀堂に住み、ほぼ自給自足で暮らしている。
役場の若い事務員、小百合がおうめ婆さんに取材しまとめたものが、村の広報誌の中のコラム『阿弥陀堂だより』だ。

おうめ婆さんから、余分な力を抜いて自然体で生きることを教わる孝夫と美智子。
病気の再発で再び死と向かい合う小百合。
小百合の治療をすることで、医師としての自信と責任を取り戻す美智子。
そんな彼女たちの姿を見て、衒うことなく文章を綴りはじめる孝夫。

抱えているものはそれぞれに重いのだが、おうめ婆さんの飄々とした語り口がそれを軽やかにしてくれる。
おうめ婆さんが出てくるだけで、読んでいても顔がにこにこしてくるのがわかる。
こういう年の取り方をしたいと思う。
もう少し物欲を捨てて。