今日は私が晩ご飯当番だったので、メインはおみやげ丼。
海鮮の下に埋もれて見えにくいけど、ご飯の上には長男の韓国みやげの韓国海苔。
海鮮の上には、明太子、辛子高菜、わかりにくいけど牡蠣の食べるラー油。
これは私の九州みやげ。
 
おかずは冷蔵庫にあった野菜を適当に使って。
春菊半額と手羽元格安と合わせても、お財布にやさしい。
なんならお刺身のそいとホタテも安かった。
サーモンは定価だけど、彩り要員で。

 
 
 
 
 
本日の読書:流浪の月 凪良ゆう

 

カバー裏より

『家族ではない、恋人でもない――だけど文(ふみ)だけが、わたしに居場所をくれた。彼と過ごす時間が、この世界で生き続けるためのよりどころになった。それが、わたしたちの運命にどのような変化をもたらすかも知らないままに。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。本屋大賞受賞作。』

小児性愛者の大学生が、小学生の女の子を誘拐した。
だけどそれは、世間が思っているような関係ではなかった。
事前に知っていたのはこれだけ。
まあ、感動作なんだろうなあと、少し冷めた目で見ていた。

誘拐された少女・家内更紗の視点で語られる家族の姿は、まるで江國香織の小説のようだと思った。
自由気ままで、好きなことしかしない、ちょっとおしゃれで、夫婦というより恋人のような夫との関係。
晩ご飯にアイスクリーム。
たまにはいいよ。
でも、育ち盛りの子どもの食事に対して、栄養バランスなんて考えていない。
もちろん愛していはいるんだけど、大人になるまで育て上げるという覚悟は感じられない。

かろうじて常識的に世の中とつながっていた父が亡くなってから、更紗の生活は一変する。
帰ってこない母。
伯母の家に引き取られ、居場所のない恐ろしい日々が始まる。

文は、最終的に自分を破滅させることになるだろうとわかって、更紗を受け入れた。
居場所のない辛さ、本当の自分を出せない辛さを嫌というほど知っていたから。
破滅することで、真実が明らかになることで、自由になれるのではと思った。

ネットにさらされた個人情報は、それが真実だろうとデマであろうと消えることはない。
そして、人々は信じたいことを信じたいように信じてしまうものなのだ。
悪意を持って翻弄する人だけではなく、善意の人たちにも信じてもらえないもどかしさ。
多分こっちの方がきついよね。

善意の人たちがするべきことは、素早く正解を教えてあげることではなく、彼女の言葉に耳を傾けることだ。
何を言っているのかわからなくても、わかろうと耳を傾ける。
正解や正論では救われない人がいることを、善意の人々は忘れてはいけない。

最後に文の恋人(のような存在)だった谷さんと思しき人が〈北極星〉という名前で〔彼が本当に悪だったのかどうかは、彼と彼女にしかわからない〕とネットに書いたことの意味。
人に追われて流浪の生活を送らざるを得ない更紗と文に対して、自らの位置を変えることなく道を示す北極星がそのようなことを書いた、というのがひとつの答えのような気がした。
途中ちょっと更紗の行動が気味悪く感じられたところもあったけど、当人同士が納得ずくならいいのかな。

もうひとつ。
更紗の母が更紗を置いて遊び歩いたのは事実として、家に帰ってこなかった理由が明記されていないけど、わたしは何らかの事故か事件に巻き込まれて帰れなかったのではないかと思っている。
だって、あんなに愛した人との子どもだよ?
そして、そんな無責任な女だったら、更紗の父は彼女を愛さなかったと思うんだよね。
だって単なる自己中じゃん。
だから、どこか山の中か海の底か知らないけど、更紗の母はそこにいるんじゃないかなと思いたい。