元日早々大きな地震と津波のニュースが飛び込んできましたが、みなさまの地域は大丈夫でしょうか。
10さんの実家をはじめとして、何人か北陸在住の知り合いがいるので、結構心配しています。



とはいえ、現状私にできることはないので、今のうちに12月の読書記録をつけておきます。

12月は何とか20冊読めましたが、薄い本が多かったので、ページ数としてはとても少なかったです。
というのも、12月はイベントが多かった。
めったにない飲み会がいくつか。
家のあれこれ。
Hey!Say!JUMP関係。

今月は心を入れ替えてガンガン読みたいところですが、今日既にほとんど読めてない。
お酒も飲んでないのに、とろとろ寝てたからね。
そして、今週末に新たに借りる本が分厚い本ばかり。
で、またHey!Say!JUMPのライブがある。
読めるかなー。
心を入れ替えるのは2月からにしようかなー。(元日の抱負!)

★5つは4冊。
『日本の同時代小説』
小説を読む時に時代性というのを意識したことがない。
もちろん無意識には感じているはずだが(じゃないと江戸時代にミニスカートなんてことになってしまう)、改めて、この作品が発表されたとき、日本はこういう時代だったのだな、と思うのは、同時代に生きているはずなのにうかつな自分に気づくことだ。

『いつか王子駅で』
繊細で精妙なのにくどくない。
こういう文章を書けるようになりたいと、堀江敏文の本を読むといつも思う。
どうやったらこんな文章を書けるようになるんだろう。

『米澤屋書店』
出版された時から、読みたくてたまらなかった本。
ブックガイド的な本はたいてい好きだけど、なんたってミステリ中心だもの。
読みたい本が大量発生して困る。

『白鳥とコウモリ』
分厚い本だけど、先が気になってぐいぐい読んだ。
良かれと思った行動が思わぬ事態を招いてしまう。
事態を悪化させたのはすべて善人と言われる人たちで、悪人の方はちょっと一面的な書き方だったけれど、作者が書きたかったことは十分に伝わった。
年の瀬によい本を読んだなあ。

それに対して、★3つも3冊。
先月は振れ幅が大きかったな。
情緒不安定か?

『なしくずしの死 下』
これは私が悪い。
この本を味わう素養を私が持っていなかったのだと思う。
どうしても、不潔描写が無理だったので。
だけど、思考だだ洩れ小説って割と好きな分野だし、心身ともに調子が良くて、時間がたっぷりあったら、また違った感想になったかもしれない。
断片としては面白い部分もあった。

『エンドレス・ワルツ』
これははっきり嫌いな作品。
時代に流されて自分を甘やかせているとしか思えない男女の話。
70年代ってこういう時代だったのよ、と遠い目で話されても、結局自分に酔ってたんでしょ?って思ってしまう。

『へたな人生論より徒然草』
これはタイトル通り、へたな人生論部分が不要と思った。
後日改めて『徒然草』を読むことにします。

12月の読書メーター
読んだ本の数:21
読んだページ数:5494
ナイス数:595


ストーカーとの七〇〇日戦争 (文春文庫 う 39-1)ストーカーとの七〇〇日戦争 (文春文庫 う 39-1)感想
不安がどれだけ冷静な判断を阻害するのか。恐怖はどれだけ突然にフラッシュバックするのか。残念ながら日本の法律ではその辺の考慮は全くなく、事件が凶悪化するのを防ぐことも再発を防止することもできない。警察も弁護士も頼りにはならない。最初は、著者の態度が手ぬるいのではないかと思った。でもそれは、彼女がことばを使う仕事を生業にしているからなのではないか。残念なことに、どんなに心を込めて話しかけても、言葉をつくして語りかけても、全く響かない人というのはいるのだ。もっと実効性のある制度の構築を早急にすべきである。★★★★☆
読了日:12月01日 著者:内澤 旬子

なしくずしの死 下 (河出文庫)なしくずしの死 下 (河出文庫)感想
どうしてもこの、非衛生的な環境について綿々と語られる文章を一気読みする気にはなれず、毎日少しずつ読む作戦だったのですが…結論から申しますと、時間切れ終了です。図書館に返す時間になっても、読み終わりませんでした。だからといって、返却を一週間延長しても、無理です。そこはかとないユーモアはわかりますが、断片だけで構成されたこの作品にかける気力も時間ももはやない。ごめんね。さいごの方だけちらと飛ばし読みしたら、なかなか面白そうだったので、気力と時間があれば再挑戦するかも。ということで、赦してください。★★★☆☆
読了日:12月02日 著者:ルイ‐フェルディナン セリーヌ

ねぎぼうずのあさたろう その10 (日本傑作絵本シリーズ)ねぎぼうずのあさたろう その10 (日本傑作絵本シリーズ)感想
起承転結の『転』というより序破急の『急』。京都を目指して旅をしていたと明記はされていませんでしたが、流れ的に当然そうなるものと思ったら、こしあん和尚との禅問答の結果、故郷に帰ることになりました。「自分を見つめた結果」。でもさ、もう忘れかけているんだけど、故郷にいられない事情があって旅に出たんだよね。そちらが解決しているとは思えないんだけど。とりあえず物騒な都に行くのはやめて、草津から中山道で故郷に帰ることになりました。帰り道でもまた冒険するのかな?★★★★☆
読了日:12月04日 著者:飯野 和好

日本の同時代小説 (岩波新書)日本の同時代小説 (岩波新書)感想
相変わらず読書量も凄ければ、分析力もハンパない。知らないことを読めば「ふむふむ、そうか」と思い、知ってる部分を読めば「そうでしょうとも」と膝を打つ。子どもの頃の私は学校にある子ども向けの世界文学全集を読み、そのほか中学生くらいまでは海外のミステリを中心に読み、高校生でSFにハマり、同時代小説を読み始めたのは子どもが小学生になった頃からだった。というわけで、この本に関して言えば、1990年代以降からしかピンとこないのが実態。それはつまり、出版不況が始まってからなんよ。そういえば、西加奈子が入ってなかったな。★★★★★
読了日:12月05日 著者:斎藤 美奈子

いつか王子駅で (新潮文庫)いつか王子駅で (新潮文庫)感想
『いつか王子駅で』というタイトルを見て、いつか王子駅で誰かと会ったり何かをしたりする話なのかと思ったら、最初から主人公はこの駅のある町で暮らしている。このタイトルの意味は、最後まで読まないとわからないのだけれど、最後まで読んだとき、「いつか」に込めた想いにはっとさせられた。これは小説なのだが、読んでいる途中なんども「エッセイだったっけ?」と思ってしまうほど、目に見えるものだけではなく匂いや手触りなどが感じ取れるくらい詳細な文章。最後、王子駅に行くか行かないかヤキモキしたけれど、彼の判断を嬉しく思った。★★★★★
読了日:12月06日 著者:堀江 敏幸

エンドレス・ワルツエンドレス・ワルツ感想
もう絶望的に苦手だわ、こういう世界。五体満足に生まれて、なのに何かの被害者であるかのように、自分を受け入れない世の中に反発し、酒や薬に頼り、現実に向き合おうとせず、破壊するだけで生産的なことはせず、…。ああ、嫌だ。甘えてる。解説で小池真理子が”純粋さは、それを究めようとすると、皮肉なことに、果てしなく人を堕落させてしまうことがある。”と書いているが、純粋を言い訳にする時点で不純じゃないか?もう本当に、こういうの、無理だ。★★★☆☆
読了日:12月07日 著者:稲葉 真弓

ソクラテスの弁明・クリトン (講談社学術文庫)ソクラテスの弁明・クリトン (講談社学術文庫)感想
一ページ当たりの文字数を見ると、もっと早く読み終わってもよかったのだけれど、思いのほか時間がかかったのは、プラトンだし、ソクラテスだからだと思いたい。がしかし、書いてある内容はシンプル。1.ソクラテスは若者を惑わす不敬の輩だと訴えられたのに対するソクラテスの弁明。2.死刑判決を受けてむざむざ死ぬくらいなら、脱獄して他国で生き延びよという親友クリトンとの対話。それにしても、プラトンの『ソクラテスの弁明』の参考資料にクセノポンの『ソクラテスの弁明』を収録しているとは、ややこしいやないかい!★★★★☆
読了日:12月09日 著者:プラトン

ドーナッツをくれる郵便局と消えゆくダイナー (朝日文庫)ドーナッツをくれる郵便局と消えゆくダイナー (朝日文庫)感想
アメリカ人の著者はイギリスでジャーナリストになり、20年ぶりにアメリカに帰ってくる。そして愛する故郷を、懐かしく、または冷静に観察し、イギリスにコラムとしてその様子を書き送る。基本的に話は盛ってるけど、毒も多分に含まれるけど、ずっと諸外国に比べて日本人は視野が狭く、択一的で、ヒステリックなところがあると思っていたのに、この本を読む限りでは20年前のアメリカもそんな感じだった。少々文章がウザ…くど…過剰だし、何しろ20年前で、前世紀の話で、スマホなんてまだなかった頃の出来事だけど、面白かった。★★★★☆
読了日:12月13日 著者:ビル ブライソン

すべての雲は銀の…(下) (講談社文庫)すべての雲は銀の…(下) (講談社文庫)感想
一応主人公は祐介なのだが、彼女を兄に寝取られ、傷心の心を抱えたまま菅平の宿で住み込みのバイトをしているのだけど、彼だけが話の中心というわけではなく、まあ、青春群像劇のような感じ。同世代の男女がそれぞれに悩み、恋をし…。ありきたりと言えばありきたり。それぞれに前を向いて、一歩踏み出そうというところで終わる。失敗するかもしれないが、やらないことでの後悔はしないという決意。うん、いいんじゃない?ただ、青春からはるかに年をとってしまった私は、不登校の少女・桜と、その母親の智津子の確執の方が心に刺さった。★★★★☆
読了日:12月14日 著者:村山由佳

古代日本の官僚-天皇に仕えた怠惰な面々 (中公新書 2636)古代日本の官僚-天皇に仕えた怠惰な面々 (中公新書 2636)感想
『天皇に仕えた怠惰な面々』というサブタイトルに惹かれました。常々、日本の公務員の堅苦しいまでの生真面目さがどこから来るのだろうと思っていました。露骨な賄賂要求のようなことはもちろん、業務をサボタージュするのが当たり前になってはいない生真面目さ。次巻に厳しいとか、書式にうるさいとか、まあ生真面目でしょ?いーよいーよ、適当で、なんて絶対言わない。古代日本は全然緩かったですな。地方豪族が律令国家に簡単に取り込まれたわけではなく、自分優先でのびのびやっていたというのは、初めて知ったことなので、大変面白かったです。★★★★☆
読了日:12月17日 著者:虎尾 達哉

ねぎぼうずのあさたろう その11 なかせんどう もどりたび (日本傑作絵本シリーズ)ねぎぼうずのあさたろう その11 なかせんどう もどりたび (日本傑作絵本シリーズ)感想
本当に京都に行かずに家に向かったんだねえ。そしてまた人助け。悪代官を切った罪で終われているきねつきむらのちゅうじ。賞金目当てで追いかけてくる悪い役人につかまらないように、ちゃんとけがを直して自分で自首できるように、あさたろうは炭焼き小屋でちゅうじを匿います。なんかいろいろ未解決で、シリーズの終わりとしてはもやもやする。唯一よかったのは、にんにくにきちがあさたろうに手紙を書いたこと。お母さんのもとで、真っ当に生きているんだなあということがわかって、嬉しくなった。★★★★☆
読了日:12月17日 著者:飯野 和好

米澤屋書店米澤屋書店感想
ブックガイドや書評本はたいてい好きだけど、この本は米澤穂信がミステリについてこれでもかとその偏愛を書き連ねたブックガイド。もう面白くないわけがない。案の定、読みたくなった本が大量発生してしまった。特に、アシモフの『黒後家蜘蛛の会』は再読したいなあ。あれ、本当に面白かったもんなあ。ミステリをもっともっと読みたいと思った。古典も、新作も。★★★★★
読了日:12月18日 著者:米澤 穂信

病む月 (集英社文庫)病む月 (集英社文庫)感想
どちらかというと読後のあまりよろしくない話が多かったけれど、よくよく考えてみれば「女」ってこういう生き物だよねえ。妬み嫉み、恨みつらみ。もちろん男性にだってそのような感情はあるけれど、いかにもこれは女性だよねっていう描写が絶妙なのね。そういう意味では『いやな女』は、まさしく「女」の「いやな」ところが前面に出ていて、面白かった。『病む月』というタイトルを一番体現していると思われるルナティックな話は『過去が届く午後』。めちゃくちゃ「いやな」雰囲気が最初からあったけど、最後の落ちは衝撃だった。★★★★☆
読了日:12月19日 著者:唯川 恵

まぶた (新潮文庫)まぶた (新潮文庫)感想
小川洋子の小説の体温は低い。それはひんやりと湿ったものだったり、かさかさに乾いたものだったりするが、決して温かくはない。そこに「ない」ものを書くのも上手い。「ありえない」と言うほど強い「無」ではなく、気づくとそこには「ない」」ものの持つ気配。この絶妙な塩梅が、心地よかったり不気味だったりと、作品に彩りを与える。ストーリーを味わう作品集ではないと思うので、具体的なことを書いても意味わからんことになるだろう。ただ、これらの作品は、現実だとか事実だとかのしがらみとは無縁なところで味わえばよいのだ。★★★★☆
読了日:12月20日 著者:小川 洋子

うわさ (光文社文庫)うわさ (光文社文庫)感想
「誰の心の中にもありそうな心の歪み」とカバー裏には書かれているけれど、そこまで歪むのは稀なのでは?心の歪みというよりも、ストレスを抱え込みすぎて突き抜けてしまったような人たち。ということは、誰の心の中というよりは、我慢強い人の心の中にある歪みなのかもしれない。ストレスはこまめに解消したほうがいいのね、きっと。ホラーミステリーとしては、『災厄の犬』が怖かった。★★★★☆
読了日:12月21日 著者:小池 真理子

白鳥とコウモリ白鳥とコウモリ感想
読みごたえがありました。量だけではなく、内容もずっしりと重たいものだったので。違法駐車した車の後部座席から発見された死体は、誰からも善い人と言われている弁護士だった。そしてその犯行を自供した男の自供には、物的証拠が何もないのだった。読みながら『容疑者Xの献身』や『麒麟の翼』が浮かんできた。事情はどうあれ、犯した罪を償わないと前へ進めないと思う。罪を隠しつづけるのは、心を歪にしてしまうと思うから。良かれと思った判断が、何十年も経ってからブーメランのように自身に帰ってくる。人が人を裁くことも難しさ。★★★★★
読了日:12月23日 著者:東野 圭吾

お探し物は図書室までお探し物は図書室まで感想
最近、本を読むのに時間がかかるようになった。もしかしたら、読書力が落ちたというか、感受性が枯渇してきたのかと思ったりもしていた。そうしたら、久しぶりに泣けた。図書館が舞台で、司書のレファレンスがストーリーの肝だけれど、人生を変えたのは自分の行動。自分が一歩を踏み出す決意をしなければ始まらない。図書館はそのきっかけを差し出すだけ。というところが良かったな。★★★★☆
読了日:12月24日 著者:青山 美智子

百姓貴族(8) (ウィングス・コミックス・デラックス)百姓貴族(8) (ウィングス・コミックス・デラックス)感想
コロナ期のこと、鳥インフルエンザのこと、クマ被害のことなど、わりと最近の出来事が描かれていて、結構リアルに当時のことが思い出せた。コロナ明けに編集長と担当さんが行った十勝訪問ツアーも良かった。知ってる場所がたくさんあって、また出かけたくなった。特に北の屋台村は絶対。
読了日:12月25日 著者:荒川 弘

眠れる美女 (新潮文庫)眠れる美女 (新潮文庫)感想
読む前に耳にした話では「気持ち悪い」というような話を聞いていたのだけど、実際に読んでみたらちょっと違った。全裸で眠っているうら若い美女に添い寝するだけの高齢男性。しかし、江口老人なる語り手は、まだ67歳なのだ。たった67歳で老人扱いされる江口。たった67歳で老人の自覚を持つ江口。これは一体どういうことなのか。今から50年ほど昔の話。今なら67歳で人生の終わりと考える人はあまりいないのではないかと思われる。★★★★☆
読了日:12月26日 著者:川端 康成

ヘタな人生論より徒然草 (河出文庫)ヘタな人生論より徒然草 (河出文庫)感想
タイトルで「へたな人生論」と書いておきながら、これはへたな人生論じゃないですか。まず『徒然草』の一文を抜粋する。そこに書かれたことと近い自分のエピソードを紹介し、どうすればよかったのかを分析するという型がきっちり決まっている。そもそも鎌倉時代の随想を現代に持ってきたところで、リアルな感覚とはならないからいいのだ。それが著者のエピソードになると、リアルに悪口めいて、ちょっと気分がよろしくない。そしてそれが延々と続くこの本の構成。薄い本なのに、とても時間がかかってしまいました。とても一気には読めなかったので。★★★☆☆
読了日:12月28日 著者:荻野 文子

インスタ映えする戦国時代インスタ映えする戦国時代感想
スエヒロさんの本は何冊か読んだけど、今回は戦国時代に絞っての作品なので、ひとつの事件を違う角度で、など、少し歴史の深度は深まっていると思う。その分、はじけるほどの面白さ、というものはなくなったが。SNSの画面より、雑誌の表紙が面白かったな。ピカピカの『武将一年生』が特に好き。解説やコラムもあって、少しまじめな歴史パロディの本というところです。★★★★☆
読了日:12月30日 著者:スエヒロ


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