以前、約やかと書いて「つづまやか」と読む、という記事を書きました。

なかなか覚えきれない、と。

なぜ覚えにくいのかというと、実際にこの言葉を使うようなケースに出会ったことがないからです。

 

ところが今日、初めて『約やか』と書かれた文章を読みました。

ありがとう、真保君。

もうこれで読み方を忘れることはなくなると思います。

 

それから、漢字のクロスワードパズルをやっているのですが、自然とできあがっていた「無二無三」という言葉。

最初「無〇無〇」となった時、「無理無体」だと思ったのですが、問題を解いているうちに勝手に「無二無三」とできあがっていました。

しかし聞き覚えのない言葉です。

時折りありますが、無理やりでっち上げた言葉なのか?と疑ったりもしました。

 

しかし今日、初めて『無二無三』と書かれた文章を読みました。

ありがとう、真保君。

もうこれでこの言葉を忘れるとこはなくなると思います。

 

意味は『仏教には二乗,三乗といった教えの違いはなく,唯一真実の一乗の教えのみがあること』ということで、そこから『わき目もふらずに物事を行うこと。がむしゃら。ひたすら。』という意味も派生したようです。

 

漢字の勉強を始めてから、言葉、特に知らない言葉に対する感度が高くなったような気がします。

今までだったら、知らない言葉でも前後の文脈から意味を推測して、わかった気になって終わりだったように思います。

 

今日一日で、ふたつのもやもやが解消しました。

いやあ、読書って本当に素晴らしいですね。

ありがとう、真保君。

一生ついていくわ。

 

 

 

 

本日の読書:真・慶安太平記 真保裕一

 

Amazonより
『徳川の治世。戦世は遠くなり、政は将軍の意をくむ老中たちの掌中。度重なる改易によって主家を失い、幕府に恨みを抱く牢人があふれる江戸市中に一人の兵法者が現れる。名は由比正雪。その恐るべき企みとは。夥しい血を流して平らげられた世を、命がけで守り抜こうとした男たち、女たち。由比正雪の乱として知られる「慶安の変」の裏で、何があったのか。綿密な取材と大胆な仮説を元に歴史の脈動をあますところなく描ききった大河歴史小説。作家生活30年記念書き下ろし。』

帯を読むと新たな解釈の由比正雪の乱について書かれた作品だという。
ところが、人物紹介の中には由比正雪がない。
これはもしかして叙述トリックのミステリ?なんて思ってしまう。

登場人物表の筆頭は私の大好きな保科正之。
由比正雪と何の関係があるのかはわからないが、これは嬉しい。

しかし、良い人なのだが、優しい人なのだが、あまり魅力を感じない。
父・秀忠に認めてもらうことは最初からあきらめている。
兄・家光について、思うところはあるが、差し出口をきける立場ではないことをわきまえて、何も言わない、何もしない。
もう一人の兄・忠長にこそ、慕わしいものを感じるが、それを表に表すことは徳川家を分裂させることになるので、心の奥底に想いをひた隠す。

これじゃあ話が動かないじゃないの。

対するのは、出世のために他家に養子に入り、家光に取り入って出世を果たした松平伊豆守信綱。
知恵伊豆と言われるほどの知恵者だが、「才あれど、徳なし」と言われた男。
自分がそうだから、妾腹の保科正之も出世して幕政を思うままにしたいと思っているはずと、とにかく正之を目の敵にする。

家光が大事すぎて、煙のない忠長のもとに煙を上げては家光にご注進。
親に愛されなかったコンプレックスが高じて、猜疑心の強い家光は、少しでも気に入らぬ者は排除する。
家光のお気に入り(衆道のお相手)だけが出世する。

こんな世の中はおかしいではないか、と由比正雪の乱がおきるのかと思った。
名前だけは知っているけど、具体的に何があったかよくわからない由比正雪の乱。

実は乱が起きる前に鎮圧されていたのだった。
だから詳しいことはよくわからないのか、とわたしは思ったのだが、さすがに作家は違う。
「なぜ蜂起する前に鎮圧できたのか?幕府はなぜ事前に情報を察知することができたのか?」
ここからこの作品が出来上がったらしい。

私の思う保科正之ではなかったけれど、徳川忠長ではなかったけれど、これはこれで説得力はあると思った。
それはそうだろう。
結構史実に忠実なのだから。
史実は一つだが、解釈は無数だ。