あなたの前世は・・・
大空で群れないし、美しくもない。
協調性はあると思うけど、本質的にはマイペース。
もし前世が湖の白鳥だったら、
あんまり幸せじゃなかったかもしれないなあ。
人間だから
「ああ、自由に空飛びたいなあ」
なんて思うけど、
白鳥だったらなんて思うんだろう。
先月の30日から長男が来ているので、今晩は外食です。
だから今日は少し早めにブログアップします。
わたしのGWは明日から。
朝から出かけてきま~す。
本日の読書:花の下にて春死なむ 北森鴻
カバー裏より
『年老いた俳人・片岡草魚(かたおかそうぎょ)が、自分の部屋でひっそりと死んだ。その窓辺に咲いた季節はずれの桜が、さらなる事件の深層を語る表題作をはじめ、気の利いたビアバー「香菜里屋(かなりや)」のマスター・工藤が、謎と人生の悲哀を解き明かす全六編の連作ミステリー。』
目次
・花の下にて春死なむ
・家族写真
・終の棲み家
・殺人者の赤い手
・七皿は多すぎる
・魚の交わり
以前、シリーズの最終巻を読んでしまったので、最初から通読することに。
連作短編のミステリなので、短編一作を読んでも話は分かるが、店の常連やマスターとの会話でゆるく話が繋がってもいるので、やはりこれは順に読むべき作品と思った。
舞台は、今でこそ珍しくはないビアバーの香菜里屋。
それぞれアルコール度数の違う4種のビールを置き、客の様子を見ながら絶品の料理を提供してくれる。
そして、客の持ち込むちょっとした謎をマスターの工藤が解き明かしてくれる、というもの。
アシモフの『黒後家蜘蛛の会』を彷彿させるつくり。
殺人事件がないわけでもないが、それは直接かかわるものではないので、毒はそれほど強くない。
ただ、工藤のような人が身近にいたら、ちょっとしんどいかなあ。
全てを見透かされそうで。
いや、工藤の方がしんどいんだろうなあ。
面に出さないだけで。
年のせいか『花の下にて春死なむ』と『終の棲み家』が、ことによかった。
ひとり、寒いアパートで震えながら死んでいくというのは嫌だけど、その枕元に季節外れに咲く桜があってよかったと思った。
若者の生真面目な正義感から起こした行動が、一生ふるさとに帰ることのできない放浪生活を彼に強いたのだとしても、思った未来とは違う人生になってしまったけれども、決して不幸ばかりの人生ではなかったのだと思いたい。
謎のすべてを明らかにするわけではないからこそ残る余韻。
それは工藤の、作者の優しさなのだと思う。

