ルビー

情熱的に残業してきました。

やってもやっても仕事が終わらん。

ネガティブというよりも、攻撃的な感情がふつふつと…。

 

自分をしっかり持って押さえねば。

 

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本日の読書:ひと 小野寺史宜

 

カバー裏より
『女手ひとつで僕を東京の私大に進ませてくれた母が急死した。僕、柏木聖輔は二十歳の秋、たった独りになった。大学は中退を選び、就職先のあてもない。そんなある日、空腹に負けて吸い寄せられた砂町銀座商店街の総菜屋で、最後に残った五十円のコロッケを見知らぬお婆さんに譲ったことから、不思議な縁が生まれていく。本屋大賞から生まれたベストセラー、待望の文庫化。』

東京の私大生だった僕、柏木聖輔は、地元の鳥取でひとり残って仕送りをしてくれた母の急死により大学を中退し、就職先を探す生活となる。
遺品を整理してみれば、手持ちのお金はたいしてなく、節約に節約を重ねていたある日、財布に残っていた55円で買えるコロッケを買おうとしたところ、最後の一個を目の前で他のお客さんに買われてしまう。
正直に事情を話して帰ろうとする聖輔に、店主は120円のメンチカツを50円で売ってくれる。
そこから始まった聖輔の約一年。

正直、よくある「いい話」系の小説だと思って、読むのを躊躇していた。
不幸な経験をした主人公が、周囲のいいひとに助けられながら立ち直っていく話。
そして読んでみたら、まったくそのとおりの話なのに、不覚にもちょっと感動してしまったのだ。

私があまり好きではないチープな「いい話」とどこが違うのかと考えた。
一人称で語られる話なので、聖輔の思考や感情は地の文として書かれている。
そして実際の彼の行動が、その彼の思考や感情をきちんと補完している。
上っ面の優しさや、印象的なエピソードなどに頼らず、ただ柏木聖輔が、そこにはあった。

そして、彼の周囲のほとんどの人が、ひとに、自分の持っているものを分け与えることができる人たちだった。
損得で考えるのではなく、自分の持っているものを必要とする人がいるのなら、あたりまえに差し出すことができる人たち。
それはモノやお金だけではなく、気持ちや言葉なども。
それを必要としていることを見て、察して、差し出せる関係。
天涯孤独になった聖輔が唯一失わずにすんだのが、ひととのつながり。
だからタイトルは「ひと」なんだな。

”大切なのはものじゃない。形がない何かでもない。人だ。人材に代わりはいても、人に代わりはいない。
 道は譲る。ベースも譲る。店のあれこれも譲る。でも青葉は譲らない。譲りたくない。”

高校時代からずっと聖輔を見ていてくれた青葉は、聖輔のこの覚悟をきっと喜んでくれるだろう。

”ここは東京。どこにいても、真っ暗にはならない。明かりはどこにでもある。町と町がつながっているから、明かりもつながっている。地方にはある町の端っこみたいな部分がない。そこにある暗がりがない。”
これは私も東京で暮らしていた時に思いました。
だからと言ってすべてが明るいわけではなく、地方人にはわからない暗がりがあることを忘れてはいけないな、と思っていました。

この本、図書館でネット予約しようとしても、なぜかエラーで予約できなくてあきらめていたら、いつも行く図書館の本棚で見つけることができました。
これも一つのご縁だなあ。