毎日実家の父が、朝晩一回ずつ電話をよこすことになっている。
時々忘れるのはご愛嬌で、夜はともかく、朝の電話はこちらからかけると大抵出てくれる。
 
しかし、今朝は何度かけても出ない。
多分電話を忘れて病院に行ったんだろうなあと思う。
だけどやっぱり、何かあったら…と思うと落ち着かない。
 
なのでお昼休みに続いての1時間、休暇をもらって、実家に走りました。
やっぱり病院へ行っていたらしく、まあ、一安心でした。
 
安心したらお腹が空いたので、実家近くのうどん屋さんへ。
ずっと気になっていたのですが、なかなか駐車場が空いてる時がなくて行けなかったお店。
広くない店内でお客さんの回転がとても速い。
麺だけを買いにくるお客さんもいました。
 
肉うどん。
平打ち麵と、関西風の色の薄いお出汁。でもしょっぱかった。
今度はカレーうどんを食べに来たいです。

 
 
 
 
本日の読書:スーツケースの半分は 近藤史恵

 

 

カバー裏より
『三十歳を目前にした真美は、フリーマーケットで青いスーツケースに一目惚れし、憧れのNYへの一人旅を決意する。出発直前、ある記憶が蘇り不安に襲われるが、カバンのポケットから見つけた一片のメッセージが背中を押してくれた。やがてその鞄は友人たちに手渡され、世界中を巡るうちに”幸運のスーツケース”と呼ばれるようになり……。人生の新たな一歩にエールを贈る小説集。』

目次
・ウサギ、旅に出る
・三泊四日のシンデレラ
・星は笑う
・背伸びする街で
・愛よりも少し寂しい
・キッチンの椅子はふたつ
・月とざくろ
・だれかが恋する場所
・青いスーツケース

9つの短編が収録されている。
人生に迷い旅に出たり、出かけた先で人生に迷ったり。
傍らにはいつも青いスーツケース。
帯に「女子に大ヒット」と書いているが、まったくその通りと思う。
9つのどれかは必ず刺さるのではないだろうか。

専業主婦で、人見知りで、方向音痴の真美。
結婚前からニューヨークで観劇したいという夢を持っていたけれど、夫と一緒に長期休暇をとることが出来ず、結婚後3年経ってもまだ行けずにいる。
意を決して「一人で行く」という真美に、夫は海外旅行がどれほど危険なのかを繰り返し口にする。「ウサギ、旅に出る」

いや、だったら休暇を調整して「一緒に行く」って言えばいいじゃん。
自分は何も動かず、言葉だけで心配を表明されてもなあ。
「心配してるのかもしれないけど、同時に呪いをかけてるのよ!」
よく言った、真美。
と、思う女性は多いと思うが、これを理解できる男性はそう多くはないと思う。
だけど、結婚3年で言えたのは良かったと思うよ。
ずっと我慢を強いられていたら、どれほど殺伐とした夫婦になったことか。
結果的にひとりでニューヨークに行けたのは自信になったよね。

「星は笑う」の、ゆり香の恋人もひどい。
自分が「すご~い」と思われたい、マウントを取りたいだけで、ちょっとゆり香の得意分野を見ただけで不機嫌になって、砂漠の異国で置き去りにするって最低。
でも、こういう質の悪いナルシストっているよね。やれやれ。

30歳になって、仕事もうまくいかずに田舎に帰ろうかと思いはじめる悠子。
けれど、悠子にとっては人生を諦めるための場所であっても、そこに住む誰かにとって、恋をするように大切な場所。
そのきもちを踏みつけにはできない、と、悠子は再び歩き出す。「だれかが恋する場所」

最後にその青いスーツケースが”幸運のスーツケース”となり得たのは、最初にスーツケースを買った人が込めた気持ちゆえとわかる。
行きはスーツケースに半分だけ荷物を詰めて、残りの半分にお土産を詰めて帰ってくる。
とっても読後感が良い作品でした。