べったりべたべたは好きじゃない。

それぞれ好きなことして、少し距離を取って、だけど気配は感じて。

そういうのが好きだから、

だから猫が好きなんだ。

 

だけど子どもって、こちらの都合を無視して距離を詰めてくる。

それが嬉しいと初めて思えた。

 

良い人生でした、と思って死ねるかもしれない。

結婚してよかったな、と思う今日。

 

 

 

 

 

本日の読書:夜の声を聴く 宇佐美まこと

 

 


カバー裏より
『目の前で手首を切った女性に惹かれた隆太は、彼女が通う定時制高校に入学した。やがて、彼は同級生の大吾が働く奇妙な店を手伝い始める。しかし、それは11年前の一家殺人事件に端を発する、歪んだ悲哀が渦巻く世界への入り口だった!平穏な日常が揺らぐ衝撃のミステリー。』

出だしこそ衝撃的だけど、人との関係に意味を見いだせず、家に引きこもっていた隆太が、定時制高校に通い、人は見た目ではわからない部分があり、本で見て知っていると思ったことも実際には違って見えたりと経験を重ねて成長していく話。
多分ウリのポイントはミステリの方なのだろうけど、この作品はミステリとしての完成度よりも成長譚としての方が良いと思う。

定時制高校で知り合った大吾は、リサイクルショップ兼何でも屋で住み込みで働いている。
少しずつ明かされた大吾の過去。
それは幼少期に家族全員を惨殺された、たった一人の生き残りだというものだった。
それに比べれば母に愛されなかった自分など…。

何でも屋に持ち込まれる小さな仕事に伴う小さな謎。
それを解決していくことで繋がっていく一つの大きな謎。
これが、割とわかってしまうのだ。
ああ、音響で11年で…って。

もちろんそれは単純な繫がりではないけれど、「ここ大事」ってフラグが立ってしまっている。
だから私は、ミステリと言うより成長譚として読みました。
登場人物たちそれぞれの止まっていた時間が動き出した、という意味では、大人も救われているわけだし、読後感も悪くない。
ただ、大吾にとって世間はいったい何だったのか?
その後の彼は、過去を思い出して懐かしむことはなかったのだろうか。

それから、最初のリストカットの後、主人公が小学生の時に後者の3階から飛び降りたこと、リストカットした百合子の叔父の飛び降り自殺、依頼人の血のつながらない息子が屋根から落ちたことなど、やけに落下事件・事故が多いので、何かの布石かと思ったけど違ったね。

 

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