「たっぷり寝るべし」
ありがたい!
今年一年は、このおみくじに従うことにします。
…
2023年のおみくじだよね?
で、恋愛運は本日限定なの?
…
まあいいや。
とりあえず今年一年は心置きなくたっぷり寝る。
昨日の夜は相棒の元日スペシャルを見るはずだったのに、娘と次男にLINE電話をして、家族5人で2時間もしゃべり倒してしまった。
これだけでもう、今年はいい一年でしたと言える。
ちなみに今日は、実家で箱根駅伝観戦。
母はいないけど、父と弟がまあまあ仲良くやっていたのでちょっと安心。
コロナが5類になったら母に会いに行けるかな。
本日の読書:ポトスライムの舟 津村記久子
Amazonより
『29歳、工場勤務のナガセは、食い扶持のために、「時間を金で売る」虚しさをやり過ごす日々。ある日、自分の年収と世界一周旅行の費用が同じ一六三万円で、一年分の勤務時間を「世界一周という行為にも換金できる」と気付くが―。ユーモラスで抑制された文章が胸に迫り、働くことを肯定したくなる芥川賞受賞作。』
目次
・ポトスライムの舟
・十二月の窓辺
『ポトスライムの舟』は、ナガセの日常を淡々と描く。
最初に勤めた会社を凄まじいモラルハラスメントが原因で退社し、その後の一年を働くことに対する恐怖で棒に振ったあと、契約社員として工場で働いている。
そのあと夕方から夜9時まで、友人の経営するカフェでバイトし、週末は老人相手のパソコン教室の講師として働き、家でデータ入力の内職をする。
何もしない時間が耐えられない。
ある日職場の掲示板に世界一周旅行のポスターが貼られ、その費用163万円が自分の年収とほぼ同じと気づき、貯金の目標を世界一周とすることに。
ナガセは築50年の家に母と住み、建て替え費用としてコツコツ貯金していたのだけれど、目標を世界一周にすることで少し心が軽くなる。
そういう選択肢があってもいいんだと気づくことが、多分ナガセにとっては必要なことだったのだろう。
最初はちょっとナガセの精神状態が不安定なのでは?と思ったり、ナガセの環境に閉塞感を感じたりもしたけれど、読後はさほど苦しくはない。
少しずつ心の痛手から回復しつつあるナガセの姿が垣間見えるから。
『十二月の窓辺』
こちらは大変苦しい。
ナガセの会社員時代がこうであったかと思えるほど、主人公のツガワの受ける職場でのハラスメントがひどい。
上司の発する言葉の一つ一つが肺に充満し、息ができないような気がする。
ツガワはしかし「すみません」と詫びながら、上司の嫌がらせを受け入れるだけだ。
だって選択肢はないのだから。
唯一の救いが、同じビルで働くナガトとの昼食だ。
お昼ご飯を食べながら、職場であった出来事をナガトに聞いてもらうだけで、少しだけ気が晴れる。
しかしナガトにも、職場に対する不満はあった。
仕事のできる彼女を信頼し、悪気なく仕事を割り振る上司。
ツガワはナガトの屈託に気づかない。
後にツガワはナガトの言うことを、辛い状況を、何一つ気づいてやれなかった自分を悔いるが、でもツガワ自身いっぱいいっぱいのところに追い詰められていたのだから、それは無理というものだろう。
結局ツガワは会社を辞めることにするが、ナガトはこの先どうなるのだろう。
彼女が自分の闇に呑み込まれてしまわなければいいと思うのだけど。
この文章を書いていて気付いた。
この重苦しさは、初期の吉田修一を彷彿させるのだ。
そうか、これが芥川賞ということか。←多分違う
