Amazonより
『2011年から令和まで、計6回おこなわれた本をめぐる対話から、日本社会が浮かび上がる。思いもよらない解釈や、意外な作品との繋がりなど、驚きと発見に満ちた、白熱の対談集!』
この30年って、バブルが崩壊して、東日本大震災があって、コロナ禍の渦中なわけです。
ざっくり言うと、ほぼ平成。
思えば、私は昭和生まれなので、昭和の女と思っていましたが、人生の中での比重で言えば、ギリ平成が長くなっていました。
でも、昭和に思春期を過ごしたので、やっぱり昭和なんだなあ、とこの本で30年を振り返って思いました。
”私たちが子どもの頃は、「戦争は昔の話だと思っているけど、今でもどこかでやってるんだよ」って言わなきゃいけなかった。ところが湾岸戦争以降は常に戦争は世界の中で起こっていて、自分の身近にあって。そして9・11があって。(中略)だから私たちよりもっと戦争世代だと思います、若い方々は。”
本当の戦争だけではなく、学校ではいじめと戦い、家では家庭内暴力や育児放棄などと戦う現在の若い人たちは、日常がすでに非常事態というか、戦時中。
油断すると傷つけられたり命を喪ったりをするわけです。
あと、この二人がチョイスするのは圧倒的に純文学が多いわけです。
一つの作品をいろんな視点から評論するのは、エンタメ作品よりも純文学のほうが絶対面白いと思うのです。
だって、一般的にエンタメ作品というのは、感動ポイントが決まっていて、あまり読後の意見が分かれないでしょう?
だけど純文学っていうのは難しくて、ある程度解説を読んで作品を理解しつつ「私はそうは思わない」って思ったりするのもまた醍醐味なわけで。
そういった意味では、自力で完全読解ができない人は、純文学のほうが読後の広がりが大きいのです。
毎年、『本の雑誌』や『ダ・ヴィンチ』や今は亡き『ダ・カーポ』の書評欄である程度の人気作品は押さえていたつもりの私ですが、知ってる作家の知らない作品が次々紹介されていて、30年の出版状況、侮れんなと思った次第。
で、この本で紹介された『ポトスライムの舟』を図書館で借りてきました。
読むべき本はまだまだ尽きない。

