カバー裏より
『果歩と静枝は高校までずっと同じ女子高だった。ふと気づくといつも一緒だった。お互いを知りすぎてもいた。30歳目前のいまでも、二人の友情に変わりはない。傷が癒えない果歩の失恋に静枝は心を痛め、静枝の不倫に果歩はどこか釈然としない。まるで自分のことのように。果歩を無邪気に慕う中野くんも輪に加わり、二人の関係にも緩やかな変化が兆しはじめる……。心洗われる長編小説。』
小学生のころから30歳目前のいまに至るまで、ずっと友だち同士というのが、こんなに殺伐としたやり取りを?というのが、まず思ったこと。
私にも小学生のころからずっと続いている友だちがいるけれど、仕事中の長電話とか、相手の職場にふらっと行っちゃうなんてことはなかったし、薄い紙で疵をつけ合うような、目には見えにくいのに確実に痛みを伴うような言葉の応酬はなかったな。
果歩も静枝も、互いを心配していることはわかる。
けれど、江國香織の小説を読むといつもざわざわ感じるのは、登場人物たちがいつも、今目の前にないものしか見ようとしないところ。
目と目を見交わすことをしない。
いない人を思い、いない人を感じ、側にいる人を鬱陶しく思う。
そういうの、苦手なんだ。
人とのコミュニケーションが苦手な私は、ストレートに言葉で言ってくれなければわからない。
いないところで心配されても、面と向かって傷つけあう言葉が発せられたら、ちょっと怖くて逃げてしまう。
ここではないどこかにいる自分を探しているのかな。
二人ともとても自虐的。
それでは幸せになれないような気がする。
だから最後に果歩が思いがけずに中野くんに言った一言は、とても重要。
さて静枝はこの先、どうするつもりなのだろう。
誰にもいい顔する男は、誰に対しても誠実ではないと私は思うけれど。
