カバー折返しより
『屈辱的な首都の劫掠の後、帝国の本国たるイタリア半島には一時的な平和が訪れた。ガリアでの地歩を固めたい蛮族が共食い状態になったためだ。しかし、ホノリウスが長い治世を無為に過ごして死んだのち、権力は皇女や軍司令官らの手を転々と渡り、二年にもわたる内戦状態にさえ陥った。そして運命の四七六年、皇帝が蛮族の手によって廃位され、西ローマ帝国は偉大なる終わりの瞬間をもつこともなく、滅亡の時を迎えることになった――。』
遂に西ローマ帝国が滅亡の時を迎えます。
自身が先頭に立って国を治めるどころか、才能ある人材すら使いこなすことができないまま、蛮族におびえ、自分の安寧だけを切に願った皇帝ホノリウス。
息子もなく、後継者を決めることなく死んだ彼は、最後まで無責任。
またまた短期政権の乱立時代が始まる。
東ローマ帝国は、蛮族との緩衝材としての西ローマ帝国の存在を必要としていたので、ついに手を差し伸べる。
西ローマ帝国の皇帝を派遣し、ともに蛮族に立ち向かおう。と。
しかし蛮族の方が一枚上手で、蛮族に帝位を廃された後、さらなる皇帝を立てることもできず、そっと滅亡していった。
諸行無常。
”帝国は、傘下に置いた諸民族を支配するだけの軍事力を持つから帝国になるのではない。傘下にある人々を防衛する責務を果すからこそ、人々は帝国の支配を受け入れるのである。兵士もカネもなくなったから、もはやお前たちを守る役目は果せなくなった、ゆえにこれからは、自分で自分を守れ、と突き放したのでは、もはや帝国ではない。”
何事も自己責任。
自助と共助で乗り切れというのなら、国に税金を払う意味がない。
人々が帝国を見限るのも当たり前。
ホノリウスの後を継いだのは、彼の異母妹の息子ヴァレンティニアヌス三世、6歳。
当然母親のガッラ・プラチディアが後見するのだが、帝王学を学んだわけでもなく、有能な(そして公正な)部下がいるわけでもない。
行き当たりばったりの、感情的な言動も多かったようだ。
”自身で経験したことにしか考えが及ばないようでは、官僚はやれても政治家はやれない。自身で経験していないことでも知識と想像力を駆使することによって、ローマ人が好んだ言葉で言えば「comprehendere」つまり「把握し理解する」必要があり、それには情報が欠かせなかった。”
見たいものしか見ず、聞きたい言葉しか聞かないようでは、どうしたって情報戦に負けてしまうのだ。
そして情報を把握し、理解したのちに、方針を決め、それを行動に移せないのであれば、そんなトップは不要といえよう。
あまりにも目先のことしか考えられない人たちが続くのは、帝国の終焉が近づいているから?
だとしたら、今の日本も同じような状況ってこと?
