解説

 1920年代のシカゴ。スターを夢見るロキシーは、キャバレーの専属歌手ヴェルマのステージを羨望の眼差しで見ていた。そんなロキシーはある日、ショーに売り込むとの約束を守らなかった愛人と諍いを起こし、ついに彼を撃ち殺してしまう。そして逮捕され留置所に送られたロキシーは、驚くことにあのヴェルマと出会った。彼女は不倫した夫と妹を殺した罪に問われていた。しかし、マスコミ操作に長けた辣腕弁護士ビリーのおかげで、巷では一躍スター扱い。ロキシーも同じ手段でヴェルマ以上の注目を浴びようとビリーを雇うのだが…。

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ひっさびさに映画館で洋画を観てきました。

楽しかった~。

大好きな1920年代のアメリカが舞台で、大好きなミュージカル。

 

下司で強かな悪人だらけの作品で、殺人犯の女性ばかりがこれでもかと出てきて、正義の味方を標榜する人は金に汚くて、善人はひとりしか出てきません。

その善人が、この作品で唯一損をした人。

全くなんてこったいな映画です。

でも、楽しい。

 

「人を殺したけれど、私は悪くない。

殺された方が悪いんだから、自業自得よ。」

「お金なんかいらない愛が欲しいだけ。

でも5000ドル払わなければ弁護はしない。」

「看守長はママも同然。

家族のように面倒を見るわよ、出すもの出せば。」

 

主人公のロキシーはスターを夢見ていますが、それを逆手に取られて男に騙されます。

で、射殺してしまうのですが、もちろん反省はなし。

っていうか、最初のうちは夫に罪をかぶってもらおうとまでする。

(どうせ正当防衛になるのだから、あなたがやったことにして、と泣き落とし)

 

しかしそうは上手くいかず逮捕されてしまいますが、なんとか無罪を勝ち取って、悲劇のヒロインとしてスターになろうとするロキシー。

刑務所内での様子、記者会見、裁判などの要所要所でミュージカルになるのですが、群舞好きの私にとって群舞が多くてめっちゃハッピー。

でも圧巻は、「無事に娑婆に出たら一緒に組まない?」と誘いをかける、かつてのキャバレーの歌姫ヴェルマのダンスシーン。

カメラワークが抜群に素晴らしい。

また、弁護士のビリーがマスコミを手玉に取って世論をつくりあげていく様を、腹話術と操り人形のダンスにしたところが最高に楽しい。

 

人ひとりを殺したのに無罪になってしまうのは、陪審員も裁判官も男だから女の泣き落としと色仕掛けに弱いせい。

そんな男の論理(?)がまかり通るようなシカゴだからこそ、男を射殺する女が後を絶たないのかもしれない。

びっくりするほど男の人たちが射殺されまくりです。

おー、怖。

 

ビリーの手腕でロキシーは時代の寵児となるのだけれど、しかし人々の興味なんてものは長くは続かない。

あの手この手で世間の注目を集めようとするロキシーに憐れみさえ感じ始めたけれど、どっこい彼女はしたたかなので、何度世間から忘れられても舞い戻ってくるのでしょう。

 

最初にヴェルマが歌った歌「All that Jazz」って、何でもアリっていう意味なんだって。

今風に言うと「あざとくて何が悪いの?」って感じ。

そんな映画でした。