年内にもう本を読み終わる予定はないので、一応ここで締めとします。
夏場に仕事が忙しすぎて本を読めない時期がありましたが、基本的に今年はよく読めたと思います。
目標は年間200冊でした。
10月には目標を達成したので、250冊に上方修正しようかと思ったりもしましたが、数字はあくまで結果についてくるものであって、数字のために読んでいるわけじゃないと思って12月は少し読書から離れました。
…実家に振り回されていただけですけどね。
今年読んだ本はマンガを除いて243冊。
うち★5つが41冊。
年間通していちばん好きなのは加納朋子の『カーテンコール!』です。
うまく成長することのできなかった、生きづらさを抱えたまま大人になろうとしている少女たちを、理事長が不器用に真剣に温かく見守っていく姿に、そしてなぜ理事長はそこまで彼女たちの味方であろうとするのかを知った時に、涙が禁じ得ませんでした。
それでも読後感がとてもよく、生きることは成長することであり、それは自分を認めてもらうことなのだなあとすとんと腑に落ちました。
大好き。
逆に、抜けない棘のようにひっかかっているのが二階堂奥歯の『八本脚の蝶』です。
彼女の生きづらさは、うまく成長できなかったからではなく、そう生まれついてしまったからとしか言いようがありません。
自殺をすれば家族や知人たちが悲しむ、職場に迷惑をかける、そういうことは重々わかったうえで、どうしても自分を生かしておくことができなかった彼女。
それでも、「なぜ?」と問いつづけずにはいられません。
明晰な頭脳のまま自分の死を願うという心の在りようについて、ずっと考えています。
アンソニー・ドーアの『すべての見えない光』。
この本が今年最後の読書でよかったなあと思います。
ハッピーエンドでもバッドエンドでもありません。
ただ、戦時下に、こういうふうに生きた人たちがいて、彼らの人生が一瞬交差した時の光など誰にも見えないけれど、見えないけれどそこにあったんだということの重みの確かさ。
ちなみに見える光のことを『色』というのだと作中に書いてありました。
読み通したシリーズに対しての★5つは、宮本輝の『流転の海』シリーズ最後の『野の春』に。
最初はとんでもない男だとどちらかと言うと嫌悪感が勝っていた熊吾が、読み進めるうちにその人間味に魅了され、最後は老いて何事もままならなくなってしまった姿には手を差し伸べたくなってしまうくらいでした。
作者には長いことお疲れさまでしたと言いたいです。
それから宇江佐理恵の髪結い伊三次シリーズ。
これを読んでいたのはほとんど昨年のことになりますが、シリーズ最後は今年の1月に読みました。
もっともっと読み続けたかったシリーズでした。
シリーズ途中で★5つはつけないことにしていますが、ネレ・ノイハウスの『白雪姫には死んでもらう』の集落の人たちの悪意の恐ろしさと、宮部みゆきの三島屋変調百物語の『三鬼』のどの短編にも心を打たれたことに★5つ。
『フレドリック・ブラウン短編全集』など、4巻一気に買ったくせにまだ2巻しか読んでいないが、どちらにも★5つあげている。
『ボケ日和』長谷川嘉哉は、認知症関係の本をいくつか読んだ中では、一番わかりやすかったです。
我が家と実家に一冊ずつ置いて、母の行動と照らし合わせて勉強しました。
ずっと読みたかった勝海舟の『氷川清話』とプロイスラーの『クラバート』
ようやく読めてよかったです。
ずっと積んでいたヴォネガットの『国のない男』もよかった。
流されないで、自分の目で見て、自分の頭で考えて、自分の足で立ちつづけられるよう、これからも気をつけよう。
そう言った意味ではブレイディみかこの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』もこの系列の本かもしれません。
子どもの頃の私に多大な影響を与えた本ルーマー・ゴッデンの『ディダコイ』。
何十年ぶりかの再読でしたが、面白さは変わらず。
強い女の子が好きなんです。
このほかにもまだまだたくさん面白い本を読みました。
あとで見返して★4つの中にもすごく面白い本がありました。
読書の世界はどこまでも広いですね。
来年も面白い本をもっともっと読めますように。
そして図書館が休館になどなりませんように。