うちの子どもたちは甘いお菓子をあまり食べなかったので、ホットケーキを焼いたことなどほとんどありません。
しかし、次男が高校生の時、バレンタインデーのお返しとして、ホットケーキミックスでどら焼きの皮を作り、中にチョコレートクリームをたっぷり挟んだチョコどら焼きを作っておりましたよ。
その時に買ったどら焼きの皮サイズの丸い型は、そん後使われることもなく捨てられましたとさ。
年を取ってきたのであんこが美味しくて、今その型があったら、あんこを挟んでどら焼きを作っちゃいそう。
昨日10さんが焼き立てのたい焼きをお土産に買ってきたので、温かいたい焼きを久しぶりに食べましたが、ぬくいあんこは旨いなあ。
さて、明日から東京へ行ってきます。
髙木くんのミュージカル以来の東京遠征。
今ひとつ浮かれてないのは、もしかしてLIVE参戦は夢ではないかとまだ疑っているから。
だってこんなに倍率高かったのに第一希望が通るって、怪しすぎる。
もし夢だったとしても、泣くなよ、私。![]()
本日の読書:善人長屋 西條奈加
カバー裏より
『善い人ばかりが住むと評判の長屋に、ひょんなことから錠前職人の加助が住み始めた。実は長屋の住人は、裏稼業を持つ”悪党”たち。差配の儀右衛門は盗品を捌く窩主(けいず)買い。髪結い床の半造は情報屋(ねたもと)。唐吉、文吉兄弟は美人局(つつもたせ)。根っからの善人で人助けが生き甲斐の加助が面倒を持ち込むたびに、悪党たちは裏稼業の凄腕を活かし、しぶしぶ事の解決に手を貸すが……。心揺さぶる人情時代小説の傑作!』
目次
・善人長屋
・泥棒簪
・抜けずの刀
・嘘つき紅
・源平螢
・犀の子守歌
・冬の蟬
・夜叉坊主の代之吉
・野州屋の蔵
ブログをはじめたばかりの頃、読書家の女子高生から相談されたことがあります。
読書好きのおばあちゃんと本の話をしたいけれど、時代小説はハードルが高くて手が出ない、と。
その時にお薦めしたのが西條奈加の「金春屋ゴメス」。
限りなく時代小説っぽいけれど、異世界ものだから読みやすいと思うよ。
その後彼女は、私以上に時代小説にのめり込み(それ以外の本もよく読んでたけど)、おばあちゃんと本の話も弾んだらしいです。
なのに私はしばらく彼女の本から遠ざかっていました。
久しぶりに読んで、「めっちゃ上手くなってるじゃん!」←何様?
すっごい読みやすい。
善人長屋の差配の娘お縫いは、この二つ名が腹立たしい。
だって善人長屋に住んでいるのは、裏稼業を持つ悪党たちばかりなんだもの。
なんとか住人たちに足を現わせたいと思っているのだけれど、世の中はそんなに単純ではなくて…。
長屋の住人達は、悪党ではありますが悪人ではありません。
だから困った人を見ると手を差し伸べたいという気持ちは、もちろんある。
しかし、下手に出しゃばった真似をして、本業(というか裏稼業)に支障が出たら身の破滅。
だから普通に善いことはするけれども、面倒には巻き込まれないようにしていた。
そんな時、新たに長屋の住人となったのが、錠前職人の加助だ。
人を信じることしかできず、自分の身を投げ出してまで人を救おうとする加助を見て、周りは何とか手助けをする羽目になる。
それが身の破滅に繋がるかもしれないのに。
善行を施すのに命がけの綱渡りというドキドキ。
もちろん困った人を助ける話は読んでいて心地よい。
加助の登場がまた面白くて、本当は錠前外しの泥棒が中山道の赤坂宿(今の岐阜県大垣市)から身を隠すためにやってくるはずが、タイミングよく江戸の赤坂見附界隈から錠前職人がやってきたもので、勘違いから住みついてしまうのだ。
火事で死に別れたはずの加助の妻を見かけた後半から、一気に話はきな臭くなってくる。
私は単純に妻子を見つけ出し、加助は長屋を出ていってハッピーエンドになるのだと思ったのだけど、そうは作者がおろさない。
人の心というのは複雑極まりない。
差配の娘お縫いも、最初は善悪でしか物事を考えられなかったが、それでは解決できないことも世の中にはたくさんあると、世間を知ることで成長していく。
大事なのは善か悪かではなく、困難に陥っている人を救うことだ。
もちろん善は大切だけど。