カバー裏より
『十歳の双子の姉妹が、母親を亡くして初めて迎える夏のこと。屋根裏部屋で、二人は帽子でない帽子〈スペシャリストの帽子〉を手に入れた……世界幻想文学大賞受賞の表題作ほか、既婚者としか関係を持たないルイーズと、チェリストとしか関係を持たないルイーズ――二人のルイーズを描くネビュラ賞受賞の「ルイーズのゴースト」など、米ファンタジイ界最注目作家が軽妙なユーモアに乗せて送る第一短篇集。』
目次
・カーネーション、リリー、リリー、ローズ
・黒犬の背に水
・スペシャリストの帽子
・飛行訓練
・雪の女王と旅して
・人間消滅
・生存者の舞踏会、あるいはドナー・パーティー
・靴と結婚
・私の友人はたいてい三分の二が水でできている
・ルイーズのゴースト
・少女探偵
これは!
読者を選ぶ本だと思う。
ファンタジーにもほどがあるというか、ストーリーと言えるストーリーはほぼない。
つまり、起承転結が。
読後感は、ほぼ悪い。または、置いてきぼり。
何をどう解釈しようと思っても私の力量では無理なので、ただそのまま受け入れることにした。
ただ、いくつかの作品は通奏低音として童話や児童文学が使われていて、それが面白かったな。
少女が魔法にかけられた王子を助けるため、艱難辛苦を乗り越えるような童話が多いけど、王子はそれほどの苦労をしてまで助けるほどの人間?という雪の女王の問いには、改めて目から鱗が落ちる気がした。
確かにディズニーに出てくる王子はあからさまに馬鹿っぽいよね。
最初はホラー系ファンタジーなのかなと思って読んでいたのだけれど、怖かったのはいろいろと正体不明のせいだと思った。
わけがわからないものは恐ろしい。
わからないなりに受け入れると、それほど怖くはなくなった。
つまり、拒絶すればするほど怖いのかもしれない。
初めてのタイプの作家でした。
