カバー折返しより
『荒地の水車場の見習いになった少年クラバートは、親方から魔法を習う。が三年後、自由と、ひとりの少女の愛をかち得るため、生死をかけて親方と対決する日がやってくる。ドイツの一地方に伝わる〈クラバート伝説〉をもとに、現代の語り部プロイスラーが、十一年の歳月をかけてねりあげた壮大な長編小説。』
ずっと読みたいと思って、でもずっと怖くて読めずにいました。
この本と、アラン・ガーナーの『ふくろう模様の皿』。
魔法って何でもできるように思えるけれど、その代償が命ってのが、児童文学としては余りに酷で。
でも、童話の残酷さとはまた別なのですが。
家々を回ってはその日の食事や宿をめぐんでもらうような生活を送っていた少年・クラバートは、ある日夢の誘いに従って水車場の見習い職人になることにします。
そもそも夢で呼びかけられるというのが尋常ではないのですが、過酷な水車場での労働も厳しい親方の仕打ちも、毎日の食事とベッドが保証された生活の前には大したことのない問題でした。
クラバートにとっては。
金曜の夜は、親方による魔法の講義があります。
12人の職人はカラスの姿に変えられて講義を受けますが、特に熱心に講義を受けなくてもいいようです。
でもクラバートは一生懸命魔法を覚えようと努力するのでした。
水車場の生活は、一年サイクルで流れが決まっています。
これが、キリスト教の暦で進んでいくのが興味深い。
だって魔法はキリスト教徒は相いれないはずなのに。
でも復活祭前夜の儀式とか、すごく怖いのです。
親方に生殺与奪を握られるというのは、普通の徒弟制度とは全然違うわけです。
女の子を好きになろうものなら、女の子ともども不幸になるしかありません。
先輩にそう教えられたクラバートは、それでも気になる女の子ができてしまいます。
その反面優しい先輩が、毎年、不審な死を迎えることも気になります。
怖いけど、クラバートが不幸にならないように心の中で祈りながら、読み進めるのを止められませんでした。
たった三年しか魔法修行をしていないクラバートが、どうやって親方に対抗しうるのか。
これは、子どもはいつか親を越えて信頼できる仲間や愛する人を見つけて、世界に踏み出していくという話なんでしょうね。
すっごく良かったです。
読んでよかった。






