『7SEEDS』固め読みの9月でした。
当分マンガを借りなくてもいいや、と思えるほど満足した。
小説でもマンガでも、多くの人物がそれぞれに影響を与え合い成長しあえるような話は面白い。
マンガ以外は22冊。
なかなか読めた方ではないでしょうか。
★5つは3冊。
『ある英国人が愛した素顔のニッポン』
知らないことを知るのは楽しい。
今までと違うものの見方をするのは楽しい。
目の前にあるものを愛し、今を楽しんで生きる。
生きて故郷・イギリスに帰ることはできないとわかっていながらの来日。
なのにこんなに有意義に生きることができると教えてくれる。
そんな一冊。
『雪と珊瑚と』
無理をせず、できる範囲で丁寧な暮らしをすることの豊かさ。
実際に乳幼児を抱えてこんな生活は無理だけど、でも、気がついた時だけでも、丁寧に暮らしていこうと思う。
そして、ひとりで立つために、手を貸してもらうことは恥ずかしいことではない。
謙虚に手を、知恵をお借りして、いつか誰かにお返しすればいいのだから。
『八本脚の蝶』
ここ最近で一番衝撃を受けた本。
膨大な知識と、偏った性癖と、止むことのない死への志向。
読んでいて辛い部分がたくさんあったけど、それでも毎日少しずつ読むことを止められなかった。
そして最後のひと月の、怒涛の引用の嵐には彼女の決意のほどが苦しくて、本当にしんどかったのに、逆に一気に読んでしまった。
死を選んだ彼女の本当の気持は誰にもわからない。
けれど、衝動的ではなく、確固たる信念をもって自殺したことだけは強く伝わった。
さて今月は、20冊くらい読みたいと思っているけれど、実はクロスワードパズルをやりたい病を発病の予感。
これが私の秋の定番。
9月の読書メーター
読んだ本の数:43
読んだページ数:11426
ナイス数:802
流転の海 第7部 満月の道 (新潮文庫)の感想
何度同じ失敗をするのか、熊吾は。太っ腹で人情家でもあるけれど、最後の詰めがいつも甘い。若いうちはまだやり直しもできた。だけどもう65歳。体力も、残り時間も、そんなに残されていないのだ。伸仁のために生きる、と決めていたんじゃないの?森井博美は西条あけみだったころと別人のようである。もっと毅然とした生き様を見せていたと思うのだけど、熊吾にすがるしかない今は情けない。もし今の姿を伸仁に見られたら、ちゃんと挨拶できる?熊吾は会社を、家庭を守り切ることができるのか?★★★★☆
読了日:09月02日 著者:宮本 輝
観覧車 (祥伝社文庫)の感想
柴田よしきの、プロ作家としての初めての作品ということもあって、ちょっとまだこなれてない部分もあるけれど、面白く読んだ。結婚して一年で失踪した夫が遺した探偵事務所を、彼の帰る場所を守るために引き継ぐ唯が主人公。いくつかの事件は、唯が夫を探すための手掛かりにもなる。唯の夫は10年も失踪している。もちろん夫には夫の事情もあるだろう。だけど、あまりにも自分の事情しか考えてないと思うのだ。唯の夫も、約束と希望的観測の中で揺れたかもしれないけれど、ひとりの人間の人生を束縛するには、10年はあまりに重いと思うんだよね。★★★★☆
読了日:09月03日 著者:柴田 よしき
消えた少年たち〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)の感想
タイトルと表紙から、複数の少年が消えてしまう話と思われる。序章替わりの「ぼうず」という章で、誰かが少年たちをさらう話だということはわかる。しかし、本編ではまだ、誰も姿を消してはいない…と思う。というか、消えた少年たちの話であると思うのだけど、ほぼほぼ父親の会社の人たちの悪意ある嫌がらせに目が行ってしまって、スティーヴィを気にかけながらも、そこまで辛い目に合っていたとは想像していなかった。善意の塊のような一家に一体何が起きるのか。一体どういう結末が待ち受けているのか。どうか哀しい話じゃありませんように。★★★★☆
読了日:09月04日 著者:オースン・スコット カード
7SEEDS (17) (フラワーコミックスアルファ)の感想
夏Bの行動がいちいち理解できない安居と涼。暇とかテキトーの意味が本気でわからない。一日のノルマを決めず、だらだらと過ごす夏B。しかし、嵐が見つけた箱のなかに入っていたオルゴールの「別れの曲」が2人にスイッチを入れる。夏Bチームのテストが始まる。ちょっと!安居だけじゃなくて、涼も夏Aテストの呪縛が解けてないじゃないの!夏Bのメンバーはアプローチの仕方はそれぞれだけど、他人をよく見ている。蝉丸の「あんたらはなんつーか、ド田舎の学校でスポーツの合宿やってましたって感じなんだよな」は絶妙な表現。
読了日:09月05日 著者:田村 由美
7SEEDS (18) (フラワーコミックスアルファ)の感想
ちまきの解説で7つの富士と方角の関係はわかったけど、じゃあやっぱり冬チームのシェルターが雌阿寒岳ってのが納得いかない。雌阿寒岳のそばに阿寒富士があるし、そもそも雌阿寒岳は絶賛活動中の火山なので、そこにシェルターを億くらいなら蝦夷富士(羊蹄山)に置くはず。ナツの成長、まつりの影響による涼の変化が良かっただけに、最後の発砲シーンが不穏。夏Bは落ちこぼれチームだからガイドは一番能力の高い人が付いたのかな。頼れる牡丹姐さん。でも、自衛隊員がガイドになればサバイバルに最強だったと思うんだけど、いないね。
読了日:09月05日 著者:田村 由美
7SEEDS (19) (フラワーコミックスアルファ)の感想
衝撃のシーンで終わった前巻の続きはあっさり回収。3つに分かれてしまった彼らは、それぞれに船シェルターからの脱出を図るが、止まっていたはずの核ミサイルと自爆装置が動き出し、13時間以内に装置を止めなければならないことに。安居はナツの成長を認めず行動を止めようとするが、嵐はナツを信じて見守ろうとする。一見安居が横暴なように見えるけど、安居は安居で茂の事故がトラウマになっている。螢が年齢以上に大人で冷静で、陰の支柱かもしれない。まつりもしっかりしてきたし、いいチームになってきたように思う。
読了日:09月05日 著者:田村 由美
7SEEDS 20 (フラワーコミックス)の感想
遂に茂の死について安居が抱えていたトラウマが語られる。嵐は、夏Aたちは教育されたのではなく洗脳されたのだという。自分で考えて行動する権利を奪われていたのだと。そして合流した涼は、茂は自らの意志で、安居を活かすために自分の命綱を切ったのだと語る。この秘密を抱えていたことが涼のトラウマでもあったので、二人はこれで最終テストの呪縛から解放されたのかもしれない。なんだかんだで涼が祭りを気に入っているのが安心材料。彼女は健全な子だから。蝉丸も、勢いだけでは乗り越えられない己の未熟さを知って、さらなる成長をするか?
読了日:09月05日 著者:田村 由美
パラレルの感想
ストーリーといえるストーリーは特にない。時系列もランダムに、別れた元妻や友人たちとの日常が描かれる。途中までプロットもないのでは?と不安になるほど淡々と進む主人公の一人称だったけど、後半のある一点で登場人物たちがギュッとなる場面があって、そうか、そこが転換点か、と思った。なぜこの作品タイトルが『パラレル』なのか。自然体なのに妙に中に踏み込むことのできないこの作品と私の関係か?どう解釈したものか。未だ答えが出ない。★★★★☆
読了日:09月06日 著者:長嶋 有
妖怪アパートの幽雅な日常 5 (講談社文庫)の感想
二学期が始まり、病気で休職中の先生たちに変わり、二人の新しい先生が着任した。一人は夕士の担任で、フランクな見た目の生活指導担当・千晶直巳(ちあきなおみ)。もう一人は清潔感あふれる美人英語教師・青木春香。「地獄への道は善意で舗装されている」の章で千晶は青木のことをこう評する。”出刃で刺されたって、だらだら血を流しながら『あなたのためを思っているんです』なんてほざける人種だ。厄介だよ、傷つかない奴ってのは。”次は修学旅行の話らしいし、また一波乱あるのだろう。★★★★☆
読了日:09月07日 著者:香月 日輪
7SEEDS (21) (フラワーコミックスアルファ)の感想
冷たい地下水に流されて死んだと思われていた花が、水辺に流れ着いてサバイバル生活を送る話からスタート。すぐに豚のような猪のような動物が現れ、行動を共にすることになる。思えば夏A以外は、動物を飼っているのだ。動物の生存本能を指標にするシーンが多々ある。夏Aにはそれがなかったから、桃太で毒と薬を見極めるしかなかった。船シェルターについては想像通りの結末。理屈ではない行動というのを理解できなかった夏Aたちっていうのは、つまり要の縮小再生版だったのだな。多分彼だけが成長できていない。
読了日:09月07日 著者:田村 由美
7SEEDS (22) (フラワーコミックスアルファ)の感想
藤子たちと合流した花。藤子も花も一人でも生きて行けるタイプの人間だったが、それは周囲に大勢人がいるときの話だ。今いるこの世界で、たった一人で生きなければならないとしたら、その孤独はどれほどのものだろう。それを新巻は長年やり続けた結果、見た目は大人だが中身は少年のままという…あれ?なんかいいじゃん。(笑)あゆは新巻と旅を続けて、数値化できる能力以外にも、人には必要なものがあることを徐々に知る。そして花たちのところできのこが大量発生。まるで船シェルターの鉄を食うバクテリアのように。
読了日:09月07日 著者:田村 由美
歩道橋の魔術師 (エクス・リブリス)の感想
1980年代の台北にあった中華商場。戦後に建てられた鉄筋コンクリート3階建ての建物が8棟、歩道橋で繋がるショッピングモール。子ども達はそこで遊び、家の手伝いをし、大人になって町を出る。1980年代と言えば、日本だとバブルの直前くらい?なのに頭に浮かぶ光景は白黒で、生き生きと遊ぶ子供たちの姿にすら喪失の影が見える。歩道橋でマジックを披露する「魔術師」は、子ども達の憧れであり、怖れの対象でもあった。何かを得るということは、何かを失うこと。それは瞬間の出来事のようでありながら、連綿と続く現実の裏と表なのだろう。★★★★☆
読了日:09月08日 著者:呉明益
がんから5年―「ほどほど」がだいじの感想
サブタイトルの「ほどほど」が大事というのは、読者に向けた言葉ではなく、著者が自分自身に言い聞かせている言葉のようです。”例えば、がんと診断されると、多くの人が「なぜ、私が」と思うという。でも、二人に一人という確率からすれば、ショックはショックでも「私もか」となるのが、自然なのでは。”この本の中で、”がんになる前から、がんについて知ることです。”と書かれているのは、全くその通りだと思います。無理をせず、がんにとらわれ過ぎずに向き合っていけたらと思いました。★★★★☆
読了日:09月09日 著者:岸本 葉子
7SEEDS (23) (フラワーコミックスアルファ)の感想
花たちが開けた石仏に隠れた倉庫で栽培されていたきのこが猛繁殖を遂げ、辺りの生態系を破壊する。新巻は犬を使って花を探すが、その犬たちにもきのこが繁殖する。落雷が山火事を起こし、花たちと新巻たちは再会するが、火事のなか、犬たちは新巻のもとを去る。仔犬たちを守るため、きのこを焼き尽くすため。火事は他のメンバーたちのもとにも広がり、期せずして皆は日本海を目指す。要が夏Aの前に姿を現わすと、途端に夏Aが逆行する。「まだテスト中なのか?」矢継ぎ早に命令を出す要にハルが毅然と「NO!」を突きつける。ハル、成長したね。
読了日:09月10日 著者:田村 由美
7SEEDS (24) (フラワーコミックスアルファ)の感想
出産を控えたくるみの安全のために要が皆を連れてきたのは干潮の時だけ陸続きになる謎の島だった。何度か訪れたことのある要は安全だというが、その夜、頭痛がするので外で寝ていた虹子以外の13人が閉ざされた島から姿を消した。個人主義者の虹子は、いつもだったら一人でその場を立ち去っていたところだが、今回は皆の行方を捜すことにする。目立たないが虹子の成長だ。13人はそれぞれ幻覚を目にし、耳にし、廃墟のような迷路に取り込まれてしまう。小グループに分かれた彼らがどうやって互いを見つけ出し、ここから脱出するのか。次が楽しみ。
読了日:09月10日 著者:田村 由美
ある英国人が愛した素顔のニッポン TOKYO DIARYの感想
タイトルと表紙に惹かれて借りてきたら、著者の状況にびっくり。表紙だけ見たらおしゃれな英国紳士が、日本滞在中の興味深い出来事を、ユーモアとウィットと毒舌で切り取ったエッセイだと思うのですが、それだけではない。著者は2011年にALSを発症し、2012年に日本人と結婚し、2013年の1月に二度と帰る事が叶わないことを承知で来日し、その年の12月に亡くなりました。だけど全然悲壮感はない。無理して明るさを装うことはできませんが、多分どこかに明るさがないと病気と闘っていけないのでは、と思いました。★★★★★
読了日:09月11日 著者:マルコム デイビッド ワトソン
7SEEDS (25) (フラワーコミックスアルファ)の感想
謎の島は佐渡島と地下で繋がっている鍵島だった。ノアの箱舟計画。動植物の遺伝子銀行及び美術品・工芸品・書物のシェルターとなる佐渡島と、関連研究施設である鍵島。廃墟となった鍵島で行方不明になった13人を探していた虹子は、夏B+安居、涼と合流。虹子がクールなのは、ただ感受性が未成熟だっただけなのでは。今の虹子は、とても良い。分断された13人。探す夏Bも3手に分かれ、そして螢が巨大蟻にさらわれる!巨大ミミズトカゲも姿を見せ、一体この島はなんなのだ!?
読了日:09月11日 著者:田村 由美
7SEEDS (26) (フラワーコミックスアルファ)の感想
佐渡島と地下で繋がる鍵島で、廃墟とありの巣迷路に翻弄されるメンバーたち。一方春チームはひばりの故郷である佐渡島を目指す。花の父も「何かあったら佐渡に行け」と言っていた。差異化し、佐渡島の半分は水没していた。地下で、ナツや小瑠璃は自分の見たい夢に溺れることなく現実に戻り、ハルは耳で地形を探ろうと神経を研ぎ澄ませる。まつりは涼に告白し、意外な展開に。そして安居は要と再会し、触れられたくない過去を嵐の前で暴露される。今の要は、果してちゃんとした大人ですか?安居と同じ、自分の過去から逃げてないか?
読了日:09月11日 著者:田村 由美
7SEEDS (27) (フラワーコミックスアルファ)の感想
地下で、蘭を救出する牡丹姐さん。この世界で初めて年上の女性に怒られ、ずっと気を張っていた蘭が良い意味でほどけていく。嵐は安居が花に何をしたかを知り「自分だけが被害者だと思うなよ。人を傷つける権利があると思うな」と言う。これは嵐にとっては一番言われたくない台詞。ふたりは袂を分かつ。あゆたちはひばりの家に隠された秘密を見つけ、地下でさ迷う人たちは、それぞれ自分の弱さと戦うことになる。まつりだけがちょっと幸せ。強くていい子や。
読了日:09月12日 著者:田村 由美
7SEEDS (28) (フラワーコミックスアルファ)の感想
お掃除ロボットのネットワークで、一部連絡がとりあえるようになった。島の中の食物連鎖の頂点にいるのは蜘蛛だった。幻覚を見せる胞子を持ったきのこで卵を包み、蟻の幼虫にエサとして与えると共に、きのこに群がる蟻を食する。島にいた人間は、きのこが見せる夢を見ながら蜘蛛の餌になっていた。ナツと蝉丸は自力で夢から醒めたが、嵐の声で目覚めた花の後ろに巨大な蜘蛛が!ってところで次巻に続く。くくっ。
読了日:09月12日 著者:田村 由美
三匹のおっさんの感想
定年を迎えると、男はジジイになってしまうのか。いや、そうじゃない。俺たちはまだまだおっさんなんだ。幼馴染みで『三匹の悪ガキ』だった、剣道の師範キヨ、柔道家のシゲ、頭脳派で機械いじりのプロのノリは『三匹のおっさん』として、ボランティアの正義の味方を始めることにする。誰にも内緒で。ちょっと素人が手を出していいの?って事件もあるし、無報酬のくせに興信所を使ったりと結構持ち出しが多いのも気になるけれど、細かいことはいいのよ。痛快娯楽現代小説ってことで。★★★★☆
読了日:09月12日 著者:有川 浩
ローマ人の物語〈34〉迷走する帝国〈下〉 (新潮文庫 し 12-84)の感想
2~3年、またはそれ以下の年数で次々に代わる皇帝。なりたい人が部下の推薦という形で立候補しては、謀殺されてしまうことの繰り返しに、一体帝国に人材はいないのか、と思うほどだったが、この巻でようやく能力とやる気に恵まれた皇帝が現れる。なのに。やっぱり謀殺される。やる気も能力もあったが疫病に斃れた人や、戦地に向かう途中に高齢で斃れた人や、落雷が直撃した人。ここまでくると、これはもう神の意志かと思う人が出てきてもしょうがない。しかしようやく20年以上帝位に就くことができた皇帝が現れる。次巻が楽しみである。★★★★☆
読了日:09月14日 著者:塩野 七生
姑の遺品整理は、迷惑ですの感想
3DKのエレベータもないマンションでひとり暮らしをしていた姑が、急逝した。主人公は嫁として、遺品整理に通うのだが、あらゆるものが過剰にある家で途方に暮れるばかりだった。うん、わかる。ある年齢以上の女性によくある、捨てられない症候群。対して、主人公の実母は、きちんと身じまいをして誰にも迷惑をかけなかった。しかし…。どんなに立派に生きていても、人はひとりだけで生きていくことはできないのだから、迷惑をかけたりかけられたりしながら人と関わることも必要なのだと思う。それもまた豊かな生き方と言えるだろう。★★★★☆
読了日:09月15日 著者:垣谷 美雨
流転の海 第8部 長流の畔 (新潮文庫)の感想
老いらくの恋ではなかったのか。一時の気の迷いで家族と距離を置かれてしまう、67歳松坂熊吾。仕事も、他人の世話を焼いているうちはいいのだが、自分の商売となるといつも足元をすくわれて左前になってしまう。愚かだと言えば愚かだ。毎度同じ過ちを繰り返す。それが性分だとしても、学習しなさすぎる。ただ、この時代の男として松坂熊吾が卓越しているのは、家族の危機には必ずその場に立ち会っていることだ。とすると、熊吾にとって一番大切なのはやっぱり家族であって、であればこの展開は切ないのぉ。自業自得だけれど。★★★★☆
読了日:09月16日 著者:宮本 輝
消えた少年たち〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)の感想
タイトルの『消えた少年たち』。上下巻合わせて1000ページ近くになるのに、実際に連続少年失踪事件のことが書かれ出したのは下巻の280ページを過ぎてから。これでは消えた少年たちが浮かばれない。怪しい人は多々出て来るも、すべて小者。しかも少年失踪の話すらみじんも出てこない。大切な人の、救えるはずの命を、純真無垢な善意の塊のその命を、取りこぼしてしまう。どれほどの悔いが残るだろう。だから、「この本長すぎる!無駄が多すぎ!」と怒りながら、号泣してしまったのだ。だって子どもに罪はないもの。(T^T)★★★★☆
読了日:09月18日 著者:オースン・スコット カード
7SEEDS (29) (フラワーコミックスアルファ)の感想
蜘蛛に捕らわれた新巻を助けに行く花たち。しかし新巻は幸せだったころの夢から醒めようとしない。必死で助ける花たちの様子をお掃除ロボットを通して聞いていたあゆは、初めて嫉妬という感情を覚える。お掃除ロボットのネットワークでみんなの所在がだいたいわかってきたが、くるみたちだけは誰とも繋がっていない。初めての出産に不安なくるみは、ついに流星に本音をぶつける。「私と向き合って!」流星はくるみを愛しているのは本当だけど、弱い自分に自信が持てず、いつも逃げ出したかった。弱くてもくるみの手を離しちゃダメだぞ、流星。
読了日:09月19日 著者:田村 由美
7SEEDS (30) (フラワーコミックスアルファ)の感想
隠されていた佐渡の最後の謎が明かされる。そのまま安全なところに逃げることもできたのだが、救えるかもしれない命を見殺しにすることはできない。大きく3手に分かれて行動する彼らとは別に、要先生を追う涼。常に安居をかばい、先回りをして安居の負担を軽減してやろうとする涼は誰かに似てるとずっと思っていたけど、グレアムを心配するアンジ―に似てる。自分も痛いのに。自分の痛みに気づかないで要先生を追う涼が切ない。まつりが涼を救えますように。くるみと流星は二人きりで出産をむかえる覚悟を決めたが、居場所の水かさが増してきて…。
読了日:09月19日 著者:田村 由美
ひな菊の人生 (幻冬舎文庫)の感想
『TSUGUMI』を読んで、こんなに私の生きづらさをわかってくれる作家がいるんだ、それもこんなに若い作家が、と感動しました。でもこれは、いまいち。親と死別した子ども、恋愛とは違う異性のやさしさ、スピリチュアル的な気付き。彼女の得意のパターンだな。こんなに周囲の人に大切にされて、自立していると言いながらの居候生活で、何が人生?って思う。おじさんやおばさんと距離を取りながらも、手の届くところに居続ける。彼女の人生は、まだまだこれからではないのだろうか。★★★☆☆
読了日:09月19日 著者:吉本 ばなな
妖怪アパートの幽雅な日常 6 (講談社文庫)の感想
夕士、高2の冬。今回のメインイベントは修学旅行という名のスキー旅行。しかしそのホテルは、立て続けに女子高生が自殺した、いわくつきのホテルだった。孤独が淋しかった時に、そこにつけこまれることは…あるんだろうなあ。生徒たちに絶大な人気を誇る千晶先生は、幽霊たちに狙われる。彼女たちの言い分を聞いた千晶先生は「淋しかったんだ……。かわいそうに……」口先だけではない、心からの千晶先生の言葉に姿を消す彼女たち。「たった一言が、世界を変えることもございますぞ、ご主人様」と、フール。今作はいろいろと深い。千晶先生いいぞ。★★★★☆
読了日:09月20日 著者:香月 日輪
私の命はあなたの命より軽い (講談社文庫)の感想
大阪の実家で里帰り出産することに遼は、どうも家族に祝福されていないように感じる。家族仲が良いのが自慢だったのに、両親と妹は目を合わせようともしない。何があったのだ?何が悲しくて初めてのお産でこんなに神経をすり減らさなければならないのか。明らかに家族は何かを隠している。しかし、少しずつ知りえた事実は、私が想像したよりもはるかに過酷なものだった。姉のある意味いのちを賭した行動とその後の展開で、これからは穏やかで幸せな日々が戻って来るのでは、と思ったら…。近藤先生、私、そこまでの毒は求めておりませんのです。★★★★☆
読了日:09月22日 著者:近藤 史恵
7SEEDS (31) (フラワーコミックスアルファ)の感想
夏Aチームが育てられたのは佐渡だった。それがわかったのは、茂の遺体が屍蝋化して発見されたから。そしてそこに要がいた。逆上する安居。止める嵐。「もう一度会えてよかったな」という新巻。お掃除ロボットネットワークを通して安居の評価を皆に問う要。しかし過酷な環境を乗り越えて成長するメンバーに対し、ひとり過去に生きていると秋ヲに断罪される要は、くるみたちを探しに再び姿を消した。ここが要にとっての転換点だったと思う。彼は彼で壮絶な人生を送ってきたんだけどね。
読了日:09月22日 著者:田村 由美
7SEEDS (32) (フラワーコミックスアルファ)の感想
今まで謎だった角又の過去が明らかに。年上の彼女が、方舟のスタッフだった。彼女は何も言わず角又の子を宿し、そして姿を消した。角又は未来に送られた。いろんなプランが同時進行で行われていたんだな。朔也が花たちに合流。方舟の手前で立ち往生。小佐渡の沈降、施設の崩壊、停電と次々に襲いかかる危機。皆ができることに全力を尽くすなか、ナツは何もできない自分を恥じるが、ついに勇気を出して一歩踏み出す。蝉丸、ヘタレだけど、ほんといいやつだ。
読了日:09月22日 著者:田村 由美
雪と珊瑚との感想
梨木香歩の作品はストーリーを追うことを主眼としていない。しかし、それにしても、この作品はさすがに。一つの出会いが次の出会いを生み、一つの行いが次の行動を呼ぶ。21歳で、シングルマザーで、頼れる親族はなく、貯金もなく、国民健康保険すら未加入で、でも、カフェを開く。実際にはこんなにトントン拍子に行くはずはない。でも、ひとりで立って歩くために支えてもらうことは、恥ずかしいことではないんだよ。私はそう読みました。施し。憐れみ。無力感。プライド。そういう心の向きや持ち様と、どう折り合いをつけ、どう生きていくのか。★★★★★
読了日:09月23日 著者:梨木 香歩
7SEEDS (33) (フラワーコミックスアルファ)の感想
閉じた隔壁に閉じ込められた花を救うために下のフロアへ降りていく嵐たち。崩壊が進む地下空間で、退路を確保しながら進む安居たちをもどかしく感じる新巻は、ひとり最短距離を行く。帰るつもりのないコースを。隔壁を空けた衝動で冷たい水の中に落ちていく新巻。ずっと死に損なったと感じていた新巻を、嵐は追い、助ける。「花をダシにするな!」あゆが、源五郎が、新巻の気持に寄り添う。成長じゃないか夏のA。ナツたちと合流し方舟に乗り込むが、危機は続く。「まだまだゲームセットじゃない」
読了日:09月23日 著者:田村 由美
7SEEDS (34) (フラワーコミックスアルファ)の感想
蜘蛛に襲われドアを閉められない方舟。方舟で亡くなった人たちのミイラを投げて蜘蛛の注意を逸らす花とナツ。いざとなったら女は強い。それに引き換え蝉丸と朔也はさあ…。そしてお掃除ロボットネットワークに支えられながら、とうとうくるみの出産。実際にそばにいるのは流星だけ。初めての出産でどれだけ心細いかしれないが、ここにきてようやく流星も父親としての自覚が生まれる。人が生まれるときは、必ずお母さんが一緒。ひとりで生まれてきたわけじゃない。
読了日:09月23日 著者:田村 由美
小暮写眞館 (書き下ろし100冊)の感想
寂れた商店街の中に残る、今はもう廃業した小暮写真館に引っ越して来た花菱家の長男・英一(高校生)が主人公。写真館の建物を気に入ってそのまま住むという変わり者の両親と、賢くてかわいくてよいこの弟ピカ(小学生)に比べると、これといって特徴のない常識人の英一が、小暮写真館の主が撮った心霊写真の謎を解くはめになり、心霊(写真)探偵として活躍するのがこの膨大な作品の前半部。後半、覚悟を決めて立ち向かった英一。覚悟を決めて、全てを捨ててやり直すことを決めた垣本。ちょっと切ない終りになったけれど、それも含めて青春だよね。★★★★☆
読了日:09月25日 著者:宮部 みゆき
7SEEDS (35) (フラワーコミックスアルファ)の感想
方舟は海に浮かび上がり、地下通路組は無事に佐渡上陸、鍵島組は船を操り佐渡を目指し、ただ一人地下の立坑に残された嵐を小瑠璃が助けに行く。今度こそ間に合う!それは繭を助けることができなかった小瑠璃の悔いだから。みんなが、自分のできることを精一杯頑張る。そしてこの佐渡で生きていく。嵐が瓶に入れて海に流した手紙に返事が来た。世界には、まだ人が残されている。いつか出会うことがあるかもしれない。それは希望だ。辛いシーンが続いた作品だったけど、晴れ晴れとしたエンディングでよかったな。
読了日:09月27日 著者:田村 由美
7SEEDS 外伝 (フラワーコミックスアルファ)の感想
佐渡でのその後の暮らし。インフラを整備しながら、地形や生物相なども調査する。夏Aがやはり頼りになるが、嵐と涼はその中にいない。力を合わせて危機を脱出してきたのに。十六夜さんを殺したことと花を襲ったことがどうしても許されない。花の気持はわかる。許す、許さないではなく、恐怖で体が強張ってしまうことも。だけど過ちを償わせてもう一度チャンスを与えることができないのか。鷭ちゃん以外の夏Aがガイドに向けて銃を撃ったこと、あゆが桃太にしたことは許されるのに?償ったうえでの新たな旅立ちだったらよかったのにと思いました。
読了日:09月27日 著者:田村 由美
八本脚の蝶 (河出文庫)の感想
めったに複数の本を並行して読むことはないのだが、この本は少し読んで、一冊にかかりきってはだめだと思った。その内容が、圧が、求心力が、多分相当なダメージを私に与えると思ったから。二十五歳で自殺する2年前からの日記。いつ、どこで彼女はバランスを失っていったのか。何がきっかけだったのか。生きることが怖くて、生きて行けなかった。死ぬひと月くらい前から、日記がすごいことになっていく。毎日、何度も何度も書き継がれる、引用文の嵐。彼女が、死を前に内臓をすべて吐き出そうとしているかのように。★★★★★
読了日:09月27日 著者:二階堂 奥歯
マスク スペイン風邪をめぐる小説集 (文春文庫)の感想
コロナ禍だからこそ出版された、菊池寛の短編集。とはいえ、スペイン風邪をめぐる小説集というのは言い過ぎ。表題作は、心臓の具合がよろしくないと言われた死を身近に感じておびえていた頃、流行性感冒が流行り始めてからの著者の行動が、全く現在のコロナかと被って面白かった。不要不急の外出はせず、家族にもさせず、うがいを忘れず、マスクも必須。また。「簡単な死去」では流行性感冒で亡くなった同僚のお通夜に出席する人を決めるためのくじ引きを行う。今だったら、家族すら死体のそばで一夜を明かすのは許されないのだろうけれど。時代だ。★★★★☆
読了日:09月28日 著者:菊池 寛
優しい音楽<新装版> (双葉文庫)の感想
どれも、「実際にはこんな人いないよね―」っていうくらいいい人の話。でもそれが、瀬尾まいこの持ち味だ。表題作の「優しい音楽」は、突然見知らぬ女子大生近づいてきて、戸惑う永居タケルと、ずっと存在を確かめていたいから恋愛感情なしに恋人になることを決意する鈴木千波の話。なぜ千波がタケルの存在を気にするのか。それがわかった時に取り得る行動っていくつかあるけれど、いくつものミスリードを経てタケルが出した結論と行動は、温かな泣き笑いを読者にもたらすだろう。★★★★☆
読了日:09月28日 著者:瀬尾 まいこ
おちくぼ姫 (角川文庫)の感想
素直におもしろかった!変に外連味などなく、ハラハラドキドキの展開もありつつ、ご都合主義のように救いの手が現れる。勧善懲悪というほど悪を懲らしめすぎないところも、良き。ひどいことをされても恨むことなく、おっとりと善意だけで生きてきた姫君。そりゃあ辛いことも心細いこともたくさんある。だからこそ、乳兄弟の阿漕(あこぎ)の八面六臂の活躍が頼もしい。ごてごてしくない簡潔な描写で、ポンポンとテンポよく進むさまは、さながら1000年前のライトノベルでしょうか。★★★★☆
読了日:09月29日 著者:田辺 聖子
3月のライオン 16 (ヤングアニマルコミックス)の感想
ここしばらく続いていた、川本家での日常から、いよいよまた将棋の世界へと話が動く。どこにも居場所のなかった、将棋しかなかった桐山零が、多くのことを経験する中で居場所を作り、それでも将棋を続ける意味をこれからは考えていかなければならないのだろう。そんな桐山の変化を、対局しながら見抜く二海堂のモノローグが好き。ふたりとも、よくここまで頑張りましたね。さ、また最初から読みなおそう。
読了日:09月30日 著者:羽海野 チカ
読書メーター
当分マンガを借りなくてもいいや、と思えるほど満足した。
小説でもマンガでも、多くの人物がそれぞれに影響を与え合い成長しあえるような話は面白い。
マンガ以外は22冊。
なかなか読めた方ではないでしょうか。
★5つは3冊。
『ある英国人が愛した素顔のニッポン』
知らないことを知るのは楽しい。
今までと違うものの見方をするのは楽しい。
目の前にあるものを愛し、今を楽しんで生きる。
生きて故郷・イギリスに帰ることはできないとわかっていながらの来日。
なのにこんなに有意義に生きることができると教えてくれる。
そんな一冊。
『雪と珊瑚と』
無理をせず、できる範囲で丁寧な暮らしをすることの豊かさ。
実際に乳幼児を抱えてこんな生活は無理だけど、でも、気がついた時だけでも、丁寧に暮らしていこうと思う。
そして、ひとりで立つために、手を貸してもらうことは恥ずかしいことではない。
謙虚に手を、知恵をお借りして、いつか誰かにお返しすればいいのだから。
『八本脚の蝶』
ここ最近で一番衝撃を受けた本。
膨大な知識と、偏った性癖と、止むことのない死への志向。
読んでいて辛い部分がたくさんあったけど、それでも毎日少しずつ読むことを止められなかった。
そして最後のひと月の、怒涛の引用の嵐には彼女の決意のほどが苦しくて、本当にしんどかったのに、逆に一気に読んでしまった。
死を選んだ彼女の本当の気持は誰にもわからない。
けれど、衝動的ではなく、確固たる信念をもって自殺したことだけは強く伝わった。
さて今月は、20冊くらい読みたいと思っているけれど、実はクロスワードパズルをやりたい病を発病の予感。
これが私の秋の定番。
9月の読書メーター
読んだ本の数:43
読んだページ数:11426
ナイス数:802
流転の海 第7部 満月の道 (新潮文庫)の感想何度同じ失敗をするのか、熊吾は。太っ腹で人情家でもあるけれど、最後の詰めがいつも甘い。若いうちはまだやり直しもできた。だけどもう65歳。体力も、残り時間も、そんなに残されていないのだ。伸仁のために生きる、と決めていたんじゃないの?森井博美は西条あけみだったころと別人のようである。もっと毅然とした生き様を見せていたと思うのだけど、熊吾にすがるしかない今は情けない。もし今の姿を伸仁に見られたら、ちゃんと挨拶できる?熊吾は会社を、家庭を守り切ることができるのか?★★★★☆
読了日:09月02日 著者:宮本 輝
観覧車 (祥伝社文庫)の感想柴田よしきの、プロ作家としての初めての作品ということもあって、ちょっとまだこなれてない部分もあるけれど、面白く読んだ。結婚して一年で失踪した夫が遺した探偵事務所を、彼の帰る場所を守るために引き継ぐ唯が主人公。いくつかの事件は、唯が夫を探すための手掛かりにもなる。唯の夫は10年も失踪している。もちろん夫には夫の事情もあるだろう。だけど、あまりにも自分の事情しか考えてないと思うのだ。唯の夫も、約束と希望的観測の中で揺れたかもしれないけれど、ひとりの人間の人生を束縛するには、10年はあまりに重いと思うんだよね。★★★★☆
読了日:09月03日 著者:柴田 よしき
消えた少年たち〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)の感想タイトルと表紙から、複数の少年が消えてしまう話と思われる。序章替わりの「ぼうず」という章で、誰かが少年たちをさらう話だということはわかる。しかし、本編ではまだ、誰も姿を消してはいない…と思う。というか、消えた少年たちの話であると思うのだけど、ほぼほぼ父親の会社の人たちの悪意ある嫌がらせに目が行ってしまって、スティーヴィを気にかけながらも、そこまで辛い目に合っていたとは想像していなかった。善意の塊のような一家に一体何が起きるのか。一体どういう結末が待ち受けているのか。どうか哀しい話じゃありませんように。★★★★☆
読了日:09月04日 著者:オースン・スコット カード
7SEEDS (17) (フラワーコミックスアルファ)の感想夏Bの行動がいちいち理解できない安居と涼。暇とかテキトーの意味が本気でわからない。一日のノルマを決めず、だらだらと過ごす夏B。しかし、嵐が見つけた箱のなかに入っていたオルゴールの「別れの曲」が2人にスイッチを入れる。夏Bチームのテストが始まる。ちょっと!安居だけじゃなくて、涼も夏Aテストの呪縛が解けてないじゃないの!夏Bのメンバーはアプローチの仕方はそれぞれだけど、他人をよく見ている。蝉丸の「あんたらはなんつーか、ド田舎の学校でスポーツの合宿やってましたって感じなんだよな」は絶妙な表現。
読了日:09月05日 著者:田村 由美
7SEEDS (18) (フラワーコミックスアルファ)の感想ちまきの解説で7つの富士と方角の関係はわかったけど、じゃあやっぱり冬チームのシェルターが雌阿寒岳ってのが納得いかない。雌阿寒岳のそばに阿寒富士があるし、そもそも雌阿寒岳は絶賛活動中の火山なので、そこにシェルターを億くらいなら蝦夷富士(羊蹄山)に置くはず。ナツの成長、まつりの影響による涼の変化が良かっただけに、最後の発砲シーンが不穏。夏Bは落ちこぼれチームだからガイドは一番能力の高い人が付いたのかな。頼れる牡丹姐さん。でも、自衛隊員がガイドになればサバイバルに最強だったと思うんだけど、いないね。
読了日:09月05日 著者:田村 由美
7SEEDS (19) (フラワーコミックスアルファ)の感想衝撃のシーンで終わった前巻の続きはあっさり回収。3つに分かれてしまった彼らは、それぞれに船シェルターからの脱出を図るが、止まっていたはずの核ミサイルと自爆装置が動き出し、13時間以内に装置を止めなければならないことに。安居はナツの成長を認めず行動を止めようとするが、嵐はナツを信じて見守ろうとする。一見安居が横暴なように見えるけど、安居は安居で茂の事故がトラウマになっている。螢が年齢以上に大人で冷静で、陰の支柱かもしれない。まつりもしっかりしてきたし、いいチームになってきたように思う。
読了日:09月05日 著者:田村 由美
7SEEDS 20 (フラワーコミックス)の感想遂に茂の死について安居が抱えていたトラウマが語られる。嵐は、夏Aたちは教育されたのではなく洗脳されたのだという。自分で考えて行動する権利を奪われていたのだと。そして合流した涼は、茂は自らの意志で、安居を活かすために自分の命綱を切ったのだと語る。この秘密を抱えていたことが涼のトラウマでもあったので、二人はこれで最終テストの呪縛から解放されたのかもしれない。なんだかんだで涼が祭りを気に入っているのが安心材料。彼女は健全な子だから。蝉丸も、勢いだけでは乗り越えられない己の未熟さを知って、さらなる成長をするか?
読了日:09月05日 著者:田村 由美
パラレルの感想ストーリーといえるストーリーは特にない。時系列もランダムに、別れた元妻や友人たちとの日常が描かれる。途中までプロットもないのでは?と不安になるほど淡々と進む主人公の一人称だったけど、後半のある一点で登場人物たちがギュッとなる場面があって、そうか、そこが転換点か、と思った。なぜこの作品タイトルが『パラレル』なのか。自然体なのに妙に中に踏み込むことのできないこの作品と私の関係か?どう解釈したものか。未だ答えが出ない。★★★★☆
読了日:09月06日 著者:長嶋 有
妖怪アパートの幽雅な日常 5 (講談社文庫)の感想二学期が始まり、病気で休職中の先生たちに変わり、二人の新しい先生が着任した。一人は夕士の担任で、フランクな見た目の生活指導担当・千晶直巳(ちあきなおみ)。もう一人は清潔感あふれる美人英語教師・青木春香。「地獄への道は善意で舗装されている」の章で千晶は青木のことをこう評する。”出刃で刺されたって、だらだら血を流しながら『あなたのためを思っているんです』なんてほざける人種だ。厄介だよ、傷つかない奴ってのは。”次は修学旅行の話らしいし、また一波乱あるのだろう。★★★★☆
読了日:09月07日 著者:香月 日輪
7SEEDS (21) (フラワーコミックスアルファ)の感想冷たい地下水に流されて死んだと思われていた花が、水辺に流れ着いてサバイバル生活を送る話からスタート。すぐに豚のような猪のような動物が現れ、行動を共にすることになる。思えば夏A以外は、動物を飼っているのだ。動物の生存本能を指標にするシーンが多々ある。夏Aにはそれがなかったから、桃太で毒と薬を見極めるしかなかった。船シェルターについては想像通りの結末。理屈ではない行動というのを理解できなかった夏Aたちっていうのは、つまり要の縮小再生版だったのだな。多分彼だけが成長できていない。
読了日:09月07日 著者:田村 由美
7SEEDS (22) (フラワーコミックスアルファ)の感想藤子たちと合流した花。藤子も花も一人でも生きて行けるタイプの人間だったが、それは周囲に大勢人がいるときの話だ。今いるこの世界で、たった一人で生きなければならないとしたら、その孤独はどれほどのものだろう。それを新巻は長年やり続けた結果、見た目は大人だが中身は少年のままという…あれ?なんかいいじゃん。(笑)あゆは新巻と旅を続けて、数値化できる能力以外にも、人には必要なものがあることを徐々に知る。そして花たちのところできのこが大量発生。まるで船シェルターの鉄を食うバクテリアのように。
読了日:09月07日 著者:田村 由美
歩道橋の魔術師 (エクス・リブリス)の感想1980年代の台北にあった中華商場。戦後に建てられた鉄筋コンクリート3階建ての建物が8棟、歩道橋で繋がるショッピングモール。子ども達はそこで遊び、家の手伝いをし、大人になって町を出る。1980年代と言えば、日本だとバブルの直前くらい?なのに頭に浮かぶ光景は白黒で、生き生きと遊ぶ子供たちの姿にすら喪失の影が見える。歩道橋でマジックを披露する「魔術師」は、子ども達の憧れであり、怖れの対象でもあった。何かを得るということは、何かを失うこと。それは瞬間の出来事のようでありながら、連綿と続く現実の裏と表なのだろう。★★★★☆
読了日:09月08日 著者:呉明益
がんから5年―「ほどほど」がだいじの感想サブタイトルの「ほどほど」が大事というのは、読者に向けた言葉ではなく、著者が自分自身に言い聞かせている言葉のようです。”例えば、がんと診断されると、多くの人が「なぜ、私が」と思うという。でも、二人に一人という確率からすれば、ショックはショックでも「私もか」となるのが、自然なのでは。”この本の中で、”がんになる前から、がんについて知ることです。”と書かれているのは、全くその通りだと思います。無理をせず、がんにとらわれ過ぎずに向き合っていけたらと思いました。★★★★☆
読了日:09月09日 著者:岸本 葉子
7SEEDS (23) (フラワーコミックスアルファ)の感想花たちが開けた石仏に隠れた倉庫で栽培されていたきのこが猛繁殖を遂げ、辺りの生態系を破壊する。新巻は犬を使って花を探すが、その犬たちにもきのこが繁殖する。落雷が山火事を起こし、花たちと新巻たちは再会するが、火事のなか、犬たちは新巻のもとを去る。仔犬たちを守るため、きのこを焼き尽くすため。火事は他のメンバーたちのもとにも広がり、期せずして皆は日本海を目指す。要が夏Aの前に姿を現わすと、途端に夏Aが逆行する。「まだテスト中なのか?」矢継ぎ早に命令を出す要にハルが毅然と「NO!」を突きつける。ハル、成長したね。
読了日:09月10日 著者:田村 由美
7SEEDS (24) (フラワーコミックスアルファ)の感想出産を控えたくるみの安全のために要が皆を連れてきたのは干潮の時だけ陸続きになる謎の島だった。何度か訪れたことのある要は安全だというが、その夜、頭痛がするので外で寝ていた虹子以外の13人が閉ざされた島から姿を消した。個人主義者の虹子は、いつもだったら一人でその場を立ち去っていたところだが、今回は皆の行方を捜すことにする。目立たないが虹子の成長だ。13人はそれぞれ幻覚を目にし、耳にし、廃墟のような迷路に取り込まれてしまう。小グループに分かれた彼らがどうやって互いを見つけ出し、ここから脱出するのか。次が楽しみ。
読了日:09月10日 著者:田村 由美
ある英国人が愛した素顔のニッポン TOKYO DIARYの感想タイトルと表紙に惹かれて借りてきたら、著者の状況にびっくり。表紙だけ見たらおしゃれな英国紳士が、日本滞在中の興味深い出来事を、ユーモアとウィットと毒舌で切り取ったエッセイだと思うのですが、それだけではない。著者は2011年にALSを発症し、2012年に日本人と結婚し、2013年の1月に二度と帰る事が叶わないことを承知で来日し、その年の12月に亡くなりました。だけど全然悲壮感はない。無理して明るさを装うことはできませんが、多分どこかに明るさがないと病気と闘っていけないのでは、と思いました。★★★★★
読了日:09月11日 著者:マルコム デイビッド ワトソン
7SEEDS (25) (フラワーコミックスアルファ)の感想謎の島は佐渡島と地下で繋がっている鍵島だった。ノアの箱舟計画。動植物の遺伝子銀行及び美術品・工芸品・書物のシェルターとなる佐渡島と、関連研究施設である鍵島。廃墟となった鍵島で行方不明になった13人を探していた虹子は、夏B+安居、涼と合流。虹子がクールなのは、ただ感受性が未成熟だっただけなのでは。今の虹子は、とても良い。分断された13人。探す夏Bも3手に分かれ、そして螢が巨大蟻にさらわれる!巨大ミミズトカゲも姿を見せ、一体この島はなんなのだ!?
読了日:09月11日 著者:田村 由美
7SEEDS (26) (フラワーコミックスアルファ)の感想佐渡島と地下で繋がる鍵島で、廃墟とありの巣迷路に翻弄されるメンバーたち。一方春チームはひばりの故郷である佐渡島を目指す。花の父も「何かあったら佐渡に行け」と言っていた。差異化し、佐渡島の半分は水没していた。地下で、ナツや小瑠璃は自分の見たい夢に溺れることなく現実に戻り、ハルは耳で地形を探ろうと神経を研ぎ澄ませる。まつりは涼に告白し、意外な展開に。そして安居は要と再会し、触れられたくない過去を嵐の前で暴露される。今の要は、果してちゃんとした大人ですか?安居と同じ、自分の過去から逃げてないか?
読了日:09月11日 著者:田村 由美
7SEEDS (27) (フラワーコミックスアルファ)の感想地下で、蘭を救出する牡丹姐さん。この世界で初めて年上の女性に怒られ、ずっと気を張っていた蘭が良い意味でほどけていく。嵐は安居が花に何をしたかを知り「自分だけが被害者だと思うなよ。人を傷つける権利があると思うな」と言う。これは嵐にとっては一番言われたくない台詞。ふたりは袂を分かつ。あゆたちはひばりの家に隠された秘密を見つけ、地下でさ迷う人たちは、それぞれ自分の弱さと戦うことになる。まつりだけがちょっと幸せ。強くていい子や。
読了日:09月12日 著者:田村 由美
7SEEDS (28) (フラワーコミックスアルファ)の感想お掃除ロボットのネットワークで、一部連絡がとりあえるようになった。島の中の食物連鎖の頂点にいるのは蜘蛛だった。幻覚を見せる胞子を持ったきのこで卵を包み、蟻の幼虫にエサとして与えると共に、きのこに群がる蟻を食する。島にいた人間は、きのこが見せる夢を見ながら蜘蛛の餌になっていた。ナツと蝉丸は自力で夢から醒めたが、嵐の声で目覚めた花の後ろに巨大な蜘蛛が!ってところで次巻に続く。くくっ。
読了日:09月12日 著者:田村 由美
三匹のおっさんの感想定年を迎えると、男はジジイになってしまうのか。いや、そうじゃない。俺たちはまだまだおっさんなんだ。幼馴染みで『三匹の悪ガキ』だった、剣道の師範キヨ、柔道家のシゲ、頭脳派で機械いじりのプロのノリは『三匹のおっさん』として、ボランティアの正義の味方を始めることにする。誰にも内緒で。ちょっと素人が手を出していいの?って事件もあるし、無報酬のくせに興信所を使ったりと結構持ち出しが多いのも気になるけれど、細かいことはいいのよ。痛快娯楽現代小説ってことで。★★★★☆
読了日:09月12日 著者:有川 浩
ローマ人の物語〈34〉迷走する帝国〈下〉 (新潮文庫 し 12-84)の感想2~3年、またはそれ以下の年数で次々に代わる皇帝。なりたい人が部下の推薦という形で立候補しては、謀殺されてしまうことの繰り返しに、一体帝国に人材はいないのか、と思うほどだったが、この巻でようやく能力とやる気に恵まれた皇帝が現れる。なのに。やっぱり謀殺される。やる気も能力もあったが疫病に斃れた人や、戦地に向かう途中に高齢で斃れた人や、落雷が直撃した人。ここまでくると、これはもう神の意志かと思う人が出てきてもしょうがない。しかしようやく20年以上帝位に就くことができた皇帝が現れる。次巻が楽しみである。★★★★☆
読了日:09月14日 著者:塩野 七生
姑の遺品整理は、迷惑ですの感想3DKのエレベータもないマンションでひとり暮らしをしていた姑が、急逝した。主人公は嫁として、遺品整理に通うのだが、あらゆるものが過剰にある家で途方に暮れるばかりだった。うん、わかる。ある年齢以上の女性によくある、捨てられない症候群。対して、主人公の実母は、きちんと身じまいをして誰にも迷惑をかけなかった。しかし…。どんなに立派に生きていても、人はひとりだけで生きていくことはできないのだから、迷惑をかけたりかけられたりしながら人と関わることも必要なのだと思う。それもまた豊かな生き方と言えるだろう。★★★★☆
読了日:09月15日 著者:垣谷 美雨
流転の海 第8部 長流の畔 (新潮文庫)の感想老いらくの恋ではなかったのか。一時の気の迷いで家族と距離を置かれてしまう、67歳松坂熊吾。仕事も、他人の世話を焼いているうちはいいのだが、自分の商売となるといつも足元をすくわれて左前になってしまう。愚かだと言えば愚かだ。毎度同じ過ちを繰り返す。それが性分だとしても、学習しなさすぎる。ただ、この時代の男として松坂熊吾が卓越しているのは、家族の危機には必ずその場に立ち会っていることだ。とすると、熊吾にとって一番大切なのはやっぱり家族であって、であればこの展開は切ないのぉ。自業自得だけれど。★★★★☆
読了日:09月16日 著者:宮本 輝
消えた少年たち〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)の感想タイトルの『消えた少年たち』。上下巻合わせて1000ページ近くになるのに、実際に連続少年失踪事件のことが書かれ出したのは下巻の280ページを過ぎてから。これでは消えた少年たちが浮かばれない。怪しい人は多々出て来るも、すべて小者。しかも少年失踪の話すらみじんも出てこない。大切な人の、救えるはずの命を、純真無垢な善意の塊のその命を、取りこぼしてしまう。どれほどの悔いが残るだろう。だから、「この本長すぎる!無駄が多すぎ!」と怒りながら、号泣してしまったのだ。だって子どもに罪はないもの。(T^T)★★★★☆
読了日:09月18日 著者:オースン・スコット カード
7SEEDS (29) (フラワーコミックスアルファ)の感想蜘蛛に捕らわれた新巻を助けに行く花たち。しかし新巻は幸せだったころの夢から醒めようとしない。必死で助ける花たちの様子をお掃除ロボットを通して聞いていたあゆは、初めて嫉妬という感情を覚える。お掃除ロボットのネットワークでみんなの所在がだいたいわかってきたが、くるみたちだけは誰とも繋がっていない。初めての出産に不安なくるみは、ついに流星に本音をぶつける。「私と向き合って!」流星はくるみを愛しているのは本当だけど、弱い自分に自信が持てず、いつも逃げ出したかった。弱くてもくるみの手を離しちゃダメだぞ、流星。
読了日:09月19日 著者:田村 由美
7SEEDS (30) (フラワーコミックスアルファ)の感想隠されていた佐渡の最後の謎が明かされる。そのまま安全なところに逃げることもできたのだが、救えるかもしれない命を見殺しにすることはできない。大きく3手に分かれて行動する彼らとは別に、要先生を追う涼。常に安居をかばい、先回りをして安居の負担を軽減してやろうとする涼は誰かに似てるとずっと思っていたけど、グレアムを心配するアンジ―に似てる。自分も痛いのに。自分の痛みに気づかないで要先生を追う涼が切ない。まつりが涼を救えますように。くるみと流星は二人きりで出産をむかえる覚悟を決めたが、居場所の水かさが増してきて…。
読了日:09月19日 著者:田村 由美
ひな菊の人生 (幻冬舎文庫)の感想『TSUGUMI』を読んで、こんなに私の生きづらさをわかってくれる作家がいるんだ、それもこんなに若い作家が、と感動しました。でもこれは、いまいち。親と死別した子ども、恋愛とは違う異性のやさしさ、スピリチュアル的な気付き。彼女の得意のパターンだな。こんなに周囲の人に大切にされて、自立していると言いながらの居候生活で、何が人生?って思う。おじさんやおばさんと距離を取りながらも、手の届くところに居続ける。彼女の人生は、まだまだこれからではないのだろうか。★★★☆☆
読了日:09月19日 著者:吉本 ばなな
妖怪アパートの幽雅な日常 6 (講談社文庫)の感想夕士、高2の冬。今回のメインイベントは修学旅行という名のスキー旅行。しかしそのホテルは、立て続けに女子高生が自殺した、いわくつきのホテルだった。孤独が淋しかった時に、そこにつけこまれることは…あるんだろうなあ。生徒たちに絶大な人気を誇る千晶先生は、幽霊たちに狙われる。彼女たちの言い分を聞いた千晶先生は「淋しかったんだ……。かわいそうに……」口先だけではない、心からの千晶先生の言葉に姿を消す彼女たち。「たった一言が、世界を変えることもございますぞ、ご主人様」と、フール。今作はいろいろと深い。千晶先生いいぞ。★★★★☆
読了日:09月20日 著者:香月 日輪
私の命はあなたの命より軽い (講談社文庫)の感想大阪の実家で里帰り出産することに遼は、どうも家族に祝福されていないように感じる。家族仲が良いのが自慢だったのに、両親と妹は目を合わせようともしない。何があったのだ?何が悲しくて初めてのお産でこんなに神経をすり減らさなければならないのか。明らかに家族は何かを隠している。しかし、少しずつ知りえた事実は、私が想像したよりもはるかに過酷なものだった。姉のある意味いのちを賭した行動とその後の展開で、これからは穏やかで幸せな日々が戻って来るのでは、と思ったら…。近藤先生、私、そこまでの毒は求めておりませんのです。★★★★☆
読了日:09月22日 著者:近藤 史恵
7SEEDS (31) (フラワーコミックスアルファ)の感想夏Aチームが育てられたのは佐渡だった。それがわかったのは、茂の遺体が屍蝋化して発見されたから。そしてそこに要がいた。逆上する安居。止める嵐。「もう一度会えてよかったな」という新巻。お掃除ロボットネットワークを通して安居の評価を皆に問う要。しかし過酷な環境を乗り越えて成長するメンバーに対し、ひとり過去に生きていると秋ヲに断罪される要は、くるみたちを探しに再び姿を消した。ここが要にとっての転換点だったと思う。彼は彼で壮絶な人生を送ってきたんだけどね。
読了日:09月22日 著者:田村 由美
7SEEDS (32) (フラワーコミックスアルファ)の感想今まで謎だった角又の過去が明らかに。年上の彼女が、方舟のスタッフだった。彼女は何も言わず角又の子を宿し、そして姿を消した。角又は未来に送られた。いろんなプランが同時進行で行われていたんだな。朔也が花たちに合流。方舟の手前で立ち往生。小佐渡の沈降、施設の崩壊、停電と次々に襲いかかる危機。皆ができることに全力を尽くすなか、ナツは何もできない自分を恥じるが、ついに勇気を出して一歩踏み出す。蝉丸、ヘタレだけど、ほんといいやつだ。
読了日:09月22日 著者:田村 由美
雪と珊瑚との感想梨木香歩の作品はストーリーを追うことを主眼としていない。しかし、それにしても、この作品はさすがに。一つの出会いが次の出会いを生み、一つの行いが次の行動を呼ぶ。21歳で、シングルマザーで、頼れる親族はなく、貯金もなく、国民健康保険すら未加入で、でも、カフェを開く。実際にはこんなにトントン拍子に行くはずはない。でも、ひとりで立って歩くために支えてもらうことは、恥ずかしいことではないんだよ。私はそう読みました。施し。憐れみ。無力感。プライド。そういう心の向きや持ち様と、どう折り合いをつけ、どう生きていくのか。★★★★★
読了日:09月23日 著者:梨木 香歩
7SEEDS (33) (フラワーコミックスアルファ)の感想閉じた隔壁に閉じ込められた花を救うために下のフロアへ降りていく嵐たち。崩壊が進む地下空間で、退路を確保しながら進む安居たちをもどかしく感じる新巻は、ひとり最短距離を行く。帰るつもりのないコースを。隔壁を空けた衝動で冷たい水の中に落ちていく新巻。ずっと死に損なったと感じていた新巻を、嵐は追い、助ける。「花をダシにするな!」あゆが、源五郎が、新巻の気持に寄り添う。成長じゃないか夏のA。ナツたちと合流し方舟に乗り込むが、危機は続く。「まだまだゲームセットじゃない」
読了日:09月23日 著者:田村 由美
7SEEDS (34) (フラワーコミックスアルファ)の感想蜘蛛に襲われドアを閉められない方舟。方舟で亡くなった人たちのミイラを投げて蜘蛛の注意を逸らす花とナツ。いざとなったら女は強い。それに引き換え蝉丸と朔也はさあ…。そしてお掃除ロボットネットワークに支えられながら、とうとうくるみの出産。実際にそばにいるのは流星だけ。初めての出産でどれだけ心細いかしれないが、ここにきてようやく流星も父親としての自覚が生まれる。人が生まれるときは、必ずお母さんが一緒。ひとりで生まれてきたわけじゃない。
読了日:09月23日 著者:田村 由美
小暮写眞館 (書き下ろし100冊)の感想寂れた商店街の中に残る、今はもう廃業した小暮写真館に引っ越して来た花菱家の長男・英一(高校生)が主人公。写真館の建物を気に入ってそのまま住むという変わり者の両親と、賢くてかわいくてよいこの弟ピカ(小学生)に比べると、これといって特徴のない常識人の英一が、小暮写真館の主が撮った心霊写真の謎を解くはめになり、心霊(写真)探偵として活躍するのがこの膨大な作品の前半部。後半、覚悟を決めて立ち向かった英一。覚悟を決めて、全てを捨ててやり直すことを決めた垣本。ちょっと切ない終りになったけれど、それも含めて青春だよね。★★★★☆
読了日:09月25日 著者:宮部 みゆき
7SEEDS (35) (フラワーコミックスアルファ)の感想方舟は海に浮かび上がり、地下通路組は無事に佐渡上陸、鍵島組は船を操り佐渡を目指し、ただ一人地下の立坑に残された嵐を小瑠璃が助けに行く。今度こそ間に合う!それは繭を助けることができなかった小瑠璃の悔いだから。みんなが、自分のできることを精一杯頑張る。そしてこの佐渡で生きていく。嵐が瓶に入れて海に流した手紙に返事が来た。世界には、まだ人が残されている。いつか出会うことがあるかもしれない。それは希望だ。辛いシーンが続いた作品だったけど、晴れ晴れとしたエンディングでよかったな。
読了日:09月27日 著者:田村 由美
7SEEDS 外伝 (フラワーコミックスアルファ)の感想佐渡でのその後の暮らし。インフラを整備しながら、地形や生物相なども調査する。夏Aがやはり頼りになるが、嵐と涼はその中にいない。力を合わせて危機を脱出してきたのに。十六夜さんを殺したことと花を襲ったことがどうしても許されない。花の気持はわかる。許す、許さないではなく、恐怖で体が強張ってしまうことも。だけど過ちを償わせてもう一度チャンスを与えることができないのか。鷭ちゃん以外の夏Aがガイドに向けて銃を撃ったこと、あゆが桃太にしたことは許されるのに?償ったうえでの新たな旅立ちだったらよかったのにと思いました。
読了日:09月27日 著者:田村 由美
八本脚の蝶 (河出文庫)の感想めったに複数の本を並行して読むことはないのだが、この本は少し読んで、一冊にかかりきってはだめだと思った。その内容が、圧が、求心力が、多分相当なダメージを私に与えると思ったから。二十五歳で自殺する2年前からの日記。いつ、どこで彼女はバランスを失っていったのか。何がきっかけだったのか。生きることが怖くて、生きて行けなかった。死ぬひと月くらい前から、日記がすごいことになっていく。毎日、何度も何度も書き継がれる、引用文の嵐。彼女が、死を前に内臓をすべて吐き出そうとしているかのように。★★★★★
読了日:09月27日 著者:二階堂 奥歯
マスク スペイン風邪をめぐる小説集 (文春文庫)の感想コロナ禍だからこそ出版された、菊池寛の短編集。とはいえ、スペイン風邪をめぐる小説集というのは言い過ぎ。表題作は、心臓の具合がよろしくないと言われた死を身近に感じておびえていた頃、流行性感冒が流行り始めてからの著者の行動が、全く現在のコロナかと被って面白かった。不要不急の外出はせず、家族にもさせず、うがいを忘れず、マスクも必須。また。「簡単な死去」では流行性感冒で亡くなった同僚のお通夜に出席する人を決めるためのくじ引きを行う。今だったら、家族すら死体のそばで一夜を明かすのは許されないのだろうけれど。時代だ。★★★★☆
読了日:09月28日 著者:菊池 寛
優しい音楽<新装版> (双葉文庫)の感想どれも、「実際にはこんな人いないよね―」っていうくらいいい人の話。でもそれが、瀬尾まいこの持ち味だ。表題作の「優しい音楽」は、突然見知らぬ女子大生近づいてきて、戸惑う永居タケルと、ずっと存在を確かめていたいから恋愛感情なしに恋人になることを決意する鈴木千波の話。なぜ千波がタケルの存在を気にするのか。それがわかった時に取り得る行動っていくつかあるけれど、いくつものミスリードを経てタケルが出した結論と行動は、温かな泣き笑いを読者にもたらすだろう。★★★★☆
読了日:09月28日 著者:瀬尾 まいこ
おちくぼ姫 (角川文庫)の感想素直におもしろかった!変に外連味などなく、ハラハラドキドキの展開もありつつ、ご都合主義のように救いの手が現れる。勧善懲悪というほど悪を懲らしめすぎないところも、良き。ひどいことをされても恨むことなく、おっとりと善意だけで生きてきた姫君。そりゃあ辛いことも心細いこともたくさんある。だからこそ、乳兄弟の阿漕(あこぎ)の八面六臂の活躍が頼もしい。ごてごてしくない簡潔な描写で、ポンポンとテンポよく進むさまは、さながら1000年前のライトノベルでしょうか。★★★★☆
読了日:09月29日 著者:田辺 聖子
3月のライオン 16 (ヤングアニマルコミックス)の感想ここしばらく続いていた、川本家での日常から、いよいよまた将棋の世界へと話が動く。どこにも居場所のなかった、将棋しかなかった桐山零が、多くのことを経験する中で居場所を作り、それでも将棋を続ける意味をこれからは考えていかなければならないのだろう。そんな桐山の変化を、対局しながら見抜く二海堂のモノローグが好き。ふたりとも、よくここまで頑張りましたね。さ、また最初から読みなおそう。
読了日:09月30日 著者:羽海野 チカ
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