少し前、実家のそばのお店で見かけた光景。
今時の綿あめってカラフルなのは知っていましたが、カップに入っているのね。

 

昔ながらのスティックタイプ(?)も売っていましたが、みんなカップの方を買っていましたよ。
物陰でじっと見ていた怪しいおばばは私です。
 
 
本日の読書:書店主フィクリーのものがたり ガブリエル・ゼヴィン

 

 

カバー裏より

『島に一軒だけある小さな書店。偏屈な店主フィクリーは妻を亡くして以来。ずっとひとりで店を営んでいた。ある夜、所蔵していた稀覯本が盗まれてしまい、フィクリーは打ちひしがれる。傷心の日々を過ごすなか、彼は書店にちいさな子どもが捨てられているのを発見する。自分もこの子もひとりぼっち――フィクリーはその子を、ひとりで育てる決意をする。本屋大賞に輝いた、本を愛するすべての人に贈る物語。』

 

目次

・おとなしい凶器

・リッツくらい大きなダイアモンド

・ロアリング・キャンプのラック

・世界の肌ざわり
・善人はなかなかいない
・ジム・スマイリーの跳び蛙
・夏服を着た女たち
・父親との会話
・バナナフィッシュ日和
・告げ口心臓
・アイロン頭
・愛について語るときに我々の語ること
・古本屋
 
この本は、本好きの人なら絶対面白いんじゃないだろうか。
まず目次を見て。
これ全部、短編小説のタイトル。
 
章扉には章のタイトルだけではなく、書店主が誰かに宛てたメッセージも書かれている。
最初はそれも楽しく読んでいたのだけれど、徐々にこれは別れのメッセージのようにも思えてきて、不安が募る。
 
ところがこの主人公、最初は本当に感じが悪い。
出版社の営業担当者に対して、こだわりの強いラーメン屋のオヤジくらい頑固でいけすかない。
それは、最愛の妻を亡くしたからなのだけど、それにしても自分の好きな本しか売ろうとしないのだから、本屋として、どうよ。
 
”お好みでないものは、ポストモダン、最終戦後の世界という設定、死者の独白、あるいはマジック・リアリズム。おそらくは才気走った定石的な趣向、多種多様な字体、あるべきではないところにある挿絵――基本的にはあらゆる種類の小細工。ホロコーストとか、その他の主な世界的悲劇を描いた文学作品は好まない。(中略)児童書は好まない、ことに孤児が出てくるやつは。うちの棚にヤング・アダルト物は詰めこみたくない。四百頁以上のもの、百五十頁以下の本はいかなるものも好まない。(後略)”
 
とにかく、優れた小説以外は全部却下。
ところがあることがきっかけで徐々に彼は心を開き、心を開けばいろいろな本も受け入れられる。
 
本好きであることは間違いのない書店主A・Jと、娘のマヤ、そして彼らの周囲の人たちの会話の中には、さらっと小説の中の人物や有名なセリフが出てきたりして、読みながらにやにやワクワクがとまらない。
 
作中、書店主の母がクリスマスプレゼントとして電子書籍リーダーを渡すシーンがある。
母の思惑としては、時世に遅れないように、ということなのだが、書店主は当然激怒する。
 
”この世で最もよいものが、肉から脂身が切り取られるように徐々に切り取られていくのではないかと。最初は、レコード店だった、それからビデオの店。それから新聞や雑誌の販売店、そして今やチェーンの大型書店もいたるところで姿を消しつつある。彼の見方では、チェーンの大型書店のある世界よりもっと悪いのは、チェーンの大型書店がまったくない世界だ。”
 
本屋のない町なんて、町にあらず。
それはわかる。
だけど、最後は私的には蛇足だったな。
 
個人的に嬉しかったのは、最初と最後の小タイトルがロアルド・ダールだったこと。
特に『おとなしい凶器』は小学生の時以来ずっと好きな作品なので。(その割にスタンリー・エリンの『特別料理』と間違える)