東京に3年住んでいたうち、2年半は娘が東京近郊あちこちに住んでいたのでしょっちゅう会っていた…ような気がします。
けれど、去年札幌に戻ってくる直前からコロナ禍で外出が制限され、いつでも会えると思っていたのに結局最後はほとんど会えないまま現在に至っています。
会いたいなあ。
去年の今頃は転職する準備をしていたのですが、コロナのせいで転職活動することも出来ず、相変わらずのブラック企業で当分働き続けることを決めたようです。
傍にいたらいろいろ支えてあげられるのに…と思うけど、この間まで小さな少女だった娘も今日で29歳。
ひゃ~、時が過ぎるのは早いよね~。
多分親が思うよりしっかりしているんだろうけれど、多分世間が思うよりポンコツなので、無理はしないで頑張れって思ってます。
健康に留意して、笑顔の多い毎日を過ごしてくれたらいいですね。
本日の読書:君の膵臓をたべたい 住野よる
カバー裏より
『ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それはクラスメイトである山内桜良が綴った、秘密の日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて―。読後、きっとこのタイトルに涙する。「名前のない僕」と「日常のない彼女」が織りなす、大ベストセラー青春小説!』
人の死をエサに感動を強要するような小説が嫌いです。
ましてやこの、いかにも「気になるでしょ?」的なあざといタイトル。
最近は「あざとかわいい」が流行っているようだけど、あざといっていうのは誠実の対極にあると思うので、私は好きではない。
もう、ケンカ腰でこの本を読みました。
「わたし、もうすぐ死ぬんだよ」とあっけらかんと言う、語り手の少年のクラスメイトである山内桜良(さくら)。
他人との付き合いを一切拒み、小説を読むことを無上の喜びとする彼の前に現れた桜良は、「うわっははは」と豪快に笑い、何事もポジティブに考え、行動に移す。彼を巻き込みながら。
こんなに生命力にあふれているのに、もうすぐ死ぬの?
「死ぬよ。」
彼女がそう言うたびに、「死にたくない!」と彼女が叫んでいるような気がして、読んでいても息苦しい。
親友にすら病気を隠し、最後まで日常生活を、普通の高校生を楽しみたいという気持ち。
それはわかる。
だけど、すべてを知っていてくれる人がいたら、一人で死の恐怖を抱えなくてもいいかも。
これもわかる。
けれど結局、桜良は彼の前で弱弱しく泣くこともなく、人付き合いの経験のなかった彼はそんな桜良の心中を思いやることも出来なかった。
ただ、その日が近づいてきていることはわかっていた。
このままだったら、この世に数多ある「難病感動もの」だっただろう。
しかし、急転直下の出来事が起きる。
いや、何度もそのことは触れられているのだけど。
徹底的に読者の裏をかこうとする試み。
タイトルも、病気の設定も、語り手の名前がなかなか出てこないことも、最後のエピソードも。
それはなかなかにうざったい。
それでも、この本は若い人に読んでもらいたいと思った。
何が起こるかわからないからこそ、自分の時間の無駄遣いをしている余裕など誰にもないのだと気づいてほしいから。