今日テレビのローカル番組を見ていたら、ご自分の蔵書を庭先に作った本棚で貸し出している、小さな図書館が紹介されていました。
そこは札幌の隣の北広島市で、もともと学芸員だった(そして図書館司書の資格も持っていた)方が始めたもの。
本棚に収められているのは、絵本を中心に50冊ばかり。
その大半を、私も持っていました。
家の整理整頓と称して、もう10箱くらいは搬出したでしょうか。
今のところ大半が絵本です。
本当は、私もこういうふうに自宅を開放して、小さな文庫を開きたかった。
しかし、オートロックのマンションでは、それは無理でしょう。
マンションの集会室に本棚を置いてもらうことも考えましたが、後々面倒なことになるのも厄介なので、断念しました。
そんなわけで山積みの本をせっせと段ボールに詰めているのですが、さすがに全ての本を覚えてはいません。
料理の本、ベランダ菜園の本などを買うのはわかりますが、釣りの本も覚えてないけどあの頃に買ったんだなあとわかりますが、ビリヤードの本が出てきたのにはびっくり。
家族のだれもビリヤードやらないのに。
多分ビリヤードのゲームが攻略できなくて、勉強のために買ったのだと思いますが、普通逆じゃね?
日ごろビリヤードをたしなむ人が、ゲームするなら分かるけど。
でも確かに我が家にはビリヤードのゲームソフトがあったはず。
で、いつ買ったかわからないその本は、新品のようにきれいでありました。やれやれ。
本日の読書:はだかの太陽 アイザック・アシモフ
カバー裏より
『地球の人類は鋼鉄都市と呼ばれるドームのなかで、人口過密に悩まされながら生きていた。一方、宇宙へ進出し、繁栄を謳歌している人類の子孫、スペーサーたちは各植民惑星に宇宙国家を築き、地球を支配下においている。数ヵ月前にロボット刑事ダニールとともにスペーサー殺人事件を解決したニューヨーク市警の刑事ベイリは、宇宙国家のひとつ、ソラリアで起きた殺人事件の捜査を命じられたが…。『鋼鉄都市』続編の新訳版』
人口過密で広所恐怖症の地球人類。
天井と壁に囲まれたところ(密閉)で、大勢の人々が(密集)暮らしている。
密接かどうかはそれぞれだろうが、これは結構現在の日本の姿に近いかも。
そして殺人事件が起こった惑星ソラリアは超潔癖な社会で、一人一人が広大な敷地を所有するがゆえ、人と対面することに嫌悪以上に恐怖を感じる社会。
たとえ親しい人とはいえ、他人の吐いた息を、巡り巡って自分が吸ってしまうことに耐えられないのだ。
どうしても対面しなければならないときは、鼻栓と手袋が必須だ。
あれ?これこそ今の日本の姿?
人と対面することのない社会で、どうやって撲殺事件は起きたのか?
最初はコロナ自粛の今だからこそ、なんて思って手にしたのだけれど、読みはじめたらアシモフの文章に流されるように一気読み。
やっぱりアシモフ、面白いや。
高校生のころ読んだ時には、もう少し無機質な作品だったイメージがありましたが、今回読んでみると、アシモフ、本当に人間が大好きだよねって思いましたよ。
さて、コロナ禍のなか、自粛自粛の日本の未来のようなソラリアについて、ベイリはこう言います。
”ソラリア人は、人類が何百万年も持ちつづけてきたあるものを放擲してしまったんです”
それは何か。
”部族というものですよ。人間同士の協力関係です。(中略)人間と人間の相互作用なくしては、生命に対する興味も失われます。知的な価値の大部分が失われます。生きるための理由の大半が失われるんです”
だから、ベイリの事件解決については賛否両論あると思うけど、そうなるわけなのです。
さて、これからの日本は、ますます個人主義が蔓延していくのか。
でもね、効率化を極めた結果の密がコロナに対してこれほどまでに脆弱だったということは、非効率化、ゆとり、程よい距離感をもったゆるいつながりが、これからは大切になるのではないかなあとちょっと思っている。
天国のアシモフさんに、どう思うか聞いてみたいところである。
