来月の、いや来年の誕生日に、10さんは60歳になります。
で、還暦アピールが半端ない。

還暦の意義はわかりますよ。
でも我が家の状況で、孫や子に囲まれて赤いちゃんちゃんこきて「おめでとう!」っていうのは無理だし。
孫はいないし、子どもたちは一人も帰省しないし。

唯一残った私に「いやあ、ついに俺も還暦だよ」とことあるごとに言うわけですが、「そだねー」としか返せない。(そんなに楽しみなものなの?)

それでも秋ごろから、何をプレゼントしたらいいのか悩んでいました。たまに。
赤いもの…日ごろから赤いジャージの上下を着て散歩に行くような人に、何を今さら赤いものを?

気がつけば10さんの誕生日まであと半月。
いやあ、追い詰められればアイディアって出てくるものですね。
わたくし、子どもにお願いという体裁の命令を発しました。
60年前の10さんの誕生日の新聞入りの日本酒を、子どもたち連盟で送れ、と。

これはもう、10さん大感激間違いありません。
ああ肩の荷が下りた。

酒が送られてくることが分かっているので、誕生日プレゼントは渋めの片口でも買おうかなあと思っています。(本当は自分が欲しい)

数年後、私も「ついに還暦になるのよ!」とアピールしまくるのかしら。
うーん。
ピンとこないなあ…。

とりあえず赤いもの。
先週見かけた紅葉。
2~3m離れているだけなのに、この色の違いは何だろう。




本日の読書:フリー! 岡部えつ



カバー裏より
『緑川千春は広告代理店のデザイナーとして働く37歳。人手不足による残業、配慮のない上司たちに限界を感じ、なかば衝動的に会社を辞めることに。しかし、待っていたのは想像以上に厳しい現実だった。そんな千春を癒してくれたのは、音信不通のまま関係が途切れたかつての恋人が教えてくれた近所にある日本酒バー『drop』。マスターや、店で出会った人々との交流によって千春の人生は少しずつ変化していき―。人生の岐路に立つ女性の姿を丹念に描いた長編小説。』

なかなか苦しい読書でした。
難しいとか面白くないというわけではないのです。
読んでいると、周りの酸素が薄くなって息苦しいような、そんな苦しさの読書。

頑張っても頑張っても増え続ける仕事。
それを見て見ぬふりをする上司や、自分のことしか考えない同僚。
なんの役にも立たない優しい言葉をかけてくれる恋人。または家族。
そのどれもが、ものすごく煩わしい。

悪意のある人なんていないのかもしれない。
自分がひねくれているだけなのかもしれない。
でも、どうしたらこの息苦しさから抜け出せるのかわからない。

過去の自分を見ているようで、なんとも身につまされるのです。

だけどちょっと登場人物たち、設定よりみんな幼いよね。
主人公千春は、いくら有能なデザイナーと言っても所詮会社員。
37歳で転職しようと思ったら、ステップアップなんて望めないと思うのが普通。
何なら上司は最初から彼女が辞めるように巧妙に仕向けていたのかもしれない。
高給取りの女性社員より安上がりで若い派遣社員のほうが、会社にとっては負担が軽いもの。

彼女が仕事でいっぱいいっぱいの時に、「休んだらいいのに」というぐらいしかできない恋人・昭人も幼い。
優しいかもしれないけれど、支えてはくれない。

のちに知り合いになる和香に至っては、人の好き嫌いがあからさまに出すぎで、こんな27歳はちょっといないのではと思うほど。
世間知らずも甚だしい。

それぞれ設定年齢を10歳ずつ下げればいいんじゃないだろうか。
一番まずいと思ったのは、フリーで受けた仕事が橋梁オーバーしているのを分かっていながら、助けてくれそうな人に助けを求めず、結果納期を守れなかったこと。
仕事ってそういうものじゃないでしょ。
尽くせる手はすべて尽くしても間に合わなければアウトなのに、尽くしてないもの。
37歳でそんな認識はダメだよ。

最終的にみんなふわふわといい感じに着地したように見えるけど、千春も聖子もマスターも、将来の見通しは全くもって不透明だからね。
しがらみからフリーになったって、日々の生活っていうのからは逃げることはできないのだから。

なんていいながら、一気読みですよ。
できない理由なんていくらでも考えられるけど、とにかく一歩を踏み出したことを、とりあえずは評価したいと思うわけです。


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