マグロの柵をミンチにします。
みじん切りにした茗荷を混ぜて、しょうゆと中華だしで餡に味をつけてから餃子の皮で包みます。
焼きたてを食べたら、それはもう美味しかったの。

「でさ、それ実際に作ったの?」
いいえ。あんまり美味しかったので、夢で満足しました。

「そこまでリアルな夢見たんだったら、作ればいいのに」
だって、一人暮らしで餃子を作っても美味しくないじゃない?
「冷凍しておいてくれたら、食べに行くよ!」

というのが、昨日アジアン・バルで餃子を食べながら娘と交わした会話。

でも私は知っている。
夢で食べた餃子は美味しかったけど、マグロの柵をミンチにしても、水分が多すぎてべちゃべちゃした餃子になってしまうことを。
30年ほど前にカツオで経験してるからね。

生のマグロではなく、火を通したマグロを使ったらどうだろう。
茗荷だけでは焼いたときに皮から透けるいろどりが寂しいので、青ネギも少し入れようか。
にらと茗荷だと味が喧嘩しちゃいそうだから。
茗荷バージョンと生姜バージョンを作るのもいいな。

うん、イケそうな気がする。
よし、脳内クッキング終了。←結局作らない(笑)


本日の読書:明日の食卓 椰月美智子

明日の食卓明日の食卓
1,728円
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Amazonより
『同じ名前の男の子を育てる3人の母親たち。愛する我が子に手を上げたのは誰か―。どこにでもある家庭の光と闇を描いた、衝撃の物語。 』

これは広報も含めての作品なのかもしれない。

”息子を殺したのは、私ですか?
同じ名前の男の子を育てる3人の母親たち。
愛する我が子に手をあげたのは誰か――。”

母による子殺し。
そこに至るまでに何があったのか。

静岡在住・専業主婦の石橋あすみ36歳、夫・太一は東京に勤務するサラリーマン、息子・優8歳。
神奈川在住・フリーライターの石橋留美子43歳、夫・豊はフリーカメラマン、息子・悠宇8歳。
大阪在住・シングルマザーの石橋加奈30歳、離婚してアルバイトを掛け持ちする毎日、息子・勇8歳。

石橋ユウくんが母に殺されたということを前提に、三家族それぞれの日常が描かれる。

どんなにわが子がかわいくても、いくら血を分けた子であっても、育児が大変なことには変わりはない。
大変なことが毎日続けば、つらくなってくるのも当たり前だ。

シングルマザーの加奈はともかく、あすみと留美子の夫は、その育児の辛さを分かち合おうとしない。
そこが読んでいて苦しかったのだ。

自分が壊れてしまいそうなくらい追い詰められた時に、精神的に支えてくれるものは絶対に必要だ。
あすみにはそれが習字教室の友達で、留美子はブログの読者だったり編集者だったりで、夫ではなかった。
そして最後まで夫たちは変わらなかった。

そして加奈は、勇のやけどをきっかけに虐待を疑われたことから知り合う、児童相談所の相良さんの存在が救いになる。

”虐待の可能性があるかもしれへんと思って来てくれたんやろ。勇のことを心配してくれたんやろ。こんなありがたい話あれへん。市立病院の先生かってそうや。勇のことが気になって、わざわざ相良さんに連絡入れてくれはったんやろ。ありがたいなあ。ほんまおおきに。ほんまありがとうございます”

生活することに必死で世の中のことを見ようとしなかった加奈。
他人とつながる余裕もなかった。
だけど、自分一人で子どもを守れるわけではないことを知った。

どんなにわが子がかわいくても、いくら血を分けた子であっても、育児が大変なことには変わりはない。
だからどんな親にも、つらい時は「助けて」って言える環境があってほしい。

個人的にはあすみの選択は理解不能。
問題は何も解決していないのに「明るい未来」を約束する人のことを、どうしても私は信頼できない。
本当に明るい未来が来てくれればいいけれど。

母による子殺し。
ネタバレのようにそこから始まる物語だし、読んでいて気持ちのいいものではない部分も多かったけれど、何かの救いになりそうなエンディングに安堵。


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