
暑いですねー。
5月に30度を超える日があって、6月に涼しい日が続いたので、私的にはもう9月の気分でした。
もう、秋よのぅ。
なんて思っていたのに、夏?夏なの?
まだ6月なんですよねえ。
9月でいいのにな。
![]() | 百年法 (下) (角川文庫) 778円 Amazon |
カバー裏より
『不老化処置を受けた国民は処置後百年を以て死ななければならない―円滑な世代交代を目論んだ「百年法」を拒否する者が続出。「死の強制」から逃れる者や、不老化処置をあえて受けず、人間らしく人生を全うする人々は、独自のコミュニティを形成し活路を見いだす。しかし、それを焼き払うかのように、政府の追っ手が非情に迫る……世間が救世主を求める中、少しずつ歪み出す世界に、国民が下した日本の未来は!?驚愕の結末!』
これはちょっと、ネタバレをしないと感想が書けないぞ。
ネタバレ。しかも褒めてはいません。
不老化処置を受けた後、100年を経過したら死ななければならない。
そこから逃れようとする者は犯罪者となるが、もちろん死にたくない者たちは大勢いるわけで、政府の目を盗んでコミュニティを作り、細々と暮らしている者たちもいる。
国民を、死に向かわせる法案を通さざるを得なかった政府は、大統領に強大な権力を与ええたが、今、その権力は腐敗しつつあった。
「百年法」に反対し、反政府テロを起こす阿那谷童仁。
この国の未来を巡り、権力を巡り、政府で、コミュニティで、見えない争いが続けられ、そして原因不明の病が人々を襲う。
ストーリーは面白かったんですよ。
文章も読みやすかったし、展開も早いし。
不老化処置を受けないケンの言い分にも一理ある。
政府の権力争いも、手に汗握る。
でも、設定がいろいろ穴だらけ。
だって、不老化処置をしただけなのだから、人は死ぬでしょ?
事故や病気や自殺や他殺で。
ということは、思っているほど死をコントロールはできていないということなのでは?
もし、死をコントロールできたと思うほど死ぬ人が少ないのなら、労働人口は爆発的に増えていると思うけど、どうもそれほどの密度は感じられない。
最初から重箱の隅の小さな傷のあちこちが気になっていた。
けれど、最も解せないのが、SMOCについて。
人類に、致死の病が広まったら、まず世界中で情報を共有するんじゃない?
ネットやクラウドを通して、実験や解析を世界中で分担して事に当たるのじゃない?
内務省厚生局は何やってたの?
HALLOの発表だって遅すぎる。
病気の原因がHAVIだということが分かった時点でとりあえずHAVIをストップしないと、次々罹患者が増えていくということでしょ?
このままでは16年後にはHAVIを受けた人たちは全滅しますって、そこまで黙っているなんてありえない。
他の国の罹患状況はどうなってるの?
鎖国をしているわけじゃないのに、他国の様子がわからな過ぎる。
「百年法」をどうするか。
生きることと死ぬことの尊厳を、生き様や死に様で表現してほしかった。
最後まで考えて、日本人として答えを出してほしかった。
HAVIを受けたらSMOCで死にます。
だからもう「百年法」は関係ありません。
そんな結末を読みたかったわけじゃない。

BGMはJennifer Lopez『Love Don’t Cost A Thing』でした。
