永遠の生命を追い求めるフランケンシュタイン博士は、幾つかの死体を組み合わせて人造人間を造り上げることに成功した。だが、その頭蓋に収められたものは、殺人者の狂った脳髄だった……。「フランケンシュタインの花嫁」に続く。

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1931年版の『フランケンシュタイン』
無声映画からトーキーになって間もない作品ということで、俳優の動きが大げさで…おかげさまであまり怖がらずに観ることができました。

ほぼネタバレですが、大体皆さん内容はご存知でしょう?
「いや、これから観るのを楽しみにしとる!」と言う方は、どうか読まれませんように。



映画本編が始まる前に、劇場の幕の前に立つ男がこの映画について「気分が悪くなるようなことがあったら、すぐ席を立つように」なんて注意をしていて、その男にあたる光の加減がまず怖い。
そしてオープニングロールって言うの?役名と俳優の名前が出てくるんだけど、その背景がまた怖い。
数多くの目が、画面の中央を中心にしてぐるぐる回るっていう…。

で、お墓に死体が生められるのをじっと物陰からのぞく男二人。

怖い部分はこの辺りまででした。
モノクロ映画なので、光の影のコントラストで怖さを演出している部分もあるのですが、怖さより感じたのは、怒り。
登場人物がみんな、自分勝手。

研究したい、研究したい、研究したい。←ヘンリー・フランケンシュタイン
結婚したい、結婚したい、結婚したい。←婚約者のエリザベス
自分の鬱憤を、怪物を苛める事で晴らす助手のフリッツ。
息子の支配と家の繁栄しか考えていないフランケンシュタイン男爵

幼い娘を水際にほったらかして仕事に出かけた父親。
なぜ娘を殺したのが怪物だとわかったのか?
足を滑らせて水に落ちたとは考えなかったのか?
…とは誰も考えなかったようで、町〈もしくは村〉をあげて怪物を探しに山狩りをする。

怪物…せっかく捕らわれの唐から脱出したのに、まっすぐフランケンシュタイン男爵の家に生き、花嫁を脅かしただけで山に逃げ込むって、いったい何がしたかったのか?

いま見れば、ことほど斯様に突っ込みどころが満載で、怖がっているどころではなかったのです。

死体を繋ぎ合わせて命を吹きこみ、「私は神の気持ちが分かった!」と言う傲慢。
人間の力で制御できないものを作り出してしまった怖れなど、微塵もない。

怪物の脳は、大学から盗まれたものだけれど、殺人犯の脳。
ノーマル・ブレインとアブノーマル・ブレイン(とラベルに書いてある)を比べて、殺人犯の脳の異常さを学生に講義していたけど、怪物の行動は殺人犯の脳を持つゆえではないと思う。

怪物は、まず自分がなぜここに存在しているのかが分からなかったのだと思う。
そして訳も分からないまま苛められ、怖かったのだと思う。
どうしていいのかわからずパニックになり、そして怒ったのだと思う。
理不尽な世界に。

怪物の演技は素晴らしかったです。
特殊メイクのなかった時代の、あの顔の造型。
前傾姿勢で膝を伸ばしたまま歩くところや、手指の開き具合。
子どものようなそれを怪物にしてしまったのは、人間の醜い心なのかと思いました。

ただ、全く何も悪くないのに怪物に殺されてしまった少女。
彼女の場合はちょっと違って、花を水に浮かべる遊びの延長で、少女を水に投げ入れてしまったのだ。
だって、少女と遊んでいた時のはにかんだような嬉しそうな笑顔は、子どものように無垢な心がもたらしたものだと思うから。

水車小屋はね…やっぱりそうなりますよね…。
本格派の推理小説家じゃなくたって、あのからくりを見たら、そうなりますよね…。

と言うわけで、思った方向とは全然違いましたが、楽しめました。
これなら夜観ても大丈夫だったな。



さて、昨日は眠くてブログもかけずに布団に入り…次男と2時間電話で話しました。
これから本屋さんに取り置きの本を引き取りにいかなければなりませんが、やっぱり眠い。
寝てから行くか。行ってから寝るか。
うーむむ。




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