ビリー・ワイルダー監督・脚本による都会派コメディの代表作。出世の足掛かりにと、上役の情事のためにせっせと自分のアパートを貸している会社員バド(レモン)。だが、人事部長のシェルドレイク(マクマレイ)が連れ込んで来たエレベーターガールのフラン(マクレーン)は、バドの意中の人だった……。

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和田誠と三谷幸喜の対談集「それはまた別の話」を読んで以来、ずっと見たかった映画。
うん。これは確かにすごい映画。

5人もの会社役員のために自分のアパートを貸し出すバド。
そのために、自分の家だというのに自由に帰ることができず、残業をしながら時間をつぶし、近隣の人たちには素行の悪い女たらしと誤解を受けている。

しかしバドは出世のために、本来業務よりもアパート貸出しの調整に追われているように見える。
そんな人を出世させちゃっていいの?
ところがぐんぐん出世するんだな、これが。

この会社、絶対ヤバいよ。
何万人もの社員を抱えた大手の保険会社だということだけど、管理職は不倫のことしか考えてないし、誰か仕事してる?
気に入らない部下がいたら、「君はクビだ」の一言でクビにできる。
借りたアパートをきれいにして返すこともできない。というか、女性の趣味が悪すぎる。

それでもバドは文句も言わずに(いや、結構言ってるけど)上司に部屋を貸し、自分は可愛いエレベーターガールのフランに恋してる。
そのフランが人事部長の浮気相手だった!

バドが健気なのね。
自分はどんなに誤解を受けても、絶対にフランを守る。
どうしてフランはバドに恋しないのか。
ま、そんなもんだよね。人の気持ちはままならない。

で、何がすごいって、この映画脚本に無駄がない。
伏線の回収率は100%以上。
だって、1個でふたつの伏線なんてことがざらにあるんだもの。
さりげなく出てくる伏線が、あとで「おお!」ってなる。
小ネタも多いしね。

それにしてもなぜパスタの湯切りをテニスのラケットでするの?
アメリカにはざるがないの?
なんか汚くない?
そして、ゆでたパスタを水で締めるって…。

バドはずっとフランに愛を伝えているけど、フランは最後まではっきり口にはしていないのね。
でも、笑顔や含みのあるセリフが気持ちを伝えている。
そこが、お洒落だなーって思いました。



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