そろそろ夏の文庫フェアが始まるころだなと思っていたら、思わぬ文庫がフェアをやっていました。
河出文庫。
しかし、100冊ではありません。
羽田圭介、綿矢りさ、山崎ナオコーラ、青山七恵という「文藝賞」受賞作家の本を中心に34冊。
そのうち、読んだ本は5冊。
う~ん、もう少し読もうよ、自分。
・黒冷水 羽田圭介
・蹴りたい背中 綿矢りさ
・巴里の空の下オムレツのにおいは流れる 石井好子
・世界悪女物語 澁澤龍彦
・サラダ記念日 俵万智
結構ジャンルの幅が広いのね。
本日の読書:エヴァが目ざめるとき ピーター・ディッキンソン
Amazonより
『地上百数十階の都市に人々がひしめき、野生動物のほとんどが絶滅した近未来。チンパンジーを保護・研究する学者であるパパとでかけ、事故にあったとき、エヴァは十三歳の、黒く長い髪と青い目の女の子だった。だが二百日を越える昏睡からようやく目ざめたとき、エヴァが鏡のなかに見たものは…。人類衰亡の時代に、ただ一人の「新しい存在」として目ざめてゆく少女を描く、実力派作家の異色のSF。』
児童文学として出版されていますが、大人が読んでも充分に満足できる一冊です。
主人公のエヴァは13歳ですが、ひとりの人間としても、人類という種族としても負うべきものの重さに負けず、一番正しいと思われる行動を冷静にとり続けます。
ネタバレになるのかなあ。
気になる方はこの先読まない方がよいかと存じます。
エヴァが目ざめると、自分の身体はチンパンジーになっていました。
エヴァは賢い少女ですから、人間である自分と同じくらいチンパンジーである自分を認め、愛そうとします。
そうでないと自分の心と身体がバラバラになってしまうから。
エヴァの父親はチンパンジーの生態を研究する学者なので、小さい時からチンパンジーに慣れていたエヴァは、チンパンジーを毛嫌いすることなく、チンパンジーとしての生理や本能を受け入れていきます。
しかし、エヴァの意識が元々の身体の持ち主ケリーの意識を駆逐していくとともに、チンパンジーの本能が表に出てきました。
人間として家族を愛し、学校に通い、友だちとも付き合いますが、時にチンパンジーとしての衝動が抑えられなくなることも…。
エヴァのいる世界は、地球上に人類が溢れかえり、自然はほんの少し(人類が入り込むことのできないジャングルや、海洋牧場に適さない海の部分など)しか残されていません。
増えすぎた人類はすべてのことに消極的になり、生命力が衰えてきています。
“人類全体がどんどん短絡的にものを考えるようになってきている。頭のいい若者は研究なんかしない。投資家たちは、すぐに見返りが得られないものには一銭だって出そうとしない。政府も研究機関も、基礎研究には金を出さない。宇宙開発からも手を引きかけている。まだまだある。とにかく、なにもしようとしないんだ。人類はあきらめかけてるんだよ。なにもかも放り出そうとしてるのさ。”
人類がまだ余力を持っているうちに、チンパンジーを自然に返そうという運動が起こります。
そのためには知恵のあるチンパンジー、エヴァに群れを率いてもらいたいと。
しかしそれは人間として生きることに別れを告げなくてはなりません。
愛する家族と永久に別れなくてはならないのです。
エヴァの逡巡、エヴァの努力、エヴァの決意。
ティーンエイジャーのエヴァが、自分の一生をかけてチンパンジーたちを自然に返すのですが、エヴァが年老いて死を迎えるとき、彼女の仲間であり華族であるチンパンジーたちは…。
この作者は相当にチンパンジーの生態を勉強したと思います。
エヴァは知識としてチンパンジーの生態を知るとともに、本能で理解していく様子がとても自然でした。
人間としてのエヴァの心、チンパンジーとしてのエヴァの身体、それが合わさったエヴァの個性。
どれも説得力があり、だから物語の終焉を静かに受け入れることができるのだと思いました。

河出文庫。
しかし、100冊ではありません。
羽田圭介、綿矢りさ、山崎ナオコーラ、青山七恵という「文藝賞」受賞作家の本を中心に34冊。
そのうち、読んだ本は5冊。
う~ん、もう少し読もうよ、自分。
・黒冷水 羽田圭介
・蹴りたい背中 綿矢りさ
・巴里の空の下オムレツのにおいは流れる 石井好子
・世界悪女物語 澁澤龍彦
・サラダ記念日 俵万智
結構ジャンルの幅が広いのね。
本日の読書:エヴァが目ざめるとき ピーター・ディッキンソン
Amazonより
『地上百数十階の都市に人々がひしめき、野生動物のほとんどが絶滅した近未来。チンパンジーを保護・研究する学者であるパパとでかけ、事故にあったとき、エヴァは十三歳の、黒く長い髪と青い目の女の子だった。だが二百日を越える昏睡からようやく目ざめたとき、エヴァが鏡のなかに見たものは…。人類衰亡の時代に、ただ一人の「新しい存在」として目ざめてゆく少女を描く、実力派作家の異色のSF。』
児童文学として出版されていますが、大人が読んでも充分に満足できる一冊です。
主人公のエヴァは13歳ですが、ひとりの人間としても、人類という種族としても負うべきものの重さに負けず、一番正しいと思われる行動を冷静にとり続けます。
ネタバレになるのかなあ。
気になる方はこの先読まない方がよいかと存じます。
エヴァが目ざめると、自分の身体はチンパンジーになっていました。
エヴァは賢い少女ですから、人間である自分と同じくらいチンパンジーである自分を認め、愛そうとします。
そうでないと自分の心と身体がバラバラになってしまうから。
エヴァの父親はチンパンジーの生態を研究する学者なので、小さい時からチンパンジーに慣れていたエヴァは、チンパンジーを毛嫌いすることなく、チンパンジーとしての生理や本能を受け入れていきます。
しかし、エヴァの意識が元々の身体の持ち主ケリーの意識を駆逐していくとともに、チンパンジーの本能が表に出てきました。
人間として家族を愛し、学校に通い、友だちとも付き合いますが、時にチンパンジーとしての衝動が抑えられなくなることも…。
エヴァのいる世界は、地球上に人類が溢れかえり、自然はほんの少し(人類が入り込むことのできないジャングルや、海洋牧場に適さない海の部分など)しか残されていません。
増えすぎた人類はすべてのことに消極的になり、生命力が衰えてきています。
“人類全体がどんどん短絡的にものを考えるようになってきている。頭のいい若者は研究なんかしない。投資家たちは、すぐに見返りが得られないものには一銭だって出そうとしない。政府も研究機関も、基礎研究には金を出さない。宇宙開発からも手を引きかけている。まだまだある。とにかく、なにもしようとしないんだ。人類はあきらめかけてるんだよ。なにもかも放り出そうとしてるのさ。”
人類がまだ余力を持っているうちに、チンパンジーを自然に返そうという運動が起こります。
そのためには知恵のあるチンパンジー、エヴァに群れを率いてもらいたいと。
しかしそれは人間として生きることに別れを告げなくてはなりません。
愛する家族と永久に別れなくてはならないのです。
エヴァの逡巡、エヴァの努力、エヴァの決意。
ティーンエイジャーのエヴァが、自分の一生をかけてチンパンジーたちを自然に返すのですが、エヴァが年老いて死を迎えるとき、彼女の仲間であり華族であるチンパンジーたちは…。
この作者は相当にチンパンジーの生態を勉強したと思います。
エヴァは知識としてチンパンジーの生態を知るとともに、本能で理解していく様子がとても自然でした。
人間としてのエヴァの心、チンパンジーとしてのエヴァの身体、それが合わさったエヴァの個性。
どれも説得力があり、だから物語の終焉を静かに受け入れることができるのだと思いました。
